(令和4年7月1日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、太陽光発電関連事業等を営む審査請求人(以下「請求人」という。)が、法人税等及び消費税等の期限後申告書を提出したところ、原処分庁が、請求人に隠蔽又は仮装及び偽りその他不正の行為があるとして、法人税等及び消費税等に係る重加算税の賦課決定処分をしたのに対し、請求人が、調査手続に賦課決定処分の取消事由となる違法があり、また、隠蔽又は仮装及び偽りその他不正の行為はないとして、その全部の取消しを求めた事案である。

(2) 関係法令

関係法令は、別紙2のとおりである。
 なお、別紙2で定義した略語については、以下、本文においても使用する。

(3) 基礎事実及び審査請求に至る経緯

当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

  • イ 請求人は、平成3年4月○日に設立された法人であり、平成25年頃に自然エネルギー利用発電の企画、設計、許認可取得代行、用地取得、設備機器の販売及び設置工事に係る事業(以下「本件事業」という。)を開始した。
  • ロ 請求人は、本件事業に係る総勘定元帳等の帳簿を作成していなかった。
  • ハ 請求人は、原処分庁に対して、法人税、復興特別法人税及び地方法人税(以下、これらを併せて「法人税等」という。)並びに消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について、以下の各確定申告書をいずれも法定申告期限までに提出していなかった。
    • (イ) 法人税
       平成25年4月1日から平成26年3月31日までの事業年度(以下「平成26年3月期」といい、他の事業年度についても同様に表記する。)、平成27年3月期、平成28年3月期、平成29年3月期、平成30年3月期及び平成31年3月期(以下、これらを併せて「本件各事業年度」という。)の法人税の各確定申告書
    • (ロ) 復興特別法人税及び地方法人税
       平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税事業年度(以下「平成26年3月課税事業年度」といい、他の課税事業年度についても同様に表記する。)の復興特別法人税並びに平成28年3月課税事業年度、平成29年3月課税事業年度、平成30年3月課税事業年度及び平成31年3月課税事業年度の地方法人税の各確定申告書
    • (ハ) 消費税等
       平成29年4月1日から平成30年3月31日までの課税期間及び平成30年4月1日から平成31年3月31日までの課税期間(以下、これらを併せて「本件各課税期間」という。)の消費税等の各確定申告書
  • ニ 原処分庁所属の調査担当職員及びJ国税局長所属の調査担当職員(以下、両者を併せて「本件調査担当職員ら」という。)は、令和2年2月5日に平成27年3月期ないし平成31年3月期の法人税、平成28年3月課税事業年度ないし平成31年3月課税事業年度の地方法人税及び本件各課税期間の消費税等を対象とする調査を開始し、令和2年3月12日に平成26年3月期の法人税及び平成26年3月課税事業年度の復興特別法人税を対象とする調査を追加した(以下、追加の前後にかかわらずこれらの調査を「本件調査」という。)。
  • ホ 原処分庁は、令和2年3月23日に、別表1ないし別表4の「確定申告」欄のとおり記載され、請求人の社判及び代表者印が押印された上記ハに係る法人税等及び消費税等についての各確定申告書(以下「本件各申告書」という。)を収受した。
  • ヘ 原処分庁は、令和2年3月31日付で、いずれも別表1ないし別表4の「賦課決定処分」欄のとおり、重加算税の各賦課決定処分をし、その処分の通知書は請求人に対し同年4月6日に送達された。
  • ト 請求人は、上記への各処分を不服として、令和2年7月1日に、別表1ないし別表4の「再調査の請求」欄のとおり再調査の請求をしたところ、再調査審理庁は、同年9月25日付で、いずれも別表1ないし別表4の「再調査決定」欄のとおり、棄却の再調査決定をし、その決定書謄本は請求人に対し同月29日に送達された。
  • チ 請求人は、再調査決定を経た後の原処分に不服があるとして、令和2年10月28日に審査請求をした。

2 争点

(1) 本件調査の手続に原処分を取り消すべき違法があったか否か(争点1)。

(2) 請求人に、通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったか否か(争点2)。

(3) 請求人に、通則法第70条第4項第1号に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する事実があったか否か(争点3)。

