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(平7.7.3裁決、裁決事例集No.50 111頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、自動車板金業を営む者であるが、平成3年分の所得税について、確定申告書(分離課税用)に次表の「確定申告」欄のとおり記載して法定申告期限までに申告した。
 原処分庁は、これに対し、平成5年10月18日付で次表の「更正処分等」欄のとおり更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。

(単位 円)
項目\区分確定申告更正処分等異議決定
総所得金額3,111,6143,111,6143,111,614
内訳
 事業所得の金額2,529,8532,529,8532,529,853
 不動産所得の金額581,761581,761581,761
分離課税の6,651,235392,409,035392,646,635
長期譲渡所得の金額
納付すべき税額1,387,80077,707,60077,504,500
過少申告加算税の額11,377,50011,347,000

 請求人は、これらの処分を不服として、平成5年12月8日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、平成6年2月22日付で上表の「異議決定」欄のとおり原処分の一部を取り消す異議決定をした。
 請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成6年3月18日に審査請求をした。

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2 主張

(1)請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件更正処分について
(イ)仮換地の指定変更に至った経緯は、次のとおりである。
A 請求人は、P・R広域都市計画事業T土地区画整理事業(以下「本件区画整理事業」という。)施行地内に所有する別紙物件目録番号1ないし4に記載の土地(以下「従前地A」という。)につき、本件区画整理事業施行者P市(以下「本件事業施行者」という。)から、昭和52年12月8日付で、土地区画整理法(以下「区画整理法」という。)第98条《仮換地の指定》の規定に基づき、別紙物件目録番号5に記載の仮換地(以下「仮換地甲」という。)を従前地Aに対する仮換地とする仮換地指定通知を受け、工場等建物を仮換地甲に移転し、引き続き自動車板金業を営んでいた。
B 平成元年10月頃、請求人の居住地付近に金融機関の支店を設置したいので他へ仮換地の変更ができないかとの話が数回あり、請求人は、変更の意思がないと回答していた。
C 平成2年4月中旬頃、本件区画整理事業に係る土地区画整理審議会(以下「審議会」という。)の委員(以下「審議委員」という。)Lから、請求人に対し、(a)地元で要望の強い金融機関の設置であり、公共性を持つものであること、(b)238街区における自動車修理工場の営業は好ましい状況でないこと、(c)本件事業施行者が行う仮換地の変更であるから所得税の課税関係は生じない旨の説明とともに、仮換地甲から別紙物件目録番号6ないし13に記載の土地(以下「従前地B」という。)に係る同物件目録番号14及び15に記載の仮換地(以下「仮換地乙」という。)へ変更の申入れがあり、請求人は、金融機関の設置計画に基づくものであれば公益的な事業に協力することになり地元住民の便利便益に資すると考え、やむを得ず仮換地の変更に応じることとした。
D そこで、請求人は、本件事業施行者の指導に基づきF地所株式会社(以下「F社」という。)と請求人の両者連名で本件事業施行者に、従前地Aに対する仮換地を別紙物件目録番号14に記載の仮換地(以下「仮換地乙の1」という。)とし、従前地Bに対する仮換地を仮換地甲及び同物件目録番号15に記載の仮換地(以下「仮換地乙の2」という。)に変更する「仮換地変更願」(以下「本件変更願」という。)を提出したところ、本件事業施行者は、平成2年12月15日付で、本件変更願どおり変更する(以下、この変更を「本件指定変更」という。)旨の仮換地指定変更を行った。
