別紙3 関係法令等の要旨

  1. 1 措置法第66条の4第1項は、法人が当該法人に係る国外関連者(外国法人で、当該法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の100分の50以上の数又は金額の株式又は出資を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める特殊の関係のあるものをいう。)との間で資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引を行った場合に、当該取引(一定の取引を除く。以下「国外関連取引」という。)につき、当該法人が当該国外関連者から支払を受ける対価の額が独立企業間価格に満たないとき、又は当該法人が当該国外関連者に支払う対価の額が独立企業間価格を超えるときは、当該法人の当該事業年度の所得に係る法人税法その他法人税に関する法令の規定の適用については、当該国外関連取引は、独立企業間価格で行われたものとみなす旨規定している(以下、この規定による特例を「移転価格税制」という。)。
  2. 2 措置法第66条の4第2項は、同条第1項に規定する独立企業間価格とは、国外関連取引が同条第2項各号に掲げる取引のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める方法のうち、当該国外関連取引の内容及び当該国外関連取引の当事者が果たす機能その他の事情を勘案して、当該国外関連取引が独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って行われるとした場合に当該国外関連取引につき支払われるべき対価の額を算定するための最も適切な方法により算定した金額をいう旨規定し、同項第1号は棚卸資産の販売又は購入に係る方法として、独立価格比準法(同号イ(特殊の関係にない売手と買手が、国外関連取引に係る棚卸資産と同種の棚卸資産を当該国外関連取引と取引段階、取引数量その他が同様の状況の下で売買した取引の対価の額に相当する金額をもって当該国外関連取引の対価の額とする方法をいう。))、再販売価格基準法(同号ロ(国外関連取引に係る棚卸資産の買手が特殊の関係にない者に対して当該棚卸資産を販売した対価の額から通常の利潤の額を控除して計算した金額をもって当該国外関連取引の対価の額とする方法をいう。))、原価基準法(同号ハ(国外関連取引に係る棚卸資産の売手の購入、製造その他の行為による取得の原価の額に通常の利潤の額を加算して計算した金額をもって当該国外関連取引の対価の額とする方法をいう。))(以下、これらの方法を併せて「基本三法」という。)及び基本三法に準ずる方法その他政令で定める方法(同号ニ(基本三法に準ずる方法その他政令で定める方法))を掲げ、同項第2号は、棚卸資産の販売又は購入以外の取引に係る方法として、基本三法及び基本三法に準ずる方法その他政令で定める方法と同等の方法を掲げている。
  3. 3 租税特別措置法関係通達(法人税編)(以下「措置法通達」という。)66の4(7)-1《同等の方法の意義》は、措置法第66条の4第2項第2号に規定する「同等の方法」とは、有形資産の貸借取引、金銭の貸借取引等、棚卸資産の売買以外の取引において、それぞれの取引の類型に応じて同項第1号に掲げる方法に準じて独立企業間価格を算定する方法をいう旨を定めている。
  4. 4 措置法通達66の4(7)-4《金銭の貸付け又は借入れの取扱い》は、金銭の貸借取引について独立価格比準法と同等の方法又は原価基準法と同等の方法を適用する場合には、比較対象取引に係る通貨が国外関連取引に係る通貨と同一であり、かつ、比較対象取引における貸借時期、貸借期間、金利の設定方式(固定又は変動、単利又は複利等の金利の設定方式をいう。)、利払方法(前払い、後払い等の利払方法をいう。)、借り手の信用力、担保及び保証の有無その他の利率に影響を与える諸要因が国外関連取引と同様であることを要することに留意する旨を定めている。
  5. 5 国税庁長官発遣の「移転価格事務運営要領の制定について(事務運営指針)」(平成28年6月28日付査調9-113ほか3課共同による改正前のもの。以下「移転価格事務運営指針」という。)2-6《金銭の貸借取引》(1)は、金銭の貸借取引について調査を行う場合には、法人税基本通達(以下「法基通」という。)9-4-2《子会社等を再建する場合の無利息貸付け等》の適用がある金銭の貸付けについては、移転価格税制の適用上も適正な取引として取り扱う旨定めている。
  6. 6 移転価格事務運営指針2-7《独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法による金銭の貸借取引の検討》は、法人及び国外関連者がともに業として金銭の貸付け又は出資を行っていない場合において、当該法人が当該国外関連者との間で行う金銭の貸付け又は借入れについて調査を行うときには、必要に応じ、次の(1)から(3)に掲げる利率を独立企業間の利率として用いる独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法の適用について検討する旨、その注書の1において、次の(1)、(2)及び(3)に掲げる利率を用いる方法の順に、独立企業原則に即した結果が得られることに留意する旨を定めている。また、その注書の2において、次の(2)に掲げる利率を用いる場合においては、国外関連取引の貸手における銀行等からの実際の借入れが、(2)の同様の状況の下での借入れに該当するときには、当該国外関連取引とひも付き関係にあるかどうかを問わないことに留意する旨を定めている。
    1. (1) 国外関連取引の借り手が、非関連者である銀行等から当該国外関連取引と通貨、貸借時期、貸借期間等が同様の状況の下で借り入れたとした場合に付されるであろう利率(以下、この利率を用いて独立企業間価格を算定する方法を「借り手の銀行調達利率による方法」という。)
    2. (2) 国外関連取引の貸手が、非関連者である銀行等から当該国外関連取引と通貨、貸借時期、貸借期間等が同様の状況の下で借り入れたとした場合に付されるであろう利率(以下、この利率を用いて独立企業間価格を算定する方法を「貸手の銀行調達利率による方法」という。)
    3. (3) 国外関連取引に係る資金を、当該国外関連取引と通貨、取引時期、期間等が同様の状況の下で国債等により運用するとした場合に得られるであろう利率(以下、この利率を用いて独立企業間価格を算定する方法を「国債等の運用利率による方法」という。)
  7. 7 法基通9-4-2は、法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする旨定めている。

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