(平成28年7月6日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、原処分庁が、インターネット関連事業を営む法人である審査請求人(以下「請求人」という。)の子会社が複数の外国法人と締結した契約について、民法第667条第1項に規定する組合契約に当たると認定するとともに、当該契約の当事者が当該子会社ではなく請求人であるとして行った法人税及び復興特別法人税の更正処分等並びに源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分等に対し、請求人がその認定に誤りがあるとして同処分等の全部の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯

  • イ 請求人は、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税について、青色の確定申告書に別表1の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までに申告した。
     また、請求人は、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税事業年度(以下「本件課税事業年度」という。)の復興特別法人税について、青色の復興特別法人税申告書に別表2の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までに申告した。
  • ロ 原処分庁は、これらに対し、平成27年3月30日付で、別表1及び2の「当初更正処分等」欄のとおりの各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「当初更正処分等」という。)をした。
     また、同日付で、別表3の「納税告知処分」欄及び「賦課決定処分」欄のとおり、平成25年6月から同年12月までの各月分及び平成26年2月から同年8月までの各月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税(以下「源泉所得税等」という。)の各納税告知処分(以下「本件各納税告知処分」という。)並びに不納付加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい、本件各納税告知処分と併せて「本件各納税告知処分等」という。)をした。
  • ハ 請求人は、これらの処分を不服として、平成27年5月19日に、当初更正処分等に対して国税通則法(以下「通則法」という。)第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第4項第1号の規定による審査請求をするとともに、本件各納税告知処分等に対する異議申立てをした。
  • ニ 原処分庁は、平成27年6月29日に当初更正処分等を取り消し、更正の理由を書き直した上で、同日付で別表1及び2の「本件更正処分等」欄のとおりの各更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい、本件更正処分と併せて「本件更正処分等」という。)をした。
  • ホ 請求人は、平成27年7月2日に上記ハの審査請求を取り下げ、平成27年8月11日に、通則法第75条第4項第1号の規定により、本件更正処分等に不服があるとして審査請求をした。
  • ヘ 異議審理庁は、本件各納税告知処分等に対する異議申立てについて、通則法第89条《合意によるみなす審査請求》第1項の規定により審査請求として取り扱うことが適当であると認め、平成27年8月14日付で請求人に同意を求めたところ、請求人は同年8月18日に同意したので、同日、審査請求がされたものとみなされた。
  • ト そこで、上記ホ及びヘの審査請求について併合審理をする。

(3) 関係法令等

別紙1のとおりである。

(4) 基礎事実

以下の事実は、請求人と原処分庁との間に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。

  • イ 請求人は、平成22年4月○日に設立された法人で、本店所在地はH市J町○−○、代表者はe(以下「請求人代表者」という。)であり、情報商材の販売等及びインターネットにおける広告等を主たる事業としている。
  • ロ g社は、平成23年8月○日に設立された法人で、本店所在地はL国、代表者はh、事業内容はインターネット関連事業である。
  • ハ q社は、平成23年10月○日に設立された法人で、本店所在地はH市J町○−○、代表者は請求人代表者であり、事業内容は情報提供サービス業である。請求人は、q社の発行済株式の全てを保有している。
  • ニ j社は、平成24年11月○日に設立された法人で、本店所在地はL国、代表者はk、事業内容はマーケティングサービス業である。
  • ホ m社は、平成20年5月○日に設立された法人で、本店所在地はL国、代表者はn、事業内容はマーケティングサービス業である。
  • ヘ 請求人は、平成23年11月1日にq社と「業務委託契約書」による契約(以下「本件業務委託契約」という。)を締結し、当該契約に基づき、q社から経理会計業務等を委託された。
     なお、当該契約書の第4条において、q社は請求人に月額80,000円の業務委託料を支払う旨が定められている。
  • ト 請求人は、平成25年2月1日に、q社と「販売名義使用許諾契約書」による契約(以下「本件販売名義使用許諾契約」という。)を締結し、q社の販売名義を使用する旨の許諾を得た。
     なお、当該契約書の第6条において、請求人がq社の販売名義を使用して発生した売上げ全てを請求人のものとする旨及び請求人がq社に名義使用料として月額100,000円を支払う旨が定められている。
  • チ g社、q社、j社及びm社(以下、これらを併せて「本件契約当事者」といい、g社、j社及びm社を併せて「本件外国法人」という。)は、平成25年2月15日に、「○○商材(以下「本件商材」という。)販売契約書」による契約(以下「本件○○契約」といい、当該契約書を「本件○○契約書」という。)を締結した。
  • 本件○○契約書には、要旨次のことが記載されている。
    1. (イ) 本件契約当事者間において本件商材の販売業務(以下「本件○○業務」という。)に付随・関連する全ての事項を定め、次のとおり契約を締結する。
    2. (ロ) 第3条(販売上のg社の権利、義務)
      • A 本件商材は、g社、q社及びj社の3者の合意価格で販売すること。
      • B 本件商材の著作権その他の知的財産権はg社が保有することとする。
      • C g社は、本件商材の購入者又は購入希望者からの質問の回答、修正されたシステムの配付などのサポート業務を円滑に実施する。
    3. (ハ) 第4条(販売上のq社の権利、義務)
      • A q社は、本件商材を販売するに当たって、必要となる各種システムの契約、サーバー・ドメイン契約を行う義務を有する。
      • B q社は、本件商材を販売するに当たって、必要となるデザイン及びコーディング業務を行う義務を有する。
      • C q社は、本件商材を販売するに当たって、g社のサポート業務を補佐する業務を行う義務を有する。
    4. (ニ) 第5条(販売上のj社の権利、義務)
      • A 本件商材は、g社、q社及びj社の3者の合意価格で販売すること。
      • B 本件商材に関連する顧客の管理、サービスを管理する管理システム・ASPサイトへのアクセスID、パスワードをj社が管理すること。
      • C 顧客情報の管理権、利用権はj社にあるものとする。
      • D j社は、本件商材を販売するに当たって、企画、ライティング、マーケティング全般業務を行う義務を有する。
      • E j社は、本件商材を販売するに当たって、遵守すべきあらゆる法令を遵守しなければならない。また、j社は、販売先に対して、本件商材の内容や効果等について誤解を生じるなど、販売先とトラブル等に発展し得るような対応での販売ないし勧誘行為をしてはならない。
      • F 本件商材の販売権利はj社が保持し、契約期間中、インターネットにおける電子書籍及び通信物販販売として、同様の商品、類似商品を契約期間中はj社以外では販売できないものとする。
      • G 販売ページのテキスト、デザイン、メール原稿など、販促に関わるテキストやデザイン、ソースコードの権利は、j社が保有するものとする。
    5. (ホ) 第6条(販売上のm社の権利、義務)
      • A m社は、g社が所持している案件をj社に紹介した仲介者として、本件商材の販売利益の10%を受け取ることができる。
      • B m社は、仲介者としてg社とj社が円滑に業務を進められるような環境を作るものとする。
      • C m社は、g社とj社を繋ぐ仲介者のため、販売業務に一切関わらないものとする。
    6. (ヘ) 第7条(本件契約当事者の役割分担)
      • A g社は、本件商材に関連するシステム、コンテンツなどの作成に関する業務、本件商材に関する質問への回答、バージョンアップしたシステムの提供など本件商材全般に関するサポート業務を担当する。
      • B q社は、本件商材の販売窓口会社として本件商材を販売するに当たって必要となる各種システムの契約、サーバー・ドメイン契約、サポート補佐及びデザイン・コーディング業務を担当する。
      • C j社は、本件商材の販売サイトの構築、販売、広告、宣伝などインターネット販売及び販売に関する全ての業務を担当する。
      • D m社は、仲介者として、g社とj社が円滑に業務を進められる体制作りを担当する。
    7. (ト) 第10条(利益割合)
      • A 本件商材を販売することにより発生する売上げから、経費を控除した利益を本件契約当事者に分配する。
      • B 分配率については、g社が30%、q社が20%、j社が40%、m社が10%とする。
      • C 販売サイトの売上金受取口座は、q社が用意する口座を使用するものとする。
      • D q社は、売上金額から広告費など諸経費を差し引いて売上利益を計算し、その金額の証明書を本件外国法人に当月末日締め後に発行し、当該売上利益を分配率に応じて計算した金額を、翌々月15日までに本件外国法人の指定する口座に振り込むこととする。
    8. (チ) 第12条(契約の解除)
      • 本件契約当事者は、本件契約当事者のいずれかが本件○○契約の規定に違反したときは、その違反の事実を記載した書面を交付する方法により、本件○○契約を将来に向かって解除する旨を申し入れることができる。
  • リ 本件販売名義使用許諾契約及び本件業務委託契約に基づき、本件○○契約においてq社が行うこととされている販売窓口業務及び経理会計業務を、請求人の従業員が、請求人の事務所において行っていた。
  • ヌ q社は、顧客からの売上げを預り金として帳簿に記載し、請求人が自己の帳簿に収益として計上していた。本件○○業務に係る経費についても、請求人が自己の帳簿に費用として計上していた。
  • ル 原処分庁は、本件○○契約を民法第667条第1項に規定する組合契約(以下「組合契約」という。)と認定し、q社は本件○○契約の名目上の契約当事者にすぎず、請求人が実質的な契約当事者であるとして、本件更正処分等を行った。さらに、原処分庁は、上記に加えて、本件○○業務は国内において行う事業であり、本件外国法人が受け取る本件○○業務の利益の分配金(以下「本件利益分配金」という。)は所得税法第161条第1号の2に規定する国内源泉所得に該当し、かつ、本件外国法人が国内に恒久的施設を有すると認定し、請求人に本件利益分配金に係る源泉徴収義務があるとして、本件各納税告知処分等を行った。

