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(平12.6.26裁決、裁決事例集No.59 14頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1)事案の概要

 本件は、遺産に関する紛争調整調停申立てに基づく家庭裁判所における調停の成立が、相続税法第32条《更正の請求の特則》第1号又は国税通則法(以下「通則法」という。)第23条《更正の請求》第2項第1号の規定に基づく更正の請求の事由に当たるか否かが主として争われた事案である。

(2)審査請求に至る経緯

 別表のとおり。

(3)基礎事実

 以下の事実は、審査請求人(以下「請求人」という。)及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
イ 平成4年5月21日に死亡したE(以下「被相続人」という。)の相続人は、請求人及び請求人の配偶者(以下「請求人ら」という。)であり、また、被相続人の受遺者で、相続人ではない者が4人いる。
ロ 遺贈分を除いた相続財産について、相続人間で遺産分割協議が行われ、平成4年9月10日付で遺産分割協議書(以下「本件分割協議書」という。)が作成されている。
 なお、本件分割協議書によれば、その記載されている相続財産のそれぞれについて、請求人らは各2分の1の共有持分を取得するものとされている。
ハ 請求人らの相続税の申告書は、相続財産につき本件分割協議書に基づき作成されており、受遺者と共同して法定申告期限内に提出されている。
ニ 被相続人の受遺者であるF(以下「本件受遺者」という。)に対する平成元年1月16日付の遺言書(以下「本件遺言書」という。)には、「私Eは、長い間私と共に暮らしたFさん一家に感謝して、私の預貯金、G銀行、H銀行、IとJの2つの郵便局扱い、K証券扱い、L火災の女性保険……E及びMの2名義のもの等のお金、及び私が最後の時に使用し、残してゆく現金全部をあげます。」(以下「本件遺言前段」という。)及び「更に残して往く財産……軍用地料、貸家、貸土地等の総収入の半分を使って凡そ毎年700万円余りを使って、今後安心して子供達を育てながら、今迄通りこの家に住み、家、屋敷、墓等の管理人として私の生前通り、よき気配り第一に暮らして下さい。」、(以下「本件遺言後段」という。)という文言が記載されている。
ホ 本件遺言前段による遺贈財産は、本件受遺者により、その取得財産として相続税の申告がなされているが、本件遺言後段の内容に関しては、本件受遺者の相続税の申告においても、また、請求人らの相続税の申告においても、課税価格又は相続税額の計算上、何ら考慮されていない。
ヘ 本件受遺者から、請求人らを相手方として、「遺産に関する紛争調整調停」(以下「本件調停」という。)が、平成7年にN家庭裁判所O支部(以下「家裁O支部」という。)に申し立てられ、平成8年4月15日に家裁O支部において調停が成立し、調書(以下「本件調停調書」という。)が作成されている。本件調停調書には、〔1〕請求人らから本件受遺者に対し、平成8年8月末日限り金2800万円、平成10年8月末日限り金1400万円、平成12年8月末日限り金1400万円、平成14年8月末日限り金1400万円及び平成15年8月末日限り金700万円を支払う、〔2〕請求人らから本件受遺者に対し土地3筆及び建物3棟を無償譲渡する、並びに〔3〕本調停条項及び家裁O支部平成7年(家△)第△△△号祭祀財産の引渡調停事件における調停条項に定めるほか、請求人らと本件受遺者との間には、何らの債権債務のないことを確認する旨記載されている。

