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(平7.7.4裁決、裁決事例集No.50 77頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、平成3年分の所得税について、確定申告書(分離課税用)に次表の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までに申告した。
 原処分庁は、これに対し、平成5年12月27日付で次表の「更正等」欄のとおり更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件過少申告加算税の賦課決定処分」という。)をした。

(単位 円)
項目\区分確定申告更正等
分離長期譲渡所得の金額266,552,5051,783,245,100
納付すべき税額63,452,250442,625,500
過少申告加算税の額53,703,000

 請求人は、これらの処分を不服として、平成6年2月23日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年5月24日付で棄却の異議決定をした。
 請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成6年6月23日に審査請求をした。

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2 主張

(1)請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件更正処分について
 請求人は、平成3年1月18日に、自己の所有するP市R町一丁目4番12所在の宅地72.94平方メートル(以下「本件甲宅地」という。)をF株式会社(以下「F社」という。)の所有するP市R町一丁目6番14所在の宅地67.57平方メートル(以下「本件乙宅地」という。)と交換(以下「本件交換」という。)したが、本件交換は、所得税法第58条《固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例》(以下「本件特例」という。)に規定する要件を満たしたものである。
 すなわち、譲渡した本件甲宅地は、請求人が昭和28年以来所有してきた固定資産であり、取得した本件乙宅地は、F社が昭和63年以来所有していた固定資産である。
 また、本件交換に係る交換差金は2割以下であり、本件甲宅地及び本件乙宅地は、いずれもその資産の種類が「土地」であり、その用途は「宅地」であって同一である。
 したがって、本件交換には、譲渡所得の金額の計算上、本件特例の規定が適用されるべきであるから、これを否定した本件更正処分は違法であり、その全部が取り消されるべきである。
ロ 本件過少申告加算税の賦課決定処分について
 以上のとおり、本件更正処分は違法であるから、本件過少申告加算税の賦課決定処分も取り消すべきである。

(2)原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 本件更正処分について
(イ)本件甲宅地と本件乙宅地の交換に関する申告及びその経緯等については、次の事実が認められる。
A 請求人とF社とは、請求人所有の本件甲宅地とF社所有の本件乙宅地とを交換し、請求人が交換差金281,650,000円を取得することで合意し、平成3年1月18日付で土地交換契約書を作成したこと。
B 請求人は、平成4年3月16日に平成3年分の所得税の確定申告書並びに付属書類として「譲渡内容についてのお尋ね」及び「譲渡所得計算明細書」(以下、これらを一括して「本件計算明細書」という。)を原処分庁に提出していること。
C 本件計算明細書に記載されている内容の要旨は、次のとおりであること。
(A)本件甲宅地を1,878,258,000円でF社に譲渡した。
(B)F社から本件乙宅地を1,596,608,000円で取得した。
(C)本件甲宅地の取得費は、租税特別措置法第31条の4《長期譲渡所得の概算取得費控除》の規定を適用している。
(D)本件甲宅地の譲渡については、本件特例を適用する。
D 本件計算明細書に添付されているF社が作成した平成3年1月18日付の譲渡所得計算付属資料(以下「F社の資料」という。)には、次のとおり記載されていること。
(A)本件甲宅地の価格は、1,878,258,000円であること。
(B)本件乙宅地の価格は、1,596,608,000円であること。
(C)F社が請求人に支払う交換差金は、281,650,000円であること。
E 本件乙宅地の登記簿謄本によれば、F社は、本件乙宅地を昭和63年3月30日の売買を原因として昭和63年3月30日付で取得の登記をしていること。
F F社の本件乙宅地の取得に関する禀議書(以下「本件禀議書」という。)によれば、F社は、本件乙宅地を転売用土地として購入したこと。
G F社は、同社の昭和62年5月1日から昭和63年4月30日までの事業年度の確定した決算において、本件乙宅地につき棚卸資産(不動産事業支出金)として計上したこと。
 その後、F社は、昭和63年11月1日付で本件乙宅地につき棚卸資産から固定資産に振り替える経理処理をしていること。
H 建物の登記簿謄本によれば、本件乙宅地上に存する家屋番号6番14の2の建物(以下「本件建物」という。)は、平成3年1月18日の売買を原因として平成3年1月18日付でF社から請求人に所有権が移転されていること。
I F社は、本件建物に係る建築基準法第6条《建築物の建築等に関する申請及び確認》に規定する建築確認申請書を昭和63年4月23日にP市長に提出していること。
J 本件建物は、平成2年9月30日に完成していること。
K 請求人は、平成5年11月26日に原処分庁の調査担当職員(以下「調査担当職員」という。)に対し、F社が建物を建築し、請求人が営業を行えるようにして欲しい旨の交換条件をF社に提示した旨申述していること。
L 調査担当職員は、請求人に対し、本件乙宅地は、固定資産に当たらないから本件甲宅地に係る譲渡所得金額の計算上本件特例の適用はない旨指摘し、修正申告書の提出をしょうようしたこと。
M 請求人は、異議審理庁の担当職員に対し、本件甲宅地の譲渡の経緯等について、要旨次のとおり申述していること。
(A)昭和63年ころに、F社の社員から、本件甲宅地を購入したい旨の話があった。
(B)請求人は、本件甲宅地の譲渡に関して税金の関係から他の宅地との交換を希望していた。
(C)請求人は、本件甲宅地の交換に当たり、事業継続のために交換取得物件上にF社が建物を建築し、請求人に引き渡す旨の条件をF社に提示した。
(D)請求人は、本件建物の設計図面を見たことはあるが、建物の仕様について指示したことはない。
(ロ)上記(イ)の各事実によれば、F社は本件乙宅地を転売用土地として購入しており、また、同社は、本件乙宅地を取得後すぐに、同宅地上に請求人に売却するための建物の建築を計画し、実際にも本件建物を建築し請求人に売却していることから、F社が本件乙宅地を固定資産として使用した事実は認められない。
 ところで、本件特例の規定は、固定資産と固定資産を交換した場合にのみ認められるものであるが、上述のとおり、請求人がF社から交換により取得した本件乙宅地は、固定資産とは認められないから、本件甲宅地の交換譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、本件特例の規定の適用はない。
(ハ)以上の結果、請求人の分離長期譲渡所得の金額は、次表のとおりとなり、これと同額でした本件更正処分は適法である。