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2 争点

  • (1) 争点1(本件更正処分等及び本件各納税告知処分等の理由付記に不備があるか否か。)
  • (2) 争点2(当初更正処分等を取り消し、処分理由を書き直して本件更正処分等をしたことは、違法か否か。)
  • (3) 争点3(本件○○契約は、組合契約に当たるか否か。)
  • (4) 争点4(請求人は、本件○○契約の契約当事者か否か。)
  • (5) 争点5(請求人は、本件利益分配金に係る源泉徴収義務者に当たるか否か。)
  • (6) 争点6(本件○○業務は、国内において行う事業に当たるか否か。)

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3 争点についての主張

(1) 争点1(本件更正処分等及び本件各納税告知処分等の理由付記に不備があるか否か。)について

原処分庁 請求人
理由付記に不備はない。 理由付記に不備がある。
イ 本件更正処分等の理由付記について イ 本件更正処分等の理由付記について
(イ) 青色申告に係る更正通知書に付記すべき理由としては、帳簿書類の記載自体を否認して更正をする場合においては、そのような更正をした根拠を帳簿記載以上に信ぴょう力のある資料を摘示することによって具体的に明示することを要するが、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合においては、それがいかなる事実に対する法的評価であるかを明確に判別することができる程度に理由が表示されていれば足り、それ以上に当該法的評価の根拠を示すことや資料を摘示することは要しないと解するのが相当であるところ、本件更正処分等は、帳簿書類の記載自体を否認することのない更正であり、別紙2の1の(1)のイないしワに記載された各事実に対する法的評価として本件○○契約が組合契約に該当するとの更正の理由が表示されていることから、理由付記の程度において、理由付記不備の違法はない。 (イ) 原処分庁は、本件○○契約が組合契約に当たり、請求人の売上げ及び経費の一部は他の契約当事者に帰属すべきものとして、本件更正処分等を行っている。これは、請求人の売上げ又は経費の帳簿への記載自体を否認するものであり、その根拠として、本件○○契約が組合契約に該当するとしているのであるから、本件○○契約がなぜ組合契約に該当するのかを、帳簿記載以上の信ぴょう力のある資料を摘示することによって具体的に明示しなければならない。
 本件更正処分等の理由付記は、単に複数の事実が羅列されているだけであり、組合契約と認定するための要件、及び別紙2の1の(1)のイないしワに記載された事実のどれがどの要件を充足するものであるのかが述べられていないから、なぜ本件○○契約が組合契約に該当するといえるのかが明らかにされていない。
(ロ) 理由付記制度の趣旨・目的は、課税庁の恣意の抑制と納税者の不服申立ての便宜の点にあり、予想される論点の逐一について、その理由の詳細を全て記載すべき必要性があるものではない(東京地方裁判所平成17年12月6日判決(平成16年(行ウ)第155号法人税更正処分等取消請求事件))から、本件更正処分等は、理由付記の程度において、理由付記不備の違法はない。 (ロ) 法が行政処分に理由を付記すべきものとしているのは、「処分の理由を相手方に知らせて不服の申立てに便宜を与える」趣旨があるとされているが、本件更正処分等における理由付記は、課税要件と要件を充足する事実が示されておらず、請求人は課税要件がわからないまま不服申立てを行わざるを得ず、請求人自らが要件を挙げた上、審査請求自体が更正の理由を問うものとならざるを得ないという不利益を被ることとなった。したがって、理由付記に不備がある。
ロ 本件各納税告知処分等の理由付記について ロ 本件各納税告知処分等の理由付記について
告知理由に具体的な事実及び課税の根拠となる法律の規定を示した上で、各事実により本件○○契約が組合契約の成立要件を充足する旨及び本件利益分配金が国内源泉所得に該当する旨等処分の理由が示されていることから、理由付記に不備はない。
 告知理由に記載した事実を示すことにより、本件○○契約においてq社は単なる名義人であり、実質的な契約者及び利益分配金の支払を行った者が請求人であると判断できる程度に記載されていることから理由付記に不備はない。
本件各納税告知処分等については、本件更正処分等の理由付記と同様の不備に加えて次の不備がある。
 請求人が、当初更正処分等の理由付記について、本件○○契約の契約当事者ではない請求人を理由なくその当事者として記述するという誤りがあると指摘したところ、原処分庁は理由付記不備を認めて処分を取り消し、本件更正処分等の理由に「これらのことから、本件○○契約において、q社は名目上の契約者であり、実質的な契約者は貴社であったと認められる。」と付記した。しかし、本件各納税告知処分等の理由付記については、同様の不備が修正されていない。
 原処分庁は「q社は単なる名義人であり、実質的な契約者及び利益分配金の支払を行った者が請求人であると判断できる程度に記載されているから理由付記不備はない。」と答弁書に記載したが、本件各納税告知処分等に係る納税告知書にその記載がないから、本件各納税告知処分等の理由付記には不備がある。