E 請求人は、仮換地指定変更の経緯等の詳細は承知していないが、本件指定変更の経緯等は、P市長からP税務署長あてに提出された平成5年11月1日付区事第34号「請求人とF社の仮換地指定の変更について」(以下「区事第34号文書」という。)に記載のとおりであると思う。
 なお、当該文書には、次のとおり記載されている。
「当T土地区画整理事業地区内238街区の請求人の仮換地は、昭和52年12月15日付けで当初の指定が行われていました。
 仮換地前の従前地に請求人は、木造平屋建住宅1棟と鉄骨造平屋建工場2棟を所有して、自動車修理工場を営んでいましたが、仮換地指定後の昭和55年3月4日、仮換地の238街区への移転契約を当事業所と行い、住宅1棟と修理工場2棟の移転を終えていたものである。
 ところで請求人が移転していた238街区は、近隣商業地域と一部は居住地域・第二種住居専用地域の用途地域指定がなされていたところであり、この地区内での自動車修理工場の営業は、好ましい状況とは言えなかったところである。
 また一方、同街区方面の住民は、同238街区内に是非金融機関を設置してほしいとの要望が叫ばれていた平成元年10月頃、地元金融機関のG銀行から当事業所の審議会委員を通じて、T土地区画整理事業地区238街区内に支店を開設したいので、土地の斡旋をしてほしい旨の申し入れがあった。
 当所としては、238街区内は仮換地の指定をした土地であり、当所での斡旋は簡単にはできないもので、仮換地の指定をしてある当事業地区内の仮換地関係者と協議を行い、仮換地指定の変更という審議が必要であるため、事前に当事者双方の内諾した『仮換地指定の変更の願』の提出を要するものであることを、G銀行に指導していたところ、平成2年5月28日に、請求人とF社から連名で、『仮換地変更願』が当所へ提出された。
 当所においては、提出された変更願いの取り扱いについて、種々審議検討した結果、付近民の設置要望の強い金融機関の設置計画であること、238街区内としては最も適合した建物となること等が考えられたので、同年6月8日に変更を行う旨、回答したところである。
 通例ですと、仮換地の変更の回答を行った平成2年6月8日付で、仮換地の変更を行うべきところですが、当所の区画整理事業の施行業務が多忙をきわめていまして、同日の指定変更分を含めた平成元年12月25日以降に係る『仮換地の変更分の全部』が、平成2年12月15日付で指定変更すると通知したものであり、同変更願者に通知事務が遅延したことを申し訳なく遺憾に存じており、請求人とF社の仮換地の変更日は、平成2年6月8日付が正当であることを証明いたします。」
(ロ)ところで、租税特別措置法(平成4年法律第76号による改正前のものをいい、以下「措置法」という。)第33条の3《換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》の規定によれば、換地処分の場合は、譲渡がなかったものとされているのであるから、それ以前の仮換地の指定や指定変更という土地区画整理事業の終了しない段階で課税すること自体合理性を欠くもので、課税する法的根拠が明らかでなく、また、土地区画整理事業においては、換地処分がなされるまでは仮換地の指定の変更も当然あり得るところ、本件指定変更は、上記(イ)の経緯のもとになされたもので、請求人の意志に基づくものでなく、本件事業施行者が、公共性・公益性に照らして行った行政処分であることが明らかであるから、措置法第33条の3の規定により譲渡はなかったとみなされるべきである。
(ハ)なお、請求人は、(a)本件指定変更に係る仮換地の変更については所得税法第58条《固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例》の規定の適用がないこと、(b)原処分庁が仮換地の変更に係る譲渡所得の収入金額として認定した412,420,000円、(c)原処分庁が従前地Aの取得価額として認定した20,621,000円については争わない。
ロ 本件賦課決定処分について
 上記イのとおり、本件更正処分は違法であるから、本件賦課決定処分もその全部を取り消すべきである。
 また、仮に本件更正処分が違法でないとしても、平成4年1月に、請求人が税務署へ相談に行った際、原処分庁の職員が仮換地の指定変更は課税の対象になる旨の説明を行わなかったのであるから、加算税は免除されるべきである。
ハ 延滞税について
 上記ロで述べた理由により、仮に本件更正処分が違法でないとしても、延滞税は免除されるべきである。

