別紙 関係法令等

1 国税徴収法

  1. (1) 国税徴収法(平成30年3月法律第7号による改正前のものをいい、以下「徴収法」という。)第98条《見積価額の決定》第1項は、国税局長(徴収法第184条《国税局長が徴収する場合の読替規定》の規定による読替え後のもの。以下同じ。)は、近傍類似又は同種の財産の取引価格、公売財産から生ずべき収益、公売財産の原価その他の公売財産の価格形成上の事情を適切に勘案して、公売財産の見積価額を決定しなければならない旨、この場合において、国税局長は、差押財産を公売するための見積価額の決定であることを考慮しなければならない旨規定し、同条第2項は、国税局長は、同条第1項の規定により見積価額を決定する場合において、必要と認めるときは、鑑定人にその評価を委託し、その評価額を参考とすることができる旨規定している。
  2. (2) 徴収法第104条《最高価申込者の決定》第1項は、徴収職員は、見積価額以上の入札者等のうち最高の価額による入札者等を最高価申込者として定めなければならない旨規定している。
  3. (3) 徴収法第107条《再公売》第1項は、国税局長は、公売に付しても入札者等がないときは、更に公売に付するものとする旨規定し、同条第2項は、国税局長は、同条第1項の規定により公売に付する場合において、必要があると認めるときは、公売財産の見積価額の変更その他公売の条件の変更をすることができる旨規定している。

2 国税徴収法基本通達

  1. (1) 国税徴収法基本通達(昭和41年8月22日付徴徴4−13ほか「国税徴収法基本通達の全文改正について」(法令解釈通達)による国税庁長官通達であり、平成30年12月19日付徴徴6−6による改正前のもの。以下「徴収法基本通達」という。)第98条関係2(公売財産の評価)は、公売財産の評価は、財産の所在する場所の環境、種類、規模、構造等、その財産の特性に応じ、「取引事例比較法」、「収益還元法」、「原価法」その他の評価方法を適切に用いるとともに、次に掲げる事項に留意して行う旨定めている。
    1. イ 公売財産について、例えば、不動産の地目、地積、種類、構造、床面積等について現況と登記簿上の表示が異なる場合であっても、現況のまま行うこと。この場合において、公売によって消滅又は新たに成立する権利があるときは、これを適切に考慮すること。
    2. ロ 公売財産の市場性、収益性、費用性その他の公売財産の価格を形成する要因を適切に考慮し、その財産の時価に相当する価額(消費税及び地方消費税相当額を含んだ価額をいい、以下「基準価額」という。)を求めること。
      • (注) 上記の「基準価額」は、公売財産を直ちに売却する場合に想定される現在価値であって、その財産の種類、性質などにより市場性が劣ること等による固有の減価(以下「市場性減価」という。)を適切に反映させることに留意する。
      • (注) 「取引事例比較法」、「収益還元法」及び「原価法」は、不動産評価の重要な指針となっている国土交通省の「不動産鑑定評価基準」(平成14年7月3日全部改正)に定められている評価方法である。
  2. (2) 徴収法基本通達第98条関係3(見積価額の決定)は、公売財産の見積価額は、その財産の評価額に基づき国税局長が決定する旨、この場合においては、差押財産等を公売により強制的に売却するためのものであることを考慮しなければならない旨を定め、次のことを掲げている。
    1. イ 見積価額は、差押財産等の基準価額から公売の特殊性を考慮した減価(以下「公売特殊性減価」という。)を控除して決定すること。ただし、買受人に対抗することができる公売財産上の負担があるときは、その負担に係る金額を更に控除して決定すること。
    2. ロ 公売特殊性減価は、公売には通常の売買と異なることによる特有の不利な要因として、次に掲げるような公売の特殊性があることから、基準価額のおおむね30%程度の範囲内で減価を行うこと。
      1. (イ) 公売財産は、滞納処分のために強制的に売却されるため、いわば因縁付財産であり、買受希望者にとって心理的な抵抗感があること。
      2. (ロ) 公売財産の買受人は、瑕疵担保責任(民法第570条《売主の瑕疵担保責任》)を追及することができず、また、原則として買受け後の解約、返品、取替えをすることができない上、その財産の品質、機能等について買受け後の保証がなく、国税局長は公売した不動産について引渡義務を負わないほか、公売手続に違法があった場合は一方的に売却決定が取り消されること。
      3. (ハ) 公売の日時及び場所等の条件が一方的に決定され、買受希望者は原則として建物についてその内部を事前に確認することができないなど公売財産に関する情報は限定され、公売の開始から買受代金の納付に至るまでの買受手続が通常の売買に比べて煩雑であり、また、買受代金は、その全額を短期間に納付する必要があること。
    3. ハ 見積価額の決定及び変更に当たっては、鑑定人による鑑定評価額、公売財産の精通者の意見等を参考とすることができる。
  3. (3) 徴収法基本通達第107条関係1−2(見積価額の変更)は、徴収法第107条第2項の「見積価額の変更」は、直前の見積価額の決定時点から公売財産の価格を形成する要因に変化があると認められる場合、新たな要因がじ後に判明した場合等、その直前の見積価額により公売することが適当でないと認められる場合に行うものとし、公売に付しても入札者等がない事実は、その公売財産の市場性が劣ることを示す合理的な理由の一つであることから、再公売を行う場合には、公売に付しても入札者等がなかったことによる市場性減価を直前の基準価額から適切に減価して見積価額を変更するものとし、この場合の市場性減価は、直前の基準価額のおおむね30%程度の範囲内とする旨定めている。

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