(2) 争点2(当初更正処分等を取り消し、処分理由を書き直して本件更正処分等をしたことは、違法か否か。)について

原処分庁 請求人
本件更正処分等は違法ではない。
 違法事由を認めて処分を取り消し、瑕疵を補正して新たな処分をすることは、処分の取消しと新たな処分とを繰り返すことにより訴訟手続上、相手方当事者をして、対応措置を採るに苦しめよう等との特別の意図をもってなされたものではない限り、課税の公平の見地よりして当然の権限の行使として許されてしかるべきであるところ(東京高等裁判所昭和46年10月29日判決(昭和45年(行コ)第72号、同46年(行コ)第6号課税標準および税額の決定取消請求控訴ならびに同附帯控訴事件)(以下「東京高裁判決」という。))、原処分庁が更正の理由に不備があるとして当初更正処分等を取り消し、新たな更正の理由を付して本件更正処分等を行ったことは、請求人に対応措置を採るに苦しめよう等の特別の意図をもってなされたものではないから、違法なものではない。
 東京高裁判決における「法の予定しない」との判示事項は、第一次更正処分の後に、これを取り消す第二次更正処分が行われ、その後に第三次更正処分が行われた一連の課税処分につき、第二次更正処分の違法を理由として第三次更正処分が違法である旨の被控訴人の主張に対して理由がないとの判示事項に示された一文であり、この判示事項に示された「法の予定しない」旨が、本件更正処分等が課税権の濫用に当たることの理由となり得るものではない。
 本件更正処分等が上記判決における「特別の意図をもってなされたもの」に該当するという請求人の主張は、処分が取り消され、その後に新たな処分がなされた外形的な面、そして、理由付記の内容を一方的に評価した結果をいうものであり、それらのことが上記判決が判示する「訴訟手続上相手方当事者をして対応措置を採るに苦しめよう等の特別の意図をもってなされたもの」に該当するものとは認められない。
本件更正処分等は課税権の濫用であり、違法である。
 法が課税処分に理由の付記を求めている理由は、手続的保障の見地から処分庁の判断の慎重性・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を示して不服申立てに便宜を与えるためである(最高裁判所昭和38年5月31日判決(昭和36年(オ)第84号所得税青色審査決定処分等取消請求事件))。
 更正の理由が不備である課税処分を取り消して、更正の理由だけを書き改めて再度全く同じ内容の課税処分をすることが容認されるならば、そもそも法が更正の理由付記を求めている趣旨が失われることとなる。
 本件更正処分等は、東京高裁判決にいうところの「法の予定しない」更正処分に該当し、また、違法理由の一部の取消しに当たるので裁決を待つことが相当な事例に該当するが、本件更正処分等が行われたために、請求人は再審査請求を行わなければならず、時間と労力を浪費させられるという過大な不利益を被っている。本件更正処分等は、不備のある理由付記が繰り返されていることから、処分の取消しと新たな処分とを繰り返すことにより訴訟手続上相手方当事者をして対応措置を採るに苦しめよう等との特別の意図をもってなされたものとしかいいようがないので、課税権の濫用に該当する。

