(平成25年8月29日)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、審査請求人D及び同F(以下、それぞれ「請求人D」、「請求人F」といい、両名を併せて「請求人ら」という。)が、請求人らの亡父の遺言によりその全財産を取得した請求人らの兄に対して民法第1031条《遺贈又は贈与の減殺請求》に規定する遺留分の減殺請求を行い、同人から同法第1041条《遺留分権利者に対する価額による弁償》第1項の規定に基づき同法第1028条《遺留分の帰属及びその割合》に規定する各遺留分(各6分の1)相当額の価額弁償をそれぞれ受けたことから、請求人らの亡父の相続に係る相続税のうち、請求人らの納付すべき税額は当該相続税の総額の各6分の1であるべきだとして、その旨記載した相続税の申告書により当該相続税をそれぞれ期限後申告したのに対し、原処分庁が、当該相続税の税額配分の計算誤りを理由とする各更正処分を行ったことから、請求人らが、当該各更正処分の全部の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯等

 請求人らの審査請求(平成24年10月30日請求)に至る経緯は、次表のとおりである。
 なお、請求人らは、平成24年11月5日、請求人Dを総代として選任し、同月9日、その旨を届け出た。

年月日(付) 区分 請求人D 請求人F
課税価格 納付すべき税額 課税価格 納付すべき税額
平成23年12月30日 期限後申告 ○○○○円 ○○○○円 ○○○○円 ○○○○円
平成24年5月29日付 更正処分 ○○○○円 ○○○○円 ○○○○円 ○○○○円
平成24年7月25日 異議申立て 全部の取消し
平成24年10月3日付 異議決定 棄却

(3) 関係法令等の要旨

イ 相続税法(平成25年法律第5号による改正前のもの。以下同じ。)第1条の3《相続税の納税義務者》第1号は、相続又は遺贈により財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するものは、相続税を納める義務がある旨規定している。
ロ 相続税法第11条の2《相続税の課税価格》第1項は、相続又は遺贈により財産を取得した者が同法第1条の3第1号の規定に該当する者である場合においては、その者については、当該相続又は遺贈により取得した財産の価額の合計額をもって、相続税の課税価格とする旨規定している。
ハ 相続税法第22条《評価の原則》は、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による旨規定している。
ニ 租税特別措置法(平成17年法律第102号による改正前のもの。以下「措置法」という。)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項は、個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、当該相続の開始の直前において、当該相続若しくは遺贈に係る被相続人若しくは当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族の事業の用若しくは居住の用に供されていた宅地等で財務省令で定める建物若しくは構築物の敷地の用に供されているもの等で政令で定めるもの(以下「特例対象宅地等」という。)がある場合には、当該相続又は遺贈により財産を取得した者に係る全ての特例対象宅地等のうち、当該個人が取得をした特例対象宅地等又はその一部でこの項の規定の適用を受けるものとして政令で定めるところにより選択をしたもの(以下「選択特例対象宅地等」という。)については、同条第2項に規定する限度面積要件を満たす場合の当該選択特例対象宅地等(以下「小規模宅地等」という。)に限り、相続税法第11条の2に規定する相続税の課税価格に算入すべき価額は、当該小規模宅地等の価額に、措置法第69条の4第1項第1号に掲げる小規模宅地等については100分の20の割合を乗じて計算した金額とし、同号以外の小規模宅地等については100分の50の割合を乗じて計算した金額とする旨規定している(以下、この規定による特例を「小規模宅地等の特例」という。)。
ホ 相続税法基本通達(昭和34年1月28日付直資10国税庁長官通達。以下「相続税通達」という。)11の2−9《代償分割が行われた場合の課税価格の計算》は、代償分割の方法により相続財産の全部又は一部の分割が行われた場合における相続税法第11条の2第1項又は第2項の規定による相続税の課税価格の計算は、次に掲げる者の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによるものとする旨定めている。
(イ) 代償財産の交付を受けた者
 相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額との合計額
(ロ) 代償財産の交付をした者
 相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額から交付をした代償財産の価額を控除した金額
 なお、相続税通達11の2−9の注書は、代償分割とは、共同相続人又は包括受遺者のうち一人又は数人が相続又は包括遺贈により取得した財産の現物を取得し、その現物を取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して債務を負担する分割の方法をいうのであるから留意する旨定めている。
ヘ 相続税通達11の2−10《代償財産の価額》は、上記ホの(イ)及び(ロ)の代償財産の価額は、代償分割の対象となった財産を現物で取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して負担した債務(以下「代償債務」という。)の額の相続開始の時における金額によるものとする旨、ただし、次に掲げる場合に該当するときは、当該代償財産の価額はそれぞれ次に掲げるところによるものとする旨定めている。
(イ) 共同相続人及び包括受遺者の全員の協議に基づいて代償財産の額を次の(ロ)に掲げる算式に準じて又は合理的と認められる方法によって計算して申告があった場合
 当該申告があった金額(相続税通達11の2−10(1))
(ロ) 上記(イ)以外の場合で、代償債務の額が、代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、当該財産の代償分割の時における通常の取引価額を基として決定されているとき
 次の算式により計算した金額(相続税通達11の2−10(2))
 A × C ÷ B
 なお、算式中の符号は、次のとおりである。
 Aは、代償債務の額
 Bは、代償債務の額の決定の基となった代償分割の対象となった財産の代償分割の時における価額
 Cは、代償分割の対象となった財産の相続開始の時における価額(財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか国税庁長官通達。)の定めにより評価した価額をいい、以下「相続税評価額」という。)
ト 民法第1028条は、兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次に掲げる区分に応じてそれぞれ定める割合に相当する額を受ける旨規定している。
(イ) 直系尊属のみが相続人である場合
 被相続人の財産の3分の1
(ロ) 上記(イ)以外の場合
 被相続人の財産の2分の1
チ 民法第1031条は、遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈の減殺を請求することができる旨規定している。
リ 民法第1041条第1項は、受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる旨規定している。
ヌ 民事訴訟法第253条《判決書》第1項第4号は、判決書には、口頭弁論終結の日を記載しなければならない旨規定している。