3 争点についての主張

(1) 争点1(本件調査の手続に原処分を取り消すべき違法があったか否か。)について

原処分庁 請求人
以下のとおり、本件調査の手続に原処分を取り消すべき違法はなかった。 以下のとおり、本件調査の手続に原処分を取り消すべき違法があった。
イ 本件調査担当職員らは、令和2年3月19日、請求人の代表者(以下「本件代表者」という。)に対して、本件各申告書の案等を提示し、その内容を説明したところ、本件代表者が本件各申告書の案に請求人の社判と代表者印を押印し、本件各申告書を作成した。これを受け、本件調査担当職員らは、本件代表者に対して、原処分庁の本件調査の結果(以下「本件調査結果」という。)の説明についての決裁(以下「本件決裁」という。)後に本件各申告書を提出するよう依頼したが、本件代表者から「今日、持ち帰ってくれ」との申出があったことから本件各申告書を預かったものであり、その際に、通則法第74条の11第3項所定の事項を記載した「修正申告等について」と題する書面(以下「本件教示書面」という。)を交付し、期限後申告に伴う法的効果について説明した。そうすると、本件調査担当職員らが本件決裁の前に本件教示書面を交付したことは、本件代表者からの申出に起因するものと認められる。
 なお、調査の終了の際の手続は、課税処分の基礎となる証拠資料の収集手続に影響を及ぼさない手続であるから、原処分の取消しの要否の判断には影響しない。
イ 本件調査担当職員らが、本件決裁の前である令和2年3月19日に、本件代表者に対して、詳しい書類の内容説明もなく、本件各申告書の案を作成・提示したこと、本件各申告書の案への請求人の代表者印の押印を止めずに持ち帰ったこと及び期限後申告書を提出した場合の不利益を記載している本件教示書面を手交し説明したことは、明らかに通則法第74条の11に違反する。
ロ 本件調査担当職員らは、令和2年3月23日、請求人の事務所兼本件代表者の自宅において、同月19日付質問応答記録書の内容の一部の文言の整理を行った上、聴き取りしていたが記載していなかった項目を追加し、金額等が誤っていた当該質問応答記録書の別紙を訂正して、再度、質問応答記録書を作成した。また、その後、同日に、本件決裁を終了し、本件代表者に対して電話で同月19日に説明したとおりで本件決裁が終了した旨、本件各申告書を収受する旨及び加算税の賦課決定通知書を送付する旨の説明を行った。 ロ 原処分庁は、非違の内容を説明していないことから、本件調査結果の説明があったとはいえない。
 また、原処分庁は、令和2年3月19日、金額等が誤っていた質問応答記録書の別紙に基づき、本件各申告書の案の説明を行い、かつ、内容に誤りのある本件各申告書の案に代表者印等を押印させた。
 さらに、本件代表者は、本件調査担当職員らとは、令和2年3月19日に会ったのが最後で、同月23日には本件調査担当職員らと面談したこともなく、電話で本件調査結果の説明を受けた記憶もないことから、本件代表者は、同月23日に本件各申告書の内容を確認しておらず、代表者の記名及び押印も行っていない。

