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(平7.10.30裁決、裁決事例集No.50 175頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、配合飼料製造販売業を営む同族会社であるが、平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度(以下「平成4年3月期」という。)及び平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度(以下「平成5年3月期」といい、これと平成4年3月期を併せて「各事業年度」という。)の法人税並びに平成5年3月期の法人特別税について、それぞれ青色の確定申告書に別表の「確定申告」欄のとおり記載した上、いずれも法定申告期限までにM税務署長に提出した。
 M税務署長は、これに対し、原処分庁所属の職員の調査に基づき、平成6年8月12日付で別表の「原処分」欄記載のとおり更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。
 請求人は、上記各処分を不服として平成6年9月22日に審査請求をした。

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2 主張

(1)請求人の主張

 原処分は、次の理由により不当であるから、いずれもその全部の取消しを求める。
イ 法人税の更正処分について
(イ)請求人は、昭和63年4月に新設したP市R町三丁目6948番地2に所在するW工場のバラ製品の出荷装置(以下「バラ出荷設備」という。)及び平成3年7月に薬品の残留防止のために増設したバラ製品の出荷装置(以下「残留防止用バラ出荷設備」といい、バラ出荷設備と併せて「本件出荷設備」という。)を事業の用に供していたが、減価償却費の計算において、本件出荷設備のうち、(a)上屋及び側壁、(b)基礎工事、(c)出荷口防風雪設備についてはその耐用年数をそれぞれ22年とし、また、(d)タンク架構部分(以下、(a)から(d)までの資産を併せて「本件各資産」という。)についてはその耐用年数を10年として、償却限度額を計算し、各事業年度の損金の額に算入した。
(ロ)これに対し、原処分庁は、本件各資産は工場用建物であり、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下「耐用年数省令」という。)別表第一に掲げる「建物」の「金属造りのもの(骨格材の肉厚が4ミリメートルを超えるものに限る。)」の「工場用又は倉庫用のもの」の「その他のもの」に該当し、その耐用年数は35年であるから、請求人が各事業年度において損金の額に算入した減価償却費の額のうち、平成4年3月期13,504,930円、平成5年3月期15,424,284円は償却超過額であるとして損金の額に算入することを認めなかった。
(ハ)しかしながら、次に述べるとおり、本件各資産は本件出荷設備の一部であり、本件出荷設備が全体として機械装置の機能を果たしているのであるから、耐用年数省令別表第二に掲げる機械及び装置の「35その他の飼料製造設備」に該当し、その耐用年数10年を適用すべきである。
 なお、請求人は、各事業年度の確定申告において、上屋及び側壁、基礎工事、出荷口防風雪設備に係る耐用年数の適用を誤り、それぞれ22年としていたが、当該各資産の耐用年数は上記のとおりいずれも10年であるので、審査請求においては原処分の全部を取り消し、確定申告の所得金額とする裁決を求める。
A 本件出荷設備は、原料を粉砕して配合する工場(以下「本件工場」という。)とは独立して設置されているが、配合飼料の製造から製品の出荷までが一体となって機能する配合飼料製造装置の一装置である。
B 本件出荷設備の内部には、鉄製高架タンク(以下「タンク」という。)、製品搬送用コンベヤー、計量機等(以下、これらを併せて「本件タンク等」という。)の機械装置が設置されており、最上部のタンクに本件工場で製造したバラ製品を入れ、これを重力に従ってタンク下の計量機を通し、待機するバラ輸送車に落とし込む方法になっている。
