(令和8年2月6日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、事業所得として申告した所得の金額の計算上生じた損失の金額を他の所得の金額と損益通算して所得税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、当該事業所得として申告した所得は事業所得ではなく、雑所得に該当するなどとして更正処分等をしたことから、請求人が、原処分の一部の取消しを求めた事案である。

(2) 関係法令

イ 所得税法第21条《所得税額の計算の順序》第1項柱書及び同項第1号は、居住者に対して課する所得税の額の計算において、同法第2編第2章第2節《各種所得の金額の計算》の規定により、その所得を利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得又は雑所得に区分し、これらの所得ごとに所得の金額を計算する旨規定している。
ロ 所得税法第27条《事業所得》第1項は、事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう旨規定し、所得税法施行令第63条《事業の範囲》は、当該政令で定める事業は、次に掲げる事業とする旨規定した上で、同条第1号から第11号までに個別の事業を掲げ、同条第12号に「前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業」を掲げている。
ハ 所得税法第35条《雑所得》第1項は、雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう旨規定している。

(3) 基礎事実及び審査請求に至る経緯

当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

イ 請求人は、平成○年○月に○○登録を行い、D社の○○を経て、平成○年○月にE社(以下「本件○○法人」という。)の○○に、令和○年○月に同法人の○○に就任した。
ロ 請求人は、令和元年から令和4年までの各年(以下「本件各年」という。)において、本件○○法人に係る業務や上場企業○社の社外取締役及び監査役としての業務等を行い、役員報酬等を得ていた。
ハ 請求人は、本件各年において、上記ロの役員報酬等に係る業務(以下「本件役員等業務」という。)とは別に、一般社団法人F及びG社が主催するセミナーでの講演、税理士会が開催する無料相談会の従事並びに一般財団法人等の理事等に係る業務(以下、これらを併せて「本件業務」という。)を行っていた。
ニ 請求人は、令和元年分から令和4年分までの各年分(以下「本件各年分」という。)の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)に係る各確定申告書(以下「本件各確定申告書」という。)に別表1の「確定申告」欄のとおり記載して、いずれも法定申告期限までに申告した。
 なお、請求人は、本件各確定申告書において、本件役員等業務から生じる所得を給与所得とし、本件業務から生じる所得を事業所得として申告した。
 また、本件各確定申告書に添付された収支内訳書(一般用)には、要旨別表2のとおり、本件業務に係る総収入金額及び必要経費の額が記載されていた。
ホ 原処分庁所属の調査担当職員は、令和5年11月27日、請求人に対して、本件各年分の所得税等に係る実地の調査を開始した。
ヘ 請求人は、令和6年8月19日、原処分庁に対し、令和3年分の所得税等について別表1の「修正申告」欄のとおり記載した修正申告書を提出した。
ト 原処分庁は、令和7年1月31日付で、上記ホの実地の調査の結果に基づき、本件各年分の所得税等について、別表1の「更正処分等」欄のとおりとする各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)をした。
チ 請求人は、これらの処分を不服として令和7年2月16日に審査請求をした。

