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国税審判官(特定任期付職員)からのメッセージ
- 氏名
- 數土 和歌子(弁護士)
- 経歴
- 平成12年10月
弁護士登録 - 令和4年7月
東京国税不服審判所国税審判官として採用
Q1 国税審判官(特定任期付職員)の募集に応募したきっかけを教えてください。
A 弁護士の業務を通じて、税法の重要性は感じていても、日常業務をしながら学ぶ時間を確保することが難しいと感じていた折、偶然、弁護士会の会報で元特定任期付職員の方の寄稿文を目にし、国税審判官の業務に興味を持ったのがきっかけです。
十数年前であればすぐに応募を決めたと思いますが、幸いにも顧問先や様々な役職にも恵まれ、充実しており、その業務を中断することのご迷惑もあり、応募までは考えませんでした。
しかし、たまたま担当した事案で税務の知識を必要とすることが続き、税法の本で読むのではなく、実際の仕事を通じて学ぶ機会を得たいとの思いを強くし、相当思案した末に、最初で最後のわがままと思い、応募期日末日の消印で応募しました。
Q2 国税審判官として審判所でどのような業務を担当していますか。
A 担当審判官又は参加審判官として事件が配点され、合議体の一員として事件の調査・審理にあたります。具体的には、主張整理、争点を確定し、証拠収集に努め、調査審理が尽くされたと判断できた場合には合議を経て議決を行います。この過程で、請求人との面談や、請求人の希望がある場合には口頭意見陳述という手続を実施することもあります。
これらの事案処理の業務以外では、担当していない事件のオブザーバーとして合議に参加したり、司法修習生のカリキュラムへの参加や特定任期付審判官の広報活動等がありました。
Q3 弁護士としての知識や経験が、国税審判官の業務にどのように活かされていると感じていますか。
A 事件処理の進め方は、裁判との類似点も多く、事案の判断では、判例や先例を検討し、課税要件を念頭に、法的三段論法に基づく法令解釈、事実認定を行います。実際の事案の処理にあたって、刑事事件の公判を傍聴したり、税法以外の民法、借地借家法、会社法、破産法、刑法をはじめとする様々な法律の知識も使いました。このように、法律的な論理的思考力や弁護士の知識、経験は、事案の処理の様々な場面で求められていると感じています。
Q4 審判所の職場環境について感じていることを教えてください。
A 審判所では、事案の処理に有益な様々な研修の機会が設けられ、税法の知識の研鑽を積める環境が整っています。また、ワークライフバランスが推奨され、働きやすい制度が充実し、積極的に利用するよう推進されています。
加えて、職場の雰囲気や人間関係は、実際に働いてみなければ分からないことでしたが、このニ年、職場環境や人間関係に悩むことなく仕事に専念できています。これは、明るく風通しの良い職場の雰囲気が基礎にあるからだと思っています。例えば、私の所属する審判部では、定期的に部の全体会議と勉強会が行われます。部の職員全員が一堂に会することで、部としての問題意識を共有し、通常業務において活発な意見交換がしやすい環境が醸成されているように感じます。そして、合議体のメンバーや分担者は、互いの状況を理解し、配慮し合いながらチームとして協力して事案の処理にあたれており、これまでの知識・経験を活かすという特定任期付職員に求められている職責に注力できる環境にあることを日々実感しています。
また、東京支部の所長にご参加いただき実施される特定任期付職員による任意の判例研究会は、税法の研鑽と特定任期付職員の交流・息抜きの場にもなっています。
Q5 国税審判官となって、良かったと思うことを教えてください。
A 一言で言うと、従前の業務から離れて国税審判官となってみなければわからなかった気づきを得られたということだと思います。
例えば、様々な経験や知識を持った異なるバックグラウンドの方と一緒に仕事をすることを通じて、新しい知識や問題意識に触れ、視野の広がりを実感しています。
これまでの弁護士としての業務を振り返る時間的余裕もでき、従前業務が自分の法律家としての成長に与えてくれていたものを再発見できましたし、中立の立場で事案に向き合う経験は、一方当事者の代理人に戻った際に活かせる気づきを実体験として学べる貴重な機会であると感じています。
そして、仕事を離れてみると、限られた勤務時間の中で業務をこなし、規則正しいリズムに合わせた生活を送る中で、生活全般が整うことを実感し、今後のワークライフバランスを考えるきっかけにもなりました。
Q6 国税審判官(特定任期付職員)に応募する方へのメッセージをお願いします。
A 特定任期付職員に応募する際に、誰もが乗り越えなければならないことの一つにキャリアに一旦、区切りをつけるという点があると思います。
しかし、私だけでなく、特定任期付職員となった多くの人が、キャリアが途切れること以上に得難い経験ができたと感じています。
それぞれ抱える事情は異なると思いますが、国税審判官の具体的な業務のイメージが少しでも伝わって、興味をもって頂ければ幸いです。そして、事情が許すのであれば、応募をご検討されてはいかがでしょうか。