(3) 争点3(本件○○契約は、組合契約に当たるか否か。)について

原処分庁 請求人
本件○○契約は組合契約に当たる。 本件○○契約は組合契約に当たらない。
イ 組合契約の成立要件 イ 組合契約の成立要件
組合契約が成立する要件とは、名古屋地方裁判所平成16年10月28日判決(平成15年(行ウ)第26号、平成15年(行ウ)第27号、平成15年(行ウ)第28号、平成15年(行ウ)第29号、平成15年(行ウ)第30号、平成15年(行ウ)第31号申告所得税更正処分取消等請求各事件)(以下「名古屋地裁判決」という。)によると、12人以上の当事者の存在、2各当事者が出資をすることを合意したこと、3各当事者が共同の事業を営むことについて合意したことであり、3の合意が認められるためには、イ共同で営む事業の内容(組合の目的)についての合意と、ロその事業を共同で営むことについての合意が必要である。
 なお、出資とは、組合の目的の達成のために当事者によって拠出される経済的手段の総称であり、極めて広い観念であり、その客体には金銭のみならず労務や信用も含まれると解されている。
形式上、組合契約である旨の記載がない本件○○契約について、契約当事者の真の合意内容が組合契約であると認定するためには、組合契約であるならば当然に契約当事者が有することとされている権利及び義務、すなわち、原処分庁が掲げる1ないし3の要件に加えて、少なくとも名古屋地裁判決において被告である国側が自らの主張の根拠として挙げた4無限連帯責任の有無5財産の帰属6標準的約款との比較及び7当事者の真意について、その全てを契約当事者が有していることが相互に合意されている事実を逐一立証する必要がある。
ロ 組合契約の成立要件の充足 ロ 組合契約の成立要件の充足
(イ) 2人以上の当事者の存在
 本件○○契約の契約当事者は請求人及び本件外国法人の4者であるから、本件○○契約は2人以上の当事者の存在の要件を充足している。
(イ) 2人以上の当事者の存在
 本件○○契約が2人以上の当事者により締結された契約であることについては異論はない。
(ロ) 出資の合意
 組合契約が有効に成立したと認められるためには、一定の目的とそれを当事者全員の共同の事業として営むという2点についての合意が成立しなければならない。組合規約としての上記2点さえ定まれば、全ての当事者が出資義務を負うことは当然である。
 本件○○契約では、本件契約当事者が共同で本件○○業務を行うことを約し、その共同の業務を行うに当たり本件契約当事者が出資義務を負うところ、本件契約当事者の業務内容が定められていることは、これらの業務を行うことが本件契約当事者の義務として定められていることとなり、すなわち労務を出資することが約されていると解するのが相当である。
 本件契約当事者は、本件○○契約に定められた業務等に係る人件費を負担していると認められるところ、これらが組合の利益の計算、又は、組合の利益が計算された後の分配時の計算のいずれにも含まれていないが、これは、労務を提供することを前提として、労務の提供への対価の支払は行わず、組合の利益を各組合員にあらかじめ定めた割合で分配することを約しているものとみることができ、そうすると、ここでの本件契約当事者の労務の提供は、その対価を求めるものではないから、出資と見るべきである。
(ロ) 出資の合意
 組合契約における「出資」とは、共同で事業を営むという目的を持ったものでなければならないが、本件契約当事者が共同で事業を営むことを目的として、「出資として何を提供する」と相互に意思表示した具体的な事実はない。
 原処分庁の論法によれば、2人以上の当事者がそれぞれ契約上の義務をもって履行する契約は全てそれぞれが労務を出資して行う組合契約であることになり、これは組合契約を特殊な契約形態として規定した民法の趣旨と相容れない。
A m社について
 本件○○契約におけるm社の担当業務は、仲介者としてのg社とj社の円滑な業務の体制作りであり、本件○○契約の締結に携わった事実が認められる。
A m社について
 m社は、本件○○契約の他の契約当事者を引き合わせるという貢献はしたかもしれないが、業務開始以降は原処分庁が主張する「労務の出資」に当たるようなことはしていない。
B 本件利益分配金について
 本件契約当事者が受け取る金銭は本件○○契約に定められた役割の対価であるとの請求人の主張について、契約に至る経緯並びに契約書及び利益分配金の計算過程等からは、役務の提供を受ける者、提供する役務の内容、及び個別の役務内容に対する対価の額との関係、つまり誰が誰に対して何を行ったことによる対価であるのかが明らかであるとはいえないから、当該金銭が本件○○契約に定められた役割の対価であるとは認めることはできない。
B 本件利益分配金について
 本件○○契約は、g社からq社に対する本件商材の販売契約、j社からq社に対する役務提供契約、及びこれら3者に対するm社による仲介役務提供の対価を約する契約を意味し、それらの取引の対価を利益分割法的な方法で算定したものである。
 自己の損益情報を契約の相手方に開示し、収益の一定割合を対価とする成果報酬型対価算定方法、あるいは利益分割法的対価算定方法は、一般的に採用される対価算定方法である。
 利益分割法的対価算定方法により対価が算定されていることを理由に、その対価を出資に対する利益分配金であるとし、その分配計算に取り込まれていない費用に係る行為を出資とみなすという原処分庁の考え方は誤りである。
C 出資の評価について
 組合契約の成立要件に関し、出資については労務をその目的とすることができる旨が規定されているのみであり、労務の額を金銭評価することまでは求められておらず、実務的にも、出資した労務の額を適正に評価することは困難である。
 なお、本件○○契約に定められた利益分配率は、本件契約当事者の仕事量やノウハウ、力関係等を総合勘案して本件契約当事者の合意の下に決定されたものであり、出資の額との関係はないが、労務の出資が評価されていないからといって、労務の出資が行われていないということにはならない。
C 出資の評価について
 組合契約における出資は、利益配分割合決定上(民法第674条)及び残余財産の分配上(民法第688条第3項)重要な意味を持つから、他の組合員に対してその価値が明確に認識できる形で提供されなければならない。
 本件○○契約では、他の契約当事者がその価値を明確に認識できる形で労務が提供された事実はないから、労務の出資は行われていない。
(ハ) 共同の事業を営む合意
 共同の事業を営む合意が認められるためにはイ共同で営む事業の内容(組合の目的)についての合意と、ロその事業を共同で営むことについての合意が必要である(名古屋地裁判決)。
(ハ) 共同の事業を営む合意
A 共同で営む事業の内容(組合の目的)についての合意
 本件○○契約書の第3条ないし第7条において本件契約当事者が行う業務が定められていることから、本件○○契約は、本件商材の販売を共同で行うことを目的として、本件契約当事者の合意により締結されたと認められるため、共同で営む事業の内容についての合意があると認められる。
A 共同で営む事業の内容(組合の目的)についての合意
 共同で営むことを目的として合意した事業は存在しない。本件契約当事者が分担する業務は、それぞれの契約当事者の責任において独立に行われている。
B その事業を共同で営むことについての合意 B その事業を共同で営むことについての合意
 本件契約当事者が本件○○契約において担当する業務は、それぞれの者が営む各自の事業に属する業務であり、本件契約当事者間に共同で営む事業であるとの認識は存在しない。
(A) 組合の事業の遂行に関与し得る権利について
 契約当事者が当該組合の事業の遂行に関与し得る権利をもつというためには、契約当事者が民法第673条《組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査》に基づいて組合の業務や財産状況を検査する権利と、業務執行を1人又は数人の組合員に委任したときに、正当の事由がある場合には同法第672条《業務執行組合員の辞任及び解任》第2項に基づいて業務執行組合員を解任する権利を有している必要がある旨が、名古屋地裁判決において判示されている。
(A) 組合の事業の遂行に関与し得る権利について
a 検査権について
 本件○○業務に係る経費が共通経費として計算され、請求人が作成した本件利益分配金の計算書により本件契約当事者に報告された後、本件契約当事者の承諾によって確定していることを鑑みれば、本件契約当事者は組合の業務に対する検査権を有していると認められる。
a 検査権について
 本件○○契約が組合契約であるならば、民法第673条の規定により、特定の契約当事者が担当する業務に対して他の契約当事者は検査権を有することとなるはずであるが、そのような取決めはない。
 原処分庁が主張する共通経費を承諾する行為は、検査をする行為とは次元が異なる行為であり、行為の及ぶ範囲も狭いから検査権とはなり得ない。
b 解任権について
 本件○○契約においては、業務執行を1人又は数人の組合員に委任する規定は存在しないから、業務の遂行に関与し得る権利の有無の判断において業務執行組合員を解任する権利を認定する必要はない。
b 解任権について
 仮に、本件○○契約における業務の担当が、民法第672条第2項に基づいて当該担当者に対する業務の執行の委任としてなされたものであると認定できたとしても、他の契約当事者にはその者を解任する権限は与えられていないから、本件○○業務は共同事業として行われるものではない。
(B) 事業の成功に何らかの利害関係を有することについて
 本件○○契約書の第10条において、販売売上げから広告費等の諸経費を控除した利益を本件契約当事者に分配する旨が定められていること、及び定められた分配率に基づき本件契約当事者が利益の分配を受けている事実から、本件契約当事者が事業の成功に何らかの利害関係を有するといえる。
(B) 事業の成功に何らかの利害関係を有することについて
 組合契約ではない成果報酬型の契約においても契約当事者はその事業に関して経済的な利害関係を持つのであるから、経済的な利害関係があるからといって、必ずしもその事業が組合の共同事業であるとはいえない。
  (ニ) 無限連帯責任
 本件○○契約が組合契約であるならば、ある契約当事者が本件○○業務に関して第三者に対して負った債務に関して、他の契約当事者は無限連帯責任を負うことになるが、そのような条項は本件○○契約には存在しない。
  (ホ) 標準的約款との比較
 国土交通省が定める組合とされている共同施行方式の建設共同事業体についての標準的約款においては、共同事業体の「各構成員は、建設工事の請負契約の履行及び下請契約その他の建設工事の実施に伴い当企業体が負担する債務の履行に関し、連帯して責任を負うものとする。」という文言及び「金銭以外のものによる出資については、時価を参酌の上構成員が協議して評価するものとする。」という文言も含まれている。
 本件○○契約において、当事者が連帯して責任を負うという条項は存在しない。また、当事者がその労務の時価を参酌の上、協議して評価するという条項は存在せず、当事者間でそのような協議も行われていない。
  (ヘ) 財産の帰属
 組合の財産は組合員の共有と解するのが一般であるが、本件○○契約において当事者間で共有されるべき財産はなく、むしろ本件商材の著作権及び知的財産権、顧客情報の利用権などは、それぞれ個別の当事者に帰属することが明記されている。
 したがって、本件○○契約において組合財産は存在しない。
  (ト) 当事者の真意
 当事者の意思の明示的発露としての契約書において、「組合」を示す文言は一切使用されていない。また、無限連帯責任、共有財産及び出資の合意を示す条項も存在しない。
ハ 結論
 本件○○契約は、上記ロの(イ)ないし(ハ)のいずれの要件も満たすため、組合契約に該当する。
ハ 結論
 本件○○契約は、上記ロの(ロ)ないし(ト)のいずれの要件も満たしていないため、組合契約には該当しない。
 本件○○契約の本質的特徴は、異なる取引契約が一つの契約書に収められていること及び対価算定方法として成果報酬型又は利益分割型が採用された契約ということであり、それ以上のものを意味しない。

