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(平13.2.7裁決、裁決事例集No.61 496頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1)事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が平成6年12月3日(以下「本件相続開始日」という。)に死亡したF(以下「本件被相続人」という。)から、遺贈によりG株式会社(以下「G社」という。)の株式を何株取得したかを争点とする事案である。

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(2)審査請求に至る経緯

イ 請求人は、本件被相続人の相続(以下「本件相続」という。)に係る相続税の申告書に、別表1の「申告」欄のとおり記載して法定申告期限までに申告した。
ロ 原処分庁は、上記申告につき、平成9年6月30日付で別表1の「減額更正」欄のとおり更正処分をし、さらに、同年7月9日付で同表の「増額更正等」欄のとおり更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい、本件更正処分と併せて「本件更正処分等」という。)をした。
ハ これに対し請求人は、平成9年9月1日に異議申立てをしたが、異議審理庁が平成10年5月18日付でこれをいずれも棄却する旨の異議決定をしたので、同年6月16日に審査請求をした。

(3)基礎事実

 以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 本件被相続人は、昭和29年1月5日に死亡したH(以下「亡H」という。)及び昭和59年11月19日に死亡したI(以下「亡I」という。)夫婦の三男で、昭和15年12月11日にKと養子縁組をした。
 本件被相続人に配偶者及び子はなく、同人の相続に係る相続関係は、別表2のとおりである(なお、昭和57年10月23日に死亡した請求人の姉Lについては、M及びNが代襲相続人となる。)。
ロ 本件被相続人の父亡Hの相続に係る相続関係は別表2のとおりであり、同人の相続に係る相続人及び法定相続分は別表3のとおりである。なお、亡Hの相続人である五男O(本件被相続人の弟)は、昭和29年11月16日に死亡したが、同人に配偶者及び子はなく、同人の相続人は亡Iのみである。
ハ 本件被相続人の母亡Iの相続に係る相続関係は別表2のとおりであり、同人の相続に係る相続人及び法定相続分は、別表4のとおりである。なお、亡Iの相続人である四女P(本件被相続人の妹)は、平成3年3月20日に死亡したが、同人に配偶者及び子はなく、同人の相続に係る相続人及び法定相続分は別表5のとおりである。
ニ 亡H、亡Iの各相続に係る遺産は、いずれも相続人間において分割はされていない。
ホ 本件相続開始時に、Q銀行○○支店の貸金庫(以下「甲貸金庫」という。)に別表6記載のG社の株式に係る株券(以下「甲株券」という。)が保管されていたが、甲貸金庫は、請求人、本件被相続人、請求人の兄R(平成9年1月30日死亡)、同S、請求人の弟T、請求人の妹U、同P(平成3年3月20日死亡)、同V及び請求人の姉L(昭和57年10月23日死亡)の夫W(以下、順次「R」、「S」、「T」、「U」、「P」、「V」及び「W」といい、請求人及び本件被相続人とこれらの者を併せて、以下「請求人ら」という。)が、昭和51年4月20日、上記○○支店に「貸金庫取り引き(印鑑・署名鑑)届」を提出して開設したものである。また、本件相続開始時に、甲貸金庫とは別異の貸金庫(以下「乙貸金庫」という。)に別表7記載のG社の株式に係る株券(以下「乙株券」という。)が保管されていたが、乙貸金庫は、本件被相続人が、昭和56年7月8日、同店に開設したものである。
ヘ 本件被相続人は、平成6年4月6日付の公正証書により、その株式数を特定することなくG社の株式を請求人に遺贈する旨遺言した。