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2 主張

(1)請求人

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件遺言後段に基づく遺贈の効力について
 本件遺言書は、平成4年6月17日付をもって家庭裁判所において検認され、有効に成立しており、本件遺言後段の本件受遺者に対し毎年7,000,000円支払うという記載は、民法1002条に規定する負担付遺贈に当たる。
 なお、原処分庁は、本件調停の成立による財産の授受は贈与に当たると主張するが、この財産の授受については、〔1〕民法第549条に「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償にて相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾を為すによりてその効力を生ず」と規定されているところ、当事者において贈与の意図は全くないこと、及び〔2〕本件遺言後段により、請求人らは、本件受遺者に対して毎年7,000,000円の金員の支払義務を負担しており、本件の財産の授受とこの義務の消滅とは対価関係があり、そこには無償性は存在しないことから、贈与に該当しない。
ロ 更正の請求の適法性について
(イ)本件調停の成立により、本件受遺者の取得すべき相続財産と請求人の負担額が確定したことは、遺産の再分割が行われたことであり、相続税法第32条第1号に規定する更正の請求の事由に該当する。
(ロ)また、本件調停の成立は、これにより、申告当時その権利関係の帰属が明確となっていなかったことについて、それが明確となり、申告当時と異なった権利関係が生じたのであるから、通則法第23条第2項第1号に規定する判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)に該当する。
ハ 相続財産の価額から控除すべき金銭債権の価額について
 本件調停の成立により、請求人らには、本件遺言後段に基づき、総額84,000,000円の金員の支払義務及び相続税評価額(平成4年分)で27,433,887円の土地及び建物の無償譲渡義務が確定したのであるから、これらの合計額111,433,887円のうち請求人の負担分である2分の1相当額の55,716,944円を相続債務として、相続財産の価額から控除すべきである。
ニ 仮に、相続財産の価額から控除すべき金銭債権の価額について、上記ハによることが適当でないとしても、本件遺言後段の内容に照らし、当該金銭債権は、相続税法第3条《相続又は遺贈により取得したものとみなす場合》第1項第6号に規定する定期金と解して評価することが合理的である。

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(2)原処分庁

 原処分は適法であるから、本件審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 本件遺言後段に基づく遺贈の効力について
 本件遺言後段は、金員の支払期限の定めがないことや、相続により取得した土地から得られる予定の地代収入から支払を命じているものであり、不確実なものであることから、遺贈としての効力はない。
 また、分割協議がいったん有効に成立すると、分割協議に無効となる重大な瑕疵がない限り、税務上そのやり直しを認めることはできず、もし、各人に具体的に帰属した財産を分割のやり直しとして再分配した場合には、当初の分割協議による財産の取得について無効又は取り消し得べき原因がある場合を除き、もはやそれは遺産の分割ではなく、贈与又は交換による財産の移転となるものであり、本件分割協議書に基づく相続財産の取得に無効又は取消しとなる原因は認められないことから、本件調停による財産の移転及び金銭の授受は贈与となる。
ロ 更正の請求の適法性について
(イ)請求人の相続税の申告書は、相続財産が全部分割されたものとして提出されているため、請求人は相続税法第32条第1号に規定する更正の請求をすることができない。
(ロ)また、通則法第23条第2項第1号に規定する判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)とは、当事者間に権利関係についての争いがあり、申告当時その権利関係の帰属が明らかになっていなかった場合に、その後権利関係が明確になり、申告当時と異なった権利関係が生じた場合の判決を指すと解すべきであり、本件においては、本件調停が本件受遺者より申し立てられたのは請求人の相続税の申告書提出後であることなどからも、申告当時、当事者間に権利関係についての争いがあった事実はなく、本件調停は同号に規定する判決とは認められないので、同号による更正の請求をすることはできない。
ハ 相続財産の価額から控除すべき金銭債権の価額について
 本件遺言後段は、そもそも遺贈としての効力はないので、相続債務として相続財産の価額から控除すべき金額はない。

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3 判断

 本件審査請求の争点は、本件調停の成立が、相続税法第32条第1号又は通則法第23条第2項第1号に規定する更正の請求の事由に当たるか否かであるので、以下審理する。

(1)認定事実

 原処分関係資料、請求人提出資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
イ 本件受遺者は、独身であった昭和37年ごろに被相続人の自宅に間借りし、結婚後も被相続人の勧めにより家族共々同居し、被相続人が死亡するまでの約30年間同居していた。
ロ 請求人らが相続した公用地に係る平成4年分の地料は、当時本件受遺者が預金通帳を所持していた被相続人名義の預金口座に振り込まれたので、請求人らは、全額返還するよう要求したところ、本件受遺者は本件遺言後段の実行として7,000,000円を差し引いて請求人らに返還した。
ハ 被相続人は、死亡前の平成3年分の所得税確定申告書において、不動産所得の収入金額として23,426,490円と記載している。

