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(平6.12.12、裁決事例集No.48 278頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、建て売り、土地売買業を営む同族会社であるが、平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税の青色の確定申告書に次表の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までに提出した。
 原処分庁は、これに対し、平成5年9月9日付で、本件事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消し(以下「本件青色取消処分」という。)をするとともに、請求人所有のP市R町ほかに所在する別表1に記載の土地(以下「本件土地」という。)の譲渡利益について、租税特別措置法(平成3年法律第16号による改正前のもの。以下「措置法」という。)第63条の2((超短期所有土地等に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率))の規定による譲渡利益金額(以下「課税土地譲渡利益金額」という。)に対する法人税額を別表2のとおり算出し、次表の「更正等」欄のとおり、更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。

(単位:円)
区分 確定申告 更正等
所得金額 0 0
課税土地譲渡利益金額 - 850,199,000
納付すべき税額 0 255,059,700
過少申告加算税の額 - 38,232,500

 請求人は、これらの処分に対し、本件青色取消処分についてはその取消しを、本件更正処分及び本件賦課決定処分についてはその一部の取消しを求めて、平成5年11月26日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、平成6年1月26日付でいずれも棄却の異議決定をした。
 請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成6年2月23日に本件審査請求をした。

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2 主張

(1) 請求人の主張

イ 本件青色取消処分について
 請求人は、原処分の調査(以下「本件調査」という。)を担当した職員(以下「本件調査担当職員」という。)に対して帳簿書類等を提示しなかった事実を認めるが、以下のとおり、やむを得ない事情の下で生じたことであり、法人税法(以下「法」という。)第127条((青色申告の承認の取消し))第1項第1号に掲げる青色申告の承認の取消事由となるものではないから、本件青色取消処分は違法である。
(イ) 本件調査の行われた当時は、いわゆるバブル経済の崩壊した時期であり、請求人においては、金融機関等の対応に東奔西走していたため、税務調査に対する協力ができなかった。
(ロ) 本件調査の当時、請求人においては、経理スタッフの入替え等があったため、帳簿書類の作成が遅滞しており、また、取引に関する書類についても一部欠落しているものがあって、本件調査担当職員の求めに応じられなかった。
ロ 本件更正処分について
 原処分庁は、本件土地に係る課税土地譲渡利益金額を別表2に記載のとおり850,199,000円と認定しているが、以下の理由により、本件土地に係る課税土地譲渡利益金額は753,636,000円となるから、これを超える96,563,000円部分の本件更正処分の取消しを求める。
(イ) 物件調査等手数料について
 請求人は、別表1の物件番号1から5までの土地(以下「本件調査土地」という。)の取得に際し、A株式会社、B株式会社及び株式会社C(以下順次、「A社」、「B社」、「C社」といい、これら3社を併せて「本件依頼業者」という。)に対し本件調査土地の物件調査等を依頼し、別表3の「物件調査等」欄の記載の手数料(以下「本件手数料」という。)合計26,173,000円を支出したのであるから、原処分庁が、前所有者の保管する売買契約書に本件依頼業者名の記載がないことや、本件手数料が未払金に計上されたままで、支払の実績がないことを理由に、本件手数料を本件土地に係る譲渡原価として認めないのは事実誤認である。
(ロ) 外注工事費について
 請求人は、B社と工事請負契約を締結し、別表3の「造成工事等」欄に記載の外注工事費(以下「本件外注費」という。)の合計64,800,000円のうち25,650,000円を支出したのであるから、原処分庁が、具体的な工事内容を示す工事計画図面等の書類を提示しなかったことや、本件外注費が未払金に計上されたままで、支払の実績がないことを理由に本件外注費を譲渡原価に算入しないのは事実誤認である。
(ハ) 法定負債利子並びに販売費及び一般管理費について
 原処分庁は、課税土地譲渡利益金額の計算において、控除すべき法定負債利子並びに販売費及び一般管理費の額を措置法施行令第38条の5((超短期所有土地等に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率))第4項に規定する方法によって算出しているが、本件手数料及び本件外注費の額を譲渡原価の額に算入することに伴って増加する同項規定による法定負債利子並びに販売費及び一般管理費(以下「本件法定概算経費」という。)の合計額5,590,000円を課税土地譲渡利益金額から控除していない。
ハ 本件賦課決定処分について
 上記ロのとおり、本件更正処分は違法であり、その一部を取り消すべきであるから、これに伴い過少申告加算税の賦課決定処分もその一部を取り消すべきである。