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2 主張

(1)原処分庁

 本件更正処分等は、次の理由により適法であるから、本件審査請求をいずれも棄却する旨の裁決を求める。
イ 本件被相続人は、平成6年4月6日付の公正証書により、G社の株式を請求人に遺贈する旨遺言しているところ(以下、この遺贈を「本件遺贈」という。)、甲株券及び乙株券のうち193,800株は、次に述べるとおり、本件被相続人の財産と認められるから、請求人は、本件遺贈によりこの193,800株の株券に係る株式を取得したというべきである。
(イ)甲貸金庫内の甲株券のうち本件被相続人名義の80,000株については、昭和38年10月18日付でX(G社の元役員)から本件被相続人へ名義書換えされた5,000株が、昭和38年12月16日及び昭和49年9月20日の各4倍の無償増資により80,000株となったものであり、上記80,000株に係る平成4年3月期から平成6年3月期の配当金は、Y銀行△△支店の本件被相続人名義の普通預金口座(口座番号○○○、以下「本件口座」という。)に入金され、これを原資として本件被相続人名義の定期預金(以下「本件定期預金」という。)が設定されていること、そして、別表8のG社の本件相続開始日現在の株主名簿(以下「本件株主名簿」という。)によれば、本件相続開始日における本件被相続人名義の株式数は184,200株であり、この中に上記80,000株が含まれていること、本件被相続人は184,200株分の配当金収入を確定申告していることから、上記80,000株は、本件被相続人の財産と認められる。
(ロ)甲株券のうちZ名義の1,600株についても、その配当金が同人の死亡後においても本件口座に入金され、これを原資として本件定期預金が設定されていることから、その全部が本件被相続人の財産と認められる。
(ハ)乙貸金庫内の乙株券のうち本件被相続人名義の104,200株は、本件株主名簿の株式数の184,200株に含まれていること、本件被相続人は184,200株分の配当金収入を確定申告していることから、上記104,200株は本件被相続人の財産と認められる。
(ニ)甲貸金庫に保管されていた亡I名義の16,000株については、同人死亡時まで同人に帰属するものであり、また、同じく甲貸金庫に保管されていたX名義の48,000株については、亡Hが名義を借用して取得した株式(以下、他人の名義により取得した株式を「名義株」という。)で、Xの死亡後に、同人名義の株券は亡Hの相続人(いわゆる「H家」)に返還されたが、その時には既に亡Hが死亡していたため、本件株主名簿上、亡Iの名義とされたものである。
 亡H及び亡Iの遺産は未分割であるから、亡I及びX名義の株式のうち亡H及び亡Iの各相続に係る本件被相続人の法定相続分8分の1に相当する8,000株は、本件被相続人の財産ということになる。
(ホ)なお、甲株券のうちS名義の72,000株、T名義の78,000株については、Sが、甲株券のうち同人名義の72,000株は亡H及びXから贈与により取得したもので、甲貸金庫に入庫する前は自分で保管していた旨、また、Tが、同人名義の78,400株は自己に帰属するものであり、甲貸金庫に入庫する前はやはり自分で保管していた旨それぞれ異議審理庁に対し申述していること、平成7年2月20日に死亡したWの相続人が、甲株券に係るW名義の株式62,400株を含む122,600株をWの財産として相続税の申告をしていることから見ても、甲株券は、それぞれの名義人に帰属するものというべきである。この事実からしても、本件被相続人名義の株式は、同人の財産と認められる。
ロ 以上のとおり、上記(イ)から(ニ)の合計193,800株は、本件被相続人の財産と認められ、請求人は、本件遺贈によりこの193,800株を取得したと認められる。
 そうすると、G社の株式の1株当たりの価額を財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか国税庁長官通達。ただし、平成7年6月27日付課評2−6による改正前のものをいう。)に定めるところにより評価した価額は2,362円であるから、これに基づき請求人の課税価格及び納付すべき税額を計算すると、それぞれ629,073,000円及び134,878,700円となるので、この金額の範囲内で行った本件更正処分等は適法である。

(2)請求人

 原処分庁は、請求人が本件遺贈によりG社の株式193,800株を取得したと主張するが、乙貸金庫に保管されていた乙株券に係る株式108,200株は、本件被相続人固有の財産であることは認められるも、甲貸金庫に保管されていた甲株券に係る株式358,400株は、甲貸金庫の管理状況から明らかなとおり、亡Hの相続に係る遺産である。そうすると、亡Hの遺産は未分割であるから、請求人が本件遺贈により取得したG社の株式は、甲株券に係る株式358,400株の8分の1に相当する44,800株と乙株券に係る株式108,200株の合計153,000株である。
 したがって、本件更正処分等は、請求人が本件遺贈により取得したG社の株式の数量を過大に認定した違法なものであるから、本件更正処分等を取り消す旨の裁決を求める。