 このような構造上、高所にある本件タンク等を支え、その重圧に耐え得る肉厚4ミリメートルを超える鉄骨製の架構及び堅固な基礎を有しているのであり、これらが建物としての屋根、壁、床等を支えているものではない。
C また、本件出荷設備は臨海地域の屋外に建設されているため、塩害や風雪等から本件タンク等の金属部分を保護し、作業中生ずる粉塵や風による製品の飛散を防止する必要があるので、上屋、側壁及び出荷口防風雪設備をタンク架構部分に直接取り付け、本件タンク等を覆ったものである。
D 原処分庁は、本件各資産が建物の基礎、壁、屋根、柱等を構成しているから独立した工場建物であると主張するが、上記B及びCのとおり、本件各資産は本件タンク等と一体となっているので本件各資産だけに工場建物としての独立性はない。
 このことは、主体構造物であるタンクを撤去する場合、構造的に本件各資産だけを建物として残すことはできないことからしても明らかである。
E 計量機を設置した床は、地上7.8メートルの高さにあり、計量機を操作する足場となっているが、通常、機械装置にも作業のための歩み板、階段、手すり等がついている。
 また、タンクと上屋との空間は、本件タンク等を覆った結果できたものであり、そこに窓があるのは作業の明り取りのためである。
F 本件各資産の工事施工内容に鉄骨工事、外壁工事、屋根工事、鉄製建具工事、電気設備工事等、建物の工事に使われるような名称が見られるが、建物以外の工事にこのような名称が使われるのは通例である。
G 本件各資産は建築物として建築確認申請がされているが、建築基準法における建物とは通常の建物ばかりではなく、その範囲は広く、例えば耐用年数表において構築物に区分されるサイロ、機械及び装置に属する石油・プロパンガス等の積出しゲート等も建築物として確認手続が取られており、本件出荷設備も建物ではないが、これらと同様の確認手続を行ったものである。
H 本件各資産は建物として登記されているが、不動産登記における土地以外の不動産は、民法の定める土地の定着物をいうのであり、その範囲は建物のみならずサイロ等の構築物も含み広い。
 また、不動産登記簿が土地登記簿と建物登記簿だけであるから、土地以外の不動産は通常の建物以外のものであってもすべて建物として登記せざるを得ない。
I 本件各資産に不動産取得税及び固定資産税が賦課されているが、これは不動産取得税に関する自治省依命通達で、「いわゆる工業用サイロについてはおおむね家屋と解されていること」と規定されていることを根拠として不動産取得税を課し、P市も同様に建物として固定資産税を課したもので、この通達については従来から地方自治体の間で問題となっており、建物としての課税上の取扱いは地方自治体によってまちまちである。
J 請求人と同種、同業でQ市S町所在のF株式会社所有のバラ出荷装置の耐用年数について、平成元年3月の原処分庁の同社に対する税務調査の結果、本件各資産と同じ基礎や架構等を機械装置とし、「その他の飼料製造設備」の耐用年数10年を適用した減価償却が認められている。
K そもそも、減価償却資産の耐用年数の適用に当たっては、(a)その本来の用途・用法に基いた効用持続年数によること、(b)本来の用途を果たすために一体となって機能しているものは一つの減価償却資産として適用すること、(c)仮に、耐用年数表に特掲されていない場合には合理的な社会慣行(本件の場合、F株式会社の耐用年数適用例)に基づき弾力的な適用を行うことの原則によるべきであり、請求人は、上記AないしJのとおり、これらの原則に従って機械装置と判断した。にもかかわらず、原処分は、これらの原則を無視し、本件各資産だけを無理に引き離して建物の耐用年数を適用した不当なものである。
ロ 法人税の過少申告加算税の賦課決定処分について
 上記イのとおり、更正処分はその全部を取り消すべきであるから、これに伴い、過少申告加算税の賦課決定処分もその全部を取り消すべきである。
ハ 法人特別税の更正処分について
 上記イのとおり、平成5年3月期の法人税の更正処分はその全部を取り消すべきであるから、当該処分に基づいてされた法人特別税の更正処分もその全部を取り消すべきである。
ニ 法人特別税の過少申告加算税の賦課決定処分について
 上記ハのとおり、更正処分はその全部を取り消すべきであるから、これに伴い、過少申告加算税の賦課決定処分もその全部を取り消すべきである。

