別紙1

関係法令等の要旨

1 相続税法
(1) 相続税法第22条《評価の原則》は、相続又は遺贈により取得した財産の価額は、同法に特別の定めのあるものを除き、当該財産の取得の時における時価による旨規定している。
(2) 相続税法第23条《地上権及び永小作権の評価》は、地上権(借地借家法に規定する借地権又は民法第269条の2《地下又は空間を目的とする地上権》第1項の地上権に該当するものを除く。以下同じ。)の価額は、その残存期間に応じ、その目的となっている土地のこれらの権利を取得したときにおけるこれらの権利が設定されていない場合の時価に、一定の割合を乗じて算出した金額によるとし、残存期間が25年を超え30年以下のもの及び地上権で残存期間の定めがないものに係る割合は100分の40とする旨規定している。
2 文化財保護法
(1) 文化財保護法第92条《調査のための発掘に関する届出、指示及び命令》(平成16年法律第61号による改正前の文化財保護法(以下「旧文化財保護法」という。)第57条《調査のための発掘に関する届出、指示及び命令》の規定に同じ。)第1項は、土地に埋蔵されている文化財について、その調査のため土地を発掘しようとする者は、文部科学省の定める事項を記載した書面をもって、発掘に着手しようとする日の30日前までに文化庁長官に届け出なければならない旨規定している。
(2) 文化財保護法第93条《土木工事等のための発掘に関する届出及び指示》(旧文化財保護法第57条の2《土木工事等のための発掘に関する届出及び指示》の規定に同じ。)第1項は、土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で、貝づか、古墳その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地(以下「周知の埋蔵文化財包蔵地」という。)を発掘しようとする場合には、文化財保護法第92条第1項の規定を準用し、同項中「30日前」とあるのを「60日前」と読み替える旨規定している。また、文化財保護法第93条第2項は、埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、同条第1項で準用する届出に係る発掘に関し、当該発掘前における埋蔵文化財の記録の作成のための発掘調査の実施その他の必要な事項を指示することができる旨規定している。
(3) 文化財保護法第96条《遺跡の発見に関する届出、停止命令等》(旧文化財保護法第57条の5《遺跡の発見に関する届出、停止命令等》の規定に同じ。)第1項は、土地の所有者又は占有者が出土品の出土等により貝づか、住居跡、古墳その他遺跡と認められるものを発見したときは、文化財保護法第92条第1項の規定による調査に当たって発見した場合を除き、その現状を変更することなく、遅滞なく、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもって、その旨を文化庁長官に届け出なければならない旨規定している。また、文化財保護法第96条第2項は、同条第1項の届出があった場合において、当該届出に係る遺跡が重要なものであり、かつ、その保護のため調査を行う必要があると認めるときは、その土地の所有者又は占有者に対し、期間及び区域を定めて、その現状を変更することとなるような行為の停止又は禁止を命じることができるが、その期間は3月を超えることができない旨規定し、また、同条第5項は、同条第2項の場合において、同項の期間内に調査が完了せず、引き続き調査を行う必要があるときは、文化庁長官は、1回に限り、当該命令に係る区域の全部又は一部について、その期間を延長することができるが、当該命令の期間が、同項の期間と通算して6月を超えることとなってはならない旨規定している。
3 財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほかによる国税庁長官通達。ただし、平成18年5月18日付課評2−7による改正前のものをいい、以下「評価基本通達」という。)
(1) 評価基本通達1《評価の原則》の(2)は、時価の意義について、財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期において、それぞれの財産の状況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した金額による旨定めている。
(2) 評価基本通達1の(3)は、財産の評価に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮する旨定めている。
(3) 評価基本通達7−2《評価単位》は、土地の価額は評価単位ごとに評価する旨、山林については、1筆(地方税法第341条《固定資産税に関する用語の意義》第10号に規定する土地課税台帳又は同条第11号に規定する土地補充課税台帳に登録された1筆をいう。)の山林を評価単位とし、同通達49《市街地山林の評価》の本文の定めにより評価する市街地山林及び同通達49−2《広大な市街地山林の評価》の本文の定めにより評価する市街地山林は、利用の単位となっている一団の山林を評価単位とする旨定めている。
(4) 評価基本通達24−4《広大地の評価》は、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で都市計画法第4条《定義》第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの(同通達22−2《大規模工場用地》に定める大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの(その宅地について、経済的に最も合理的であると認められる開発行為が中高層の集合住宅等を建築することを目的とするものであると認められるものをいう。)を除く。以下「広大地」という。)で、その広大地が路線価地域に所在する場合の価額は、その広大地が面する路線の路線価に、同通達15《奥行価格補正》から同通達20−5《容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価》までの定めに代わるものとして次の算式により求めた広大地補正率を乗じて計算した価額にその広大地の地積を乗じて計算した金額による旨定めている。