(2)本件遺言後段に基づく遺贈の効力について

イ 遺言による相続財産の処分が、遺贈として有効に成立し、受遺者に一定の財産上の権利を与え、かつ、遺贈義務者にその実現義務を課すかどうかについては、遺言の解釈を要する場合があるが、その解釈に当たっては、遺言書の文言を形式的に判断するだけでなく、遺言者の真意を探求すべきものであり、遺言書が多数の条項からなる場合にそのうちの特定の条項を解釈するに当たっても、単に遺言書の中から当該条項のみを他から切り離して抽出し、その文言を形式的に解釈するだけでは十分でなく、遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などを考慮して遺言者の真意を探求し、当該条項の趣旨を確定すべきものであると解されている(最高裁昭和58年3月8日第2小法廷判決)。
ロ 本件遺言後段は、その文言からみる限りでは、〔1〕財産を与える旨の具体的な記載がないこと、〔2〕相続財産に属する特定の財産の処分でないこと、〔3〕本件遺言書の文言からみると継続的に金銭を給付する金銭債権の遺贈ともみられるが、必ずしも十分な記載がないこと、〔4〕仮に、継続的に金銭を給付する金銭債権の遺贈だとしても、いつまで金銭を交付すればよいのか、何ら給付期間に関する記載がないこと等、遺贈としての効力を巡って、判断の分かれる余地が大きいものであると認めざるを得ない。
 ところで、遺言の解釈に当たっての基本的な考え方は上記イに述べたとおりであり、この考え方を踏まえて、本件遺言後段に係る遺言者である被相続人の真意を推認すると、次の点からみて、被相続人は、本件受遺者に恩義を感じ、感謝の気持ちから、本件受遺者に相当額の財産を遺贈する意思を有していたことは確実であり、本件遺言後段は、本件受遺者を信頼し、屋敷、墓等の管理を依頼するため、将来にわたり受遺者の生活を安定させ得る程度の金銭を取得させる意図の下に記載されたものと認めるのが相当である。
(イ)本件遺言後段は、財産を与える旨の具体的な記載はないものの、本件遺言前段における預金等の具体的な遺贈に関する記載の次に、「更に」と続けて記載されており、本件遺言前段による遺贈の一環と解するのが自然であると考えられること。
(ロ)本件遺言書の冒頭に、「長い間私と共に暮らしたFさん一家に感謝して」とあり、遺贈する趣旨が明確であるとともに、被相続人には家族がなく、昭和37年ごろから本件受遺者及びその家族とともに暮らしてきたことから、この趣旨を裏付ける事実が認められること。
(ハ)遺贈の対象とする財産権は必ずしも明確ではないが、「総収入の半分」及び「凡そ毎年700万円を使って」とあり、金額及びその算定根拠が概略的に記載されていることから、十分ではないものの、その財産権を推認するために必要な記載はあると認められること。
(ニ)被相続人の平成3年分の所得税確定申告書における記載からみて、請求人らによる毎年7,000,000円程度の給付は実現可能であること。
 したがって、このような被相続人の真意を踏まえれば、本件遺言後段は、単なる被相続人の希望の表明と解するのは相当でなく、毎年金銭を継続的に給付することを内容とする金銭債権の遺贈と解するのが相当である。