(4) 基礎事実

 以下の事実は、請求人ら及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人らの父Gは、平成10年4月20日、H法務局所属公証人J作成の平成10年第○号遺言公正証書により、父Gの所有する財産の全てを請求人らの兄Kに相続させる旨の遺言(以下「本件遺言」という。)をした。
ロ 父Gは、平成16年2月○日(以下「本件相続開始日」という。)に死亡した(以下、父Gを被相続人とする相続を「本件相続」といい、本件相続に係る相続税を「本件相続税」という。)。
 父Gの法定相続人は、兄Kと請求人らの合計3名である。兄Kと請求人らは、いずれも法定相続分3分の1を有する父Gの相続人であり、父Gの財産について、それぞれ6分の1の遺留分を有していた。
ハ 父Gは、本件相続開始日に、別表1の順号1ないし22の各不動産(以下「本件各不動産」という。)を所有し、父G名義の現金及び預貯金(合計30,XXX,XXX円)を保有していた。
ニ 請求人らは、平成16年12月16日、兄Kに対して遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示をそれぞれした。
ホ 請求人らは、平成○年○月○日、請求人らを原告、兄Kを被告として、本件相続に係る遺留分の減殺を求める訴訟(平成○年(○)第○号遺留分減殺請求事件。以下「本件遺留分減殺請求事件」という。)をL地方裁判所へ提起した。
ヘ 請求人らは、平成21年2月25日付で、本件各不動産のうち別表1の順号1、3ないし6、8ないし11、13及び14の各土地並びに順号19及び20の各建物について、その価格時点を本件相続開始日である平成16年2月○日とする「不動産鑑定評価書」をL地方裁判所民事第○部に提出した。
 また、請求人らは、平成21年4月9日付で、本件各不動産のうち別表1の順号5及び14の各土地についての上記不動産鑑定評価書に関する補充鑑定意見(以下、上記不動産鑑定評価書に係る不動産鑑定評価と併せ「本件鑑定等」という。)を記載した「補充鑑定評価書」をL地方裁判所民事第○部に提出した。
ト 兄Kは、本件遺留分減殺請求事件に係る平成21年10月29日の第19回弁論準備手続期日において、請求人らに対し、裁判所が認定した価額により民法第1041条による価額の弁償をする旨の各意思表示をした。
チ 平成22年9月○日に本件遺留分減殺請求事件の判決言渡(以下、この判決を「本件原判決」という。)があり、請求人らの求めた兄Kに対する遺留分の減殺請求が認められた。
 本件原判決は、要旨次のとおりである。
(イ) 主文
A 兄Kは、請求人らに対しそれぞれ、57,XXX,XXX円を支払わないときは、請求人らに対しそれぞれ、本件各不動産のうち別表1の順号16及び17の各土地を除く各不動産(以下「本件分割対象不動産」という。)に係る各持分の426,XXX,XXX分の62,XXX,XXXの割合(以下「本件取得割合」という。)について、平成16年12月16日遺留分減殺を原因とする各所有権移転登記手続をせよ。
B 請求人らと兄Kの間で、別表1の順号16及び17の各土地について、請求人らがそれぞれ、159,XXX,XXX,XXX分の747,XXX,XXXの各持分を有することを確認する。
C 兄Kは、請求人らに対しそれぞれ、4,XXX,XXX円及びこれに対する平成22年3月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
D 請求人らと兄Kの間で、請求人らがそれぞれ、更新料債権につき本件取得割合の各持分を有することを確認する。
