(令和8年1月14日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、原処分庁が、玩具販売業を営んでいた審査請求人(以下「請求人」という。)の事業所得の金額の計算上必要経費に算入されていた仕入金額の一部の金額について、家事上の経費と事業上の経費が混在する家事関連費に該当し、事業上必要である部分を明らかに区分することができないから、当該金額は必要経費に算入できないなどとして、所得税等及び消費税等の更正処分等を行ったのに対し、請求人が、家事上の経費に該当する仕入れはないなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。

(2) 関係法令

イ 所得税法第37条《必要経費》第1項は、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、事業所得の総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他事業所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする旨規定している。
ロ 所得税法第45条《家事関連費等の必要経費不算入等》第1項第1号は、居住者が支出し又は納付する家事上の経費(以下「家事費」という。)及びこれに関連する経費(以下「家事関連費」という。)で政令で定めるものの額は、その者の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入しない旨規定している。
ハ 所得税法施行令第96条《家事関連費》第1号及び第2号は、所得税法第45条第1項第1号に規定する政令で定める経費は、�@家事関連費の主たる部分が事業所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費(所得税法施行令第96条第1号)又は�A青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事関連費のうち、取引の記録等に基づいて、事業所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分の金額に相当する経費(同条第2号)以外の経費とする旨規定している。
ニ 消費税法第30条(令和5年10月1日施行の平成28年法律第15号による改正前のものをいい、令和元年9月30日以前に行う課税仕入れについては平成27年法律第9号による改正後の平成24年法律第68号第3条の規定による改正前のものをいう。以下同じ。)《仕入れに係る消費税額の控除》第1項は、事業者が、国内において課税仕入れを行った場合には、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する旨規定している。

(3) 基礎事実及び審査請求に至る経緯

当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

イ 請求人について
 請求人は、「F」の屋号で、インターネットを通じてフィギュア、カプセルトイ等のキャラクターグッズ等を販売する事業(以下「本件事業」といい、上記屋号によるインターネット上の販売サイトを「本件サイト」という。)を営む個人事業者であったが、本件事業を法人組織とすることに伴い、令和3年6月○日に個人事業を廃業した。
ロ 請求人の仕入れについて
(イ) 請求人は、「G」の屋号でクレーンゲーム、カプセルトイ等の遊具による娯楽施設の運営を行っているH(以下「本件仕入先」という。)から、クレーンゲーム及びカプセルトイの景品であるキャラクターグッズ等、ソフトビニール製及び合金製のフィギュア等の玩具並びに古書等の中古品を購入していた(以下、クレーンゲーム及びカプセルトイの景品であるキャラクターグッズ等を総称して単に「流通限定商品」といい、ソフトビニール製及び合金製のフィギュア等の玩具並びに古書等の中古品を総称して単に「中古商品」という。)。
(ロ) 本件仕入先は、請求人に対し、各月に請求人に販売した流通限定商品及び中古商品に係る納品書(以下「本件納品書」という。)を、毎月末日付で請求人に送付しており、請求人は、本件納品書に記載された金額を仕入金額及び課税仕入れに係る支払対価の額として計上していた。
 本件納品書には、「日付」、「商品名」、「単価」、「数」、「金額」、「消費税」、「小計」及び「備考」の各欄があり、請求人が流通限定商品のみ又は中古商品のみを本件仕入先から購入した場合には、「商品名」欄に具体的な商品名が記載されていた。
 一方、流通限定商品と中古商品をセットで購入した場合には、本件納品書の「商品名」欄には、流通限定商品の具体的な商品名の記載に続けて「○○」との記載がされるのみで、中古商品の具体的な商品名は記載されていなかった(以下、請求人が本件仕入先から流通限定商品と中古商品をセットで購入した場合の本件納品書に記載された流通限定商品を「本件現行商品」、本件納品書に「○○」と記載された中古商品を「本件プレミア商品」とそれぞれいい、本件現行商品と本件プレミア商品を総称して「本件セット表示商品」という。)。
 なお、本件セット表示商品について、本件納品書上、本件現行商品と本件プレミア商品の各単価や各数量は、区別して記載されていなかった。
(ハ) 請求人は、本件仕入先から購入した流通限定商品(本件現行商品を含む。)を本件サイト上で販売していた。