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(2)原処分庁の主張

 原処分は、次のとおり適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 本件更正処分について
 請求人は、本件指定変更に係る仮換地の変更は措置法第33条の3の規定により譲渡がなかったものとみなされる旨主張するが、次に述べるとおり請求人の主張には理由がない。
(イ)本件指定変更に至る経緯等
 仮換地指定から本件指定変更に至るまでの経緯等は、次のとおりである。
A 請求人は、昭和52年12月8日付で本件事業施行者から、従前地Aに対する仮換地として仮換地甲の指定を受け、工場等建物を仮換地甲に移転し、引き続き仮換地甲において自動車板金業を営んでいた。
 なお、仮換地甲の上には、請求人が居住の用に供していた別紙物件目録番号16及び17記載の家屋(以下「本件居住用家屋」という。)並びに請求人が自動車板金業のために使用していた同物件目録番号18及び19記載の家屋(以下「本件事業用家屋」といい、本件居住用家屋と併せて「本件家屋」という。)があった。
B 仮換地甲の付近にG銀行が新店舗を設置する計画があったことから、同銀行の関連会社であるF社は、H地所株式会社(以下「H社」という。)の仲介により、平成2年2月に仮換地甲の隣接地を取得した。
 しかし、G銀行の希望する土地の面積は、F社が取得した土地の面積を上回る規模のものであった。
 その一方でF社は、Jから従前地Bを販売用不動産として、平成2年5月25日、総額412,420,000円で取得した。
C その後、H社は、F社の依頼により請求人が所有する従前地Aに係る仮換地甲をG銀行の店舗用地として取得したい旨を請求人に申し入れた。
 交渉の結果、請求人とF社は、従前地Aに係る仮換地甲と従前地Bに係る仮換地乙とを等価で交換することとした。
D 交換に当たっては、仮換地指定の変更という方法により行うこととしたが、従前地Aを本件区画整理事業地区内の238街区の仮換地指定から同地区内の106街区の仮換地指定に変更する場合には、仮換地乙の2については、換地計算の問題で換地計画に対応しないため、仮換地指定の変更前に何らかの方法によりF社から請求人に権利移転することが必要であった。
 そのため、F社は、請求人に仮換地乙の2の従前地である別紙物件目録番号12及び13に記載の土地(以下「従前地Bの2」という。)を請求人に対し無償で提供し、平成2年9月6日にF社から請求人へ所有権移転登記を行った。
E 請求人とF社は、H社の仲立ちにより、平成2年8月30日付で仮換地変更願提出に伴う覚書証(以下「本件覚書証」という。)を作成するとともに、同年9月3日に本件変更願を本件事業施行者に提出した。
F 本件事業施行者は、請求人に対し、平成2年12月15日付で本件変更願の内容どおりに本件指定変更を通知した。
G 請求人とF社は、上記D及びEの手続きを進める一方、平成2年8月30日付で、本件家屋につき、(a)本件居住用家屋を総額35,000,000円で、(b)本件事業用家屋を総額39,000,000円でF社へ売却する旨の不動産売買契約書をそれぞれ作成し、履行した。
(ロ)本件指定変更の実質的な内容
A 一般的に、土地区画整理事業の事業施行者が行う仮換地の変更処分は、(a)換地計画の不備による関係権利者の不公平是正もしくは土地区画整理事業の施行につき生じた重大な支障を除去する等の目的にて、公益上の必要から行う場合、(b)仮換地権利者数人がある街区について他の街区にまったく影響を及ぼさない形の仮換地指定の変更を申請してきた際に、仮換地指定の変更をする法律上の義務はないが、仮換地指定の変更申請が申請者全員の合意に基づくものであり、他の関係権利者の既得権を侵害したり、法的安定性を損なう恐れもないと判断した場合に行われている。
B ところで、本件指定変更は、仮換地権利者である請求人とF社の両者連名でなした本件変更願に対して、本件事業施行者が行ったものではあるが、本件変更願を提出するに至った経緯からすると、前記(イ)のCないしFのとおり、従前地Aの権利者である請求人と従前地Bの権利者であるF社の両者間に成立した交換契約を実現する方策としてなされたものであることは明らかであり、換地計画の不備による関係権利者の不公平是正や土地区画整理事業の施行上の支障から本件指定変更を行ったものでなく、本件変更願の内容が仮換地権利者双方の合意に基づくもので、他の関係権利者の既得権を侵害したり、法的安定性を損なう恐れもないとして、本件事業施行者が、上記Aの(b)の例により、本件変更願どおり本件指定変更を行ったものと考えられる。
C しかして、仮換地指定がなされはしたが、まだ換地処分がなされていない段階においてなされた交換契約は、仮換地甲及び仮換地乙が所有権の対象とならないことから、従前地Aと従前地Bの交換契約と認められる。
 したがって、本件指定変更は、措置法第33条の3に規定する「譲渡がなかったものとみなす場合」の「土地区画整理法による土地区画整理事業における換地処分により土地等を取得したとき」に該当せず、同条の適用は認められない。
(ハ)長期譲渡所得の金額
 上記(ロ)のB及びCのとおり本件指定変更の実質は、従前地Aと従前地Bの交換契約であるから、次に述べるとおり、請求人には分離課税とされる長期譲渡所得(以下「分離長期譲渡所得」という。)が発生する。
A 請求人が譲渡した従前地Aに対する収入金額は、交換の相手方であるF社から取得した従前地Bの価格(時価)によることとなるが、前記(イ)のBのとおり、従前地BはF社が平成2年5月25日に総額412,420,000円で取得したものであることから、その価格が時価と認められる。
 したがって、譲渡所得の収入金額は、412,420,000円である。
B また、請求人は、前記(イ)のGのとおり本件家屋を売却しているので、本件居住用家屋を譲渡したことによる収入金額は35,000,000円であり、本件事業用家屋を譲渡したことによる収入金額は39,000,000円である。
C 請求人が譲渡した従前地Aについては、前記(イ)のAのとおり、本件家屋の敷地の用に供していたので、本件居住用家屋及びその敷地に供されている部分については、措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》に規定する3,000万円の特別控除の特例の適用対象となる。
 したがって、請求人の分離長期譲渡所得の金額は次表のとおりである。