E 請求人らと兄Kの間で、M社の株式500株について、請求人らがそれぞれ、本件取得割合の各準共有持分を有することを確認する。
F 請求人らのその余の請求をいずれも棄却する。
(ロ) 当裁判所の判断
 本件原判決において認定された本件相続開始日における父Gの積極財産、生前贈与及び債務の金額の内訳は、別表2に記載したとおりであり、要旨次のとおりである。
A 父Gの遺産(積極財産)の金額の合計額
 426,XXX,XXX円(別表2の順号5の「裁判所認定額」欄の金額)
(A) 本件各不動産の価額
 本件原判決において認定された本件各不動産の各価額は、別表1の各順号の「裁判所認定額」欄のとおりであり、その合計額は、別表2の順号1の「裁判所認定額」欄のとおりの金額394,XXX,XXX円である。
 なお、本件各不動産のうち別表1の順号1ないし14の各土地並びに順号19及び20の各建物の各価額は、本件鑑定等の各価額又は本件鑑定等に基づき算定された各価額が採用され、別表1の順号15ないし18の各土地並びに順号21及び22の各建物の各価額は、兄Kの主張額が採用されている。
(B) 本件各不動産以外の遺産の価額
 本件各不動産以外の遺産については、まる1現金及び預貯金30,XXX,XXX円、まる2有価証券としてM社の株式500株(評価額零円)及びまる3更新料債権(未払更新料債権)1,XXX,XXX円が認定されている。
B 遺留分算定の基礎となる財産に含まれる生前贈与の金額
 11,XXX,XXX円(別表2の順号6の「裁判所認定額」欄の金額)
C 相続債務の金額
 63,XXX,XXX円(別表2の順号7の「裁判所認定額」欄の金額)
D 遺留分侵害額
(A) 請求人らの遺留分算定の基礎となる財産は、上記Aの積極財産の金額426,XXX,XXX円に上記Bの生前贈与の金額11,XXX,XXX円を加え、上記Cの相続債務の金額63,XXX,XXX円を控除した373,XXX,XXX円(別表2の順号8の「裁判所認定額」欄の金額)である。
 請求人らの遺留分の割合はそれぞれ6分の1であり、請求人らの遺留分の各金額は、遺留分算定の基礎となる財産の金額に遺留分の割合を乗じた62,XXX,XXX円(別表2の順号9の「裁判所認定額」欄の金額)である。請求人らの遺留分の減殺は、本件遺言によって兄Kの取得した積極財産を対象とすることになるので、請求人らはそれぞれ、上記Aの積極財産につき本件取得割合でそれぞれ権利を有することになる。
(B) そうすると、請求人らは、本件各不動産に対する父Gの持分割合についても、本件取得割合を乗じた割合でそれぞれ権利を有することとなる。したがって、請求人らの本件各不動産に係る各請求は、本件分割対象不動産については、本件取得割合において、請求人らそれぞれへの所有権移転登記手続をするよう命じ、別表1の順号16及び17の各土地については、請求人らがそれぞれ159,XXX,XXX,XXX分の747,XXX,XXX(本件取得割合×12/375)の持分を有することの確認を求める範囲で理由がある。
(C) 請求人らは、M社の株式500株につき本件取得割合による準共有持分をそれぞれ有するので、請求人らの請求はそれぞれ本件取得割合の準共有持分の確認を求める範囲で理由がある。
(D) また、請求人らは、更新料債権1,XXX,XXX円についても、本件取得割合の権利をそれぞれ有するので、請求人らの請求はそれぞれ本件取得割合の持分について権利を有する確認を求める範囲で理由がある。
