「にふぇーでーびる」

小林 優介

 本コラム執筆時点で私が任期付審判官として勤務を始めてから約1年が経ちました。以下では私が任期付審判官として過ごしたこの1年を振り返って印象に残っている点を3点お伝えしたいと思います。

 1点目は新たな公表裁決を作ることに関与できたことです。私は前職が弁護士だったのですが、訴訟を担当していても担当事件の判決が法律雑誌や判例データベースに掲載されたりしたことはほとんどなかったため、弁護士として関与した事件の判断が公になるという経験はなかなかできませんでした。しかし、国税審判官となり、この1年で複数の公表裁決に関わることができました。今後の租税争訟や課税実務の1つの指針となる判断に関与できたことは貴重な経験でした。
 2点目は仕事の環境が変わったことです。他の任期付審判官の方々のコラムでも指摘されているようにワークライフバランスが弁護士時代と比較して著しく好転したことも一つの変化ですが、それ以外にも福利厚生の手厚さ、情報管理の厳しさなど様々なことが任期付審判官になって変わりました。また、各種研修(審判関係以外でも情報管理やハラスメント防止等についての研修があります。)が非常に充実していることや、飲酒運転等の不祥事防止についての取組が徹底されていることも印象的でした。
 3点目は生活環境が変化したことです。私は、とある亜熱帯気候の街に所在する支部に配属になりました。それまでの北国での生活から180度違う環境に身を置くこととなったため、配属地が決まった当初はどうなることかと不安ばかりでしたが、今はここを配属地にしていただいたことに心から感謝しています。現在の配属地は周辺に観光スポットが多く、職場の方から地元の人のみぞ知るお勧め観光スポットを教えていただけたりもするため、休日は観光で思う存分リフレッシュできます。また、私は、現在の配属地に来る前は運動不足でハーフマラソンすら走ったことがなかったのですが、配属地は気候が良いことから、健康のために外でランニングをするようになり、1年間でフルマラソンを2度完走しました。正に心身ともに充実している状態です。任期付審判官にならなければ今の配属地に住むということは一生なかったはずなので、期間限定ではありますが、今の環境で生活ができていることはとてもありがたいです。

 仕事の面でも生活の面でもこれまでできなかった経験ができるのが任期付審判官です。ご興味のある方は是非応募をご検討ください。

○ 本コラムは、すべてテーマに関する執筆者個人の感想や視点に基づいて書かれたものであることをお断りしておきます。
 なお、本コラムは令和元年8月に執筆されたものです。

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