(単位 円)
項目金額
譲渡収入金額(1)1,878,258,000
取得費の額(2)93,912,900
譲渡に要した費用の額(3)100,000
特別控除額(4)1,000,000
分離長期譲渡所得の金額1,783,245,100
((1)-(2)-(3)-(4))

ロ 本件過少申告加算税の賦課決定処分について
 以上のとおり、本件更正処分は適法であり、かつ、請求人には国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項及び第2項の規定に基づいて本件過少申告加算税の賦課決定処分をしたものである。

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3 判断

 本件審査請求の争点は、本件甲宅地と本件乙宅地との交換に本件特例の規定が適用できるか否かにあるので、以下審理する。

(1)本件更正処分について

イ 当審判所が、原処分関係資料等を調査したところによれば、次の事実が認められる。
(イ)本件甲宅地の登記簿謄本によれば、本件甲宅地は、昭和34年3月31日に、昭和28年10月10日の払下げを原因として、大蔵省から請求人に所有権移転の登記が経由されていること。
(ロ)F社は、本件乙宅地を自社用ビル用地として購入する旨を審議した取締役会議事録(以下「本件議事録」という。)を昭和61年7月21日付で作成していること。
(ハ)本件議事録にはF社の代表者の印が押なつされているが、同社が保存している「代表者印の捺印簿」によれば、本件議事録の作成日以後の2週間の間に、本件議事録に代表者印を押なつした旨の記録がないこと。
(ニ)昭和61年7月25日にF社の開発事業部が発議し、同月29日にその社内決裁を了した本件乙宅地の取得に関する本件禀議書によれば、F社は、本件乙宅地を商業ビル用地として一時取得し、請負工事条件付にて再売却する転売用土地として購入する旨を決めていること。
(ホ)本件乙宅地の登記簿謄本によれば、本件乙宅地は、昭和63年3月30日に、同日の売買を原因としてG銀行株式会社からF社に所有権移転登記が経由されていること。
(ヘ)F社は、同社の昭和62年5月1日から昭和63年4月30日までの事業年度の確定した決算に係る貸借対照表において、本件乙宅地を棚卸資産(不動産事業支出金)として計上していること。
(ト)請求人とF社とは、本件甲宅地と本件乙宅地との交換について、昭和63年3月ころに、要旨次の内容を定めた「覚書」を締結したこと。
A 請求人とF社とは、F社が本件乙宅地上に建物(本件建物)を建築の上、本件甲宅地と本件乙宅地とを交換する。
B 本件建物は、延べ床面積140坪を目途として、建築費は3.3平方メートル当たり150万円とし、仕様、設計等は別途協議する。
C 請求人とF社とは、本件建物の完成後に本件甲及び乙宅地に係る交換契約並びに本件建物に係る売買契約を締結する。
(チ)F社は、昭和63年11月1日付で、本件乙宅地を棚卸資産から固定資産に振り替える経理処理(振替伝票作成)をしていること。
(リ)F社は、同社の昭和63年5月1日から平成元年4月30日までの事業年度の確定した決算に係る貸借対照表において、本件乙宅地を固定資産として計上していること。
(ヌ)F社は、昭和63年4月23日に、本件建物に係る建築基準法第6条に規定する建築確認申請書をP市長に提出し、同年8月5日にその確認を受けていること。
(ル)本件建物は、平成2年9月30日に完成していること。
(ヲ)本件建物の登記簿謄本によれば、F社は、平成2年11月6日に、本件建物の所有権保存登記をしていること。
(ワ)請求人とF社とは、平成3年1月18日付で、本件甲宅地と本件乙宅地とを交換し、請求人が交換差金281,650,000円を取得することを定めた土地交換契約書及び本件建物を281,650,000円で売買することを定めた建物売買契約書を作成していること。
(カ)本件甲宅地の登記簿謄本によれば、本件甲宅地は、平成3年1月19日に、平成3年1月18日の交換を原因として、請求人からF社に所有権移転の登記が経由されていること。
(ヨ)本件乙宅地の登記簿謄本によれば、本件乙宅地は、平成3年1月19日に、平成3年1月18日の交換を原因として、F社から請求人に所有権移転の登記が経由されていること。
(タ)本件建物の登記簿謄本によれば、本件建物は、平成3年1月19日に、平成3年1月18日の売買を原因として、F社から請求人に所有権移転の登記が経由されていること。
