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国税審判官(特定任期付職員)からのメッセージ

写真(執務風景)

氏名
前田 智美
経歴
平成17年7月
税理士登録
令和4年7月
東京国税不服審判所国税審判官として採用

Q1 国税審判官(特定任期付職員)の募集に応募したきっかけを教えてください。

A 前職では税理士法人に勤務しておりましたが、日々の業務において、自分の知識に偏りが生じているのではないか、質の高いサービスを提供できていないのではないかと不安を感じることがありました。
 そのような中で、勤続年数20年目という一つの節目を迎えるに当たり、税理士業務の現場からは離れ難いものの、ステップアップするにはこのタイミングしかないという思いが強くなりました。
 公正な第三者的立場で審理するという国税審判官の職務が、自身の専門性を深化させるとともに、将来的なキャリアの選択肢を増やすものであることを期待し、また、公務員という職業にも興味があり、税理士としての経験を活かして社会貢献ができるのではないかとの思いもありましたので、国税審判官の募集に応募しました。

Q2 国税審判官として審判所でどのような業務を担当していますか。

A 担当審判官又は参加審判官として、配付された事件の調査・審理を担当しています。審判官の業務のうち、@請求人(納税者)と原処分庁(税務署長等)の双方の主張を聴き、A必要に応じて自ら調査を行い、B裁決書の基となる議決書を作成する、この3点が税理士の業務と大きく違うところです。新しい業務に取り組むことで、自己の成長を実感することができますが、裁決は行政としての最終判断なのですから、責任の重さを痛感しながら身を引き締めて業務に臨んでいます。
 日常の業務においては、合議体で共同して行う作業と、個人で集中して行う作業が存在します。
 合議体で共同して行う作業とは、議論することです。異なるバックグラウンドを持った方々の間で、「合議」として行われるフォーマルな議論だけでなく、「平場の議論」としてインフォーマルな議論が日々交わされています。
 個人で集中して行う作業とは、議論に備えた主張書面及び証拠書類の読み込み、過去の判決・裁決の検討、議論の結果を反映した議決書案の作成などがありますが、審判所には図書室があり調べものをする環境が揃っていますし、周囲には各分野において高度な専門性を有する方々が座っておられますので、一人で悩んだり、抱え込んだりすることはありません。

Q3 税理士としての知識や経験が、国税審判官の業務にどのように活かされていると感じていますか。

A 国税審判官の業務は、納税義務の適正な実現を図ることを使命とする税理士の業務とその根幹が異なるものではありませんし、税理士は申告書や決算書を見慣れていることから、違和感なく職務に就くことができたように思います。また、税理士は、所得税、法人税、相続税、消費税など多税目に渡って課税価格や税額の計算に実務として携わっていますので、調査・審理の過程において課税価格や税額を検証する際に、その実務上の経験が役立っていると思います。

Q4 審判所の職場環境について感じていることを教えてください。

A 審判所における人事異動は1年単位で行われています。特定任期付職員の着任も審判所全体の人事異動と同時期に行われ多くの方が新たに着任されますので、特定任期付職員だけが際立つということがなく、スムーズに職場に溶け込めたように思います。
 合議体も1年ごとに編成されるため、日常の業務を共にするチームも毎年変わります。1年が経過し、議論を重ねることで信頼関係の醸成されたチームが解散する際には寂しさを感じますが、毎年チームが変わることにより、限られた任期中により多くの知己を得ることができています。職場の方々は親切な方、面倒見の良い方が多いという印象があり、風通しの良い職場であると感じています。

Q5 国税審判官となって、良かったと思うことを教えてください。

A 国税通則法の読み方が変わったことです。国税審判官になる前は納税者側の目線で一元的に国税通則法を読んでいたことに気付かされました。
 また、公務員という職業に就いたこと自体が貴重な経験となっています。民間企業の社員にも社会的責任はありますが、公務員は公益性と透明性を重んじるべき職責を負っています。社会貢献に携わっているという充実感と国民に見られているという緊張感は、実際に公務員になってその場に身を置かなければ感じられなかったものであり、多くの気付きが得られています。

Q6 国税審判官(特定任期付職員)に応募する方へのメッセージをお願いします。

A 特定任期付職員に限らずとも、転職するという決断においては、現在の業務に係る調整や、環境が変わることへの不安など、越えなければならないハードルは高く、私も応募前にはかなり悩みました。しかしながら、国税審判官としての経験が、自身の視野を拡げるものであると期待して応募したことは、間違っていなかったと実感しています。
 また、審判所ではワークライフバランスが重視され、フレックスタイムやテレワークも利用しやすい制度になっています。リスキリングに取り組む時間的余裕も生まれますから、自己成長を追求できる職場であると思います。
 自己が成長することが、育ててくれた業界への恩返しにもなると思えば、応募のハードルも低くなるように思います。

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