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(2)原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により正当であるから、審査請求をいずれも棄却するとの裁決を求める。
イ 法人税の更正処分について
(イ)原処分庁が、本件出荷設備及び本件各資産について調査したところによれば、次の事実が認められる。
A 本件各資産は、四囲の柱、基礎、壁、床、屋根、窓から構成されていること。
B 四囲にある柱は、屋根、壁、床、タンクを支える鉄骨(肉厚が4ミリメートルを超えている。)であると認められること。
C 地上7.8メートルのところには床があり、その床には計量機が設置してあること。
D 地上から5メートルまでは電動シャッターがあり、また、地上5メートルから屋根に達するまで側壁があり、その側壁には窓(アルミサッシ)があること。
E タンクと屋根との間には空間があり、その空間には製品を搬送するコンベヤーがあること。
 また、タンクは、鉄製の天板で覆われており、そこで計量等の作業を行うことができること。
F 残留防止用バラ出荷設備工事の請負業者であるH株式会社が、同社の下請先のG株式会社に対し発行した平成2年11月5日付の注文書によると、鉄骨工事(鉄骨鋼材、床、手摺)、外壁工事、屋根工事、鉄製建具工事(サッシ、電動シャッター)、電気設備等を工事施工内容としていること。
G 請求人が、平成2年9月27日付(確認番号第〇〇号)でW県建築主事から受けた「確認通知書(建築物)」によると、(a)用途は飼料工場、(b)構造は鉄骨造り、(c)屋根及び外壁はカラーガルバリウム鋼板、(d)軒裏は折版現し、(e)申請部分の床面積は、1階と2階それぞれ161.82平方メートル、(f)階の高さ1階7.8メートル、2階23.3メートル、(g)最高の軒の高さ33.5メートルであることの確認を受け、平成3年7月2日付で建築基準法第7条《建築物に関する検査》第3項の規定による検査済証の交付を受けていること。
H 昭和63年12月7日及び平成3年10月16日付の登記申請書によると、建物(サイロ)として登記していること。
I 昭和63年11月7日及び平成3年11月7日付の不動産の取得申告書によると、家屋の所在地をP市R町三丁目6948番地2とし、種類をバラ出荷棟としていること。
J 上記Iの申告に基づき、W県は本件各資産を家屋として不動産取得税を賦課しており、また、P市は、同じく家屋として固定資産税を賦課していること。
 なお、不動産取得税に関する自治省依命通達が地方自治体間で問題となっているかどうかについては、関知しない。
(ロ)ところで建物とは、土地に定着して建設されたもので、基礎、柱、梁、桁、壁、床、窓、屋根等により構成され、雨露をしのぎ、外界を隔絶した構造物で、物の蔵置、製造及び作業の用に供するためのもの又は人を収容して当該用役に供するためのものである。
(ハ)これを上記(イ)の事実を基に判断すると、本件各資産のうち、基礎工事は建物の基礎を、タンク架構部分は柱を、上屋、側壁及び出荷口防風雪設備は屋根及び外壁を構成していることが認められる。よって、本件各資産は土地に定着して建設されたもので、基礎、柱、梁、桁、壁、床、窓、屋根等により構成され、雨露をしのぎ外界を隔絶し、その中に本件タンク等を設置して出荷等の作業をすることができるものであるから、工場用建物である。
(ニ)また、請求人は、本件各資産は配合飼料製造装置の一部である旨主張するが、上記(イ)のG、H、I及びJのとおり、請求人は、本件各資産について建築物である旨の確認申請をして建築物としての確認を受け、また、建物として登記し、更に、家屋の取得をしたとして不動産取得申告書を提出していることからして、本件各資産は建物であり、配合飼料製造装置の一部とは認められない。
(ホ)なお、請求人は、F株式会社所有のバラ出荷装置の耐用年数について、本件各資産と同じ基礎や架構等を機械装置として、「その他の飼料製造設備」の耐用年数10年を適用している旨主張するが、このことをもって原処分が不当であるとする理由にはならない。
(ヘ)したがって、本件各資産は、その構造が金属造りのもので、その主要柱である骨格材の肉厚が4ミリメートルを超えていることから、本件各資産の耐用年数は、耐用年数省令の定めに従い、同令別表第一の「建物」の「金属造りのもの(骨格材の肉厚が4ミリメートルを超えるものに限る。)」の「工場用又は倉庫用のもの」の「その他のもの」の35年を適用したものである。
ロ 法人税の過少申告加算税の賦課決定処分について
 上記イのとおり、更正処分は適法であり、かつ、確定申告が過少であったことについて、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があったとは認められないから、過少申告加算税の賦課決定処分をしたものである。
ハ 法人特別税の更正処分について
 上記イのとおり、平成5年3月期の法人税の更正処分に伴い、法人特別税の課税標準が申告額と異なることとなるから、更正処分をしたものである。
ニ 法人特別税の過少申告加算税の賦課決定処分について
 上記ハのとおり、更正処分は適法であり、かつ、確定申告が過少であったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があったとは認められないから、過少申告加算税の賦課決定処分をしたものである。

