裁決事例集 No.59

国税通則法関係

重加算税/後発的事由に基づく更正の請求

裁決事例要旨 裁決事例

後発的事由(判決)に基づく更正の請求に対して、請求人が申告当時、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを予想し得たとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例(平成2年分の所得税に係る重加算税の賦課決定処分/棄却)

更正の請求/基礎となった事実関係に関する判決等

裁決事例要旨 裁決事例

遺贈の効力は認められるものの、請求人がその効力の有無について疑問を抱いたとしてもやむを得ない客観的な事情が認められるとして、遺贈に関する調停の成立により国税通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求を認めた事例(平成4年5月21日相続開始相続税の更正の請求に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分/一部取消)

更正の請求

裁決事例要旨 裁決事例

合併無効の判決が確定しても遡及効はないから当該合併により発生したみなし配当には何ら影響がなく、更正の請求の要件を充足していないとして、請求人の主張を排斥した事例(平成10年分の所得税の更正の請求に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分/棄却)

過少申告加算税/正当理由

裁決事例要旨 裁決事例

土地がいわゆる公図混乱地区に所在し、その地積の確定は測量が完了するまではできなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に当たらないとした事例(平成6年分の相続税に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分/平成6年分の相続税に係る過少申告加算税の賦課決定処分は棄却、その他は却下)

隠ぺい、仮装の認定

裁決事例要旨 裁決事例

請求人が木材の輸入取引において仕入に計上した取引額の一部に、本事業年度以外の事業年度の損金の額に算入すべきものがあるが、当該金額については、架空、金額の水増し又は重複計上などによって過大に計上したものとは認められず、損金算入時期の誤りによるものと認められるから、重加算税の賦課要件たる事実を隠ぺい仮装したことには当たらないとした事例(平成8年1月1日〜平成8年12月31日事業年度法人税に係る重加算税の賦課決定処分/一部取消)

還付金等の国税不充当と信義則違反の成否

裁決事例要旨 裁決事例

過誤納金全額を請求人に還付しながら、その2年後に延滞税の督促処分をしたことは信義則に反するとの請求人の主張に対して、請求人が特段の不利益を受けたわけではないとして、これを排斥した事例(平成7年5月17日相続開始相続税の修正申告に係る延滞税の督促処分/棄却)

地方税法附則9条の10第5項の規定に基づく委託納付の処分性

裁決事例要旨 裁決事例

地方税法附則9条の10第5項の規定に基づく委託納付は、通則法75条1項に規定する国税に関する法律に基づく処分に当たらないとされた事例(平成9年7月23日〜平成10年5月31日課税期間消費税及び地方消費税に係る延滞税、国税に係る還付金等による納付委託/却下)

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所得税法関係

所得の帰属/実質所得者課税、他人名義による事業

裁決事例要旨 裁決事例

請求人(眼科医院)の妻はコンタクトレンズ等の販売に係る事業の収益を事業所得として所得税の確定申告をしているが、その収益は請求人に帰属すると認定された事例(平成8〜10年分所得税に係る各更正処分等/棄却)

生計を一にする親族に対する対価の支払

裁決事例要旨 裁決事例

請求人(弁護士)が妻(税理士)に支払った税理士報酬の額は必要経費に算入されず、請求人の必要経費の額は、妻がその税理士報酬を得るために要した費用の額となると判断された事例(平成7〜9年分所得税の各更正処分等/平成7年分及び平成8年分の原処分は一部取消、平成9年分は全部取消)

譲渡の日の認定事例

裁決事例要旨 裁決事例

いわゆるエスクロー契約により、株式及び新株引受権の売買契約によって生ずる売主の補償責任の履行を担保するため売買代金の一部を第三者に1年間預託する方法で取引がされた場合、当該預託された売買代金相当額は、株券等の引き渡し時の総収入金額に計上すべきこととされた事例(平成9年分所得税に係る更正処分等/棄却)

同族会社の行為又は計算の否認/過大不動産管理料

裁決事例要旨 裁決事例

請求人の同族会社からの建物賃貸料収入が当該同族会社の又貸し賃貸料収入に比して余りに低額であるとしてなされた所得税法第157条による更正処分が適法であるとされた事例(平成6〜8年分所得税に係る各更正処分等/平成6年分所得税に係る更正処分等は一部取消、その他は棄却)

超過物納に対する譲渡所得の課税の可否

裁決事例要旨 裁決事例

減額更正処分により発生した過誤納金を収納未済額に充当した結果、物納許可を受けた相続税額を超える価額の財産により物納されたこととなり、物納財産の収納許可額と物納許可を受けた相続税額との差額が金銭で還付され、その差額に対して譲渡所得が課税された事例(平成9年分所得税の更正処分等/棄却)