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(2) 原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法である。
イ 本件青色取消処分について
 法第127条第1項第1号は、青色申告の承認を受けた内国法人(以下「青色申告法人」という。)について、当該事業年度に係る帳簿の備付け、記録又は保存が法第126条((青色申告法人の帳簿書類))第1項に規定する大蔵省令で定めるところに従って行われていないときは、その事業年度までさかのぼってその承認を取り消すことができる旨規定しているところ、同項に規定する帳簿の備付け、記録及び保存の義務は、税務職員の調査等の際に帳簿書類等を提示する義務も含むものと解するのが相当である。
 したがって、本件調査担当職員が調査開始以来1年以上にわたり再三再四帳簿書類等の提示を求めたにもかかわらず、請求人はその提示要求に応じなかったのであるから、原処分庁が帳簿書類等の備付け、記録又は保存がないものとして法第127条第1項第1号により青色申告の承認の取消しをしたとしても違法ではない。
ロ 本件更正処分について
 本件土地の課税土地譲渡利益金額に係る本件手数料、本件外注費及び本件法定概算経費については、次の理由により認められず、本件更正処分は適法である。
(イ) 本件手数料について
A 以下の事実により、本件手数料を本件調査土地に係る譲渡原価として認めることはできない。
(A) 本件調査土地の前所有者から提出された売買契約書には、仲介業者欄に何ら記載がなかったこと。
(B) 本件依頼業者は、いずれも請求人と通謀可能な関係にある法人であること。
(C) 請求人が異議申立てに係る調査(以下「本件異議調査」という。)の際に提出した「仕訳日記帳」によると、本件手数料については、いずれも未払金に計上されたままで、その支払の実績がなかったこと。
(D) 請求人は、本件異議調査の際にも、当該「仕訳日記帳」以外に本件手数料の支払を確認することができる帳簿書類等を提示しなかったこと。
 また、本件依頼業者に対する調査においても、帳簿書類等の提示はなかったこと。
B なお、請求人は、審査請求後、本件手数料を既に支払っているとして領収証を提出しているが、当該領収証は、本件手数料に係る証拠としては信用できない。
(ロ) 本件外注費について
A 以下の事実により、本件外注費を本件土地に係る譲渡原価として認めることはできない。
(A) 請求人は、本件異議調査の際に、本件外注費に係る工事請負契約書、請求書及び見積書を提出したが、具体的な内容を示す図面及び工事台帳等の書類の提示要求に応じなかったこと。
(B) 本件外注費に係る請負業者であるとするB社は、請求人と通謀可能な関係にある法人であること。
(C) 本件異議調査の際に提出した「仕訳日記帳」によると、本件外注費については、いずれも未払金に計上されたままで、その支払の事実がなかったこと。
 また、B社に対する事実確認調査においても、造成工事関係の帳簿書類等の提示はなかったこと。
B なお、請求人は、審査請求後、本件外注費のうちの一部を支払っているとして領収証を提出しているが、当該領収証は、本件外注費に係る証拠としては信用できない。
(ハ) 本件法定概算経費について
 本件手数料及び本件外注費が、いずれも譲渡原価として認められない以上、本件法定概算経費も認められない。
ハ 本件賦課決定処分について
 本件更正処分により納付すべき税額の基礎となった事実が、本件更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条((過少申告加算税))第4項に規定する正当な理由がある場合に該当しないので、同条第1項及び第2項の規定に基づいて行われた本件賦課決定処分は適法である。

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3 判断

 本件審査請求の争点は、1本件青色取消処分は適法であるか、2本件手数料及び本件外注費が譲渡原価として認容できるか否かにあるので、以下検討する。

(1) 本件青色取消処分について

イ 請求人が本件調査担当職員に帳簿書類等を提示しなかったことは、当事者間に争いはなく、これに反する証拠はない。
ロ ところで、青色申告制度は、納税者の正しい記帳慣習の確立を基礎として、それにより合理的な申告納税制度の実現をめざすものであって、その制度の目的を担保するため、法は、種々の特典を与える反面、法第126条第1項で、帳簿書類を備え付け、記録、保存を義務付けているところ、納税者がその義務を果たしているか否かを判断するためには、税務当局が帳簿書類等を検査することが必要不可欠であるから、上記義務の中には、調査担当職員の求めに応じて帳簿書類を提示すべき義務も当然に含まれていると解するのが相当である。
 したがって、調査担当職員の質問検査権に基づく帳簿書類等の提示要求に正当な理由もなく応じない場合には、当時物理的にどのような状態にあったにかかわりなく帳簿書類の備付け、保存がなされていないものとみなし、法第127条第1項第1号に該当するものとして、青色申告承認の取消事由になると解するのが相当である。
ハ そこで本件についてみると、原処分関係資料、請求人の答述及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 本件調査担当職員は、平成4年9月から平成5年8月までの間、請求人本社等へ臨場し、あるいは電話で、毎週のように帳簿書類等の提示を求めたこと。
(ロ) この求めに主として対応したのは、請求人の経理課長Dであったが、同人は帳簿書類等は代表者の了解がないと提示ができない等と述べ、提示しなかったこと。
(ハ) そこで、本件調査担当職員は、本件調査の期間中20数回にわたって代表者との面接を約したが、代表者はそのたびに多忙等を理由に面接を延期させ、結果的に、同代表者との面接はなされなかったこと。
ニ 請求人は帳簿書類等を提示できなかった理由として、1バブル経済の崩壊によって金融機関等への対応に奔走していたため本件調査に協力できなかったこと、2当時は経理スタッフの入替え等により帳簿書類が作成できていなかったこと等を主張するが、2については、それ自体帳簿書類の記録義務に違反するものであって提示要求に応じない理由になるものではなく、また1についても、上記ハの経過によれば、1年にもわたる調査期間中に、いくら多忙といっても帳簿書類等の提示をするだけの時間がとれないことはなく、多忙は単なる口実としかいいようがないので、結局、いずれにしても帳簿書類等を提示しなかったことを正当化する理由とはいえない。
ホ したがって、原処分庁が法第127条第1項第1号に基づいてした本件青色取消処分は、適法である。