(4) 争点4(請求人は、本件○○契約の契約当事者か否か。)について

原処分庁 請求人
請求人は、本件○○契約の当事者である。
 以下の理由により、q社は本件○○契約における名目上の契約者であり、実質的な契約当事者は請求人であったと認められるから、本件○○契約に定められたq社の法律上の権利義務は請求人に帰属する。
 また、仮に請求人が本件○○契約の当事者と認められないとしても、本件○○契約及び本件販売名義使用許諾契約によれば、実質所得者課税の原則により、本件○○契約に基づきq社が行うこととされている業務から生ずる収益は請求人に帰属する。
請求人は、本件○○契約の当事者ではない。
 税法がいうところの実質とは法律的な帰属をいうという取扱いが確立している。
 原処分庁が列挙した事実が、仮に本件○○契約上q社が享受すべき利益が経済的に請求人に帰属していることを示すものであったとしても、それはq社と請求人との間の経済的実質上の所得の帰属関係を述べたにすぎない。
 本件○○契約を組合契約と認定してから、その契約当事者のq社を実質認定で請求人に置き換えるという原処分庁の論法では、他の契約当事者と請求人との間に組合契約が成立していることを示したことにはならず、他の契約当事者と請求人との間で、直接、法的に全ての組合契約該当要件が充足されていることが示されなければ、請求人は本件○○契約の当事者とはいえない。
 以下のとおり、原処分庁が列挙した事実は、本件○○契約の法律的な意味における当事者がq社ではなく請求人であるという根拠とはなり得ない。
イ 請求人の従業員が実際に本件○○業務を行っていたこと
 請求人は、本件業務委託契約に基づき、q社の経理業務を受託し、請求人の従業員をq社の経理業務に従事させていた。
 また、請求人代表者は、「実際には請求人が業務を行っており、契約書にq社の名称があったとしても、q社を請求人に読み替えることが両社の業務実態に沿っている。」と申述した。
イ 請求人の従業員が実際に本件○○業務を行っていたこと
 他者の経理業務を受託したことをもって当該者の行為が受託者に法律的に帰属することにはならない。
 請求人代表者の申述は、本件○○契約に基づいたq社の権利義務が法律的に請求人に帰属するという根拠も認識も示していない。
ロ 販売名義使用許諾契約の存在
 請求人は、本件販売名義使用許諾契約に基づき、q社の販売名義を使用して販売業務を行う旨の許諾を受けていた。
 本件販売名義使用許諾契約により、請求人がq社の名義を使用して営業活動を行い、その結果、契約に基づき行った業務に係る費用及び収益を請求人において計上すること、並びに対外的な責任は請求人が負うことが合意されているということができ、これらの合意の存在により、本件○○契約においてq社は単なる名義人にすぎず、真の契約当事者は請求人であるといえる。本件○○契約においてq社と表示されている部分は、請求人の名称に置き換えて読むべきである。
ロ 販売名義使用許諾契約の存在
 本件販売名義使用許諾契約は、本件○○契約とは独立した別々の契約であるから、前者の契約の存在を根拠として本件○○契約におけるq社の法律上の当事者が請求人となることにはならない。
 顧客はq社との間で取引を行っていると認識しているから、顧客との間の権利義務関係はq社に帰属する。特定商取引に関する法律を遵守すべき義務もq社にある。
 販売名義使用許諾契約の法律的な実質は、q社による請求人に対する業務委託契約である。本件○○契約においてq社が行うこととされている販売窓口業務に係る権利義務はq社に帰属するが、q社が当該業務を自力で遂行する資源がないことから、これを既存の販売名義使用許諾契約に乗せることにより請求人に当該業務を委託することとしたものである。
ハ 他の契約当事者の認識
 請求人代表者は、「自分がq社と請求人の代表者であることから、本件○○契約に関し、請求人の代表者として契約に携わり、販売者の名称と契約書の名称はq社として作成する旨を契約の相手方の本件外国法人へ説明し、同意を得た上で行った契約である。」と申述した。
 j社の代表者であるkも、本件○○業務の対外的な販売名義人はq社であるが実際の販売者は請求人である旨の説明を請求人代表者から受けて本件○○契約の締結を了承した旨、及び情報商材という商品の性質上、風評被害等のトラブルが多いことからq社に販売名義人になってもらっている旨を申述している。
ハ 他の契約当事者の認識
 請求人代表者の申述は、q社と請求人との関係において、本件○○契約上q社が行うべき業務を請求人が行うということを他の契約当事者に開示したことを示すにすぎず、他の契約当事者に対する権利義務がq社ではなく請求人に帰属することまで約したものではない。
 kの申述は、kが、本件○○契約上のq社の業務は、q社と請求人との契約に基づいて請求人が行うということを了承した上で、本件○○契約をq社との間で締結したということを示しているにすぎず、本件○○契約上の法律上の当事者がq社ではなく請求人であるということを示すものではない。
 q社は、自己の名義で本件○○契約に基づく利益分配計算書を他の契約当事者に送っているから、仮にその支払が滞ったとしても、他の契約当事者が請求人に対してその支払を求める法的根拠はない。
ニ 請求人における収益計上
 請求人代表者は、「q社の名称で商品を販売することとしたことから、顧客からq社の口座に振り込まれるが、実際は請求人が行っている業務であるため、q社では収益計上を一切行わず、当該口座への入金額は仮受金として、出金額は仮受金の減額として経理処理した上で、本件○○業務を行った請求人で収益に計上している。」と申述している。
ニ 請求人における収益計上
 原処分庁が主張する請求人とq社との間の販売代金の経理処理方法は他の契約当事者とq社との間の法律的な関係に影響を及ぼすものではない。
 請求人は、本件○○業務の販売窓口業務をq社から受託して行っているにすぎず、本件利益分配金を収受する立場にないため、請求人がq社から受領する金銭は、本件○○契約に基づく利益分配金ではなく、本件販売名義使用許諾契約に基づいて受領する受託業務対価である。