ワラントの失効損失

裁決事例要旨 裁決事例

ワラントの権利行使期間が徒過したことによる損失について取得費又は譲渡費用として控除することを認めなかった事例(平成7年分所得税の更正処分等/棄却)

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法人税法関係

みなし寄付金の認定

裁決事例要旨 裁決事例

みなし寄付金の支出は単なる振替処理では認められず、収益事業から公益事業への区分経理をする必要があるとされた事例(平成8年4月1日〜平成9年3月31日事業年度法人税に係る更正処分等/棄却)

実質所得者課税の原則
支払利息

裁決事例要旨 裁決事例要旨 裁決事例

本店ビルの新築工事に際し、その共同事業者に支払った竣工時までの建中金利相当額は本店ビルの取得価額に算入すべきものとされた事例(平成6年3月1日〜平成7年2月28日、平成7年3月1日〜平成8年2月28日及び平成8年3月1日〜平成9年2月28日事業年度法人税に係る各更正処分等/棄却)

株式方式によるゴルフ会員権の評価損

裁決事例要旨 裁決事例

株式方式によるゴルフ会員権が取引市場において下落した場合であっても、発行法人の資産状態が著しく悪化したものではないとして損金算入を認めなかった事例(平成8年7月1日〜平成9年6月30日事業年度法人税に係る更正処分等/棄却)

外国税額控除の対象となる外国法人税の範囲

裁決事例要旨 裁決事例

請求人が米国の子会社から、株式の償還による金員の支払いを受ける際に、米国において源泉徴収された税について、当該償還金は資本の払戻しであり、米国において源泉徴収された税は法人税法第69条及び同施行令第141条にいう「法人の所得を課税標準として課された外国法人税」に該当しないので外国税額控除は受けられないとされた事例(平成5年4月1日〜平成6年3月31日、平成6年4月1日〜平成7年3月31日事業年度法人税に係る更正処分等/棄却)

合併の場合の欠損金の繰戻しによる還付

裁決事例要旨 裁決事例

合併存続法人に生じた欠損金額を被合併法人の所得金額を対象として欠損金の繰戻請求を認めるべきであるとの請求人の主張に対して、合併存続人と被合併法人では法人格が異なることから還付請求は認められないとして、これを排斥した事例(欠損金の繰戻しによる法人税の還付請求に理由がない旨の通知処分/棄却)

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相続税法関係

土地及び建物の帰属/相続財産に含まれるか

裁決事例要旨 裁決事例

土地及び建物に対する被相続人の共有持分は単なる名義上のものにすぎないとする請求人の主張を排斥した事例(平成9年8月17日相続開始相続税に係る決定処分等/棄却)

低額譲受の該当の有無

裁決事例要旨 裁決事例

調停調書に基づき解決金の支払により土地を取得した場合であっても解決金の金額がその土地の時価より著しく低いときには低額譲受に当たるとした事例(平成8年分贈与税の決定処分等/棄却)

敷金の債務控除

裁決事例要旨 裁決事例

無利息の敷金に係る債務控除額は、敷金の金額から、通常の利率による返還期までの間に享受する経済的利益の額を控除した金額によるのが相当とした事例(平成8年7月14日相続開始相続税に係る更正処分等/共同審査請求人Eに対する更正処分は一部取消、賦課決定処分は棄却、共同審査請求人H及びIに対する更正処分等は一部取消)

遺贈に対して遺留分による減殺請求がなされている場合の受遺者の課税価格の計算

裁決事例要旨 裁決事例

遺贈に対して遺留分による減殺請求がなされている場合であっても、各共同相続人の取得財産の範囲が具体的に確定するまでは、受遺者の課税価格はそれがないものとして計算した金額によるとされた事例(平成8年12月11日相続開始相続税に係る相続税の更正処分等/棄却)

遺産に係る基礎控除額の計算

裁決事例要旨 裁決事例

遺産に係る基礎控除額を計算する場合の相続人の数は、実際の相続人について該当する相続人の資格の数によるのではなく、実際の相続人の数そのものによるとされた事例(平成9年6月7日相続開始相続税の更正の請求に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分/棄却)

配偶者に係る税額軽減の適用の有無

裁決事例要旨 裁決事例

遺産分割がなされていない場合であっても、配偶者が金融機関から払戻しを受けた法定相続分相当の預金は、配偶者にかかる相続額の軽減の適用上、「分割された財産」として更正の請求の対象となるとされた事例(平成7年7月22日相続開始相続税の更正の請求に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分/一部取消)

貸宅地の評価

裁決事例要旨 裁決事例

バッティングセンターの待合フロアー等の建築物が借地上にあったとしても、その敷地は借地権の目的となっている土地に当たらないとされた事例(平成8年1月11日相続開始相続税に係る更正処分等/一部取消)