(単位 円)
項目居住用部分事業用部分
譲渡価額(1)216,052,380270,367,620
取得費の額(2)17,726,21916,062,206
譲渡費用の額(3)1,130,0001,250,000
買換資産の取得価額(4)45,040,950
収入金額(5)216,052,380239,167,620
必要経費の額(6)18,856,21912,717,146
特別控除の額(7)30,000,0001,000,000
分離長期譲渡所得の金額(8)167,196,161225,450,474
((5)−(6)−(7))

ロ 本件賦課決定処分について
 上記イのとおり本件更正処分は適法であり、また、国税通則法(以下「通則法」という。)第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同法同条第1項及び第2項の規定に基づき過少申告加算税を賦課決定したことは適法である。

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3 判断

(1)本件更正処分について

 本件指定変更に係る仮換地の指定が、措置法第33条の3に該当するか否かに争いがあるので、以下審理する。
イ 争いのない事実
 次の事実については、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
(イ)請求人が、本件区画整理事業施行地内に所有していた従前地Aについて、昭和52年12月8日付で本件事業施行者から、その仮換地として仮換地甲を指定する旨の仮換地指定通知があったこと。
(ロ)請求人は、上記(イ)の指定を受け、従前地Aから仮換地甲に工場等建物を移転し、仮換地甲においても引き続き自動車板金業を営んでいたこと。
(ハ)請求人とF社は、両者連名で本件事業施行者に本件変更願を提出したところ、本件事業施行者は、本件変更願どおりの本件指定変更を行ったこと。
ロ 請求人の答述
 請求人は、本件指定変更に至る経緯等について、当審判所に対し要旨次のとおり答述している。
(イ)平成元年3月10日に、H社の取締役であるKからG銀行の店舗用地として仮換地甲を売却するよう申入れがあったが、これを断ったこと。
 その後、平成元年10月に「仮換地の変更であれば税金がかからないので、仮換地の変更をしてくれないか」との申入れがあり、また、「社長のLが審議委員をしている」との話もあったことから、銀行の設置は住民のためになると思い承諾したこと。
(ロ)平成元年10月にLに会い、同人から土地区画整理事業地区内の仮換地の変更であれば税金はかからない旨の説明を受けたこと。
(ハ)平成2年3月にKから、変更する場所について、「Jの場所(仮換地乙)でどうか」といわれ、同年4月に、これを了承する旨の返事をしたこと。
(ニ)平成2年4月頃に、Lから仮換地変更願の用紙に住所・氏名を書き押印するよう依頼され、その依頼に応じたが、仮換地変更願の用紙には定型文以外のことは一切記載されていなかったこと。
(ホ)仮換地の変更の相手先について、当初はJと思っていたが、F社が相手先であると知ったのは、平成2年8月30日付の本件覚書証を取り交わした頃であること。
ハ Lの答述
 Lは、本件指定変更に至る経緯等について、当審判所に対し要旨次のとおり答述している。
(イ)審議委員を務めたのは、昭和50年から昭和60年までであり、その後、平成2年から現在まで審議委員を務めていること。
(ロ)仮換地の変更の件で当初請求人に会ったのは、平成2年の1月か2月頃であるが、その際、請求人に対して自分が審議委員であると言ったかどうかは覚えていないこと。
(ハ)請求人と当初交渉した時点では審議委員ではなかったが、審議委員でなかった期間があっても審議委員と同様の気持ちで交渉していたと思うこと。
(ニ)請求人に対し、仮換地の変更であるから税金はかからないこと、本件事業施行者も仮換地甲の付近に金融機関が進出することを話題にしていること及びG銀行が進出する旨を話したこと。
(ホ)仮換地の変更に伴い、F社から請求人に対し無償譲渡が発生したのは、本件事業施行者から、仮換地甲と仮換地乙の評価指数が一致しないので、一致しない部分についての登記関係の変更を売買で行うよう指導され、その指導に従ったためであること。
(ヘ)本件変更願にF社と請求人の両者から署名及び押印をもらい、その他の事項は記入せず、本件事業施行者の担当者に提出したこと。
 なお、本件変更願の収受日付が平成2年9月3日となっていたが、事実と違っていたことから、後日、平成2年5月28日に訂正してもらったこと。
(ト)P税務署長あてに提出されたP市長名の文書の中に書かれていることについては、分からないこと。
(チ)本件指定変更は、本件区画整理事業の全体がうまく行くようにとの見地からで、地域住民の要望に沿って行われたものであること。
ニ T土地区画整理事業所長・Mの答述
 本件区画整理事業に係るT土地区画整理事務所(以下「本件区画整理事務所」という。)所長のM(以下「M所長」という。)は、当審判所に対し要旨次のとおり答述している。