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(3)更正の請求の適法性について

イ 請求人の課税価格の計算
 本件遺言後段については遺贈としての効力が認められることから、遺贈義務者である請求人には、遺贈の実現義務が生ずることになる。この義務は、被相続人の債務とは言えないものの、相続財産により実現すべき義務であることから、請求人の相続税の課税価格の計算に当たっては、相続により取得した財産の価額の合計額から遺贈として実現すべき金銭債権の価額を控除した金額をもって相続税法第11条の2《相続税の課税価格》に規定する「相続又は遺贈により取得した財産の価額の合計額」とするのが相当である。
 なお、この遺贈として実現すべき金銭債権の価額は、この実現義務が遺贈の効力(民法第985条)と同時に発生するものであることから、本件相続開始時の価額によるのが相当である。
ロ 相続税法第32条第1号の規定による更正の請求の可否
 請求人は、本件について、相続税法第32条第1号の規定による更正の請求を認めるべきであると主張する。
 この規定は、共同相続人及び包括受遺者により分割されていない財産について、分割が行われ、それらの者の課税価格又は相続税額が分割前と異なることとなった場合に相続人等間の相続税の負担を調整するために設けられている規定である。
 これを本件についてみると、相続財産については相続人間で有効な遺産分割が終了していると認められ、請求人はその分割したところに基づき期限内申告を行っているところであり、本件調停の成立は、遺贈義務者として実現すべき義務の内容を遺贈義務者と受遺者との間で具体的に確定したものであるので、本件調停の成立は、相続税法第32条第1号の規定による更正の請求の事由とはならないものと解するのが相当である。
 なお、請求人は、本件受遺者の取得すべき相続財産と請求人らの負担額が確定したことは、遺産の再分割が行われたことであるから、相続税法第32条第1号に規定する更正の請求の事由に該当する旨主張するが、本件調停の成立の趣旨とするところは前記のとおりであるから、請求人の主張には理由がない。
ハ 通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求の可否
 請求人は、本件について、通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求を認めるべきであるとも主張する。
(イ)通則法第23条第2項第1号は、同条第1項の更正の請求ができる期限後であっても、判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、申告等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定した場合等には、その翌日から起算して2か月以内であれば、更正の請求ができる旨定めている。調停の成立は、一般的には、同号に規定する「判決と同一の効力を有する和解その他の行為」に該当すると解するのが相当である。
 これは、納税申告時には予想し得なかった事由が後発的に生じ、これにより課税標準等又は税額等の計算の基礎に変更を生じ税額の減額をすべき場合にも更正の請求を認めないとすると、帰責事由のない納税者に酷な結果が生じる場合等があると考えられることから、例外的に、一定の場合に更正の請求を認めることによって、保護されるべき納税者の救済の途を拡充したものであるとされている。
(ロ)ところで、特定遺贈があった場合には、遺贈義務者たる相続人又は包括受遺者に係る相続税の課税価格は、前記イにより計算すべきであり、相続税の申告の時点において、遺言の文言が一義的でない等の事情により、遺贈義務者と受遺者との間で遺贈財産の具体的な内容が確定していない場合であっても、後日確定した際における相続税の負担調整に関する特別の手続規定が相続税法その他の法令には何ら設けられていないことにかんがみれば、遺贈義務者としては、基本的には、遺贈として実現すべき義務の内容を合理的に確定し、かつ、それを適正に評価した上で、前記イにより相続税の課税価格を計算し、相続税の申告をすべきことになる。
 これを本件についてみると、請求人は、相続税の期限内申告の時点で既に承知していた本件遺言書の内容に基づき、本件受遺者に対して実現すべき金銭債権の相続開始時の価額を評価し、それを相続財産の価額から控除して課税価格を計算すべきであったにもかかわらず、これをしなかったにすぎないのであるから、本件調停の成立によりその具体的な内容が確定したことを理由として、当然に通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求ができると解するのは相当ではない。
(ハ)しかしながら、遺言の解釈において、結果的には遺贈の効力を認めるべきではあるものの、納税者がその効力の有無につき疑問を抱いたとしてもやむを得ないと認められる客観的な事情が認められることにより、申告等の時点において、遺贈の実現義務の負担を確実には予想し得ず、相続財産の価額からその義務の金額を控除しないところにより課税価格を計算したことにつき納税者に責めを負わせることが酷と認められる事情が存する場合には、通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求を認めるのが相当である。
 本件遺言後段については、文言からみる限りでは、前記(2)のロのとおり、遺贈としての効力を巡って、判断の分かれる余地の大きいものであると認められ、原処分庁も、不確実なもので、そもそも遺言としての効力はないとの判断にたっていることを踏まえれば、請求人が、期限内申告の時点において、遺贈の実現義務の負担を確実には予想し得なかったとしてもやむを得なかったものと認められる。
 したがって、本件更正の請求は、通則法第23条第2項第1号に該当し、適法なものと解するのが相当である。