(2) 争点2(請求人に、通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったか否か。)について

原処分庁 請求人
以下のとおり、請求人には、通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があった。 以下のとおり、請求人には、通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はなかった。
イ 本件代表者は、本件各事業年度において、請求人に確定申告すべき所得金額が発生していること及び請求人の申告が必要であることの認識があった。
 また、本件代表者の申述によれば、本件代表者は少なくとも平成30年10月15日までに平成28年3月期及び平成29年3月期の各決算報告書(以下「本件各決算報告書」という。)を作成していると認められるところ、そこには当期純利益の金額が記載されているのであるから、申告することが可能であった。
 請求人は、これらのことにもかかわらず、本件調査が行われるまで、あえて、法人税等及び消費税等の確定申告書を提出しなかったと認められる。
イ 請求人は、正規の簿記に基づく収支計算を行っておらず、総勘定元帳等の帳簿も作成していないことから、本件各事業年度の各所得金額等を認識していなかった。
 また、本件代表者は、請求人の確定申告を行うために、本件各決算報告書を作成し、平成30年10月15日に本件各決算報告書を持参してK税務署に出向き、請求人の申告書の作成を依頼したところ、税理士に相談するように指導された。
 K税務署が、本件各決算報告書に基づき申告書原案を作成し、本件代表者に提示していれば、請求人は、平成28年3月期及び平成29年3月期の法人税の確定申告書を提出できたと思料する。
ロ 本件代表者は、本件事業に関する書類を段ボール箱に入れて保管していた(以下、当該段ボール箱を「本件段ボール箱」という。)にもかかわらず、これらの書類を本件調査担当職員らへ提示しないばかりか、1本件事業に関する帳簿や書類は事業を辞めたので捨てた旨、2本件事業に関する帳簿を作成しなかった旨、3本件事業に関する書類のうち裁判に必要な書類以外はほとんど捨てている旨、及び4本件事業に関する書類について保存義務があることは知っていたが申告するつもりがなく、取引が終了した書類は必要ないと考え捨てた旨申述した。 ロ 請求人は、総勘定元帳等のような帳簿は作成していないが、申告に必要な書類は破棄も隠匿もしておらず、預金通帳、係争中の案件や大規模案件等の売買契約書等の重要資料は本件調査担当職員らに提示し、本件調査担当職員らから提示を求められた書類も、その都度提示した。その他、重要でない書類は本件段ボール箱に入れて本件代表者の自宅の押入れで保管しており、本件段ボール箱は再調査審理庁の担当職員(以下「本件再調査担当職員」という。)に提示した。
 原処分庁は、請求人がどの書類を破棄したのか、隠匿した書類は何であるか、具体的な書類の種類、名称を示していないので、隠蔽又は仮装に当たらない。
 なお、本件代表者は、偽りの発言をしたことはない。
ハ 本件代表者は、本件調査担当職員らに対して、請求人に帰属する多額の売上げの入金がある一部の預金通帳を提示せず、また、その口座の存在も告げなかったことが認められる。 ハ 本件代表者は、本件調査担当職員らからの求めに応じて、令和2年2月7日午前中までに保持していた預金通帳を全て提示している。
ニ 以上イないしハのことからすると、本件代表者は、請求人の本件各事業年度の法定申告期限までに申告すべき所得金額が発生していることの認識があったにもかかわらず、請求人の事業に係る帳簿書類を作成しなかった旨又は破棄した旨申述し、総勘定元帳等の帳簿を作成していなかったことなど、請求人の事業における収益及び対価の享受に係る事実(所得金額)を隠蔽し、あるいは故意に脱漏したものであり、結果として請求人の課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実(所得金額)を隠蔽したものと認められる。 ニ 本件調査担当職員らが本件各申告書の案を作成したが、その内容について、課税要因の事実関係(日付、金額、内容、相手先等)が明確ではないから、原処分庁は、隠蔽又は仮装したと認定することはできない。

(3) 争点3(請求人に、通則法第70条第4項第1号に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する事実があったか否か。)について

原処分庁 請求人
  • イ 上記(2)の「原処分庁」欄のとおり、請求人の行為は、通則法第68条第2項の課税要件を満たすものであるから、通則法第70条第4項第1号に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する。
  • ロ 本件代表者が、1本件調査担当職員らの通帳の提示の求めに対して多額の売上げが入金された請求人名義の預金通帳を提示しなかったこと、2総勘定元帳等の帳簿を作成しなかったこと、及び3本件事業に関する書類について保存義務があることを知っていたにもかかわらず、申告するつもりがなく、取引が終了した書類は必要がないと考え捨てたことは、税額を免れる意図の下で行った税の賦課徴収を不能又は著しく困難にするような偽計その他の工作を伴う不正な行為であると認められ、通則法第70条第4項第1号に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する。
原処分庁は、左記の「原処分庁」欄のとおり主張するが、1銀行入金額のほとんどが入金時には預り金であること、2本件代表者に確定申告書を作成できる能力がないので、本件各決算報告書を作成し申告相談にK税務署に出向いていること、3所持している通帳(本件段ボール箱に入っていた通帳は除く。)は全て提示していること、4本件代表者は書類を隠匿しておらず、本件調査の時に提示した書類以外の事業書類も本件段ボール箱で保管していたこと、及び5本件段ボール箱については、本件再調査担当職員が開封して確認を行ったことから、請求人に、「偽りその他不正の行為」に該当する事実はない。