(4) 審査請求に至る経緯

イ 請求人は、令和元年分から令和3年分まで(以下「本件各年分」という。)の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)について、青色の各確定申告書及び各青色申告決算書(一般用)に別表1の「確定申告」欄のとおり記載して、いずれも法定申告期限までに申告した。
 また、請求人は、平成31年1月1日から令和元年12月31日までの課税期間(以下「令和元年課税期間」といい、他の課税期間についても同様に表記する。)、令和2年課税期間及び令和3年課税期間(以下、これらを併せて「本件各課税期間」という。)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について、各確定申告書に別表2の「確定申告」欄のとおり記載して、いずれも法定申告期限までに申告した。
ロ 原処分庁は、令和2年6月19日付で、令和元年分の所得税等の確定申告書において予定納税額を差し引いていなかったことを理由に、別表1の「更正処分」欄のとおり、令和元年分の所得税等の納付すべき税額を減額する更正処分をした。
ハ 原処分庁は、令和6年7月8日付で、調査の結果に基づき、本件セット表示商品について、本件プレミア商品を販売した事実が認められず、本件プレミア商品に係る仕入金額は家事費に該当するから、本件セット表示商品の仕入金額は、事業上の経費と家事費が混在する家事関連費に該当し、事業上必要である部分を明らかに区分することができないため、本件セット表示商品に係る仕入金額の全額を必要経費に算入することはできないとして、別表1の「更正処分等」欄のとおり、本件各年分の所得税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をした。
 また、原処分庁は、令和6年7月8日付で、調査の結果に基づき、上記所得税等の各更正処分と同様の理由により、本件セット表示商品に係る仕入金額の全額は、必要経費に算入することはできないことから、課税仕入れに係る支払対価の額にも算入することはできないとして、別表2の「更正処分等」欄のとおり、本件各課税期間の消費税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をした(以下、令和6年7月8日付でされた本件各年分の所得税等の各更正処分及び本件各課税期間の消費税等の各更正処分を併せて「本件各更正処分」、本件各年分の所得税等の過少申告加算税の各賦課決定処分及び本件各課税期間の消費税等の過少申告加算税の各賦課決定処分を併せて「本件各賦課決定処分」とそれぞれいい、本件各更正処分と本件各賦課決定処分を併せて「本件各更正処分等」という。)。
ニ 請求人は、本件各更正処分等を不服として、令和6年10月4日に再調査の請求をしたところ、再調査審理庁は、令和7年1月6日付で棄却の再調査決定をした。
ホ 請求人は、上記ニの再調査決定を経た後の本件各更正処分等に不服があるとして、令和7年2月3日に審査請求をした。

2 争点

(1) 本件セット表示商品のうち本件プレミア商品に係る仕入金額は、請求人の事業所得の金額の計算上、家事費として必要経費に算入されないか否か。

(2) 本件プレミア商品に係る仕入金額が家事費に該当する場合、本件セット表示商品に係る仕入金額は、請求人の事業所得の金額の計算上、家事関連費として必要経費に算入されないか否か。