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(4)相続財産の価額から控除すべき金銭債権の価額について

イ 本件遺言後段に基づく遺贈財産については、前記(2)のロのとおり、毎年金銭を継続的に給付することを内容とする金銭債権とみるのが相当であるが、本件遺言書の記載からは直ちに具体的内容を確定し難く、請求人と本件受遺者との間においても、遺贈としての効力の有無及び遺贈財産の内容を巡って争いがあり、結局、本件調停において「遺言状に基づく金員の支払の代償として」請求人が一定額の金銭及び不動産の給付を行うことで解決が図られたものである。
 このような経緯を踏まえると、請求人の相続財産の価額から控除すべき金銭債権の価額については、通則法第23条第2項第1号による更正の請求の趣旨に照らした場合、本件調停において確定した給付財産の相続開始時の価額により評価するのが相当である。
ロ 本件調停による給付財産のうち、金銭に係る相続開始時の価額については、5回に分割して支払うこととされ、相続開始日から支払日までの期間に係る利息の取決めはないことから、各支払額に、通常の利率と「相続開始日から支払日までの期間」から求められる複利現価率を乗じて計算した金額の合計額によるのが相当である。この「通常の利率」は、相続開始時の長期金利の動向等を勘案した場合、6%によるのが相当である。
 また、不動産については、この給付が金銭給付義務の代物弁済とみるのが相当であるものの、請求人が相続により取得した財産のうちから給付することを考慮すると、当該不動産の相続開始時の価額によるのが相当である。以上のことについて、具体的に計算すると次のとおりとなる。
〔1〕通常の利率(年6%)による複利現価の額の合計額

(支払期限)(支払額) (複利現価率) (複利現価の額)
平成8年8月28,000,000×0.79222,176,000円
同10年8月14,000,000×0.7059,870,000円
同12年8月14,000,000×0.6278,778,000円
同14年8月14,000,000×0.5587,812,000円
同15年8月7,000,000×0.5273,689,000円
合計額52,325,000円

〔2〕不動産の評価額(平成4年分の相続税評価額)    27,433,887円
〔3〕〔1〕と〔2〕の合計額
52,325,000円+27,433,887円=79,758,887円
 なお、前記(1)のロのとおり、平成4年に本件受遺者が7,000,000円を受け取っていることから、請求人の相続財産から控除すべき金銭債権の価額は、前記〔3〕の金額79,758,887円に平成4年に支払われた7,000,000円を加算した額86,758,887円となり、請求人の負担割合はその2分の1であることから、43,379,444円が相当である。
ハ ところで、請求人は、相続財産の価額から控除すべき本件遺贈財産の価額は、相続税法第3条第1項第6号に規定する契約に基づかない定期金に関する権利と同様に評価すべきで、その金額は55,716,944円である旨主張する。
 しかしながら、遺贈財産は、本件遺言後段の文言からみて毎年金銭を継続的に給付することを内容とする金銭債権とみるのが相当ではあるが、その定期金としての具体的内容は必ずしも明らかではなく、また、請求人がそのような定期金の支払義務を負ったという事実も認められないのであるから、通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求の趣旨に照らしても、請求人の主張には理由がない。
(5)原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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