(レ)請求人が原処分庁に提出した平成3年分の所得税の確定申告書、本件計算明細書及びF社の資料によれば、次のとおりであること。
A 本件甲宅地の価格は、1,878,258,000円であり、また、本件乙宅地の価格は、1,596,608,000円である。
B 請求人は、F社との間で、本件甲宅地を譲渡し本件乙宅地を取得する交換取引を行い、その交換差金として281,650,000円を取得した。
C 請求人は、本件甲宅地の取得費として、租税特別措置法第31条の4の規定を適用した。
D 請求人は、本件甲宅地の交換譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、本件特例の規定を適用した。
(ソ)F社開発事業部長のH(以下「H」という。)は、平成4年11月13日付で次の内容を記載した確認書(以下「Hの確認書」という。)をM国税局の国税調査官あてに提出していること。
A 昭和63年1月ころ、F社から請求人に対し、当社所有の土地と請求人所有の土地を交換できないかと申し出、昭和63年3月ころに、両者間で前記(ト)の「覚書」を締結した。
B しかし、本件特例に規定する交換の条件は、一年以上所有の固定資産でなければならないということを知り、本件乙宅地の勘定科目を事業用資産から固定資産に振り替える処理をした。
C 本件乙宅地の勘定科目を棚卸資産から固定資産に振り替える処理をするためには、取締役会での議決が必要であることから、時期の記憶は定かでないが、昭和63年か平成元年になってからF社が保管する他の取締役会の議事録を参考にして本件議事録を作成し、なつ印は当時の専務取締役J(以下「J」という。)に依頼した。
 その後、本件特例の規定は、交換のために取得した土地には適用がないことを知り、本件交換契約締結時まで必要であった上記覚書を、本件交換契約締結後に請求人立会いの上破棄したが、その内容は、前記(ト)のとおりと記憶している。
(ツ)Jは、平成4年11月13日付で、開発事業部から本件特例に規定する交換の条件を整えるための必要上、本件乙宅地の勘定科目を棚卸資産から固定資産に振り替えたいとの申し出があり、その事務手続きとして、昭和63年又は平成元年ころに作成した、当該土地を自社使用とする内容の本件議事録に、○○取締役の了解を得てなつ印した旨を記載した確認書(以下「Jの確認書」という。)をM国税局の国税調査官あてに提出していること。
(ネ)F社取締役総務部長のK(以下「K」という。)は、平成5年4月7日付で、本件乙宅地は購入当初から本件交換時までは棚卸資産であり、固定資産として利用するなどの計画及び固定資産として使用した事実は一切なかった旨を記載した確認書(以下「Kの確認書」という。)をM国税局の統括国税調査官あてに提出していること。
ロ ところで、本件特例の規定は、居住者が、各年において、一年以上有していた固定資産である(a)土地、(b)建物、(c)機械、(d)船舶及び(e)鉱業権をそれぞれ他の者が一年以上有していた固定資産である同種のもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した資産(以下「取得資産」という。)を、その交換により譲渡した資産(以下「譲渡資産」という。)の譲渡直前の用途と同一の用途に供した場合には、譲渡所得の金額の計算上、当該譲渡資産(取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く。)の譲渡がなかったものとみなす旨規定している。
 そうすると、土地と土地との交換の場合で、その一方の当事者が、本件特例の規定を適用するためには、譲渡しようとする土地が一年以上有していた固定資産であると同時に、取得しようとする土地が他方の当事者において一年以上有していた固定資産であって、交換のために取得したと認められるものであってはならず、しかも、交換により取得した土地は、譲渡した土地の譲渡直前の用途と同一の用途に供することが必要となる。
ハ 上記イの事実を上記ロに照らして判断すると、次のとおりである。
(イ)上記イの(ワ)ないし(レ)のとおり、請求人とF社とは、本件甲宅地と本件乙宅地とを交換しているところ、請求人が本件交換のために譲渡した本件甲宅地は、上記イの(イ)のとおり、請求人が昭和28年以降固定資産として所有していた土地であるが、取得した本件乙宅地は、上記イの(ニ)ないし(ト)及び(ヌ)ないし(タ)のとおり、F社が転売用土地として購入し、その取得後、本件甲宅地と交換するため直ちに本件乙宅地上に請求人に売却する建物を建築した上、上記イの(ワ)のとおり、本件交換のための売却物件とされていることから、本件交換における請求人の相手方であるF社が本件乙宅地を固定資産として使用した事実は認められない。