(3) 本件セット表示商品に係る仕入金額は、「課税仕入れに係る支払対価の額」(消費税法第30条第1項)に該当するか否か。

3 争点についての主張

(1) 争点1(本件セット表示商品のうち本件プレミア商品に係る仕入金額は、請求人の事業所得の金額の計算上、家事費として必要経費に算入されないか否か。)について

原処分庁 請求人
以下の事実から、請求人は、本件プレミア商品を販売目的で仕入れていたとはいえず、本件プレミア商品に係る仕入金額は、家事費に該当し、必要経費に算入することはできない。 請求人は、本件プレミア商品を全て業務用として仕入れ、かつ、販売しているから、本件プレミア商品に係る仕入金額は、家事費に該当せず、必要経費に算入することができる。
 なお、以下のとおり、原処分庁の事実認定には誤りがある。
イ 本件仕入先は、仕入れた商品を請求人に対してのみ販売していたところ、本件仕入先が仕入れた商品には、仕入価格が○○○○円を超えるものもあった。
 しかしながら、請求人は、本件プレミア商品を本件サイト上で販売した旨申述するところ、その販売代金の決済は、決済金額の上限が○○○○円である決済代行サービスにより行われていた。また、帳簿書類上、本件各年分の期末の棚卸商品には、○○○○円を超える商品は記載されていない。
イ 本件仕入先は、仕入れた商品を全て請求人に対して販売していたわけではない。
ロ 請求人が本件各更正処分に係る調査を担当した職員(以下「本件調査担当職員」という。)に提示した帳簿書類には、売り上げた個別の商品名の記載がされていない。このため、請求人が本件プレミア商品を販売した事実は、確認されていない。 ロ 請求人は、本件プレミア商品を他者と交換し、当該交換商品を販売したこともある。
ハ 請求人は、本件プレミア商品を販売又は交換した旨申述するものの、そのことを証する書類を本件調査担当職員に提示していない。 ハ 原処分庁が主張する、請求人が自宅で保管していたソフトビニール製の玩具やコレクション品は、請求人又は妻子の所有物である。その中には高額な品物もあるが、全て私費で購入したものであり、本件プレミア商品として購入したものは含まれていない。
ニ 請求人が、購入した本件プレミア商品の一部を帳簿書類の棚卸商品に計上せず、自宅の応接スペース等にソフトビニール製の玩具を陳列していたほか、自宅2階に大量のコレクション品を置いていたことなどからすれば、請求人は、本件プレミア商品を私的に収集するために本件仕入先から購入していたと推認される。

(2) 争点2(本件プレミア商品に係る仕入金額が家事費に該当する場合、本件セット表示商品に係る仕入金額は、請求人の事業所得の金額の計算上、家事関連費として必要経費に算入されないか否か。)について

原処分庁 請求人
以下のとおり、本件セット表示商品に係る仕入金額は、家事関連費に該当し、その事業の遂行上必要な部分を明らかに区分することができないから、その全額について、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできない。 請求人は、本件セット表示商品を全て業務用として仕入れ、かつ、販売しているから、本件セット表示商品に係る仕入金額は、家事関連費に該当せず、必要経費に算入することができる。
 なお、家事関連費は、事業上の必要経費と生活用の支出が混在しているものとされるところ、本件現行商品は、仕入れから販売まで一連の個別の事業取引として完結しているから、生活用支出と混在することもない。
イ 本件セット表示商品は、本件現行商品と本件プレミア商品であり、本件プレミア商品に係る仕入金額は、家事費に該当するものと認められるところ、本件納品書の本件セット表示商品に係る仕入単価及び仕入数量には、1つの金額及び数量のみが記載され、その内訳が記載されていないことから、本件セット表示商品に係る仕入金額は、本件現行商品に係る仕入金額と本件プレミア商品に係る仕入金額とが混在する家事関連費に該当する。
ロ 請求人は、本件セット表示商品に係る仕入金額のうち、本件現行商品に係る仕入金額と本件プレミア商品に係る仕入金額とを明確に区分し得る帳簿書類の作成をしていなかったから、本件セット表示商品に係る仕入金額は、本件事業の遂行上必要である部分を明確に区分することができず、直接必要であった部分が明らかであるとは認められない。

(3) 争点3(本件セット表示商品に係る仕入金額は、「課税仕入れに係る支払対価の額」(消費税法第30条第1項)に該当するか否か。)について

原処分庁 請求人
上記(2)のとおり、本件セット表示商品に係る仕入金額は、家事関連費に該当することから事業所得の金額の計算上必要経費に算入されないところ、所得税法上の必要経費に算入できないものについては、課税仕入れに該当しないと解するのが相当であるから、本件セット表示商品に係る仕入金額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当しない。 上記(2)のとおり、請求人は、本件セット表示商品を全て業務用として仕入れ、販売しているから、本件セット表示商品に係る仕入金額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当する。

