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国税審判官(特定任期付職員)からのメッセージ
- 氏名
- 上條 佳生留(税理士)
- 経歴
- 平成21年6月
税理士登録 - 令和4年7月
名古屋国税不服審判所国税審判官として採用
Q1 国税審判官(特定任期付職員)の募集に応募したきっかけを教えてください。
A 医療機関の顧客を中心に、税理士業務はもとより、事業承継・財産承継にかかわるコンサルティング業務に携わっておりました。良識あるクライアントとの様々な事業テーマに基づくコミュニケーションを通して、適正な納税の在り方について問題意識を強くし、その利害調整に努めてきました。そうした中で国税審判官の募集を知ることになりました。税務署長等が行った処分の適否を、中立的な立場で事実関係から検討を加えてゆく仕事であることに興味を持ち、これまでのキャリアを一層体系的なものにしうる大きな機会だと捉え応募しました。
Q2 国税審判官として審判所でどのような業務を担当していますか。
A 国税審判官の業務は、審査請求された事件の裁決の基となる議決書を作成することが目標です。そのために「合議体」を構成しチームとして取り組みます。国税審判官はその合議体の責任者として運営も行っています。これまで経験した税目は、法人税、消費税、所得税、相続税、国税徴収法など多岐にわたります。合議体は必要に応じて現場調査を行うために出張をしたり、全国規模の事案となれば横断的に各支部の情報を収集した上で、東京で一堂に会して意見交換会を開催するなどして事務処理を進めることもあります。
その他、要請に従い国税不服審判所内及び税理士会での研修講師を務めたりします。
Q3 税理士としての知識や経験が、国税審判官の業務にどのように活かされていると感じていますか。
A 国税審判官業務の重要項目の要に、「事実認定」があります。法律の適用可否に関わるステップであり、納税者利益の確保、適法な税務行政運営双方の権利を守るための出発点に位置し、審理の中心になるからです。一方で、これまでの税理士実務を振り返ってみると、利害調整場面等において事実関係を正確に把握できない限り、当事者が納得しうる公正な判断に至ることは困難だと感じており、事実の把握においては特に注力してきました。そうした意味においては、国税審判官の仕事も本質は同じだと考えており、税理士としての知識や経験は、バックボーンとして活かされています。
Q4 審判所の職場環境について感じていることを教えてください。
A 職場環境について印象的なのは、国税不服審判所のベースとなる国税職員の方々の実務能力と規範意識の高さです。また、周りへの気配りも細やかで人間味ある方が多く、国税職員と特定任期付職員との壁を感じることもなく過ごせています。特定任期付職員には、定期的な面談や意見交換会などで自身の考えや困っていることなどを発言できる機会もあり、風通しの良い職場環境であると実感しています。そして、計画的にワークライフバランスが推進される中で、職場全体の協調性が醸成されており、生産性向上が期待される組織体の在り方として大変参考になります。
Q5 国税審判官となって、良かったと思うことを教えてください。
A 原処分庁と審査請求人双方の主張による争点整理、事実認定及び法的評価から議決までの流れについて、事象は異なりますが、司法の場である裁判所に重ね合わせて捉える発想に恵まれたことです。これらのプロセスにより、これまで経験したことのない身の引き締まる緊張感や達成感は特別なものです。また、そのことを推し進めてゆく審判所は、国税出身の税務に精通した方々、法曹界の弁護士、裁判官、裁判所書記官、公認会計士等の専門家で構成されていることが大きな特徴です。それぞれが相互補完を行いながら研鑽を積み、あるべきゴールに向かって議論を尽くせることも、国税審判官ならではの貴重な経験で、キャリアパスとして誇りをもつことが出来ています。
Q6 国税審判官(特定任期付職員)に応募する方へのメッセージをお願いします。
A 国税審判官としての職務について不安はあろうかと思いますが、心配には及びません。むしろこれまでの専門性が大いに活かせる場になります。合議体での実務は、それぞれの専門家が持つ知見と見識によって、新たなキャリア形成が可能となります。
もちろん審判実務に必要な研修の機会は豊富に用意されていますので、安心してチャレンジしてください。任期付国税審判官は、行政支援を通じて社会貢献につながる期待の大きい仕事だと思っています。