(ロ)ところで、F社は、上記イの(ロ)のとおり、昭和61年7月21日付で本件乙宅地を自社用ビル用地として購入することを審議した本件議事録を作成し、また、上記イの(チ)及び(リ)のとおり、本件乙宅地を昭和63年11月1日付で棚卸資産から固定資産に振り替える経理処理をしている事実が認められる。
 しかしながら、企業の担当部署で企画した業務の可否を、その取締役会で審議する場合には、当然に取締役会の開催が担当部署の企画の日より後になるのであるが、上記イの(ロ)において、F社の取締役会が本件乙宅地の購入の可否を審議して本件議事録を作成した日(昭和61年7月21日)は、上記イの(ニ)のとおり、同社の担当部署における本件乙宅地の取得に関する本件禀議書の発議の日(昭和61年7月25日)以前という逆転する不自然な日付であり、しかも、上記イの(ハ)のとおり、本件議事録への代表者印の押なつの事実が、その作成日に記録されていないことから、本件議事録は、真実その作成日付で作成されたものと認めることができない。
 これに加えて、上記(イ)で認定した事実及びこれと符号し、かつ、相互に内容的によく調和する上記イの(ソ)のHの確認書及び(ツ)のJの確認書の記載内容とを総合すれば、請求人及びF社は、本件特例の規定の適用がないと承知していたにもかかわらず、あたかも適用があるかのような外形を整えるために、事実に反して、本件議事録を作成し本件乙宅地を棚卸資産から固定資産に振り替えたのであり、その結果、本件議事録の内容等が本件乙宅地の取得から交換までの一連の流れの中で著しく不自然な内容となったものと認められる。
 したがって、真実は、上記イの(ネ)に記載したKの確認書の記載内容のとおり、本件乙宅地は、F社において、購入当初から本件交換に至るまで棚卸資産であって、何ら固定資産として利用する計画及び事実はなかったものと認めるのが自然、かつ、妥当なものである。
(ハ)請求人は、本件甲宅地及び本件乙宅地とも固定資産であるから、本件交換には、譲渡所得の金額の計算上、本件特例の規定を適用すべきである旨主張するが、上記ロのとおり、本件特例の規定は、固定資産と固定資産とを交換した場合に認められるところ、上記(イ)のとおり、請求人がF社から交換により取得した本件乙宅地は、固定資産とは認められないので、本件特例の規定の適用対象土地としての適格性を有しないものとなり、したがって、たとえ本件甲宅地が、請求人において一年以上有していた固定資産であったとしても、本件甲宅地の交換譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、本件特例の規定の適用はできないこととなる。
 よって、請求人の主張には理由がない。
ニ 以上のとおり、本件乙宅地は、固定資産とは認められないから、本件甲宅地の交換譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、本件特例の規定の適用はないとした原処分庁の認定は相当である。
 したがって、請求人の分離長期譲渡所得の金額は、次表のとおりとなるところ、この金額は本件更正処分に係る金額と同額であるから、本件更正処分は適法である。

(単位 円)
項目金額
譲渡収入金額(1)1,878,258,000
取得費の額(2)93,912,900
譲渡に要した費用の額(3)100,000
特別控除額(4)1,000,000
分離長期譲渡所得の金額1,783,245,100
((1)-(2)-(3)-(4))

(2)本件過少申告加算税の賦課決定処分について

 本件過少申告加算税の賦課決定処分については、本件更正処分は上記(1)のニのとおり相当であり、また、同更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項及び第2項の規定により本件過少申告加算税の賦課決定処分をしたことは適法である。

(3)その他について

 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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