算式
(5) 評価基本通達24−6《セットバックを必要とする宅地の評価》は、建築基準法第42条《道路の定義》第2項に規定する道路に面しており、将来、建物の建替え時等に同法の規定に基づき道路敷きとして提供しなければならない部分を有する宅地の価額は、その宅地について道路敷きとして提供する必要がないものとした場合の価額から、その価額に次の算式により計算した割合を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する旨定めている。
算式
(6) 評価基本通達49は、市街地山林の価額は、その山林が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額から、その山林を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛り又は土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を控除した金額に、その山林の地積を乗じて計算した金額によって評価する旨定めている(以下「宅地比準方式」という。)。
(7) 評価基本通達49−2は、市街地山林が宅地であるとした場合において、同通達24−4に定める広大地に該当するときは、その市街地山林の価額は、同通達49の定めにかかわらず、同通達24−4の定めに準じて評価する旨定めている。
(8) 東京国税局長が評価基本通達に基づき定めた平成17年分財産評価基準書には、宅地造成費について、平担地と傾斜地の区分により、要旨次のとおり定められている。
イ 平担地
(イ) 整地費
 整地費    1平方メートル当たり   400円
 伐採・抜根費 1平方メートル当たり   500円
 地盤改良費  1平方メートル当たり  1,200円
(ロ) 土盛費   1平方メートル当たり  3,700円
(ハ) 土止費   1平方メートル当たり 36,600円
ロ 傾斜地
(イ) 傾斜度3度以下の傾斜地については、1平方メートル当たり6,000円
(ロ) 平担地の場合であっても、宅地とするために土盛り若しくは土止めを要する土地については、上記(イ)の金額を適用して差し支えない。ただし、市街地に介在する駐車場や土地区画整理事業等を了した雑種地のように、整地のみで宅地化が可能である土地については、「平担地の宅地造成費」を適用する。
4 「土壌汚染地の評価等の考え方について(情報)」(平成16年7月5日付国税庁課税部資産評価企画官情報第3号・国税庁課税部資産課税課情報第13号。以下「本件情報」という。)には、土壌汚染地における相続税等の課税上の評価方法について、要旨次のとおり記載されている。
(1) 土壌汚染対策法が平成15年2月15日から施行され、今後、土壌汚染地であることが判明し、相続税等の課税上、問題となる事例が生ずることが考えられることから、土壌汚染地の評価方法の基本的な考え方を取りまとめることとした。
(2) 土壌汚染対策法の下では、都道府県知事は、土壌の汚染状態が基準に適合しない土地について、その区域を指定区域として指定・公示し(土壌汚染対策法(平成17年法律第33号による改正前のものをいう。以下同じ。)第5条《指定区域の指定等》)、指定区域内の土地のうち、土壌汚染により人の健康被害が生ずるおそれがあると認めるときは、土地の所有者に対し、有害物質の除去、拡散の防止その他の汚染の除去等の措置を命ずる(土壌汚染対策法第7条《措置命令指》第1項)ことになる。
(3) 米国における土壌汚染地の鑑定評価を参考にすると、1原価方式、2比較方式及び3収益還元方式の3つの評価方式があるが、2及び3の評価方式は、現段階において標準的な評価方法とすることは難しいと考えられる。
 一方、1原価方式は「使用収益制限による減価」及び「心理的要因による減価」をどのようにみるかという問題はあるものの、「汚染がないものとした場合の評価額」及び「浄化・改善費用に相当する金額」が把握できることからすると、土壌汚染地の基本的な評価方法とすることが可能な方法であると考えられる。
 なお、相続税等の財産評価において、土壌汚染地として評価する土地は、「課税時期において、評価対象地の土壌汚染の状況が判明している土地」であり、土壌汚染の可能性があるなどの潜在的な段階では土壌汚染地として評価することはできない。
(4) 原価方式による土壌汚染地の評価方式は、次のとおりである。
原価方式による土壌汚染地の評価方式

(注)1 「浄化・改善費用」とは、土壌汚染の除去、遮水工封じ込め等の措置を実施するための費用をいい、汚染がないものとした場合の評価額が地価公示価格レベルの80%相当額(相続税評価額)となることから、控除すべき浄化・改善費用についても見積額の80%相当額を浄化・改善費用とするのが相当である。
2 「使用収益制限による減価」とは、上記1の措置のうち土壌汚染の除去以外の措置を実施した場合に、その措置の機能を維持するための利用制限に伴い生ずる減価をいう。
3 「心理的要因による減価」とは、土壌汚染の存在(あるいは過去に存在した)に起因する心理的な嫌悪感から生ずる減価要因をいう。
4 汚染の浄化の措置等については、評価時期において最も合理的と認められる措置によることとする。なお、各控除額の合計額が汚染がないものとした場合の評価額を超えるときには、その価額(汚染がないものとした場合の評価額)を限度とするのが相当である。


 別紙2 省略

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