4 当審判所の判断

(1) 争点1(本件調査の手続に原処分を取り消すべき違法があったか否か。)について

  • イ 認定事実
     請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
    • (イ) 質問応答記録書について
       本件調査担当職員らは、本件調査において、令和2年2月7日付、同年3月19日付及び同月23日付の各質問応答記録書を作成した。  
      • A 令和2年2月7日付の質問応答記録書は、同月5日に行われた本件代表者と本件調査担当職員らとの質問応答の要旨を録取したものであり、同年3月19日付及び同月23日付の各質問応答記録書は、いずれも同月19日に行われた本件代表者と本件調査担当職員らとの質問応答の要旨を録取したものである。
      • B 本件代表者は、上記Aの各質問応答記録書の内容について訂正を申し出ることなく問答末尾に署名及び押印するとともに、同記録書の各ページに設けられた「確認印」欄並びに令和2年3月19日付及び同月23日付の同記録書に添付された各資料の各ページにそれぞれ押印した。
    • (ロ) 令和2年3月19日に行った本件調査について  
      • A 本件調査担当職員らは、請求人の事務所兼本件代表者の自宅において、本件各事業年度における請求人の所得金額、納付税額等を説明するため、本件代表者に対して本件調査による所得金額、納付税額等を記載した調査事項検討表(以下「本件検討表」という。)を手交するとともに、本件検討表及び本件検討表等を基に作成した本件各申告書の案を示しながら内容を説明したところ、本件代表者は、本件各申告書の案に請求人の社判及び代表者印を押印し、本件各申告書を作成した。
      • B 上記Aのとおり、本件代表者が本件各申告書を作成したことを受け、本件調査担当職員らは、本件代表者に対して本件各申告書の提出は本件決裁の後に行うよう依頼したが、本件代表者からは、本日(令和2年3月19日)に本件各申告書を持ち帰ってほしい旨の申出があった。
      • C 上記Bの申出を受け、本件調査担当職員らは、本件各申告書を収受する日は本件決裁の後とすることとし、その旨、本件代表者の了承を得た上で、本件各申告書を預かった。その際、本件調査担当職員らが、本件決裁の後に本件調査結果の説明を行う旨を伝えたところ、本件代表者は、本件調査結果の説明は電話でよい旨申し出た。
      • D そして、本件調査担当職員らは、本件各申告書を預かるに当たり、本件代表者に対して本件教示書面を手交の上、その内容を説明した。
      • E また、同日、上記(イ)のとおり、令和2年3月19日付の質問応答記録書が作成され、そこには、本件各事業年度の売上げ及び原価が記載された別紙が添付された。
    • (ハ) 令和2年3月23日に行った本件調査について  
      • A 本件調査担当職員らは、上記(ロ)のEの別紙の金額等に誤りがあったことから、請求人の事務所兼本件代表者の自宅に赴き、当該誤りの訂正等を内容とする令和2年3月23日付の質問応答記録書を作成するとともに、本件代表者に対し、本件調査結果を説明するため夕方頃連絡する旨を約束した。
      • B その後、原処分庁は、本件調査結果について審議を行った結果、上記(ロ)のAの本件代表者に説明した内容と同一の内容で本件決裁を了したことから、本件調査担当職員らは、本件代表者に電話をし、本件決裁が終了した旨や本件調査結果の説明は上記(ロ)のAの本件代表者に説明した内容と同一の内容である旨を説明し、併せて、令和2年3月19日に請求人から預かっていた本件各申告書を本日(同月23日)収受する旨を伝えた。
  • ロ 検討及び請求人の主張に係る判断
    • (イ) 上記イの(ロ)のAのとおり、本件代表者は本件調査担当職員らから本件各申告書の案の内容の説明を受けており、その内容を理解した上で社判及び代表者印を押印して本件各申告書を作成したものと認められる上、上記イの(ロ)のB及びCのとおり、本件代表者が望んだため本件調査担当職員らが本件各申告書を持ち帰り預かることになったものであって、その際、本件調査担当職員らは、本件各申告書は本件決裁の後に収受する旨本件代表者から了承を得ている。そして、上記イの(ハ)のBのとおり、本件決裁の後の本件代表者に対する電話での説明において、本件決裁が終了した旨や当該説明当日に本件各申告書を収受する旨を伝えた上で、そのとおりに本件各申告書を収受したのであるから、本件各申告書の作成・収受に関する本件調査担当職員らの行為に違法とされる点は認められない。