連帯納付義務

裁決事例要旨 裁決事例

相続税法第34条第1項の連帯納付義務は、各相続人の固有の相続税の納付義務の確定に伴い法律上当然に確定し、直ちに連帯納付義務者に対し徴収手続を行うことができ、また、補充性が認められないから、本来の納税者に対する徴収手続を尽くさないでされた連帯納付義務についての督促は不当であるとの請求人の主張には理由がないとした事例(昭和59年5月25日相続開始に係る相続税の連帯納付義務の督促処分/棄却)

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消費税法関係

基準期間がない法人の納税義務の免除の特例

裁決事例要旨 裁決事例

事業年度開始の日における資本又は出資の金額が千万円以上である法人は、消費税の納税義務が免除されないとした事例(平成9年4月10日〜平成10年2月28日課税期間消費税及び地方消費税に係る更正処分等/棄却)

消費税の課税標準の端数処理

裁決事例要旨 裁決事例

複数の商品を顧客に対して一括して引渡し、その代金を顧客から一括して受領する場合の、消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」とは、その受領するときに顧客に交付する領収書(レシート)ごとの金額であると解するのが相当であるとされた事例(平成7年3月21日〜平成8年3月20日課税期間消費税の更正処分等/一部取消)

課税仕入等の範囲

裁決事例要旨 裁決事例

マッサージ師に支払った外注費は、所得税法第28条に規定する給与等に該当するので、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当しないとされた事例(平成7年9月1日〜平成8年8月31日及び平成8年9月1日〜平成9年8月31日課税期間消費税に係る各更正処分等及び平成8年7月〜平成10年1月の各月分源泉所得税の納税告知処分等/一部取消)

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登録免許税法関係

納付不足額の通知

裁決事例要旨 裁決事例

登録免許税法第28条1項の規定に照らせば、登記を了したからといって、登録免許税の課税標準等が正当と認定されたことにはならず、登記後に税務署長に納付不足の通知を行うことは課税の公平等に反するとはいえないとした事例(登録免許税の納税告知処分/棄却)

納付不足額の通知

裁決事例要旨 裁決事例

登録免許税法第31条第2項に規定する請求期限を徒過してなされた還付通知請求は適法な請求ではないとした事例(平成8年3月13日登記により納付された登録免許税の還付通知請求に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分/棄却)

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印紙税法関係

過誤納

裁決事例要旨 裁決事例

印紙税の過誤納の事実を確認すべきである旨の請求人の主張が、請求人が署名押印し銀行に差し入れた時に本件契約書に係る印紙税の納税義務は成立しているから、印紙税の過誤納の事実を確認しないとした原処分庁の通知処分は相当であるとして排斥された事例(印紙税の過誤納確認申請に係る印紙税の過誤納確認をしない旨の通知処分/棄却)

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揮発油税法関係

揮発油税に係る未納税移出の適用の可否

裁決事例要旨 裁決事例

揮発油税法第14条第12項に規定する未納税移出の適用を否定した事例(平成7年12月〜平成10年1月までの各月分の揮発油税及び地方道路税に係る各更正処分等/棄却)

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国税徴収法関係

換価代金等の配当

裁決事例要旨 裁決事例

株式に根質権を設定した後、質権者がその株券を質権設定者に返還し、改めて預金債権に質権を設定した場合に、その預金の差押えに係る配当において、株券の質権設定日と法定納期限等とで優劣を決すべきであるとの請求人の主張が排斥された事例(納税者Eの滞納国税に係る換価代金等の配当処分/棄却)

第二次納税義務

裁決事例要旨 裁決事例

請求人が納税者から不動産を譲り受けたことが、国税徴収法第39条に規定する「著しく低い額の対価による譲渡」に当たらないとした事例(第二次納税義務の納付通知書による告知処分/全部取消)

差押財産の帰属の認定

裁決事例要旨 裁決事例

滞納会社に対する滞納処分として差し押さえられた請求人名義の定期預金の払戻請求権について、預金の原資となっている滞納会社から振り込まれた金員は請求人に対する役員報酬ということはできないこと等から、滞納会社に帰属すると認めるのが相当であるとした事例(納税者Fの滞納国税に係る債権の差押処分/棄却)

公売手続及び配当処分

裁決事例要旨 裁決事例

公売手続の取消しを求める本件審査請求は、国税徴収法第171条第1項第3号に規定する不服申立期間を徒過しているが、公売通知書に不服申立期間の教示を欠いたため瑕疵があり救済されるべきであるとの主張が排斥された事例(公売公告から売却決定までの処分(本件公売処分)及び配当処分/配当処分は棄却、その他は却下)

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