E 兄Kは、本件各不動産につき、民法第1041条に基づく価額弁償を求めているところ、請求人らは、それぞれ別表1の順号16及び17の各土地については持分確認請求をしているので、本件分割対象不動産につき、兄Kに対し、同人が請求人らそれぞれに価額弁償としての金員の支払をしないときは、各持分移転登記をするよう命ずることとする。本件分割対象不動産の価額の合計は394,XXX,XXX円(別表1の順号16及び17の各土地は零円との認定であるから、別表2の順号1の本件各不動産の「裁判所認定額」欄の金額と同額)であるから、これに本件取得割合を乗じると57,XXX,XXX円となる。
F 現金及び預貯金については、兄Kは遺産である父G名義の預貯金を全て引き出しているから、請求人らはそれぞれ、30,XXX,XXX円に本件取得割合を乗じた4,XXX,XXX円の不当利得返還請求権(以下「本件不当利得返還請求権」という。)を有する。
リ 本件原判決の内容を不服とした請求人らは、L高等裁判所に控訴(L高等裁判所平成○年(○)第○号遺留分減殺請求控訴事件。)したが、当該控訴審は、平成23年5月10日に口頭弁論を終結し、同年6月○日の判決言渡において請求人らの控訴は棄却され、同年7月○日に判決が確定した(以下、この判決を「本件確定判決」という。)。
 本件確定判決で変更された本件原判決は、要旨次のとおりである。
(イ) 主文
 本件原判決主文中、「各所有権移転登記手続をせよ」とあるのを、いずれも「各所有権一部移転登記手続又は各持分一部移転登記手続をせよ」と更正する。
(ロ) 当裁判所の判断
 本件原判決は、本件分割対象不動産にのみ価額弁償の抗弁を認めたが、兄Kが価額弁償を求める範囲について特に限定せず、全ての積極財産について価額弁償を求めていることに照らすと、本件不当利得返還請求権に基づく支払請求をしている現金及び預貯金を除き、別表1の順号16及び17の各土地並びに更新料債権についても価額弁償の対象となりうるところである。しかしながら、これに対して、兄Kから控訴及び附帯控訴はされなかった。したがって、この点については、不利益変更禁止の原則(民事訴訟法第304条《第一審判決の取消し及び変更の範囲》)が適用されることから、本件原判決の認めた範囲で価額弁償について判断する。
 そして、本件分割対象不動産の価額の合計は394,XXX,XXX円である(この価額は、本件鑑定等による価額であり、現時点で、同価額と異なる証拠はないことから、同証拠により価額を認定する。)から、これらに請求人らそれぞれの持分割合(本件取得割合)を乗じると、57,XXX,XXX円となる。
 そうすると、本件分割対象不動産については、兄Kに対し、価額弁償としての各57,XXX,XXX円(以下「本件価額弁償金」という。)の支払をしないときは、各所有権一部移転登記手続又は各持分一部移転登記手続をするよう命ずることとなる。
ヌ 兄Kは、平成23年7月11日、被供託者を請求人らとして本件価額弁償金をそれぞれ供託し、同年8月4日、本件不当利得返還請求権(4,XXX,XXX円)及びこれに対する年5分の割合の利息相当額の合計額4,XXX,XXX円を、請求人らの代理人名義のN銀行d支店の普通預金口座にそれぞれ振り込んだ。
ル 請求人らは、平成23年12月30日、相続税法第30条《期限後申告の特則》第1項に基づき、本件相続税の期限後申告書を原処分庁へ提出した。請求人らは、上記期限後申告書の「課税価格」の「各人の合計」欄に○○○○円、「相続税の総額」欄に○○○○円と記載し、請求人らの「申告納税額」欄に本件相続税の総額の6分の1に相当する○○○○円の金額を記載している。
ヲ 原処分庁は、本件相続税に係る納付すべき税額の計算に誤りがあるとして、請求人らに対して、平成24年5月29日付で、それぞれ上記(2)の表の「更正処分」欄のとおりの更正処分(以下「本件各更正処分」という。)を行った。