(イ)仮換地の指定は、審議会の意見を聴いたうえで関係権利者に通知して行っていること。
(ロ)仮換地の指定変更の方法には、(a)土地区画整理事業の事業計画の変更に伴って事業施行者が独自に行うもの、(b)土地区画整理事業施行地内の地権者の申出に基づいて行うものとがあるが、地権者の申出に基づき変更するのがほとんどであること。
(ハ)本件区画整理事務所においては、仮換地変更願が提出された場合、審議会に報告をしているが、変更するに当たって審議会の同意は特に必要ではなく、本件変更願についても審議会で問題になったことはないこと。
(ニ)本件区画整理事務所においては、当事者から仮換地指定の変更の申出があった場合には、その内容が、(a)他の地権者に影響を与えず、(b)土地区画整理事業全体にも支障がないと本件区画整理事務所の窓口担当者が判断した申出について、仮換地変更願を当事者に提出するよう指導していること。
 なお、仮換地指定の変更の申出があった場合、窓口担当者は、当事者に対し一般的には従前地を交換するよう指導していると思うこと。
(ホ)事業計画の変更を伴わない仮換地の指定変更について、本件区画整理事務所の職員が地権者に働きかけたことは、請求人の件を含めてなかったこと。
 ただし、地権者から仮換地を変更したい旨の相談があった場合には、助言・指導を行っていること。
(ヘ)請求人に係る仮換地の指定変更については、Lが本件区画整理事務所の窓口担当者に相談に来られ、その結果、正式に本件変更願を提出したものと思うが、自分に対して事前の相談はなかったこと。
 なお、本件変更願に係る当事者双方の仮換地について、本件事業施行者による評価が一致しなかったことから、一致しない部分に対応する従前地を売買等の方法でF社から請求人へ移すよう本件区画整理事務所の窓口担当者が指導したと思うこと。
(ト)本件区画整理事務所の職員が、Lに対して請求人の仮換地の変更について交渉を依頼したことはないこと。
(チ)請求人の当初の仮換地(仮換地甲)の場所について、本件区画整理事務所に対して住民から騒音等を理由に苦情や移転の要望を受けたことはないこと。
(リ)区事第34号文書は、Lから、本件変更願の届出年月日の日付を変更してほしい旨の要望があり、本件区画整理事業に特に支障がないことから、都市計画部長の決裁を経て発行したものであること。
 また、当該文書には、G銀行が本件事業施行者に土地の斡旋の申入れをした旨記載されているが、そのような申入れがあったとは聞いておらず、Lの要望に基づいて記載したため、そのような文章になったと思うこと。
 なお、当該文書は、ほとんどLの要望に従って作成したものであること。
ホ F社営業副部長・Nの答述
 F社営業副部長のN(以下「F社営業副部長」という。)は、当所に対し要旨次のとおり答述している。
(イ)F社は、P市S町292番及び293番の土地(以下「W物件」という。)を有限会社Wセンター(以下「Wセンター」という。)から、従前地BをJからそれぞれ販売用の不動産として取得していたが、これは、G銀行の店舗用地として購入したものではなく、また、G銀行の依頼により購入したものでもないこと。
(ロ)本件覚書証は、Lが持参したものを、そのまま使用したものであり、Lが、仮換地の指定の変更手続きも含めて審議委員の立場で考えたものだと思うこと。
(ハ)請求人との仮換地変更に伴い無償譲渡が発生しているが、F社としては、Wセンターから取得した土地の隣接地を取得できれば良かったのであり、また、F社と請求人との間では、交換した土地の価額は同等であるとの認識のもとに仮換地の変更をしたものであること。
ヘ 原処分関係資料等の調査
 当審判所が原処分関係資料及び本件区画整理事業の事務所等を調査したところ、次の事実が認められる。
(イ)Lが審議委員である期間は、昭和50年7月6日から昭和55年6月7日までと平成2年7月1日から次期改選までであること。
(ロ)F社は、平成元年10月27日付の不動産売買契約書に基づきWセンターから仮換地甲に隣接するW物件の仮換地を取得し、平成3年4月10日付の不動産売買契約書に基づきG銀行に売却していること。
(ハ)次のことが記載された本件覚書証に請求人及びF社は、署名押印していること。
A 請求人(甲)とF社(乙)とは、本件事業施行者(丙)の指導に基づき、仮換地の変更を行うことに合意した。
B 甲と乙は各々所有している土地をお互いに相手方の所有土地に場所を変更し、お互いに相手方に引き渡すものとする。ただし、双方の土地の価値は同等と認め一切金銭の受渡しをしないものと定めた。
C 甲と乙は、お互いに仮換地面積が丙の指示に基づき、各自の所有面積の通りであればよいが、異なりたるときは甲・乙各々いずれかが、余り面積分を相手方に無償にて所有権を移転し、物件を引き渡すものと定める。
D 甲及び乙は、各々の所有物件について、所有権の完全な行使を阻害する一切の権利及び公租公課その他の賦課金の未納に基づく負担を、所有権移転の時までに除去し、相手方に何ら迷惑をかけないものとする。また、所有物件の移転完了後万一前項の瑕疵又は負担が発見された場合も同様である。