       なお、上記イの(ロ)のA及びDのとおり、本件調査担当職員らは、本件決裁や同決裁後の本件調査結果の説明に先立ち、本件代表者に対し、調査内容の説明並びに本件教示書面の交付及び同書面に係る説明を行っている。しかしながら、通則法第74条の11第2項及び同条第3項に基づく各説明より前に、調査を受けた納税者に対し、調査内容の説明を行うことや期限後申告に伴う法的効果の説明を行うことを禁じる規定等はない上、上記イの(ハ)のBのとおり、本件調査担当職員らは、本件決裁後に、電話で本件代表者に対し、本件決裁が終了した旨や本件調査結果の説明は上記イの(ロ)のAの本件代表者に説明した内容と同一の内容である旨説明しているのである。また、本件調査担当職員らが、本件決裁の前に本件教示書面の交付や同書面に係る説明を行ったのは、上記イの(ロ)のBのとおり、本件代表者が、本件決裁の前に、本件各申告書を持ち帰るよう望み、それを本件決裁の後で収受することについて本件代表者の了承を得て預かることになったため、納税者の便宜に配意したものと考えられるから、上記イの(ロ)のA及びDの各説明が違法となるものではない。
       その他、本件調査の手続に違法な点はない。
    • (ロ) 請求人は、上記3の(1)の「請求人」欄のイのとおり、本件決裁の前に本件教示書面を手交し説明したこと等は通則法第74条の11に違反する旨主張するが、本件調査の手続に違法な点がないことは上記(イ)のとおりであるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
       また、請求人は、上記3の(1)の「請求人」欄のロのとおり、原処分庁が非違の内容を説明していないから本件調査結果の説明があったとはいえない旨主張するが、上記イの(ハ)のBのとおりの事実が認められることからすると、非違の内容は説明されており、本件調査結果の説明はあったものと認められる。
       さらに、請求人は、上記3の(1)の「請求人」欄のロのとおり、原処分庁は金額等が誤っていた上記イの(ロ)のEの別紙に基づき本件各申告書の案を説明し、内容に誤りのある本件各申告書の案に代表者印等を押印させ、かつ、令和2年3月23日には面談も電話連絡もなかった旨主張する。そして、その証拠として、同日に、本件代表者が、d市にある○○店に来店した旨の記載がある同店従業員作成に係る「事実の確認書」と題する書面を当審判所に提出している。
       確かに、上記イの(ロ)のEの別紙の金額等には、その内容において一致する本件検討表、本件各申告書及び令和2年3月23日付質問応答記録書の別紙の金額等と相違している箇所が存在していることが認められる。
       しかしながら、上記イの(ロ)のAのとおり、本件調査担当者らによる本件各申告書の案についての説明は、本件検討表に基づき行われたものと認められる上、本件各申告書の記載自体が訂正された事実は認められず、当審判所の調査によっても本件各申告書の記名及び印影に不自然な点はない。加えて、上記イの(イ)のBのとおり、令和2年3月23日付の質問応答記録書に本件代表者の署名及び押印があることからすると、上記イの(ハ)のAのとおり、上記イの(ロ)のEの別紙の金額等の誤りは令和2年3月23日に本件代表者によって任意に訂正されていたものと認められ、上記イの(ロ)のEの別紙の金額等の誤りが是正された上で、上記イの(ハ)のBのとおり、本件調査担当者らにより本件代表者に対し、預かっていた本件各申告書を収受する旨が伝えられたものと認められる。
       また、当審判所の調査によれば、本件代表者が令和2年3月23日に○○店に訪店していないことが確認されており、一方で、上記イの(ハ)のAのとおり、同日に本件調査担当職員らが請求人の事務所兼本件代表者の自宅に赴き、本件代表者と面談したことが認められる。
       よって、上記3の(1)の「請求人」欄のロの請求人の主張には理由がない。
    • (ハ) 以上のとおり、本件調査の手続に原処分を取り消すべき違法があるとは認められない。