4 当審判所の判断

(1) 争点1(本件セット表示商品のうち本件プレミア商品に係る仕入金額は、請求人の事業所得の金額の計算上、家事費として必要経費に算入されないか否か。)について

イ 認定事実
 請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 請求人は、平成13年9月14日付で、J社及びK社との間で、請求人がJ社に運送委託した商品に係る代金の集金について委託契約を締結した。
 なお、その委託契約では、集金委託金額の上限は○○○○円とされていた。
(ロ) 請求人が平成31年1月から令和3年5月までの間に本件仕入先から購入した本件セット表示商品に関する本件納品書の記載内容は、別表3−1から別表3−3までのとおりであった。
(ハ) 請求人が仕入れた本件プレミア商品の箱数は、令和元年が203箱、令和2年が453箱、令和3年1月1日から同年5月末までが56箱であった。
(ニ) 請求人の関係者であるL(以下「本件関係者」という。)は、令和5年4月13日、本件調査担当職員に対し、要旨、次のとおり申述した。
A 請求人は、ソフトビニール製の玩具、古書等の収集をしていた。
B 本件関係者が請求人の自宅に行った際、大量のコレクション品が置いてあるのを見たところ、これらの中には、値段が100万円を超えるようなものがいくつかあったことから、これらを全部合計すると1億円程度の価値があると思う。
(ホ) 請求人は、本件調査担当職員に対し、要旨、次のとおり申述した。
A 令和5年10月16日の申述要旨
 請求人は、本件プレミア商品を販売したか、又は請求人と同業の者と交換した。交換の相手方は、「M」という同業者(以下「本件交換先」という。)が多かったと思うが、よく覚えていない。
B 令和5年12月19日の申述要旨
 本件プレミア商品に含まれていたものは、古い玩具、N社製の商品、書籍等である。請求人は、本件プレミア商品を本件サイトにおいて販売し、又は同業の者と交換したので、在庫となっているものはない。交換の相手方の多くは、カプセルトイを大量に所持している本件交換先であった。
(ヘ) 請求人は、本件調査担当職員からの照会を受け、令和6年4月8日、平成31年1月から令和3年5月までに請求人が仕入れた本件プレミア商品の商品名等(一部の商品名については、請求人が本件交換先と交換したことが示されている。)を記載した回答書(以下「本件回答書」という。)を提示した。
 なお、本件回答書の記載内容の一部は、別表4の「本件回答書の記載内容」欄のとおりである。
 また、請求人は、本件回答書の提示に当たり、本件調査担当職員に対し、要旨、次のとおり申述した。
A 請求人は、本件回答書記載の商品名を、自らの記憶に基づき記載したものであり、保管書類等に基づき記載したものではない。また、基となる資料がないため、取引年月日、単価、数量等を回答できず、本件回答書の記載よりも詳細な商品名も回答できない。
B 期末棚卸表に記載がない商品は、販売又は本件交換先と交換したと考えられるが、交換により請求人が取得した商品については、基となる資料がないため回答できない。
(ト) 本件仕入先の仕入先であるP(以下「本件直送者」という。)は、平成31年1月から令和3年2月までの間、複数回にわたり、別表5の「本件仕入先が本件直送者に送金した内容」欄のとおり、本件仕入先から代金の支払を受けた上で、「本件直送者が請求人に直送した商品」欄のとおり、ソフトビニール製又は合金製の玩具等を請求人に直送していた。
(チ) 請求人は、令和6年5月20日、本件調査担当職員が自宅に臨場した際、本件調査担当職員に対し、自宅の応接スペースや玄関に陳列されているソフトビニール製の玩具は私物である旨、申述した。
(リ) 請求人は、令和7年4月22日、当審判所に対し、本件プレミア商品を交換目的で仕入れることも多く、高額なものは、本件交換先が仕入れたカプセルトイ等と交換することが多かった旨、交換により取得したカプセルトイ等を本件サイトで販売していた旨、それぞれ答述した。
(ヌ) Q国に本部を置く非営利団体であるRが保存するウェブ情報には、平成31年1月11日から令和3年5月8日までの期間における複数の時点の本件サイトの掲載情報が存在し、それらには、別表4の「本件サイトにおける掲載内容」欄のとおり、本件回答書に記載された本件プレミア商品と同名の商品が掲載されていた。
(ル) 本件交換先は、令和7年8月28日、当審判所に対し、要旨、次のとおり答述した。
A 本件交換先は、請求人との間で、玩具の売買や交換を不定期に行っていた。
B 交換の対象として請求人から提供される玩具は、怪獣、○○○○等のソフトビニール製の玩具が多かった。
C 本件交換先は、請求人との交換においてカプセルトイを提供することがあった。
ロ 検討及び原処分庁の主張について
(イ) 原処分庁は、上記3(1)の「原処分庁」欄のイのとおり、本件仕入先が○○○○円を超える金額で商品を仕入れることがあり、仕入れた商品を請求人に対してのみ販売していたことを前提として、本件サイトで利用できる決済金額の上限が○○○○円である上、帳簿書類に○○○○円を超える棚卸商品の記載もないから、請求人が本件プレミア商品を販売目的で仕入れたとはいえない旨主張する。