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2 争点

 本件相続税の税額の計算上、請求人らの課税価格に算入する本件価額弁償金の額は、本件価額弁償金そのままの額によるべきか、それとも、本件価額弁償金の額の算定の基礎とされた本件各不動産の価額に対する本件各不動産の相続税評価額の割合による圧縮計算をした額によるべきか。

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3 主張

原処分庁 請求人ら
 本件相続税の税額の計算上、請求人らの課税価格に算入する本件価額弁償金の額は、以下のとおり、請求人らが取得した本件価額弁償金そのままの額によるべきである。
(1) 代償分割が行われた場合に、代償財産の交付を受けた者に係る相続税の課税価格は、相続により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額を合計するのが原則である。
(2) 相続税通達11の2−10(2)は、相続開始日と代償分割の時が異なる場合の価格差を前提としており、代償債務の額が遺産分割時の相続財産の価額を基として定められている場合には、代償債務の額が現物の相続財産と評価の時点を同じくするものとはいえないことから、まる1代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、まる2当該財産の代償分割の時における通常の取引価額を基として代償債務の額が決定されているときには、一定の圧縮計算を行う旨定めている。
 しかしながら、本件の場合、本件確定判決において、まる1価額弁償の対象となった本件分割対象不動産は特定されているが、まる2本件価額弁償金(代償債務)の額が、価額弁償の時(代償分割の時)ではなく、本件相続開始日における本件分割対象不動産の通常の取引価額を基に決定されていることから、上記通達の定めが適用される場合に当たらず、上記通達の定めによる圧縮計算をすることはできない。
 価額弁償金の額を圧縮計算して相続税の課税価格に算入した裁決事例や裁判事例はあるが、いずれも、本件とは前提を異にするものである。
 なお、本件確定判決には、本件価額弁償金の額の算定の基となった本件分割対象不動産の価額が、本件確定判決の口頭弁論終結の時の価額であると認定している旨の記載はなく、この点に関する請求人らの主張には理由がない。
 本件相続税の税額の計算上、請求人らの課税価格に算入する本件価額弁償金の額は、以下のとおり、本件価額弁償金の額の算定の基礎とされた本件分割対象不動産の価額に対する本件分割対象不動産の相続税評価額の割合による圧縮計算をした額によるべきである。
(1) 請求人らが取得した本件価額弁償金そのままの額を課税価格に算入して本件相続税の税額の計算をすると、請求人らの取得した本件価額弁償金の額が、それぞれ本件相続に係る遺産の6分の1相当額であるにもかかわらず、請求人らの相続税の負担割合は、それぞれ本件相続税の総額の約40%となり、共同相続人間の相続税の税額に著しい不平等が発生し、実質的な租税負担の公平を著しく害するものであるから、下記(2)の方法による圧縮計算をする必要がある。
(2) 代償分割に係る相続税通達11の2−10(2)は、まる1代償分割の対象となった財産が特定されていること、まる2当該財産の代償分割の時における通常の取引価額を基に代償債務の額が決定されているときには、一定の圧縮計算を行う旨定めている。
 そして、本件の場合、本件確定判決において、まる1価額弁償の対象となった本件分割対象不動産は特定されており、かつ、まる2本件確定判決の口頭弁論終結の時(代償分割の時)における本件分割対象不動産の価額を基に本件価額弁償金(代償債務)の額が決定されていることから、上記通達の定めが適用される場合に当たり、上記通達の定めにより、本件価額弁償金の額の決定の基となった本件分割対象不動産の価額に対する本件分割対象不動産の相続税評価額の割合による圧縮計算をすることができる。
 なお、価額弁償すべき額を定める場合は、事実審の口頭弁論終結の時を算定の基準時とするとされており(最高裁平成9年2月25日第三小法廷判決・民集51巻2号448頁参照)、本件確定判決においても、本件相続開始日における価額を本件確定判決の口頭弁論終結の時の価額であると認定しているものである。
 また、請求人らは、そもそも不動産の共有持分の移転を求めていたもので、価額弁償がされなければ、不動産の共有持分を取得して小規模宅地等の特例の適用を受けられたのであるから、上記通達の定めの適用に当たっては、相続税評価額に代えて小規模宅地等の特例の適用後の本件分割対象不動産の価額によって圧縮計算をするべきである。

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4 判断

(1) 認定事実

イ 兄Kは、平成16年12月27日、本件相続税の申告書を原処分庁に提出した。
 なお、兄Kは、本件遺留分減殺請求事件において、上記相続税の申告書控え及び本件分割対象不動産の評価の明細を証拠として提出している。
ロ 兄K及び請求人らを当事者とする同人らの亡母P(平成9年2月○日相続開始)の遺産分割に係る調停が平成18年11月○日に成立したことを受け、兄Kは、原処分庁に対して、本件相続税の減額を求めて更正の請求を行い、原処分庁は、平成19年2月27日付で、本件相続税に係る課税価格の合計額を○○○○円、相続税の総額を○○○○円とする減額更正を行った。
 なお、上記減額更正後の本件相続税の対象財産等の価額及び相続税の総額は、別表3の各「価額」欄に記載したとおりであり、本件各不動産のそれぞれの相続税評価額は、別表3の順号1及び2の各「相続税評価額」欄に記載したとおりである。
ハ 兄Kは、本件確定判決が確定し、請求人らに対して、それぞれ本件価額弁償金及び本件不当利得返還請求権に基づく金員の支払を命じられたことにより、当該金員の合計額そのものが兄Kの取得した相続財産の価額から減額され、兄Kの納付すべき税額が減少するとして、本件相続税の更正の請求を行い、原処分庁は、平成23年10月7日付で、兄Kに対する減額更正処分を行った。
ニ 請求人らの関与税理士は、平成23年10月25日に原処分庁を訪れ、原処分庁所属の本件相続税に係る担当職員から、請求人らが本件相続税の期限後申告を行う際に必要な数値(本件相続税に係る総遺産価額、債務控除額、贈与加算額及び相続税の総額)について、説明を受けた。
ホ 請求人らの関与税理士は、原処分庁所属の担当職員から説明を受けた上記ニの数値を基に本件相続税の期限後申告書を作成し、請求人らは、上記1の(4)のルのとおり平成23年12月30日に本件相続税の期限後申告をした。