E 物件の表示欄には、本件指定変更に係る従前地A及びB並びに仮換地甲及び乙が併記されている。
(ニ)本件変更願には、次のことが記載等されていること。
A (a)先にT土地区画整理区域内の所有土地の仮換地の提示を受けたが、甲(F社)・乙(請求人)の協議により、仮換地の変更方をお願いする旨及び(b)変更目的は、「交換売買し銀行等を建築するため」である。
B 変更前の仮換地は、従前地Aに対して仮換地甲、従前地Bに対して仮換地乙であるところ、変更後の仮換地は、従前地Aに対して仮換地乙の1、従前地Bに対して仮換地甲及び仮換地乙の2である。
C 本件変更願の提出日付及び収受日付は、原処分庁が調査時に確認したときは平成2年9月3日であったものが、その後、同年5月28日に訂正されている。
(ホ)F社は、平成2年5月25日付で、H社の仲介によりJとの間に仮換地乙(従前地B)の売買価額を412,420,000円とする不動産売買契約書を作成し、同年6月11日付で、従前地BについてJからF社へ所有権移転登記を行っていること。
 なお、F社は、当該物件を同社備付けの会計帳簿に販売用不動産として記帳していること。
(ヘ)請求人とF社は、平成2年9月6日付で請求人がF社から仮換地乙の2に係る従前地Bの2を無償譲渡により取得した旨の登記を行うとともに平成2年9月21日付で、これに係る所有権移転届出書を、両者連署して本件事業施行者に提出していること。
(ト)本件家屋の売買に関し、請求人(売主)とF社(買主)とがH社の仲介により、平成2年8月30日付で作成した不動産売買契約書には、次の事項が記載されていること。
A 本件居住用家屋の売買契約書
(A)売買代金は35,000,000円とし、買主は契約締結時に手付金として10,000,000円を支払い、手付金は売買代金の内金に充当する。
(B)物件の引渡し及び所有権移転登記申請の期日を平成3年4月末日とする。
(C)残代金の支払いは、所有権移転登記申請手続きと同時に支払う。
(D)所有権移転の時期は、売買代金の残代金の支払いが行われたときに売主から買主に移転する。
B 本件事業用家屋の売買契約書
 売買代金を39,000,000円と定めたこと以外は、上記Aと同一内容であるが、特約条項として、「売主は本物件を売却し、代替自動車修理工場をP市Q町149ー1地内に建築するものであるが、農地転用および建築審議会許可等に、予期することができない理由により収得が遅延するときは、買主と協議のうえ本文第3条に定めた期日を2か月迄延期する事を買主は認めた」と記載されている。
(チ)F社は、本件家屋について平成3年5月10日に残代金の支払いを行い、同社備付けの会計帳簿に販売用不動産として記帳していること。
 なお、同社は、仮換地乙(従前地B)の取得価額と本件家屋の取得価額とを併せて原価管理を行っていること。
(リ)本件家屋に係る所有権移転の登記は行われず、登記簿は、平成3年5月31日付の取壊しを原因として同年6月6日に閉鎖されていること。
(ヌ)請求人は、本件家屋の売却に関し、平成3年分の所得として確定申告を行っていること。
(ル)本件居住用家屋は、登記簿謄本によれば、昭和55年9月10日に建築されていること。
(ヲ)F社は、平成3年5月10日付の不動産売買契約書に基づき仮換地甲(従前地Bの1)及び本件家屋をG銀行に売却したこと。
 なお、G銀行は、平成4年11月、同所及び平成3年4月10日付の売買契約書に基づきF社から取得したW物件の仮換地に同行のX支店を開設したこと。
ト 請求人とF社との取引内容
 請求人とF社との取引内容について検討したところ、次のとおりである。
(イ)請求人とF社は、上記ロの(イ)ないし(ホ)の請求人の答述並びに上記ハの(ロ)ないし(ニ)のLの答述からみて、H社からの仮換地の変更の申入れを請求人が承諾したことによって本件覚書証並びに本件居住用家屋及び本件事業用家屋の売買契約書を作成したことが推認される。
(ロ)本件覚書証には、上記ヘの(ハ)のとおり、請求人とF社は本件事業施行者の指導に基づき仮換地の変更を行うことに合意した旨記載されているほか、(a)各々所有している土地を、お互いに相手方の所有土地に場所を変更し引き渡すものとし、双方の土地の価値は同等と認めること及び(b)仮換地面積が異なったときには余り面積分を相手方に無償で移転すること等が記載されており、物件の表示には請求人所有の従前地A及びその仮換地甲並びにF社所有の従前地B及びその仮換地乙が記載されていることから、本件覚書証による取引の実質は仮換地甲と仮換地乙の等価交換契約であると認められる。
 このことは、上記イの(ハ)のとおり、本件変更願どおりの本件指定変更が行われたこと及び上記ヘの(ヘ)のとおり、本件指定変更だけでは対応できない仮換地乙の2に係る従前地Bの2の登記名義を無償譲渡により請求人名義に変更していることから確認されるとともに、上記ロの(イ)及び(ハ)の請求人の答述、ハの(ホ)のLの答述並びにホの(ハ)のF社営業副部長の答述からも推認される。