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3 判断

(1)法人税の更正処分について

 本件各資産の耐用年数について争いがあるので、以下審理する。
イ 次の事実については、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
(イ)タンク架構部分の骨格材は鉄製で、肉厚が4ミリメートルを超えていること。
(ロ)本件タンク等の耐用年数は、機械装置として、耐用年数省令別表第二の「その他の飼料製造設備」の10年が適用されていること。
(ハ)残留防止用バラ出荷設備は、バラ出荷設備に増設されたもので、内部構造はバラ出荷設備と同一であること。
ロ 請求人の提出資料及び原処分関係資料を当審判所において調査したところ、次の事実が認められる。
(イ)本件各資産のそれぞれの内容は次のとおりであること。
A 基礎工事は、本件出荷設備を建設する上での土工事、杭工事、鉄筋コンクート工事等である。
B 上屋及び側壁は、本件出荷設備の上屋工事及び外壁工事により、本件タンク等の上方及び側方のすべての面を覆うものである。
C 出荷口防風雪設備は、本件出荷設備の搬出口の北側一面だけに取り付けられた電動シャッター設備である。
D タンク架構部分は、基礎からタンクが設置されている部分までの鉄骨全体である。
(ロ)本件出荷設備は、本件工場の隣に独立して建設されており、バラ製品を運ぶコンベヤーでつながれていること。
(ハ)請求人は、平成2年9月27日付で残留防止用バラ出荷設備について、鉄骨造りで、カラーガルバリウム鋼板の屋根及び外壁を有する飼料工場として、W県建築主事から建築基準法第6条《建築物の建築等に関する申請及び確認》第3項による建築物の確認通知を受け、更に平成3年7月2日付で建築基準法第7条第3項による検査済証の交付を受けていること。
(ニ)請求人は、昭和63年9月2日にバラ出荷設備について床面積616.67平方メートルの鉄骨造亜鉛メッキ銅板葺平屋建ての倉庫として建物の登記申請書を提出し、このとおり登記されていること。
 また、請求人は、残留防止用バラ出荷設備を増築したので平成3年10月16日に床面積を762.51平方メートルに変更する旨の登記申請書を提出し、このとおり登記上の表示が変更されていること。
 なお、この点について原処分庁は本件出荷設備がサイロとして登記されている旨主張するが、事実を誤認している。
(ホ)請求人は、バラ出荷設備については昭和63年11月7日に、また、残留防止用バラ出荷設備については平成3年11月7日に、それぞれM財務事務所長に対し鉄骨造長尺カラー鋼板葺のバラ出荷棟として不動産取得申告書(非木造家屋用)を提出していること。
 その結果、請求人に対して本件出荷設備の不動産取得税が課されていること。
(ヘ)本件出荷設備に対して、家屋として固定資産税が課されていること。
ハ 当審判所が、実地に本件各資産を確認したところによれば、次の事実が認められる。
(イ)本件出荷設備は、バラ輸送車が出入りする搬出口部分を除き、それより上部は、上屋と側壁により内部が全て覆われていること。
(ロ)搬出口の北面は、電動シャッターが全面に設置され、西面は塩化ビニール製の浪板が張られているが、他の面は柱のみであり、西面以外はバラ輸送車の出入り口になっていること。
(ハ)基礎部分から上屋にかけて本件タンク等を取り囲むようにして多数の支柱が立てられており、これらの支柱に上屋及び側壁が取り付けられているので、支柱全体で上屋及び側壁を支えていること。
(ニ)側壁は、支柱の横へ鉄の胴縁を施した上に取り付けられているので、タンクには直接取り付けられておらず、タンクと側壁の間には40センチメートルから50センチメートルの間隔があること。
(ホ)タンク下の一室の空間には、全面に鉄製の床が張られて計量機が設置してあり、タンク上部の一室の空間についても、全面に鉄製の床が張られていること。
 また、それぞれの空間には外から人が出入りできるように側壁の外に階段と扉が設けられており、窓もあること。
ニ ところで、耐用年数省令別表第一の「建物」とは、機械及び装置以外の有形減価償却資産で、耐用年数省令別表第一に掲げられた他の種類の資産(建物付属設備、構築物、船舶、航空機、車両及び運搬具並びに工具、器具及び備品)以外のものをいい、土地に定着する工作物のうち、屋根、周壁、柱等を有し、その目的とする用途に供し得る状態にあるものと解されている。
