ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 平成28年7月〜9月分 >>(平成28年7月6日裁決) >>別紙3 本件各納税告知処分等に係る納税告知書の納税の告知の理由

別紙3 本件各納税告知処分等に係る納税告知書の納税の告知の理由

 貴社は、下記のとおり納付すべき源泉所得税及び復興特別所得税○○○○円を法定納期限までに納付していないと認められますので、国税通則法第36条の規定により納税の告知を行います。

  1. 1 貴社は、平成25年2月15日に締結した○○商材販売契約(以下「○○契約」といいます。)に基づき、○○商材販売業務(以下「○○業務」といいます。)を行っています。この○○業務の実態について調査した結果、次の事実を確認しました。
    1. (1) ○○契約はL国法人であるg社、L国法人であるj社、L国法人であるm社(以下g社、j社を含め「g社等」といいます。)及びq社の4社(g社、j社、m社及び調査法人の4社を以下「契約当事者」といいます。)で契約締結していること。
    2. (2) L国法人であるg社、j社、m社は日本国内に本店又は主たる事務所を有さない、外国法人であること。
    3. (3) ○○業務は、g社を商材の著者、j社をマーケティング担当、m社をg社とj社の仲介及びq社を販売者とし、○○商材の販売を目的として4社間の合意により締結した○○商材販売契約書(以下「○○契約書」といいます。)に基づき行う共同事業であること。
    4. (4) 貴社は、平成23年11月1日にq社と締結した業務委託契約に基づき、q社の経理業務を受託していること。
    5. (5) 貴社は、平成25年2月1日にq社と締結した販売名義使用許諾契約に基づき、q社の販売名義を使用して販売業務を行うことの許諾を受けており、○○業務においてq社が担当する業務を行っていること。
    6. (6) 貴社の代表者であるe及びj社のCEOであるkによれば、q社は○○契約の名目上の契約者であり、○○業務の実態は貴社が行っている旨の供述をしていること。
    7. (7) 貴社は、○○業務を行うに当たり、国内において国内の法律(特定商取引に関する法律第11条、同法施行規則第8条)に基づき顧客を募集し、g社が作成した商材の販売を行っていること。
    8. (8) ○○業務に係る経費は、契約当事者それぞれが担当する業務について国内の業者への発注等したことに伴い債務の確定した「国内において用した経費」であること。
    9. (9) ○○業務に係る経費は、貴社が立て替えて支払うものと、貴社以外のg社等の契約当事者が立て替えて支払うものがあり、当該経費は共通経費として計算され、貴社が作成する計算書により契約当事者の各社に報告されたのち、契約当事者の承諾の下で共通経費の額が確定していること。
    10. (10) ○○契約書によれば、第3条においてg社、第4条においてq社、第5条においてj社及び第6条においてm社の業務を、また、第7条において契約当事者が担う役割分担が規定され、第10条では販売収益から経費を控除した利益を分配する旨を定めていること。
    11. (11) 貴社が計算を行った○○業務の利益分配金の計算書によれば、共通経費には契約当事者の分担業務から発生する外注費等の労務費以外の経費のみが計上されていることから、契約当事者は○○業務を行うに当たり、外注先への業務の指示、経費等支払業務など共通経費に計上のない労務の提供すなわち労務の出資を行っていると認められること。
    12. (12) 貴社では○○業務の1販売収益集計作業、2共通経費支払事務、3分配金計算などの作業を、4H市J町○−○にある貴社の事務所内に設置されているパソコンを使用して、5貴社の代表者であるe及び従業員であるpが、日常的に行っていること。
    13. (13) 貴社は、○○業務における利益分配を「JV費用」という科目で貴社の費用として経理処理し、g社等に対する分配金の支払いを行っていること。
    14. (14) ○○業務の利益分配金について、g社はq社から、j社及びm社は貴社からそれぞれ支払いを受けているが、q社はg社に対する支払いを仮払金として処理していること。
  2. 2 上記1(1)から(11)の事実により、貴社が締結した○○契約は、民法第667条第1項及び第2項に規定する、契約当事者が共同の事業を営むことを約する民法上の組合契約に該当します。
  3. 3 上記1の(3)から(9)の事実により、○○業務は国内において行う事業であり、○○業務の売上は、当該事業から生ずる収入に該当します。また、当該事業に係る経費は、契約当事者の承諾の下に確定した上記1の(8)及び(9)に掲げる共通経費です。
     以上の事実により、○○契約書に基づき調査法人以外の契約当事者がq社から配分を受ける利益分配金は、国内において行う事業から生ずる収入から当該収入に係る費用を控除したものであり、上記(10)のとおり○○契約書に基づいて配分を受けるものであることから、所得税法第161条第1号の2に規定する国内源泉所得に該当します。
  4. 4 上記1(1)から(12)の事実により、貴社の事務所は法人税第141条第一号に規定する日本国内において○○業務を行う一定の場所と認められます。
     したがって、○○業務は4社共同で行う組合契約事業であり、貴社は○○業務に関する業務を行っていることから、○○業務は日本国内に恒久的施設を持つ事業と認められ、契約当事者であるg社等のL国法人3社は、いずれも○○業務に係る収益について、日本国内に恒久的施設を有することになります。
  5. 5 上記1(12)及び(13)の事実により、○○業務の利益の分配において、契約当事者である外国法人が、組合契約事業の計算期間において生じた利益につき、金銭の交付を受ける場合には、その利益の配分をする者がその利益の支払いをする者とみなされることから、貴社は所得税法第212条第5項に規定する源泉徴収義務者に該当します。
  6. 6 上記1から5に基づき、○○業務により外国法人であるg社等のL国法人3社に対して国内において発生した利益分配金について、所得税法第212条第1項及び東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(以下「復興財源確保法」といいます。)第28条第1項の規定により、貴社は、その支払いの際、これら国内源泉所得から所得税と復興特別所得税を源泉徴収する必要がありますが、貴社は源泉徴収していません。
     このため、貴社が、平成25年6月から平成26年8月の間に、g社等のL国法人3社に対して発生した利益分配金から、所得税法第213条第1項及び復興財源確保法第28条第2項の規定に基づき、税額を算出した結果、別紙の「納付すべき所得税及び復興特別所得税の額」欄の合計額○○○○円を源泉徴収し、納付すべきものと認められます。

以下余白

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