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国税審判官(特定任期付職員)からのメッセージ

写真(執務風景)

氏名
井上 守(公認会計士/税理士)
経歴
平成23年9月
公認会計士登録
平成30年5月
税理士登録
令和4年7月
関東信越国税不服審判所国税審判官として採用

Q1 国税審判官(特定任期付職員)の募集に応募したきっかけを教えてください。

A 私は、公認会計士として監査法人で様々な業種の財務諸表監査業務や監査周辺業務に従事し、税理士法人で法人に対する税務顧問業務や事業承継等のコンサルティング業務に従事していました。クライアントから税務相談を受け、公表裁決を参考資料として読んだ際に、裁決書の判断や検討過程について興味を持ちました。その後、国税審判官の募集を確認したところ、国税審判官の仕事は、法曹出身の専門家や国税職員といった様々なバックグラウンドを持つ方々と一緒に仕事をすることができ、専門家として視野を広める機会になると考え、応募しました。

Q2 国税審判官として審判所でどのような業務を担当していますか。

A 現在の主な業務は、合議体を構成する担当審判官又は参加審判官として審査請求事件の調査審理を行い、裁決書の基となる議決書を作成し、議決をすることとなります。調査審理では、審査請求人や原処分庁から提出される書面や証拠を確認し、面談を行うことで、当事者双方の主張や事実関係を確認し、合議体として検討すべき事項の整理を行っています。また、調査審理の過程で必要があれば出張して関係者との面談や現地確認等を行うこともあります。担当審判官として事件に関与する際には、議決までのスケジュールを立案・管理し、合議体としての調査審理を主導する役割があります。
 上記以外では、外部研修講師や内部研修講師を担当することや、自身が合議体の構成員となっていない他の事件で、会計・税務の専門家としての意見を求められることもあります。

Q3 公認会計士や税理士としての知識や経験が、国税審判官の業務にどのように活かされていると感じていますか。

A これまで専門家として培ってきた知識や経験が、国税審判官の業務に活かされていることは多いと感じています。例えば、公認会計士として経験した監査業務では、計画を立案し、手続を実行して入手した証拠を評価するという心証形成プロセスを経験しましたが、現在の業務でも、議決するまでのスケジュールの立案・管理や証拠から事実認定を行う際に活かされています。また、事件によっては、審査請求人や原処分庁といった当事者や合議体の他にオブザーバーや審判所の本部など様々な方々を巻き込んで事件処理を行う場合がありますが、監査業務で主査を担当した経験が活かされています。さらに、公認会計士や税理士としてこれまで様々な規模・業種の会社を見てきた経験やクライアントの経営層や管理職層、担当者層といった様々な層にインタビューした経験は、主張整理や証拠の整合性を検討し評価する際に活かされています。

Q4 審判所の職場環境について感じていることを教えてください。

A ワークライフバランスは、非常に充実しており、休日出勤もなく、ある程度自分の裁量で仕事を進めることができるため、私自身は残業もほとんどなく、仕事以外に趣味や家族との時間、自己研さんの時間に充てることで、時間を有効に活用できています。また、私が所属している支部では、国税職員の他、弁護士出身や税理士出身の任期付審判官や裁判官、裁判所書記官などで構成されていますが、合議ではお互いを尊重した上で議論しており、フラットで風通しのよい職場環境だと感じています。

Q5 国税審判官となって、良かったと思うことを教えてください。

A 実務経験が豊富な国税職員の他、弁護士出身や税理士出身の任期付審判官や裁判官、裁判所書記官など様々なバックグラウンドを持つ方々と一緒に仕事をするのは、自分自身も専門家として刺激を受けます。特に合議では、様々な角度から議論を行うことになり、最初の段階では意見が一致しないこともありますが、乗り降り自由な議論を積み重ねた結果、合議体としての結論が収れんされていく過程はとても刺激的であり、やりがいや面白みを感じます。
 また、事件に向き合う際には、法人税法や所得税法といった実体法だけでなく、手続法である国税通則法にも触れることで税法に対する理解が深まり、事実認定や判断の難しさを体感できることも、国税審判官ならではの貴重で得難い経験だと思います。
 さらに、採用以前はワークライフバランスとは縁遠い生活を送っていましたが、国税審判官になってワークライフバランスを意識することで、今後の専門家としてのキャリアをじっくり考えるきっかけとなったほか、仕事だけでなく、趣味や家族との時間を持つことができました。

Q6 国税審判官(特定任期付職員)に応募する方へのメッセージをお願いします。

A 公認会計士の方々で、特に税務に関する業務経験があまりない場合には、国税審判官の業務についてハードルが高いと感じる方も多いのではないかと思います。しかし、国税審判官の業務は、公認会計士が監査業務で経験する監査チームと同様に、一人ではなく合議体やオブザーバーの方々とお互いの強みを活かしながら進めていきますので、公認会計士が経験する監査業務とも進め方など共通することも多いのではないかと思います。また、税法に対する理解や議決書を作成する際の文章作成能力などは、採用後に自己研さんを継続する必要はあると思いますが、様々な角度から分析、整理し、一定の結論を導き出すということは、公認会計士の得意分野でもあると思いますので、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。

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