(2) 法令解釈

イ 遺留分の減殺請求に関する規定について
 遺言により法定相続分と異なる割合で相続分の指定がされ(民法第902条《遺言による相続分の指定》第1項本文)、かつ、当該相続分の指定が遺留分を侵害するものであった場合においても、同項ただし書が遺留分に関する規定に違反する相続分の指定を禁じていることに照らすと、遺留分減殺請求権者の遺留分減殺請求権の行使は妨げられないものと解され、当該遺言について、遺留分減殺請求に関する規定である同法第1031条が適用されることとなると解するのが相当である。
ロ 遺留分減殺請求における価額弁償と代償分割の関係について
 家事事件手続法第195条《債務を負担させる方法による遺産の分割》は、家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる旨規定し、遺産分割の方法として、いわゆる代償分割による方法を認めている(平成24年7月17日最高裁判所規則第9号により廃止される前の家事審判規則第109条にも、同様の規定が置かれていた。)。
 一方、民法第1041条に規定する遺留分権利者への価額弁償金は、遺産の現物の取得者からその現物に代わるものとして遺留分権利者が受けるものであり、経済的実質から見た場合に遺産分割におけるいわゆる代償分割と同じ性質を有するものであるから、相続税の計算上は、家事事件手続法第195条の規定による遺産分割が行われた場合と同様に扱うのが相当である。
ハ 民法第1041条に規定する遺留分権利者に価額弁償金の支払があった場合の相続税通達11の2−10の準用について
(イ) 相続税通達11の2−10は、代償財産の価額は、原則として、代償分割の対象となった財産を現物で取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して負担した代償債務の額の相続開始の時における金額によるものとする旨定めた上で、相続税通達11の2−10(1)において、共同相続人及び包括受遺者の全員の協議に基づき合理的と認められる方法によって計算して申告があった場合には、当該申告があった金額を代償財産の価額として認め、共同相続人等の合意がない場合でも、相続税通達11の2−10(2)において、代償債務の額が、まる1代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、まる2当該財産の代償分割の時における通常の取引価額を基に決定されているという二つの要件を充足しているときは、代償債務の金額の調整計算を行い、当該金額を相続開始の時の価額(相続税評価額)の水準に引き直す旨定めている。
 上記通達の定めは、原則として、代償財産の価額は、代償債務の額の相続開始の時における金額によることになるのであるが、まる1代償債務の額は、代償財産の交付を受ける者が代償分割の対象となった財産を手放す代わりに、それを補填するために交付を受けるもので、本来ならば取得できたであろう相続財産(代償分割対象財産)の代わりとして決められるものであること、まる2代償財産の交付を受ける者については、その代償財産は直接被相続人から承継取得したものではないが相続により取得した財産として相続税の課税対象となるものであることからすれば、一定の場合には、代償債務の額の評価を本来ならば取得できたであろう相続財産(代償分割対象財産)の価額に基づいて行うことにも正当な理由があると認められることから、当審判所においても合理的なものと認められる。
(ロ) そして、上記ロのとおり、民法第1041条に規定する遺留分権利者に価額弁償金の支払があった場合の相続税の計算は、代償分割が行われた場合と同様に扱うのが相当であることからすると、遺留分権利者が取得した価額弁償金の相続開始の時における金額は、まる1価額弁償の対象となった財産が明らかにされ、かつ、まる2当該財産の価額弁償の時における通常の取引価額を基に価額弁償金の金額が決定されているときには、相続税通達11の2−10(2)で定める計算方法に準じて計算した価額によるのが相当である。