ホ これを上記イ、ロ及びハの事実に基づき判断すると、次のとおりである。
(イ)本件出荷設備はバラ製品の出荷専用設備として、基礎工事を施した上、支柱を立て土地に定着させた建造物であり、構造的には、本件タンク等を取り囲む形で周囲に支柱があり、この支柱に上屋、側壁及び出荷口防風雪設備が取り付けられ、本件タンク等を覆っていることが認められる。
(ロ)機能的には、本件出荷設備内部には一室の空間を設けて鉄製の床を張りその上に本件タンク等を設置していることから、物の蔵置の用に供されていること、また、その空間では計量機の操作やタンク内の状況確認等の作業が可能で、その空間に外から人が出入りできる階段及び扉も設けられていることから、人の作業の用に供されていることが認められる。
(ハ)また、請求人は、上記ロの(ハ)、(ニ)、(ホ)及び(ヘ)のとおり、(a)本件出荷設備を倉庫として登記申請をし、(b)残留防止用バラ出荷設備を建築基準法上の建築物として確認申請をし、(c)不動産取得申告書にバラ出荷棟を取得した旨記載して申告していることが認められ、本件出荷設備を建設した当初から建物と認識していたことが推認され、しかも、これらの申請に基づいて、実際に登記がなされ、不動産取得税及び固定資産税が賦課され、建築物として建築確認がされており、これらが取り消された事実も認められない。
ヘ そうすると、本件各資産は、本件タンク等に付帯的に取り付けられたものではなく、基礎、屋根、壁、柱、窓及びバラ輸送車の搬出口あるいは風よけのためのシャッターで構成され、機械等の蔵置あるいは人の作業の用に供されていることから、建物と認めるのが相当である。
ト また、請求人は、本件各資産は本件タンク等と一体となっており、本件タンク等を撤去する場合には本件各資産だけを建物として残すことはできないから本件各資産には工場建物としての独立性はない旨主張する。
 しかしながら、上記ハの(ニ)のとおり、側壁はタンクを囲む支柱に取り付けられ、タンクに直接取り付けられていないので、この点で本件各資産と本件タンク等が一体であるとは認められず、また、本件各資産は、上記へのとおり建物であるから、本件タンク等とは別個の減価償却資産と認めるのが相当である。
 したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。
チ なお、請求人は、F株式会社所有のバラ出荷装置について、本件各資産と同じ基礎や架構等が機械装置として認められているから、本件各資産も同様に機械装置の耐用年数を適用するべきである旨主張して、同社のバラ出荷装置の写真及び設計図を提出したが、当審判所においてこれらを検討したところ、この装置には上屋がなく、またタンクを囲む周壁もないので本件各資産と同一の資産であるとは認められず、これらの資料を採用することはできない。
リ 以上審理したところによれば、本件各資産は、耐用年数省令別表第一の「建物」の「金属造りのもの(骨格の肉厚が4ミリメートルを超えるものに限る。)」の「工場用(作業場を含む。)又は倉庫用のもの」の「その他のもの」の「その他のもの」に該当するので、その耐用年数35年を適用した原処分は適法であり、正当である。

(2)法人税の過少申告加算税の賦課決定処分について

 上記(1)のとおり、更正処分は適法であり、かつ、更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があったとは認められないから、同条第1項及び第2項の規定に基づいてなされた過少申告加算税の賦課決定処分は適法である。

(3)法人特別税の更正処分について

 上記(1)のとおり、平成5年3月期の法人税の更正処分は適法であり、法人特別税の更正処分はこれに伴ってなされた更正処分であり、また、その算定方法にも誤りが認められないことから適法である。

(4)法人特別税の過少申告加算税の賦課決定処分について

 上記(3)のとおり、更正処分は適法であり、かつ、更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があったとは認められないから、同条第1項の規定に基づいてなされた過少申告加算税の賦課決定処分は適法である。

(5)その他

 原処分のその他の部分について、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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