 ところで、区画整理法第99条《仮換地指定の効果》は、仮換地が指定された場合には、従前の宅地について権原に基づき使用又は収益することができる者は、仮換地指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる旨規定しているが、仮換地の指定がされても、その権原は従前地にあり、仮換地は所有権の対象にはならないことが認められる。
 したがって、本件覚書証は、仮換地甲が事実上付帯した従前地Aと仮換地乙が事実上付帯した従前地Bの交換契約(以下「本件交換契約」という。)を行う証書とみるのが相当である。
(ハ)本件居住用家屋及び本件事業用家屋の売買契約書は、これらの家屋の売買を行うものであり、前記ヘの(ト)のA及びBのとおり、本件居住用家屋は35,000,000円、本件事業用家屋は39,000,000円で売買されている。
チ 措置法第33条の3の適用の可否
 請求人は、措置法第33条の3に土地区画整理事業の換地処分の場合は譲渡がなかったものとみなすと規定していることから、換地処分が行われる以前における仮換地の指定や仮換地の指定変更の段階では、課税すること自体合理性を欠き、法的根拠を欠くものであり、また、本件指定変更は、本件事業施行者が公共性・公益性に照らして行った処分であるから譲渡はなかったものとみなされるべきであると主張するので、以下検討する。
(イ)措置法第33条の3は、個人が、その有する土地等につき区画整理法による土地区画整理事業が施行された場合において、当該土地等に係る換地処分により土地等を取得したときは、換地処分により譲渡した土地等の譲渡がなかったものとみなす旨規定している。
 これは、区画整理法による土地区画整理事業に基づく換地処分により取得した土地等は、従前の土地等とみなされ、地質・形状・面積・位置等が異なるにもかかわらず、従前の土地等について存した権利関係が、すべて、その同一性を保持して換地に移行するという換地処分の法的性格に照らして、換地処分については、従前の土地等の取得価額の引継ぎによる課税の繰延べを行うこととしたものと解される。
(ロ)区画整理法第98条《仮換地の指定》は、施行者は換地処分を行う前において、(a)土地の区画形質の変更、公共施設の新設、変更に係る工事のため必要がある場合及び(b)換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合に仮換地の指定ができる旨規定しているが、仮換地の指定変更について、区画整理法は何ら規定していない。
 しかし、上記ニの(ロ)のM所長の答述によれば、仮換地の指定変更は、(a)土地区画整理事業の事業計画の変更に伴って事業施行者が独自に行う場合及び(b)土地区画整理事業施行地内の地権者の申出に基づいて行う場合に実施されていることが認められる。
(ハ)ところで、(a)上記イの(イ)及び(ロ)のとおり、仮換地甲については、請求人は当初仮換地の指定を受けた後十数年の間、特に問題もなく平穏に事業等を行っていたこと、(b)M所長の上記ニの(ホ)及び(ト)の答述によれば、本件事業施行者が仮換地の指定変更を働きかけたとは認められないこと並びに(c)上記ヘの(イ)のとおり、請求人に対して仮換地甲の売却申入れが行われた平成元年から2年4月頃までの間、H社の社長であるLは審議委員でなかったことが認められることなどからみて、本件指定変更は、本件事業施行者が区画整理法に基づく公共性、公益性など土地区画整理事業遂行上の必要性から行った処分には当たらないものと認められる。
 また、本件覚書証の契約内容は、上記トの(ロ)で述べたように、請求人とF社との間における仮換地甲が事実上付帯した従前地Aと仮換地乙が事実上付帯した従前地Bとの交換契約とみるのが相当であり、本件指定変更は、本件交換契約を実現するための一つの方法として行われたものと認められるところ、措置法第33条の3の規定は、上記(イ)の趣旨からみて、たとえ、土地区画整理事業施行地内であっても、土地区画整理事業の遂行とは直接関係のない土地等の交換契約を実現するための本件指定変更のようなものまでも譲渡がなかっとみなす規定でないことは明らかであり、また、換地処分前に行われた取引であっても、これを課税対象としない理由は認められない。
 したがって、請求人の主張は採用できない。
リ 課税年分
 本件交換契約に係る譲渡時期については、仮換地甲上の本件家屋は請求人も自認しているとおり平成3年に引き渡されており、仮換地甲と本件家屋の引渡し時期が異なっているとすべき理由も認められないことから、平成3年分とした原処分は相当である。
ヌ 分離長期譲渡所得の金額
(イ)本件交換契約に係る部分
 所得税法第33条《譲渡所得》は、資産の譲渡による所得を譲渡所得と規定しており、資産の譲渡とは、有償又は無償を問わず、売買、交換など所有権その他の権利を移転させる一切の行為を含むものと解される。