(5) 争点5(請求人は、本件利益分配金に係る源泉徴収義務者に当たるか否か。)について

原処分庁 請求人
源泉徴収義務者に当たる。
 組合契約に基づいて行う事業から生ずる利益の分配において、契約当事者である外国法人が、組合契約事業の計算期間において生じた利益につき、金銭の交付を受ける場合には、当該利益の配分をする者がその利益の支払をする者とみなされる。
 本件○○契約の実質的な契約当事者が請求人であることに加えて、請求人が実際に本件利益分配金を計算し、支払業務を行っていることから、請求人は所得税法第212条第5項に規定する「配分をする者」に該当し、源泉徴収義務者に当たる。
源泉徴収義務者に当たらない。
 所得税基本通達212-4は、全ての組合員が組合事業から生ずる利益の配分をする者に該当し、連帯納付義務を負うのであり、源泉徴収義務者は組合内部において配分をする者であると定めている。仮に本件○○契約が組合契約であるとしても、請求人は支払事務を受託して行っているにすぎず、組合内部において配分をする者には該当しないから、源泉徴収義務者には当たらない。
 源泉徴収義務者とは、支払を受ける者が支払請求権を有する相手先であり、請求人は、本件○○契約の当事者ではなく、その相手先ではないから、源泉徴収義務者には当たらない。

(6) 争点6(本件○○業務は、国内において行う事業に当たるか否か。)について

原処分庁 請求人
国内において行う事業である。
 請求人が本件○○業務を行うに当たり、日本国内において日本国内の法律に基づき、インターネットのホームページを用いて顧客を募集し、本件商材の販売を行っていること、及び売上げの管理、利益の計算及び利益分配金の支払などの主要業務が国内における請求人の事務所において行われていると認められることから、本件商材の販売による売上げ及び本件○○業務に係る経費が日本国内において生じており、本件○○業務は国内において行われる事業であるといえる。
国外において行う事業も含まれている。
 仮に、本件○○契約が組合契約に当たるとしても、本件外国法人はL国で本件○○業務のかなりの部分を遂行していることから、本件利益分配金には国外源泉所得が含まれることとなる。したがって、当該国外源泉所得は、源泉徴収の対象となる国内源泉所得の計算上、除かれるべきである。

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4 当審判所の判断

(1) 争点1(本件更正処分等及び本件各納税告知処分等の理由付記に不備があるか否か。)について

  • イ 本件更正処分等の理由付記について
    1. (イ) 法令解釈
       法人税法第130条第2項が、青色申告に係る法人税について更正をする場合に更正通知書に更正の理由を付記すべきものとしているのは、法が、青色申告制度を採用し、青色申告に係る所得の計算については、それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障した趣旨に鑑み、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるとの趣旨に出たものというべきであるから、更正通知書に記載された更正の理由が、理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正の理由付記として欠けるところはないと解するのが相当である。
    2. (ロ) 当てはめ
       これを本件更正処分等の理由付記についてみると、別紙2のとおり記載されており、これによると、1加算項目の(1)において原処分庁が認定した事実が列挙され、当該事実によって請求人がq社の名義を使用して締結した本件○○契約が民法第667条第1項に規定する組合契約に該当すると判断したことが記載され、かつ、組合事業から生ずる利益が分配割合に応じて各組合員に直接帰属することを示した上で、当該認定事実及び判断を前提に請求人の所得金額に加算及び減算する金額の計算過程が記載されているから、原処分庁が本件更正処分等を行うに至った理由が具体的に明示されているといえる。
       このように、本件更正処分等の理由付記は、原処分庁による判断結果とその基礎とされた事実関係が具体的に明示され、原処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるという趣旨目的を充足する程度に具体的に記載されているものといえるから、法人税法第130条第2項の要求する更正の理由付記として欠けるところはないというべきである。
       したがって、本件更正処分等の理由付記に不備はない。
  • ロ 本件各納税告知処分等の理由付記について
    1. (イ) 法令解釈
       行政手続法第14条第1項が、不利益処分をする場合に、その名宛人に、同時にその理由を示さなければならないとしているのは、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものと解されるから、当該処分の理由が、上記の趣旨を充足する程度に処分の理由を具体的に明示するものである限り、同項本文の要求する理由の提示として不備はないものと解するのが相当である。
    2. (ロ) 当てはめ
       これを本件各納税告知処分等の理由付記についてみると、別紙3のとおり記載されており、これによると、原処分庁が認定した事実が列挙され、当該事実により、1請求人が本件○○契約を締結したこと、2本件○○契約が民法第667条第1項に規定する組合契約に該当すること、3本件○○契約に基づく利益分配金が所得税法第161条第1号の2に規定する国内源泉所得に該当すること、及び4所得税法第212条第5項の規定により請求人に源泉徴収義務があることと判断したことが記載され、かつ、当該認定事実及び判断を前提に請求人が源泉徴収すべき税額及び請求人がこれを行っていないことが記載されており、原処分庁が本件各納税告知処分等を行うに至った理由が具体的に明示されているといえる。
       このように、本件各納税告知処分等の理由付記は、原処分庁による判断結果とその基礎とされた事実関係が具体的に明示され、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるという行政手続法の趣旨目的を充足する程度に具体的に記載されているものといえる。
       したがって、本件各納税告知処分等の理由付記に不備はない。

(2) 争点2(当初更正処分等を取り消し、処分理由を書き直して本件更正処分等をしたことは、違法か否か。)

原処分庁が、更正処分を取り消し、再度更正処分をすることができないとする法令の規定はなく、原処分庁は、適正な課税の確保の実現を図るため、更正処分等の瑕疵を発見したときは、当該瑕疵が実体的なものであれ手続的なものであれ、これを取り消して新たに更正処分をなし得るものと解すべきである。
 本件の場合、原処分庁が、当初更正処分等に係る通知書に付記された更正の理由に不備を発見し、当初更正処分等を取り消して、是正した更正の理由を付記して本件更正処分等を行ったことは、瑕疵ある処分を是正したものであり、課税権の濫用をうかがわせる事実は何ら認められないから、違法とは認められない。

(3) 争点3(本件○○契約は、組合契約に当たるか否か。)