(ハ) ところで、遺留分減殺請求訴訟において、受贈者又は受遺者が遺留分権利者に対し事実審口頭弁論終結前に裁判所が定めた価額により民法第1041条の規定による遺留分の価額の弁償をなすべき旨の意思表示をした場合、判決の言渡し後に価額弁償が行われるのが通常であるから、価額弁償金の金額は、価額弁償が行われるまさしくその時点における価額弁償対象財産に係る通常の取引価額によって決められているものではない。そこで、判決によって価額弁償金の金額が決定された場合における上記(ロ)のまる2にいう「価額弁償の時」とはどの時点を指すと解するべきかについて検討する。
 そもそも、遺留分減殺請求が行われた場合の侵害された遺留分の回復方法としては、遺留分を侵害する限度において、遺留分減殺請求の対象となった目的物を返還すべきというものであるが、民法第1041条の規定が、目的物の価額を弁償することによって目的物返還義務を免れうるとして、目的物を返還するか、価額を弁償するかを受贈者又は受遺者の決するところに委ねたのは、価額の弁償を認めても遺留分権利者の生活保障上支障をきたすことにはならず、一方これを認めることによって、被相続人の意思を尊重しつつ、既に目的物の上に利害関係を生じた受贈者又は受遺者と遺留分権利者との利益の調和をも図ることができるとの理由に基づくものと解されるが、それ以上に、受贈者又は受遺者に経済的な利益を与えることを目的とするものと解すべき理由はないから、遺留分権利者の地位を考慮するときは、価額弁償は目的物の返還に代わるものとして、これと等価であるべきことが当然に前提とされているものと解される。
 このようなところからすると、遺留分権利者が受けた価額弁償における価額算定の基準日は、現実に弁償がされる時であり、遺留分権利者において当該価額弁償を請求する訴訟にあっては現実に弁償がされる時に最も接着した時点としての事実審口頭弁論終結の時であると解するのが相当である(最高裁昭和51年8月30日第二小法廷判決・民集30巻第7号768頁、最高裁平成9年2月25日第三小法廷判決・民集51巻第2号448頁参照)。
 さらに、受贈者又は受遺者が、当該訴訟手続において、事実審口頭弁論終結前に、裁判所が定めた価額により民法第1041条の規定による価額の弁償をなすべき旨の意思表示をした場合には、裁判所は、当該訴訟の事実審口頭弁論終結の時を算定の基準時として弁償すべき額を定めた上、受贈者又は受遺者が当該価額を支払わなかったことを条件として、遺留分権利者の目的物返還請求を認容すべきものと解するのが相当である(最高裁平成9年2月25日第三小法廷判決・民集51巻第2号448頁参照)。
 そして、民事訴訟法第253条第1項第4号が判決書に口頭弁論終結の日を記載しなければならない旨規定しているのは、時間の経過により変動又は消滅の可能性のある私人間の権利関係について、判決によって確定する場合の基準時を明らかにする必要があるところ、民事訴訟における弁論主義の原則によって、当事者が事実の主張と証拠の提出ができるのは、事実審の最終口頭弁論終結の時であるから、裁判所の判断資料もこの時点によって画され、裁判所による権利関係の存否の判断もこの時点を基準とすることになるからである。
 これらのことからすると、裁判所が判決の主文において、受贈者又は受遺者が価額弁償の額を支払わなかったことを条件として、遺留分権利者の目的物返還請求を認容する旨判示している場合には、「事実審口頭弁論終結の時」を価額弁償における価額の算定の基準日として判断していると認められる。
 したがって、遺留分減殺請求訴訟において、受贈者又は受遺者が遺留分権利者に対し事実審口頭弁論終結前に裁判所が定めた価額により民法第1041条の規定による遺留分の価額の弁償をなすべき旨の意思表示をした場合、相続税通達11の2−10(2)の算式で定めるBの「代償債務の額の決定の基となった代償分割の対象となった財産の代償分割の時における価額」を準用する際に用いる上記(ロ)のまる2の基準時たる「価額弁償の時」とは、「事実審口頭弁論終結の時」と解するのが相当である。