 以上から、本件交換契約は譲渡所得の課税対象となるところ、請求人は、所得税法第58条の規定の適用について争わず、当審判所の調査によっても、上記ホの(イ)のF社営業副部長の答述及びヘの(ホ)のとおり、F社は仮換地乙を販売用不動産として所有していたと認められることから、所得税法第58条の規定の適用は認められず、原処分は相当と認められる。
 そこで、分離長期譲渡所得の金額について検討する。
A 収入金額
 所得税法第36条《収入金額》は、各種所得の計算上収入金額とすべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額とする旨、また、収入すべき金額について、金銭以外の物又は権利をもって収入する場合には、当該物若しくは権利を取得したときにおける価額とする旨規定している。
 請求人は、本件交換契約により仮換地乙(従前地B)を取得していることから、本件交換契約に係る収入金額は、仮換地乙(従前地B)の価額によることとなるところ、原処分庁は、本件交換契約の相手方であるF社が仮換地乙(従前地B)を取得した価額412,420,000円と認定している。
 請求人は、この価額について争わないとしており、また、当審判所の調査によっても、前記ヘの(ホ)のとおり、F社が仮換地乙(従前地B)を取得した価額は412,420,000円であると認められ、取得時期及び本件交換契約の時期からみて、この価額を不相当とする特段の事情も認められないので、本件交換契約に係る収入金額は412,420,000円とするのが相当である。
B 取得費
 原処分庁は、取得費を上記Aの金額に5パーセントを乗じて算出していることが認められるところ、請求人は、取得費の額については争わず、当審判所の調査によってもこれを不相当とする理由は認められない。
C 居住用部分と非居住用部分の割合
 請求人が譲渡した仮換地甲が事実上付帯した従前地Aの所有期間は、上記イの(イ)のとおり、本件区画整理事業により仮換地甲の指定が昭和52年であることからみて、平成3年1月1日現在で10年を超えており、かつ、本件居住用家屋も上記ヘの(ル)のとおり、昭和55年に取得されているので、平成3年1月1日現在で10年を超えている。
 したがって、居住の用に供されていた部分については、措置法第31条の3《居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》及び措置法第35条の規定の適用ができることから、本件交換契約に係る収入金額及び取得費を区分する必要がある。
 原処分庁は、本件居住用家屋の床面積と本件事業用家屋の床面積の比により、居住用部分を43.9パーセント、非居住用部分を56.1パーセントの割合としていることが認められ、当審判所の調査によっても不相当とする理由は認められない。
D 以上により、本件交換契約に係る分離長期譲渡所得の金額を計算すると別表1のとおりとなる。
(ロ)本件家屋に係る部分
 本件家屋に係る分離長期譲渡所得の金額については、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められないので、別表2のとおりとなる。
(ハ)そうすると、平成3年分の請求人の分離長期譲渡所得の金額は、別表1及び別表2を合計した別表3のとおり、392,646,635円となり、原処分庁の分離長期譲渡所得の金額と同額となるから、本件更正処分は適法である。

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(2)本件賦課決定処分について

 本件更正処分は、上記(1)のとおり相当であり、また、本件更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が本件更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項及び第2項の規定により過少申告加算税の賦課決定をした原処分は適法である。
 なお、請求人は、事前に税務署へ行った際に、仮換地の指定変更が課税されるとの説明がなかったのであるから、加算税は免除されるべきであると主張するが、もし、仮に原処分庁の職員が仮換地の指定変更が課税対象になると説明を行わなかったとしても、そのことをもって通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、請求人の主張は採用できない。

(3)延滞税について

 請求人は、上記(2)と同様な理由で延滞税は免除されるべきであると主張するが、もし、仮に原処分庁の職員が仮換地の指定変更が課税対象になると説明を行わなかったとしても、延滞税を免除するという法律上の規定はないので、請求人の主張は採用できない。

(4)その他

 原処分その他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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