  • イ 認定事実
     原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
    1. (イ) 本件○○契約書の第10条に定められたとおり、売上げから「共通経費」を控除して計算された利益が、定められた分配割合により本件契約当事者に分配されていた。
    2. (ロ) 上記の利益分配金の計算において売上げから控除される「共通経費」とは、本件○○業務に係る費用のうち、広告費及びサーバー利用料等の本件商材の販売に直接要する費用であり、本件契約当事者が負担する人件費、外注費、事務所賃借料、水道光熱費、通信料等の費用は「共通経費」に含まれていない。
  • ロ 当てはめ
     民法第667条第1項は、「組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。」と規定し、組合契約が有効に成立するためには、12人以上の当事者の存在、2各当事者が出資をすることを合意したこと、3各当事者が共同の事業を営むことについて合意したことの各要件が必要であると解される。したがって、本件○○契約がこれらの要件を満たすかどうかについて、以下検討する。
    1. (イ) 2人以上の当事者の存在
       本件○○契約は、上記1の(4)のチのとおり、本件契約当事者の4者により締結された契約であるから、2人以上の当事者が存在するといえる。この点について、原処分庁と請求人の間に争いはない。
    2. (ロ) 各当事者が出資をすることを合意したこと
       本件○○契約において、本件契約当事者が金銭出資を行う旨の定めはないが、民法第667条第1項にいう「出資」は、金銭に限らず、極めて広い概念であり、金銭はもとより、金銭以外の物、債権、労務などでもよいと解されている。
       上記1の(4)のチのとおり、本件○○契約書の第7条では、本件契約当事者が分担する役割が定められ、第3条ないし第6条において本件契約当事者がこれらの役割を果たすことが義務付けられている。また、上記イの(ロ)のとおり、これらの役割を果たすために要する費用は、本件○○業務の利益の計算において売上げから控除される「共通経費」に含まれておらず、本件契約当事者は自らの負担でこれらの役割を果たしていることからすると、本件契約当事者がこれらの役割を果たすことが出資であり、本件○○契約において本件契約当事者が出資に合意しているとみることができる。
    3. (ハ) 各当事者が共同の事業を営むことについて合意したこと
       共同の事業を営むことの合意が認められるためには、「共同で営む事業の内容(組合の目的)についての合意」と、「その事業を共同で営むことについての合意」とを要し、「事業を共同で営む」というためには、各当事者が当該組合の事業の遂行に関与し得る権利をもつこと、及び各当事者が事業の成功に何らかの利害関係を有することが必要であると解される。
       本件○○契約は、上記1の(4)のチのとおり、本件商材の販売という事業の成功を目的として締結されたものであり、本件契約当事者間に「共同で営む事業の内容についての合意」はあるといえる。
       また、上記1の(4)のチのとおり、本件○○契約書には、第3条ないし第7条において、本件契約当事者の販売上の権利、義務及び役割が明確に定められているほか、第12条において、本件契約当事者のいずれかの契約違反を理由に契約の解除の申入れができることが定められていることからすれば、本件契約当事者は本件○○業務の遂行に関与し得る権利を有しており、また、第10条では、本件商材の販売による利益を同条第2項に定めた分配率により本件契約当事者に分配することとされていることからすれば、本件契約当事者は本件○○業務の成功に利害関係を有しているといえる。したがって、本件契約当事者間には、「その事業を共同で営むことについての合意」があるといえる。
       以上のことから、本件契約当事者が共同の事業を営むことについて合意したと認められる。
       したがって、上記(イ)ないし(ハ)のとおり、本件○○契約は、上記1ないし3の全ての要件を満たすことから組合契約に当たる。
  • ハ 請求人の主張について
    1. (イ) 本件利益分配金について
       請求人は、本件利益分配金について、本件契約当事者が果たすべき役割の対価の算定方法として、利益分割法的対価算定方法は一般的に採用される方法であるから、原処分庁が、利益分割法的対価算定方法を採用していることを根拠として、本件契約当事者が果たすべき役割の対価を出資に対する利益分配金であると認定していることは誤りである旨主張する。
       しかしながら、上記ロの(ロ)のとおり、本件契約当事者には出資の合意があったと認められることからすると、本件利益分配金は当該出資に対するものとみるのが相当であるから、この点における請求人の主張には理由がない。
    2. (ロ) 出資の評価について
       請求人は、組合における出資は利益分配割合決定上及び残余財産分配上重要な意味を持つから、本件契約当事者が評価できる形で提供されるはずであり、本件○○契約については、出資が評価された事実がないから出資は行われていない旨主張する。
       しかしながら、上記ロの(ロ)のとおり、本件契約当事者には出資の合意があったと認められることからすると、本件利益分配金は当該出資に対するものとみるのが相当であるから、本件利益分配金は出資に対するものであり、本件契約当事者の果たすべき役割である出資を評価した結果が利益分配割合に表れているとみることができる。したがって、請求人の主張には理由がない。
    3. (ハ) 組合の事業の遂行に関与し得る権利について
       請求人は、組合の事業の遂行に関与し得る権利として、民法第673条に基づく検査権及び同法第672条第2項に基づく解任権を有することが必要である旨主張する。
       しかしながら、これらの規定は、組合契約に定めがない場合の補充規定であるから、本件○○契約がこれらの規定に基づく検査権及び解任権を明示的に定めていないとしても、そのことをもって組合契約の該当性を欠くことにはならない。したがって、請求人の主張には理由がない。

(4) 争点4(請求人は、本件○○契約の契約当事者か否か。)