(2) 争点2(請求人に、通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったか否か。)について

  • イ 法令解釈
     通則法第68条第2項は、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出しなかったときは、当該納税者に対して、重加算税を課する旨規定している。この隠蔽又は仮装に基づく無申告に対して重加算税を課する制度は、納税者が無申告について隠蔽、仮装という不正手段を用いていた場合に、無申告加算税よりも重い行政上の制裁を科することによって、悪質な納税義務違反の発生を防止し、もって申告納税制度による適正な徴税の実現を確保しようとするものである。
     したがって、重加算税を課するためには、納税者が法定申告期限までに納税申告書を提出しなかったこと(無申告行為)そのものとは別に、隠蔽、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた無申告行為を要するものである。
     そして、通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し」とは、課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、これを隠匿しあるいは故意に脱漏することをいい、「仮装し」とは、所得、財産あるいは取引上の名義等に関し、あたかもそれが真実であるかのように装う等、故意に事実をわい曲することをいうものと解される。
     しかし、上記の重加算税制度の趣旨に鑑みれば、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまで必要であると解するのは相当でなく、納税者が当初から課税標準等及び税額等を法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき法定申告期限までに申告をしなかったような場合には、重加算税の上記賦課要件が満たされるものと解するのが相当である。
  • ロ 認定事実
     請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
    • (イ) 本件代表者は、遅くとも平成27年頃には、請求人に利益が出ており、申告が必要であるとの認識があった。
    • (ロ) 本件代表者は、令和2年2月5日及び同年3月19日、本件調査担当職員らに対し、請求人の事業に関する書類は破棄した旨申述した。
    • (ハ) 本件代表者は、令和2年2月7日、本件調査担当職員らに対し、1L銀行○○支店の本件代表者名義の普通預金口座の預金通帳4冊、2M銀行○○支店の請求人名義の普通預金口座の預金通帳1冊、3N銀行○○支店の請求人名義の普通預金口座の預金通帳1冊、及び4N銀行○○支店の本件代表者名義の普通預金口座の預金通帳1冊の合計7冊の預金通帳を提示した。
       また、同月20日、5L銀行○○支店の請求人名義の普通預金口座(口座番号○○○○)の預金通帳1冊を提示した(以下、上記1ないし5に掲げる8冊の預金通帳を「本件各通帳」という。)。
       なお、本件代表者は、本件調査において、L銀行○○支店の請求人名義の普通預金口座(口座番号○○○○)(以下「本件L口座」という。)に係る預金通帳は提示しなかった。
       また、本件L口座への請求人以外からの振込入金額は、平成26年3月期は128,507,702円、平成27年3月期は286,892,280円、平成28年3月期は369,009円、平成29年3月期は201,730円、平成30年3月期は1,730円及び平成31年3月期は1,730円であった。
    • (ニ) 本件代表者は、令和2年2月5日、同月7日、同月20日、同月27日、同年3月5日及び同月12日に本件調査担当職員らに対し、管理していた請求人の収入に関する書類及び請求人の支出に関する領収証等の書類を提示した。
    • (ホ) 本件調査担当職員らは、本件各通帳及び本件L口座に係る口座の入金履歴等を基に、請求人の取引先等に対する調査を実施するなどし、請求人の本件各事業年度に係る売上金額を確認した。
    • (ヘ) 本件代表者が平成30年に使用していた手帳(以下「本件手帳」という。)の平成30年10月9日、同月15日及び翌16日の欄には、税務署へ行く旨の記載がある。
  • ハ 検討及び原処分庁の主張に係る判断
    • (イ) 上記1の(3)のロ及び上記ロの各事実に照らすと、本件代表者は、遅くとも平成27年頃には、請求人に利益が出ており、申告が必要であるとの認識があったと認められるものの、無申告行為そのものとは別に、請求人に、隠蔽、仮装と評価すべき積極的な行為が存在し、これに合わせた無申告行為があったとは認められない。