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(2) 本件更正処分について

イ 本件手数料について
(イ) 原処分関係資料、請求人の答述及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 請求人は、1本件調査の際には、本件依頼業者に本件調査土地の物件調査等を依頼したことを主張せず、2異議調査時になって、本件手数料に係る債務が未払金として存在するとした「仕訳日記帳」を提出し、さらに、3本件審査請求に至って、本件手数料が本件調査土地の取得時に支払われていたとする領収証を提出したこと。
 なお、上記「仕訳日記帳」は、本件手数料と本件外注費の発生のみが記載されたものであること。
B 請求人は、本件審査請求に至るまでは、本件手数料が本件調査土地に係る仲介手数料であると主張してきたが、本件審査請求後、本件調査土地に係る物件調査等の手数料であると主張したこと。
C 請求人は、当審判所に対し、本件調査土地の物件調査等に係る調査内容及び調査結果を記載した書類は一切作成されていない旨答述したこと。
 また、請求人及び本件依頼業者は、当審判所が本件手数料に係る決算処理を確認するために関係帳簿等の提示を求めたのに対し、それを提示しなかったこと。
D 本件土地取引について、前所有者より提出された売買契約書には仲介業者欄に何ら記載がない一方、請求人が本件手数料の証拠資料として提出した売買契約書には、その仲介業者欄に本件依頼業者の記載があること。
 この点につき、請求人は、本件調査土地の取得に際し、本件依頼業者に物件調査等を依頼したことから、その保管する売買契約書の仲介業者欄に本件依頼業者についての記載を行った旨当審判所に対して答述したこと。
E 本件依頼業者の経理事務は、請求人の本社事務所において、請求人の経理課長Dの責任管理の下で行われており、その会社印等も請求人の管理の下に保管されていること。
(ロ) 上記(イ)の事実に基づき、本件手数料について検討したところ、以下のとおりである。
A まず、本件依頼業者が仲介業者として記載された売買契約書については、前記(イ)のDのとおり、契約の相手方である前所有者の了解なく仲介業者名を記入したことを請求人自身が認めているから、これが本件依頼業者の関与を裏付ける証拠とならないことは明らかである。
B 次に、本件手数料の支払に係る領収証については、前記(イ)のAのとおり、請求人が本件審査請求後に初めて提出したものであることのほか、前記(イ)のEによれば、請求人において本件依頼業者名義の領収証を自由に作成できる立場にあることを併せ考えると、この領収証も本件依頼業者の関与及び請求人の支払を裏付ける証拠とはいえない。
C 以上に加えて、前記(イ)のAのとおり、請求人が異議審理庁に提出した「仕訳日記帳」は日常的に作成されたものでないことがその体裁自体から明らかであり、本件依頼業者の関与を裏付ける何の証拠ともならないこと、前記(イ)のCのとおり、請求人及び本件依頼業者からその役務の提供や支払を裏付けるその他の帳簿書類等の提出が一切ないこと、前記(イ)のA、Bのとおり、請求人の主張自体変遷していることを総合すれば、本件依頼業者が物件調査ないし仲介を行っておらず、かつ、請求人も本件手数料を支払っていなかったと認めるのが相当である。
(ハ) したがって、本件手数料を譲渡原価と認めることはできない。
ロ 本件外注費について
(イ) 原処分関係資料、請求人の答述及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 請求人は、1本件調査の際には、B社が本件造成土地に造成工事等を行ったことを主張せず、2異議調査時になって、B社との間の工事請負契約書及び見積書、本件外注費に係る債務が未払金として存在するとした「仕訳日記帳」を提出し、さらに、3本件審査請求に至って、本件外注費に係る見積書及び工事図面等並びに本件外注費のうち25,650,000円が工事の着工時等に支払われていたとする領収証を提出したこと。
 なお、上記「仕訳日記帳」は前記イの(イ)のAと同様のものであること。
B 当審判所は、請求人及びB社に対して、本件外注費に係る決算処理を確認するための関係帳簿書類の提示を求めたが、両法人はそれらを提示しなかったこと。