2 争点

 本件業務から生じた所得は、事業所得又は雑所得のいずれに該当するか。

3 争点についての主張

原処分庁 請求人
以下の諸要素を総合的に考慮し、社会通念に照らして判断すれば、本件業務から生じた所得は、事業所得に該当せず、雑所得に該当する。 以下の諸要素を総合的かつ実質的に判断すれば、本件業務から生じた所得は、事業所得に該当する。
 ただし、請求人の○○としての活動が認められたことにより、コンサルティングのような受託業務から上場企業の社外役員のような善管注意義務や第三者責任が生じる受任業務に業務がシフトしていること等をしんしゃくすれば、本件業務から生じた所得の事業所得該当性は、本件役員等業務も含めて判断されるべきである。
(1) 営利性及び有償性の有無
 請求人は、セミナー及び税務に係る役務を提供し、その対価を受領していたことから、本件業務には一定程度の有償性があったと認められる。
 しかしながら、本件各年分において、本件業務から生じた総収入金額はおおむね○万円ないし○万円である一方、連年1,000万円を超える経費が生じ、連年多額の損失が発生していたことから、本件業務に営利性があったとは認められない。
(1) 営利性及び有償性の有無
 請求人は、○○の業務を30年余り行ってきたほか、セミナーでの講演を行うなどしてきたことにより、本件業務と本件役員等業務を併せた収入金額及び所得金額は高い伸びを示しているのであるから、本件業務には営利性があったと認められる。
(2) 継続性及び反復性の有無
 請求人がセミナーに係る講師を務めた回数は、令和元年及び令和4年は4回であるものの、令和2年及び令和3年は1回にとどまり、その頻度は多いとはいえず、税務に係る業務は、令和2年までしか行っていないことから、反復継続性は乏しい。
(2) 継続性及び反復性の有無
 セミナーの開催については、令和2年及び令和3年は新型コロナウイルス感染症のまん延により中止を余儀なくされ、税理士登録は令和2年で廃止している。
 しかしながら、請求人は、一般財団法人等の多数の事業活動を通算30年以上継続して行っている。
 そして、本件業務に係る必要経費も毎年計上していることからすれば、全体としての○○の事業の反復継続性は有している。
(3) 自己の計算と危険による企画遂行性の有無
 請求人は、本件業務に係る経費を自ら支出していたことに加え、セミナーについて、請求人が自ら情報収集した資料や知識に基づき講演を行っていることからすれば、一定程度の自己の計算と危険による企画遂行性があったと認められる。
(3) 自己の計算と危険による企画遂行性の有無
 請求人が社会的な役割や名誉を重んじ、責任の重い職務に当たっていたことからすれば、本件業務は、自己の計算と危険における企画遂行性を有している。
(4) 精神的及び肉体的労力の程度
 本件役員等業務について、請求人が費やした精神的及び肉体的労力の程度は定かではないが、請求人は、一般財団法人等の活動に精神的及び肉体的労力を一定程度費やしていたと認められる。
(4) 精神的及び肉体的労力の程度
 本件○○法人に係る業務については、従業員が○名を超えており、請求人には重大な責任がある。社外役員に係る業務に関しても、従業員は1,000名を優に超えており、取締役会における善管注意義務は重大である。よって、精神的及び肉体的労力は甚大である。
 他方で、これらの業務に係る時間的労力は限定的であるため、その分、多くの時間を一般財団法人等の活動に注いでいる。
(5) 人的及び物的設備の有無
 請求人が使用人を雇った事実は認められず、人的設備は有していないものの、d県e市f町○−○に所在するH○○○○号室(以下「本件物件」という。)を賃借していることからすると、一定の物的設備を有していたと認められる。
(5) 人的及び物的設備の有無
 人的設備については、自らの生産性が、パソコンや通信デバイスの発展で高まったこと、委嘱される業務が労働集約性からより知的集約性の高い業務にシフトしたことで、人的設備を要しない。
 また、物的設備については、本件物件の賃借料として年間400万円以上費消している。
(6) 職業、経歴、社会的地位及び生活状況
 請求人は、本件○○法人の○○を務めるとともに、上場企業○社の社外取締役及び監査役を務め、これらの法人から生活を営むのに十分な給与収入を得ていた。
 他方で、本件業務について連年多額の損失が発生しているものの、本件業務の継続が可能であったことからすれば、当該損失を補填するもの及び請求人の生活の糧は専ら給与収入であったと認められる。
(6) 職業、経歴、社会的地位及び生活状況
 請求人は、○○登録以降、30年にわたり、○○として研さんを重ね、専門性を高める努力をした。その結果、本件○○法人を○○することができ、また、信頼を積み上げ、○社の社外役員に就任することができた。
 個人の事業活動が継続的にできたからこそ、本件○○法人や社外役員を務める上場企業から給与所得を得ているのである。
(7) 安定した収益を得られる可能性の有無
 セミナーに係る業務については、令和5年6月に請求人の健康上の理由により契約が終了したこと、税務に係る業務については、税理士業務を行っていたのは令和2年6月までであったこと、また、令和2年分に約○万円のコンサルティング収入があるものの、その他の業務についてはいずれも無報酬であること、本件業務に係る総収入金額は、令和2年以降、減少傾向にあることからすると、本件業務に係る経済的活動をすることにより相当程度の期間安定した収益を得る可能性が存したとは認められない。
(7) 安定した収益を得られる可能性の有無
 請求人は、今後5年以内に本件○○法人の○○を退き、○○に就任することが内規で決定している。5年以内には組織とは一定の距離を保ち、業務委託契約を結びながら、事業活動をより本格化することが決まっている。
 業務委託契約はその時点での新経営者との合意によるが、報酬は少なくとも、○○万円から○○万円程度になると考えられる。
 また、当該決定権は請求人自身に存していることから、安定した収益を得られる可能性は確実である。