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3 判断

(1)本件更正処分について

イ 本件被相続人が同人の所有するG社の株式を請求人に遺贈したこと自体については、請求人と原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査によってもこれを認めることができるが、本件遺贈に係るG社の株式が具体的には何株であるか、すなわち、甲株券及び乙株券に係る株式のうち何株が本件被相続人の財産であるかについては争いがあるので、以下検討する。
(イ)請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 甲貸金庫の開閉は、その開設時から「全員来店署名捺印か全員署名捺印の委任状により受任者により開閉する」こととされており、亡Hの相続人である請求人の兄弟全員、それに姉亡Lの夫Wの承諾がなければこれを開閉することができず、したがって、甲貸金庫に保管されている甲株券は、たとえその名義人であっても甲貸金庫から自由に出し入れすることはできない状態にあった。
B 甲株券とともに甲貸金庫に保管されていたR名義のa株式会社の株式(以下「a株」という。)86,400株は、昭和61年6月16日付有価証券売買契約書に基づきb株式会社に譲渡されているが、その際、Rが同月19日に請求人らの立会いの下で甲貸金庫から当該株券を出庫しており、その譲渡代金は、亡Hの相続人であるR、S、本件被相続人、T、Lの代襲相続人のM及びN、請求人、U、P、Vの協議に基づき分配し、各人は、分配金を受領した旨の昭和63年6月23日付の領収書に署名、捺印した。
C 甲株券に係る株式358,400株について、R、S及びTの発案による平成4年6月28日付「G社株式分割」と題する三通りの遺産分割案(以下「本件分割案」という。なお、本件分割案上、分割対象の株式は、W名義81,600株、本件被相続人名義80,000株、T名義78,400株、S名義72,000株及び亡I名義64,000株の合計376,000株とされているが、実際に甲貸金庫に保管されていた株式数は358,400株である。)を作成し、そのころ、本件被相続人に対し、本件分割案に基づき、亡Hの相続人において分割するよう申し入れている。
D 本件被相続人は、同人名義の預金通帳や個人の財産を乙貸金庫に保管していたが、同人は目が不自由であったため、G社の常務取締役dに同貸金庫の開閉手続を行わせていた。
(ロ)これら甲貸金庫の開閉状況、甲貸金庫に甲株券とともに保管されていた甲株券以外の株式の売却譲渡及びその代金の帰属先の決定が、相続人の協議に基づいて行われており、当該株式名義人単独では行われていないこと、Rら3名が本件被相続人の生前に甲株式の分割を申し入れていること、本件被相続人の同人名義株券に対する管理支配状況が甲貸金庫分と乙貸金庫分とで異なっていて本件被相続人が乙株券を乙貸金庫からの出し入れが自由に行えたのに対し、甲貸金庫保管の株券については自由に行えなかったことなどの事実を総合すると、甲貸金庫に保管されていた甲株券は、亡Hの相続に係る未分割の遺産と認めるのが相当である。
(ハ)ところで、原処分庁は、本件被相続人に帰属する株式が184,200株であることを根拠づける事実として、〔1〕乙貸金庫に保管されていた本件被相続人名義の株式104,200株と甲貸金庫に保管されていた本件被相続人名義の80,000株の合計数184,200株が、本件株主名簿登載の株式数と一致すること、〔2〕甲株券のうち本件被相続人名義の株式80,000株及びZ名義の1,600株に係る配当金を原資として本件定期預金が設定されていること、〔3〕本件被相続人は184,200株分のG社の配当金収入を確定申告していること、〔4〕本件被相続人名義の株式とともに甲貸金庫に保管されていた本件被相続人以外の名義の株式はそれぞれの名義人に帰属するものであることを挙げるが、次のとおり、これらの事実はその根拠とするには不十分である。
A 本件株主名簿の記載(上記〔1〕)について
 本件株主名簿上、本件被相続人の株式数は184,200株とされているが、上記2の(1)のイの(ニ)において原処分庁も認めるように、当該株主名簿は、必ずしも真実の株式の帰属を示しているものとはいえない。
B  本件定期預金(上記〔2〕)について