    • (ロ) 原処分庁は上記3の(2)の「原処分庁」欄のとおり、請求人には「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があった旨主張する。確かに、上記1の(3)のロのとおり、請求人は、総勘定元帳等の帳簿を作成しておらず、また、上記ロの(ロ)のとおり、本件代表者は、事業に関する書類を破棄した旨申述したことが認められる。しかしながら、請求人が帳簿を作成していなかったことそれ自体は隠蔽とも仮装ともいえるものではない。また、本件代表者は、上記ロの(ハ)及び(ニ)のとおり一定の書類を提示しているところ、それ以外にいかなる書類が存在し何を破棄したのか等、書類の破棄に係る詳細が明らかでないことからすると、上記申述をもって、請求人が課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、これを隠匿しあるいは故意に脱漏したものと認めることはできない。
       さらに、原処分庁は、上記3の(2)の「原処分庁」欄のロ及びハのとおり、法定申告期限後の事情を主張するところ、これらは上記イの「納税者が当初から課税標準等及び税額等を法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき法定申告期限までに申告をしなかったような場合」に該当する旨主張するものとも取れるため、以下、検討する。
       確かに、上記ロの(ロ)のとおり、本件代表者は書類を破棄した旨申述したことが認められるが、上記のとおり、書類の破棄に係る詳細が明らかでないことに加え、上記ロの(ハ)及び(ニ)のとおり、本件代表者が本件調査担当職員らに本件各通帳等の書類を提示していることからすると、本件事業を廃止したから書類を破棄した旨申述したことをもって、請求人が、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認めることはできない。
       また、上記3の(2)の「原処分庁」欄のハの主張については、確かに、上記ロの(ハ)のとおり、本件代表者において、本件L口座に係る預金通帳が提示されなかったことが認められるが、一方、本件代表者は、同口座以外の口座に係る預金通帳を本件調査担当職員らに提示している上、本件L口座の請求人以外からの振込入金額は、平成26年3月期及び平成27年3月期は多額であるものの、平成28年3月期以降は大きくその金額が減少し、特に平成30年3月期及び平成31年3月期の入金額は僅少であること並びに本件L口座と銀行、支店が同一の請求人名義の別の口座に係る預金通帳を提示していることなどからすると、本件L口座に係る預金通帳の存在を失念するなどして提示しなかった可能性を否定できず、同通帳のみを提示しなかったことをもって、請求人が、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認めることもできない。そして、本件代表者は申告相談のために税務署を訪れた旨申述しているところ、上記ロの(ヘ)のとおり、本件手帳に税務署に行く旨記載されていること及びその他に特段これを疑うべき事情や証拠もないことからすると、むしろ本件代表者が申告相談のために税務署を訪問していたことがうかがわれるのであるから、本件代表者において、一貫して無申告の意図を有していたということはできない。
       さらに、原処分庁は、上記3の(2)の「原処分庁」欄のロのとおり、本件段ボール箱を本件調査の時に本件調査担当職員らに提示しなかった旨主張する。しかしながら、本件段ボール箱の中に、特段重要な書類があったという証拠はないことに加え、上記ロの(ハ)及び(ニ)のとおり、本件代表者は、本件調査の時に、本件調査担当職員らに本件調査に必要な一定の書類は提示していることからすると、本件段ボール箱を提示しなかったことをもって、請求人が、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認めることはできない。
       なお、原処分庁は、上記3の(2)の「原処分庁」欄のイのとおり、本件代表者は、本件各決算報告書を作成しており、申告が可能であった旨主張する。しかしながら、同報告書の作成時期は明らかではない上、本件代表者が本件各決算報告書を作成していたことは、請求人に利益が出ており、申告が必要であることの認識があったことを裏付ける証拠になり得るとしても、それ以上に、無申告の意図を有していたことを外部からもうかがい得る特段の行動となるものではない。かえって、上記ロの(ヘ)のとおりの本件手帳の記載からすれば、請求人が上記3の(2)の「請求人」欄のイのとおり主張するように、税務相談のために本件各決算報告書を作成したものともいえるから、この点からも本件各決算報告書の作成をもって無申告の意図を有していたことを外部からもうかがい得る特段の行動になるとはいい難い。
       以上のことからすると、本件代表者は、遅くとも平成27年頃には、請求人に利益が出ており、申告が必要であるとの認識があったということを考慮しても、請求人が、当初から課税標準等及び税額等を法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき法定申告期限までに申告をしなかったと評価することはできない。
    • (ハ) したがって、請求人に、通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったと認めることはできない。