4 当審判所の判断

(1) 法令解釈

イ 上記1の(2)のロのとおり、所得税法第27条第1項は、事業所得について「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。」と規定し、この規定の委任を受けた所得税法施行令第63条は、第1号ないし第11号で個別の事業を掲げるほか、第12号で「前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業」と事業の範囲を規定している。一方で、同法第35条第1項は、「雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。」と規定している。
ロ したがって、業務の遂行又は労務の提供から生ずる所得が所得税法上の事業所得又は雑所得のいずれに該当するかを判断するに当たっては、まず、当該所得が事業所得に該当するかについて検討するべきであるところ、事業所得にいう「事業」とは、上記イのとおり、対価を得て継続的に行う事業をいうものと解される。そして、事業所得にいう「事業」に該当するかどうかは、一応の基準として、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性及び有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務に当たるかどうかによって判断するのが相当であり、具体的には、営利性及び有償性の有無、継続性及び反復性の有無に加え、自己の計算と危険による企画遂行性の有無、その者が費やした精神的及び肉体的労力の程度、人的及び物的設備の有無、その者の職業、経歴、社会的地位及び生活状況等の諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして、「事業」として認められるかどうかによって判断すべきものと解するのが相当である。また、社会的客観性をもって「事業」として認められるためには、相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性がなければならないと解される。

(2) 認定事実

請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

イ 請求人は、本件各年において、一般社団法人F及びG社が主催するセミナーで複数回(令和元年及び令和4年が各4回、令和2年及び令和3年が各1回)にわたって自ら講演を行ったほか、令和元年及び令和2年においては、税理士会が主催する無料相談に従事するなどして報酬を得ていた。
ロ 請求人は、別表2のとおり、本件各年分における本件業務に係る必要経費として、本件物件の地代家賃のほかに接待交際費、旅費交通費等の各種経費を計上する一方、給料賃金等の人件費については計上していない。

(3) 当てはめ

イ 請求人は、上記3の「請求人」欄のとおり、本件業務から生じた所得の事業所得該当性について、本件役員等業務も含めて判断されるべきである旨主張しているため、この点について、まず検討する。
 上記1の(2)のイのとおり、所得税法は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得又は雑所得の10種類に区分し、これらの所得ごとに所得の金額を計算する旨規定している。これは、所得はその性質や発生の態様によって担税力が異なるという前提に立って、租税負担の公平の観点から、各種の所得について、それぞれの担税力の相違に応じた計算方法を定め、また、それぞれの態様に応じた課税方法を定めるという趣旨に基づくものであり、このことからすれば、本件業務から生じる所得の所得区分を判断するに当たっては、本件業務に係る事実関係のみをもって上記(1)のロの基準への該当性を判断すべきであって、本件業務から生じる所得と所得区分を異にする本件役員等業務に係る事実関係をも含めてこれを判断することはできない。
ロ 次に、上記イの判断を前提に、本件業務から生じる所得が事業所得又は雑所得のいずれに該当するかについて検討する。
(イ) 営利性及び有償性の有無並びに反復性及び継続性の有無
 上記(2)のイのとおり、請求人は、本件各年において、セミナーでの講演を複数回行う等して報酬を得ていたものの、その回数は年間に1回から4回までにとどまり、他方、令和元年及び令和2年において、税理士会が主催する無料相談に従事していたことを踏まえると、本件業務の有償性並びに反復性及び継続性については、一定程度に限っては認めることができる。
 他方、別表2のとおり、本件各年分において、本件業務から生じた総収入金額はいずれも○○万円に満たない一方で、各年1,000万円を超える必要経費を計上し、本件業務に係る収支は連年大幅な赤字が続いていたことからすれば、本件業務は、経済合理性に欠け、営利性は乏しいというべきである。
(ロ) 自己の計算と危険による企画遂行性の有無
 上記(2)のロのとおり、請求人は、本件各年分において、地代家賃、接待交際費及び旅費交通費のほか各種経費を必要経費に計上していたことに加え、同イのとおり、請求人が複数回にわたって自ら講演を行うなどしていたことからすれば、本件業務には、自己の計算と危険による企画遂行性は一定程度あったと認められる。
(ハ) 精神的及び肉体的労力の程度
 上記(2)のイのとおり、請求人は、本件各年において、複数回にわたって自ら講演を行うなどしていたことからすれば、本件業務について、一定程度の精神的及び肉体的労力を費やしたものと認められる。
(ニ) 人的及び物的設備の有無
 上記(2)のロのとおり、請求人は、本件各年において本件物件を賃借しており、一定の物的設備を有していたといえる一方、使用人などの人的設備は有していなかった。
(ホ) 職業、経歴、社会的地位及び生活状況
 上記1の(3)のイのとおり、請求人は、平成○年○月に○○登録を行い、D社を経て、本件○○法人の○○や○○に就任し、本件○○法人の役員としての地位を有するとともに、本件各年分において、多額の給与を得ており、これにより、別表1の「確定申告」欄の「事業所得の金額」欄のとおり、本件各年分だけでも合わせて○○万円を超える多額の損失を計上しながらも、本件業務を継続していた。
(ヘ) 相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性
 別表2のとおり、本件業務に係る総収入金額は、令和元年分が○○円、令和2年分が○○円、令和3年分が○○円、令和4年分が○○円にとどまっているにもかかわらず、請求人が計上した本件業務に係る必要経費の額は、「地代家賃」の金額だけをみても、令和元年分及び令和2年分がそれぞれ4,560,000円、令和3年分が4,620,000円、令和4年分が4,800,000円と、総収入金額を大幅に上回っている。
 そして、別表2のとおり、本件各年分において連年○○万円を超える損失が生じている。
 これらのことからすると、請求人が、本件業務から相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性を有していたとは認められない。
ハ 小括
 以上のとおり、本件各年において、本件業務は、有償性、反復性及び継続性並びに自己の計算と危険による企画遂行性を一定程度有し、一定の物的設備を備えていたほか、請求人が精神的及び肉体的労力を一定程度費やして行っていた活動であるとはいえるものの、営利性に乏しく、多額の給与を得ていたことにより本件業務が継続され、本件各年分において連年○○万円を超える損失が生じており、相当程度の期間継続して安定した収益が得られる可能性を有していたとは認められない。
 そして、上記(1)のロのとおり、社会的客観性をもって「事業」として認められるためには、相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性がなければならないと解される点を踏まえて社会通念に照らし判断すれば、本件業務は、事業所得にいう「事業」とは認められないから、本件業務から生じた所得は、事業所得には当たらない。
 そうすると、本件業務から生じた所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しないことについて当事者間に争いはなく、当審判所の調査及び審理の結果によっても、これを不相当とする理由は認められないから、本件業務から生じた所得は、雑所得に該当する。