 そこで検討すると、上記イ(イ)のとおり、請求人が利用していた決済代行サービスによる決済金額の上限は○○○○円であるところ、上記イ(ト)及び別表5のとおり、本件直送者が本件仕入先から代金の支払を受けて請求人に直接納品した商品には、1商品の価額が○○○○円を超えるものも存在する。
 もっとも、別表5によれば、1商品の価額が○○○○円を超える商品は年間で数個程度にとどまる一方で、上記イ(ロ)及び別表3−1から別表3−3までのとおり、請求人は、本件セット表示商品を年間数十回仕入れている上、本件セット表示商品を合計○○○○円以下で購入した取引も多数存在することからすれば、本件プレミア商品の1商品の価額が常に○○○○円を超えるものであったとは認められない(なお、原処分庁の主張も、本件プレミア商品の1商品の価額が常に○○○○円を超えるものであったことを前提とするものとは解されない。)。したがって、原処分庁の上記主張は、そもそも本件プレミア商品の仕入金額の全額が家事費であることを根拠付けるものではないといわざるを得ない。
 また、上記イ(ホ)のとおり、請求人は、本件調査担当職員に対し、本件プレミア商品は、本件サイトにおいて販売又は本件交換先と交換したため在庫となっているものはない旨申述し、上記イ(ヘ)のとおり、本件プレミア商品の一部を本件交換先と交換した旨を記載した本件回答書を提示している。そして、当審判所に対しても、上記イ(リ)のとおり、本件プレミア商品を交換する目的で仕入れることも多く、高額なものは本件交換先が仕入れたカプセルトイ等と交換することが多かった旨及び交換により取得したカプセルトイ等を本件サイトで販売していた旨答述しており、請求人の申述等の内容に変遷はない。さらに、請求人の上記申述、答述及び本件回答書の記載内容は、上記イ(ル)の本件交換先の答述と整合し、他にこれらの答述等を覆す事実はない。
 そうすると、仮に、請求人が1商品の価額が○○○○円を超える本件プレミア商品を本件仕入先から購入していたとしても、請求人は、これを本件交換先との間で価額が○○○○円以下のカプセルトイ等と交換し、当該交換により取得したそれらの商品を流通限定商品として本件サイト上で販売したことがあると認めるのが相当である。
 以上からすれば、本件サイトで利用できる決済金額の上限が○○○○円であり、帳簿書類に○○○○円を超える棚卸商品の記載がなかったとしても、請求人が本件プレミア商品を販売又は他の販売商品と交換する目的で仕入れたことを否定することはできない。
 したがって、原処分庁の上記主張は採用できない。
(ロ) 原処分庁は、上記3(1)の「原処分庁」欄のロ及びハのとおり、帳簿書類に売り上げた個別の商品名の記載がなく、本件プレミア商品を販売した事実を確認できない上、請求人が本件プレミア商品を販売又は交換したことを裏付ける書類を提示していない旨主張する。
 しかしながら、上記イ(ヌ)及び別表4のとおり、平成31年1月11日から令和3年5月8日までの期間の本件サイトには、ソフトビニール製又は合金製の玩具等が掲載され、これらの中には、本件回答書に記載された本件プレミア商品と同じ名称の商品が多数存在する。そうすると、請求人は、本件各年分において仕入れた本件プレミア商品を本件サイト上で販売していたものと推認するのが合理的であって、帳簿書類に具体的な商品名の記載がないことや裏付け書類の提示がなかったことは、上記推認を左右しない。
 したがって、原処分庁の上記主張は採用できない。
(ハ) 原処分庁は、上記3(1)の「原処分庁」欄のニのとおり、請求人が購入した本件プレミア商品の一部を帳簿書類の棚卸商品に計上せず、自宅の応接スペース等にソフトビニール製の玩具を陳列していたほか、自宅2階に大量のコレクション品を置いていたことなどからすれば、請求人は、本件プレミア商品を私的に収集するために本件仕入先から購入していたと推認される旨主張する。
 しかしながら、原処分庁の上記主張は、上記イ(ニ)及び(チ)の本件関係者又は請求人の各申述を根拠とするものであるところ、これらの各申述を踏まえても、請求人が自宅に置いていた物品が本件プレミア商品として購入されたものであるかは明らかではなく、他にこの点を裏付ける証拠もない。また、上記イ(ハ)のとおり、請求人は、箱数にして令和元年に203箱、令和2年に453箱、令和3年1月1日から同年5月末までに56箱の本件プレミア商品を購入しているところ、これらの購入数量は、個人的な収集目的にすぎないとは考え難い数量であることを踏まえると、本件プレミア商品の仕入金額の全額が家事費に該当するとまでは認め難い。
 したがって、原処分庁の上記主張は採用できない。
(ニ) 以上のとおり、原処分庁の上記(イ)から(ハ)までの各主張及び提出された証拠資料によっても、本件プレミア商品の全てが販売目的で仕入れられたものではなかったとまで認めることはできない。
 むしろ、上記(ロ)のとおり、請求人は、本件プレミア商品を本件サイト上で販売していたものと推認されるところ、他に本件プレミア商品を販売目的で仕入れたことを否定するに足りる証拠もないから、本件プレミア商品に係る仕入金額は、請求人の本件各年分の事業所得の金額の計算上、家事費に該当せず、必要経費に算入されるというべきである。