(3) 当てはめ

 本件は、請求人らが兄Kに対して求めた遺留分減殺請求について、兄Kが請求人らに対して相続財産である本件分割対象不動産の所有権移転登記を行う代わりとして価額弁償したものであるところ、上記(2)のハで述べたとおり、遺留分の減殺請求に対する価額弁償に係る相続税の計算についても、代償分割に準じて、相続税通達11の2−10(1)又は(2)の定めを準用するのが相当である。
 本件では、上記1の(4)のル、上記(1)のハ及びホのとおり、本件相続税のあん分割合の計算について、兄Kと請求人らは別々の方法を選択して申告しており、相続税通達11の2−10(1)を準用する前提を欠くことから、以下、本件における価額弁償が、相続税通達11の2−10(2)を準用する際の上記(2)のハの(ロ)の二つの要件を充足したものであるか否かについて、判断する。
イ 上記(2)のハの(ロ)のまる1の要件(価額弁償の対象となった財産が特定されているか否か)について
 請求人らが兄Kから受け取った価額弁償金は、兄Kが当該価額弁償金を支払わなかった場合に各所有権又は各持分の一部移転登記手続をするよう命じられた本件分割対象不動産に係る請求人らの各権利に代わるものであるから、請求人らがそれぞれ受けた価額弁償の対象となった財産は特定されており、本件価額弁償金については、相続税通達11の2−10(2)を準用するための上記(2)のハの(ロ)のまる1の要件を満たしている。
ロ 上記(2)のハの(ロ)のまる2の要件(価額弁償の対象となった財産の価額弁償の時における通常の取引価額を基に価額弁償金の金額が決定されているか否か)について
 上記(2)のハの(ハ)に加え、本件確定判決において、本件分割対象不動産の価額につき、「この価額は、本件鑑定等による価額であり、現時点で、同価額と異なる証拠はないことから、同証拠により価額を認定する」旨判示(上記1の(4)のリの(ロ))されていることからすると、本件確定判決において認定された「現時点」の価額は、裁判所による権利関係の存否の判断の基準時であって、本件遺留分減殺請求事件の控訴審の口頭弁論終結の時である平成23年5月10日(上記1の(4)のリ)を基準日とする価額として採用されたものと認めるのが相当である。また、本件鑑定等は、通常の取引価額を認定するために採用されたものと認めるのが相当である。
 そうすると、本件確定判決は、価額弁償の対象となった財産の価額弁償の時における通常の取引価額を基に価額弁償金の金額を決定しているということができる。
 したがって、本件価額弁償金については、相続税通達11の2−10(2)を準用するための上記(2)のハの(ロ)のまる2の要件も満たしている。
ハ まとめ
 以上のとおり、本件価額弁償金は、上記(2)のハの(ロ)のとおりの相続税通達11の2−10(2)を準用するための二つの要件のいずれも満たしている。
 よって、請求人らの本件相続税の課税価格に算入される金額は、本件価額弁償金について、相続税通達11の2−10(2)に定める算式を準用して求めた金額となる。
 そうすると、請求人らの本件相続税の課税価格に算入されるべき本件価額弁償金の金額は、それぞれ本件価額弁償金57,XXX,XXX円に本件分割対象不動産の相続税評価額の合計266,XXX,XXX円(別表3の順号3の「相続税評価額」欄の金額)を乗じ、当該不動産の裁判所認定額の合計394,XXX,XXX円(別表2の順号1の「裁判所認定額」欄の金額)で除して求めた39,XXX,XXX円となる。

(4) 請求人らの主張(小規模宅地等の特例)について

 請求人らは、請求人らの受け取った本件価額弁償金は、兄Kが本件分割対象不動産の各所有権又は各持分の一部移転登記を行う代わりに請求人らにそれぞれ支払ったものであり、兄Kが価額弁償しなければ、請求人らは本件分割対象不動産の持分を取得し、小規模宅地等の特例を適用することがそれぞれできたのであるから、相続税通達11の2−10(2)の定めの適用に当たっては、相続税評価額そのものではなく、小規模宅地等の特例を適用した後の金額とすべきである旨主張する。
 しかしながら、小規模宅地等の特例は、被相続人の事業の用又は居住の用に供されていた宅地のうち、小規模宅地等については、それが相続人等の生活の基盤のために不可欠のものであって、その処分について相当の制約を受けるのが通常であること等に鑑み、相続税の課税上特別の配慮を加えることとし、小規模宅地等の特例として法定することとしたものである。かかる小規模宅地等の特例の規定からすれば、この特例の適用対象者は、相続又は遺贈により小規模宅地等を取得した個人であることは明らかであり、請求人らのように、代償財産である価額弁償金を現金で取得した者は、文理解釈上、適用対象者に含まれると解する余地はない。さらに、現金を取得した者については、処分の制約等も考慮する必要がないから、このような者に小規模宅地等の特例を適用する理由もないというべきである。
 したがって、請求人らの主張を採用することはできない。

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5 本件各更正処分について

 上記4の(3)のハのとおり、請求人らの本件相続税の課税価格に算入されるべき本件価額弁償金の金額は、それぞれ39,XXX,XXX円であり、これに本件不当利得返還請求権に基づき兄Kから請求人らがそれぞれ支払を受けた4,XXX,XXX円を加えた各○○○○円(国税通則法第118条《国税の課税標準の端数計算等》第1項の規定により1,000円未満の端数を切り捨てた後の金額)が、それぞれ請求人らの課税価格となるので(なお、別表3の注4のとおり、更新料債権等は本件相続税の対象となる財産に含まれていないから、課税価格においても考慮しない。)、これを基に請求人らの納付すべき税額を計算すると、それぞれ○○○○円(同法第119条《国税の確定金額の端数計算等》第1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後の金額)となる。
 したがって、請求人らの本審査請求は、いずれも請求人らの上記納付すべき税額○○○○円を超える部分の取消しを求める範囲で理由があるので、本件各更正処分は、いずれもその一部を別紙2及び別紙3の「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。

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6 その他

 原処分のその他の部分については、当審判所に提出された証拠資料等によってもこれを不相当とする理由は認められない。

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