  • イ 認定事実
     原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
    1. (イ) q社の在籍者は代表者1名であり、名義貸しとアフィリエイト事業を行っている。q社の平成25年10月1日から平成26年9月30日までの事業年度における売上高は○○○○円、所得金額は○○○○円、総資産の額は○○○○円である。
    2. (ロ) q社は、役員が1名のみの法人で従業員がおらず事務処理能力がないため、本件業務委託契約を締結して、経理会計業務等を請求人に委託した。
    3. (ハ) 請求人代表者は、情報商材販売の業界ではインターネット上の悪意ある書き込みによる風評被害を受けやすいという状況を考慮し、風評被害が請求人に及ばないようにするために、また、一般顧客に対する責任及び義務をq社に帰属させて、請求人に責任及び義務が及ばないようにするために、q社と本件販売名義使用許諾契約を締結した。
    4. (ニ) 請求人代表者は、他の事業と同様に、風評被害が請求人に及ばないようにするために、q社の名義で本件商材の販売を行うこととした。本件商材の販売においては、特定商取引に関する法律第11条《通信販売についての広告》に規定する表示義務があり、q社を販売者として表示する必要があったため、本件○○契約の契約者名もq社とし、対外的に、法律的な意味における本件商材の販売者及び本件○○契約の当事者はq社であることを他の契約当事者に了解を得た上で、本件○○契約を締結した。
  • ロ 当てはめ
     本件○○契約書は、いわゆる処分証書に該当し、作成の真正に争いがないことからすると、他に特段の事情がない限り、作成者によって記載どおりの行為がなされたものと認めるべきである(最高裁昭和45年11月26日第1小法廷判決・集民101号565頁、最高裁昭和32年10月31日判決・民集11巻10号1779頁参照)。
     したがって、q社が本件○○契約の販売窓口業務を担当する契約当事者であることを否認する特段の事情の有無を検討するに、まず、q社は代表者1名のみの法人ではあるが、上記イの(イ)のとおり、いわゆるペーパーカンパニーではなくアフィリエイト事業を営む実体のある法人であることが認められ、その法人格を否認する特段の事情は認められない。また、上記イの(ニ)のとおり、本件○○業務における販売名義人をq社とすることを他の契約当事者が合意していることが認められる。
     以上の点を考慮すると、本件契約当事者は、本件○○契約の契約当事者の一当事者はq社であるとの意思に基づいて、本件○○契約を締結したと認められるのであって、本件○○契約の文言に反して、あえて契約当事者を請求人であるとする特段の事情があるとは認められない。
     これに対し、原処分庁は、本件○○契約の契約当事者が、q社ではなく請求人であることの根拠として、1請求人の従業員が本件○○契約に定められたq社が行うべき経理会計業務及び販売窓口業務を行っていたこと、2本件販売名義使用許諾契約に基づき請求人がq社の販売名義を使用していること、3請求人代表者らが、対外的な販売名義人はq社とするが実際の販売者は請求人である旨を契約当事者間で合意していたと申述したこと、4請求人が本件○○業務の売上げを自社の収益に計上していることを挙げる。
     しかしながら、これらの事実は、いずれも請求人とq社との間で締結された本件業務委託契約及び本件販売名義使用許諾契約に基づき、本件○○契約に定められたq社が行うべき経理会計業務及び販売窓口業務の全てを請求人が行っていたことに帰着するものである。そして、本件業務委託契約及び本件販売名義使用許諾契約と本件○○契約とは、契約当事者が異なる別個の契約である。
     上記イの(ロ)のとおり、q社は代表者1名のみの法人であるから本件業務委託契約を締結して、請求人に業務を委託したことに合理的な理由があり、上記1の(4)のヘのとおり業務委託料の支払も行われている。また、本件販売名義使用許諾契約についても、上記1の(4)のトのとおり、名義使用料を支払うことが定められているが、上記イの(ハ)のとおり、本件販売名義使用許諾契約が締結された理由は、インターネット上の悪意ある書き込みによる風評被害が請求人に及ばないようにするため、及び一般顧客に対する責任及び義務をq社に帰属させるためであるから、q社は、当該風評被害のリスク並びに責任及び義務を引き受けることの対価として、名義使用料を収受しているといえる。したがって、本件業務委託契約及び本件販売名義使用許諾契約の締結には合理的な理由があり、これらの契約の存在を否認する特段の事情は認められない。
     また、上記で述べたとおり、q社の法人格を否認する特段の事情はなく、本件販売名義使用許諾契約の締結の経緯からも、q社と請求人は、それぞれ別々の法人格を有すると認めることができる。
     したがって、請求人とq社との間で締結された本件業務委託契約及び本件販売名義使用許諾契約の存在意義を度外視した上で、法人格を有する異なった当事者間の別々の契約である本件○○契約と本件業務委託契約及び本件販売名義使用許諾契約をいわば不可分一体のものとみて、本件○○契約の当事者であるq社の存在を否認して、本件○○契約の当事者が請求人であると認定することはできない。
     以上のことから、請求人は本件○○契約の契約当事者ではない。

(5) 争点5(請求人は、本件利益分配金に係る源泉徴収義務者に当たるか否か。)

所得税法第212条第5項は、国内において組合契約に基づいて行う事業から生ずる利益で当該組合契約に基づいて配分を受ける国内源泉所得については、当該配分をする者を当該国内源泉所得の支払をする者とみなし、源泉徴収義務者とする旨規定している。
 また、所得税基本通達212-4は、所得税法第212条第5項に規定する「配分をする者」とは、同法第161条第1号の2に規定する国内源泉所得につき同項に規定する組合契約に基づき共同事業により配分をする者をいうのであるから、その全ての組合員は、同号に規定する利益につき源泉徴収する義務があることに留意する旨定めているところ、この取扱いは、当審判所においても相当と認める。
 これを本件についてみると、上記(3)のとおり、本件○○契約は組合契約に当たり、上記(4)のとおり、本件○○契約の契約当事者すなわち組合員は、請求人ではなくq社であると認められる。そうすると、仮に本件利益分配金が国内源泉所得に該当するとしても、本件○○契約から生ずる利益の配分をする者は、請求人ではなく、組合員である本件契約当事者であると認められる。
 したがって、請求人は、所得税法第212条第5項に規定する「配分をする者」には該当せず、本件利益分配金に係る源泉徴収義務者には当たらない。

(6) 本件更正処分について

上記(1)のとおり、本件更正処分の理由付記に不備はなく、また上記(2)のとおり、当初更正処分等を取り消し、処分理由を書き直して本件更正処分等をしたことは違法とは認められない。そして、上記(3)のとおり、本件○○契約は組合契約に当たり、組合契約に基づいて行われる事業から生ずる利益金額又は損失金額は、分配割合に応じて各組合員に直接帰属することとなるから、本件○○業務から生ずる利益のうち、本件○○契約に定められた20%相当額は、一旦q社に帰属する。しかしながら、上記1の(4)のトのとおり、本件販売名義使用許諾契約に係る契約書の第6条において、請求人がq社の名義を使用して発生した売上げ全てを請求人のものとする旨が定められていることから、q社に帰属するとされる本件○○業務から生ずる利益は、請求人に帰属すると認められる。これらに基づき、請求人の本件事業年度の法人税の所得金額及び納付すべき税額並びに本件課税事業年度の復興特別法人税の課税標準法人税額及び納付すべき税額を計算すると、いずれも本件更正処分の金額と同額となるから、本件更正処分は適法である。

(7) 本件賦課決定処分について

上記(6)のとおり、本件更正処分は適法であり、本件更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が本件更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項及び第2項の規定に基づいてされた本件賦課決定処分は適法である。

(8) 本件各納税告知処分について

上記(1)のとおり本件各納税告知処分の理由付記に不備はなく、また、上記(3)のとおり、本件○○契約は組合契約に当たるが、上記(4)のとおり、請求人は本件○○契約の当事者ではない。そして、上記(5)のとおり、仮に本件利益分配金が国内源泉所得に該当するとしても、請求人は本件利益分配金に係る源泉徴収義務者には当たらない。
 したがって、請求人が本件○○契約の実質的な当事者であり源泉徴収義務者に当たるとしてされた本件各納税告知処分は違法であるから、争点6について判断するまでもなく、その全部を取り消すべきである。

(9) 本件各賦課決定処分について

上記(8)のとおり、本件各納税告知処分はその全部を取り消すべきであるから、本件各賦課決定処分は、その全部を取り消すべきである。

(10) その他

原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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