(2) 争点2(本件プレミア商品に係る仕入金額が家事費に該当する場合、本件セット表示商品に係る仕入金額は、請求人の事業所得の金額の計算上、家事関連費として必要経費に算入されないか否か。)について

イ 検討
 家事関連費とは、必要経費と家事費の性質を併有している費用をいうところ、上記1(3)ロ(ハ)のとおり、請求人は、本件現行商品を本件サイト上で販売していたことから、本件現行商品に係る仕入金額は、本件事業に係る総収入金額を得るために直接に要した費用といえ、また、本件プレミア商品に係る仕入金額は、上記(1)のとおり、家事費に該当しない。
 そうすると、本件セット表示商品に係る仕入金額は、必要経費と家事費の性質を併有するものとはいえないから、請求人の本件各年分の事業所得の金額の計算上、家事関連費に該当せず、本件セット表示商品に係る仕入金額の全額が必要経費に算入されるというべきである。
ロ 原処分庁の主張について
 原処分庁は、上記3(2)の「原処分庁」欄のとおり、本件プレミア商品に係る仕入金額が家事費に該当することを前提に、本件セット表示商品に係る仕入金額は、本件現行商品に係る仕入金額と本件プレミア商品に係る仕入金額とが混在する家事関連費に該当し、本件事業の遂行上必要である部分を明確に区分することができず、直接必要であった部分が明らかであるとは認められないから、必要経費に算入できない旨主張する。
 しかしながら、本件プレミア商品に係る仕入金額が家事費に該当しないことは上記(1)のとおりであり、また、本件セット表示商品に係る仕入金額は家事関連費に該当しないことは上記イのとおりであるから、原処分庁の主張は採用できない。

(3) 争点3(本件セット表示商品に係る仕入金額は、「課税仕入れに係る支払対価の額」(消費税法第30条第1項)に該当するか否か。)について

イ 検討
 上記(1)及び(2)で検討したとおり、請求人は、販売目的で本件セット表示商品を本件仕入先から仕入れているから、本件セット表示商品の仕入れは、消費税法第30条第1項に規定する、事業者が国内において行う課税仕入れに該当する。
 よって、本件セット表示商品の仕入金額は、本件各課税期間における「課税仕入れに係る支払対価の額」に該当する。
ロ 原処分庁の主張について
 原処分庁は、上記3(3)の「原処分庁」欄のとおり、本件セット表示商品に係る仕入金額は、所得税法上の必要経費に算入できないものであるとして、課税仕入れに係る支払対価の額に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件セット表示商品に係る仕入金額が所得税法上の必要経費に算入できないものであるとはいえないことは、上記(1)及び(2)のとおりであるから、原処分庁の主張は採用できない。

(4) 本件各更正処分等の適法性について

以上のとおり、本件セット表示商品に係る仕入金額は、請求人の本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入され、また、本件各課税期間における課税仕入れに係る支払対価の額に該当するから、本件各更正処分はいずれも違法であり、その全部を取り消すべきである。また、本件各更正処分を基礎としてされた本件各賦課決定処分も、同様に違法であるから、その全部を取り消すべきである。

(5) 結論

よって、審査請求には理由があるから、原処分の全部を取り消すこととする。

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