C 別表1の物件番号1の土地に係る工事請負契約書には、造成等工事期間が、平成元年3月10日から同月31日までと記載されているが、前所有者であるEは、同土地の引渡しを平成元年11月に行っており、それ以前には水稲を作付けしていた旨申述しており、同申述には特に不自然な点はないこと。
D 別表1の物件番号3及び4の土地に係る工事請負契約書には、造成等工事期間が、それぞれ平成3年9月25日から同年10月5日まで、同年9月25日から同月30日までと記載されているが、前所有者である株式会社Fの取引責任者は、平成6年1月14日現在、当該両土地は売却当時のままの状況であり、売却後造成工事等が行われた事実はない旨申述しており、同申述に特に不自然な点はないこと。
E 別表1の物件番号5の土地に係る工事請負契約書には、造成等工事期間が、平成3年9月25日から同年10月10日までと記載されているが、前所有者であるGとの売買契約書には物件の引渡しを米の収穫後とする旨の特約があり、Gの妻は、当該特約により稲の刈取りを平成3年10月中旬に行った旨申述しており、同申述に特に不自然な点はないこと。
F 別表1の番号6及び7の土地の前所有者であるH株式会社の取引担当者は、当該土地が既に造成済みで擁壁等も完成されている分譲住宅地であった旨申述しており、同申述には特に不自然な点はないこと。
G B社の経理事務は、請求人の本社事務所において、請求人の経理課長Dの責任管理の下で行われており、その会社印等も請求人の管理の下に保管されていること。
H 本件外注費に係る見積書及び工事図面等の作成業者である有限会社Iは、昭和50年以降法人税の申告を行っていない実態のない法人であり、工事図面に記載された同法人の所在地に同法人が存在した形跡も見られないこと。
(ロ) 上記(イ)の事実に基づき、本件外注費について検討したところ、以下のとおりである。
A まず、請求人とB社との間の工事請負契約書については、前記(イ)のCないしFによれば、別表1の物件番号1、3ないし7の土地について、同契約書に記載された内容の造成工事等がその工事期間内に行われたと認めるのはあまりに不合理であること、また、前記(イ)のGのとおり、請求人が自由にそれを作成できる立場にあったことを併せ考えれば、物件番号2の土地も含めて、工事請負契約書をもって造成工事等が行われた証拠とすることはできない。
B 次に、本件外注費の支払に係る領収証については、上記請負契約書と同様に請求人が自由に作成できる立場にあったことや、前記(イ)のAのとおり請求人が本件審査請求後に初めて提出したものであることを併せ考えると、造成工事等が行われたことを裏付ける証拠とはいえず、「仕訳日記帳」についても前記イの(ロ)のCのとおり証拠とならないことは明らかである。
C さらに、有限会社I作成名義の工事見積書及び工事計画図面については、前記(イ)のHのとおり同社の存在自体が不確実であること、前記(イ)のAのとおりそれが本件審査請求後に初めて提出されたことに照らせば、それが請求人において作成された疑いが払しょくできず、これも請負工事等がなされたことを裏付けるものとはいえない。
D 以上に加え、前記(イ)のBのとおり請求人及びB社から工事や支払の事実を裏付けるその他の帳簿書類等の提出が一切ないこと、前記(イ)のAのとおり請求人の主張自体変遷していることを総合すれば、B社は造成工事等を行っておらず、かつ、請求人も本件外注費を支払っていなかったと認めるのが相当である。
(ハ) したがって、本件外注費を譲渡原価と認めることはできない。
ハ 本件法定概算経費について
 請求人は、本件法定概算経費の額を譲渡収益の額から控除すべき旨主張する。
 しかしながら、前記イ及びロのとおり、本件手数料及び本件外注費がいずれも譲渡原価として認められない以上、請求人の主張には理由がない。
ニ 以上のとおり、本件手数料、本件外注費及び本件法定概算経費についての請求人の主張はいずれも理由がなく、本件更正処分は違法でない。

(3) 本件賦課決定処分について

上記(2)のとおり、本件更正処分は適法になされているから、本件賦課決定処分も適法である。

(4) 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所の調査の結果によってもこれを不相当とする理由は認められない。

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