(3) 争点3(請求人に、通則法第70条第4項第1号に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する事実があったか否か。)について

  • イ 法令解釈
     通則法第70条は、国税の更正、決定等の期間制限(賦課権の除斥期間)を規定しているところ、同条第4項において、偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れた国税についての更正決定等に関しては、その除斥期間を7年と規定し、それ以外の場合よりも長い除斥期間を規定している。これは、偽りその他不正の行為によって国税の税額の全部又は一部を免れた納税者がある場合、これに対して適正な課税を行うことができるよう、それ以外の場合よりも長期の除斥期間を規定したものである。
     したがって、ここでいう「偽りその他不正の行為」とは、税の賦課徴収を不能又は著しく困難にするような何らかの偽計その他の工作を伴う不正な行為を行っていることをいうのであって、単なる不申告行為などはこれに含まれないが、納税者が真実の所得を秘匿し、それが課税の対象となることを回避するため、法定申告期限までに申告をせず、殊更に税額を免れる行為も、それ自体単なる不申告などの不作為にとどまるものではなく、偽りの工作的不正行為といえるから、上記「偽りその他不正の行為」に該当するものと解するのが相当である。
  • ロ 検討及び原処分庁の主張に係る判断
    • (イ) 上記(2)のハのとおり、請求人が、請求人の課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実を隠蔽し、あるいは故意に脱漏したことは認められず、請求人が、当初から課税標準等及び税額等を法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき法定申告期限までに申告をしなかったと評価することもできない。そして、その他原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によっても、請求人が、税の賦課徴収を不能又は著しく困難にするような何らかの偽計その他の工作を伴う不正な行為、あるいは、真実の所得を秘匿し、それが課税の対象となることを回避するために法定申告期限までに申告をせず、殊更に税額を免れる行為を行っているとはいえない。
    • (ロ) 原処分庁は、上記3の(3)の「原処分庁」欄のとおり、本件代表者の行為は、税額を免れる意図の下で行った税の賦課徴収を不能又は著しく困難にするような偽計その他の工作を伴う不正な行為であると認められ、通則法第70条第4項第1号に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する旨主張する。
       しかしながら、請求人に、通則法第70条第4項第1号に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する事実があったとは認められないことは、上記(イ)で説示したとおりであり、この点に関する原処分庁の主張には理由がない。
    • (ハ) したがって、請求人に、通則法第70条第4項第1号に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する事実があったとは認められない。

(4) 原処分の適法性について

  • イ 本件各事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分について
    • (イ) 平成26年3月期の法人税に係る重加算税の賦課決定処分について
       上記(3)のロのとおり、請求人に、通則法第70条第4項第1号に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する行為があったとは認められない。そうすると、請求人の平成26年3月期の法人税に係る重加算税の賦課決定処分は、同号が掲げる賦課決定には当たらないから、同条第1項第3号が規定する期限から7年を経過する日まですることができる場合には該当しない。
       したがって、平成26年3月期の法人税に係る重加算税の賦課決定処分は、通則法第70条第1項柱書に規定する賦課決定の期間制限を超えてされた違法なものであり、その全部を取り消すべきである。
    • (ロ) 平成27年3月期ないし平成31年3月期の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分について
       上記(2)のハのとおり、請求人の平成27年3月期ないし平成31年3月期の法人税の無申告行為について、通則法第68条第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たしていないところ、平成27年3月期ないし平成31年3月期の法人税の期限内申告書の提出がなかったことについて、通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があるとは認められず、また、その他の部分については請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、無申告加算税の賦課要件は満たしていることが認められる。
       したがって、平成27年3月期ないし平成31年3月期の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分のうち無申告加算税相当額を超える部分の金額については、いずれも別紙1−1ないし別紙1−5の「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。
  • ロ 平成26年3月課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分について
     上記(3)のロのとおり、請求人に、通則法第70条第4項第1号に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する行為があったとは認められない。そうすると、請求人の平成26年3月課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分は、同号が掲げる賦課決定には当たらないから、同条第1項第3号が規定する期限から7年を経過する日まですることができる場合には該当しない。
     したがって、平成26年3月課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分は、通則法第70条第1項柱書に規定する賦課決定の期間制限を超えてされた違法なものであり、その全部を取り消すべきである。
  • ハ 平成28年3月課税事業年度ないし平成31年3月課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の各賦課決定処分について
     上記(2)のハのとおり、請求人の平成28年3月課税事業年度ないし平成31年3月課税事業年度の地方法人税の無申告行為について、通則法第68条第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たしていないところ、平成28年3月課税事業年度ないし平成31年3月課税事業年度の地方法人税の期限内申告書の提出がなかったことについて、通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があるとは認められず、また、その他の部分については請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、無申告加算税の賦課要件は満たしていることが認められる。
     したがって、平成28年3月課税事業年度ないし平成31年3月課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の各賦課決定処分のうち無申告加算税相当額を超える部分の金額については、いずれも別紙1−6ないし別紙1−9の「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。
  • ニ 本件各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分について
     上記(2)のハのとおり、請求人の本件各課税期間の消費税等の無申告行為について、通則法第68条第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たしていないところ、本件各課税期間の消費税等の期限内申告書の提出がなかったことについて、通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があるとは認められず、また、その他の部分については請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、無申告加算税の賦課要件は満たしていることが認められる。
     したがって、本件各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分のうち無申告加算税相当額を超える部分の金額については、いずれも別紙1−10及び別紙1−11の「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。

(5) 結論

よって、審査請求には理由があるから、原処分の全部又は一部を取り消すこととする。

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