(4) 請求人の主張について

イ 請求人は、上記3の「請求人」欄の(1)及び(6)のとおり、本件業務から生じる所得の所得区分を判断するに当たり、本件役員等業務と本件業務とを全体としてみることを前提に、本件業務と本件役員等業務を併せた収入金額及び所得金額は高い伸びを示しているから本件業務には営利性がある旨、並びに請求人は30年にわたり個人の事業活動が継続的にできたからこそ、本件○○法人等から給与所得を得ている旨主張する。
 しかしながら、上記(3)のイのとおり、本件業務から生じる所得の所得区分を判断するに当たっては、本件業務に係る事実関係のみをもって上記(1)のロの基準への該当性を判断すべきであって、本件業務から生じる所得と所得区分を異にする本件役員等業務に係る事実関係をも含めてこれを判断することはできないのであるから、本件業務と本件役員等業務とを全体としてみることを前提とした請求人の主張は、いずれも採用することができない。
ロ 請求人は、上記3の「請求人」欄の(7)のとおり、相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性について、今後5年以内に本件○○法人の○○を退き、業務委託契約を結び、これにより、○○万円から○○万円の収益が見込まれる旨主張する。
 しかしながら、本件業務に継続的に相当程度安定した収益が得られる可能性があるか否かは、本件業務に係る事実関係に即して判断されるべきであるから、新たに始める業務を前提とした請求人の上記主張は採用することができない。また、請求人が、本件業務から相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性を有していたとはいい難いことは、上記(3)のロの(ヘ)のとおりである。
 したがって、請求人の主張には理由がない。

(5) 本件各更正処分の適法性について

上記(3)のハのとおり、本件各年分において、本件業務から生じた所得は雑所得に該当することから、所得税法第69条《損益通算》第1項の規定により、請求人の総所得金額の計算上、他の各種所得の金額と損益通算すべき損失の金額はないこととなる。これに基づき、当審判所において請求人の本件各年分の所得税等の総所得金額及び納付すべき税額を計算すると、本件各更正処分の金額といずれも同額となる。
 また、本件各更正処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
 したがって、本件各更正処分はいずれも適法である。

(6) 本件各賦課決定処分の適法性について

上記(5)のとおり、本件各更正処分はいずれも適法であり、また、本件各更正処分に基づき納付すべき税額の計算の基礎となった事実が本件各更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの)第65条《過少申告加算税》第4項第1号に規定する正当な理由があるとは認められない。そして、これに基づき、当審判所において請求人の本件各年分の所得税等に係る過少申告加算税の額を計算すると、本件各賦課決定処分の金額といずれも同額となる。
 したがって、本件各賦課決定処分はいずれも適法である。

(7) 結論

よって、審査請求は理由がないから、これを棄却することとする。

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