 当審判所の調査の結果によれば、本件定期預金(内訳は、平成5年6月2日設定の1,500,000円と平成6年6月1日設定の900,000円の2口)は、甲株券に係る株式のうち本件被相続人名義の80,000株及びZ名義の1,600株のみならず、亡I名義の16,000株及びX名義の48,000株の配当金もその原資として設定されたものであると認められるものであり、この亡I名義の16,000株及びX名義の48,000株について、原処分庁自身、亡I名義の16,000株は同人に帰属し、X名義の48,000株は亡Hの未分割の遺産であるとして、いずれもこれらを本件被相続人の財産でないと主張しているところであり、後記のとおり、当審判所の調査の結果によっても、これらの株式は本件被相続人の財産とは認められないから、本件被相続人名義の80,000株及びZ名義の1,600株の配当金を原資として本件定期預金が設定されているからといって、直ちにこれらの株式が本件被相続人の財産であるとは認め難い。
C 配当金収入の確定申告(上記〔3〕)について
 上記Bで述べたとおり、本件被相続人は、同人に帰属しない亡I名義の16,000株及びX名義の48,000株の配当金収入を本件定期預金の原資としていたことからみても明らかなように、本件被相続人が配当金収入を自己の収入にしていたからといって、直ちに同人の財産とは認め難い。
 なお、請求人は、本件被相続人の平成6年分のG社の株式184,200株の配当所得の申告について、本件相続に係る相続税の申告書に記載のある155,200株分が正当であるとして平成7年8月22日に更正の請求をしているが、これについて、原処分庁は、請求人の主張を認めて、同年10月31日付で減額の更正処分をし、本件に係る原処分庁の主張と矛盾する判断をしている。
D 本件被相続人以外の名義の株式がその名義人に帰属すること(上記〔4〕)について
(A)亡I名義の16,000株について
 原処分庁は、甲貸金庫に保管されていた亡I名義の16,000株は同人に帰属する旨主張するが、当該株式は、昭和29年3月15日(亡H死亡後)に亡Hから亡Iへ名義書換えされた1,000株が、昭和38年12月16日及び昭和49年9月20日の各4倍の無償増資により16,000株となったものであるところ、亡Hの財産が未分割であることについて当事者間に争いはないことから、亡Hが生前にこれを亡Iに譲渡していない限り亡Iに帰属していたとはいえないことになるが、亡Hが生前に亡Iに対し譲渡したことを窺わせる証拠すらもないのであるから、当該株式16,000株は亡Iに帰属していたと認めることは困難であり、亡Hの未分割の遺産と見るのが自然である。このことは、亡Iが甲貸金庫の開設者になっておらず、甲貸金庫の保管物に対しての管理支配力を何ら有していないことから裏付けられる。
(B)S名義の72,000株及びT名義の78,400株について
 原処分庁は、甲貸金庫に保管されていたS名義の72,000株、T名義の78,400株はそれぞれの名義人に帰属する旨主張し、S及びTも、異議審理庁の担当者に対し、Sについては、同人名義の株式72,000株は亡H及びXからの贈与により取得したもので、甲貸金庫に入庫する前は自分で保管していた旨、また、Tについても、同人名義の株式78,400株を自己に帰属するものであり、甲貸金庫に入庫する前はやはり自分で保管していた旨それぞれ申述しており、これらは、甲株券及び乙株券に係る株式はそれぞれの名義人に帰属する旨の原処分庁の主張に沿うものである。
 しかしながら、当審判所の調査の結果によれば、〔1〕S名義の株式72,000株、T名義の78,400株は、亡Hの死亡後、他の甲株券とともに、本件被相続人が亡Hの鞄に入れて管理保管していたもので、これを甲貸金庫に入庫したものであること、〔2〕S及びTは、他方で本件更正処分に係る調査時に甲貸金庫を開扉した際、初めて当該各株券を見た旨申述していること、〔3〕昭和28年5月23日にS名義となった2,500株のうち1,000株は、昭和30年11月1日に本件被相続人に名義書換えされ、更に昭和38年11月30日に再度S名義に名義書換えされたものであり、また、200株は、昭和30年11月1日にe(いわゆる「H家」の顧問弁護士)に名義書換えされ、更に昭和38年10月21日に再度S名義に名義書換えされるなどしていること、更には、〔4〕上記3の(1)のイの(イ)のCのとおり、S及びTを含む亡Hの相続人は、S及びT名義を含む甲株券の全部を亡Hの未分割の遺産と認識していたと認められることなどに照らすと、S及びTの異議審理庁に対する申述は信用できず採用できないから、SあるいはT名義の株式がそれぞれの名義人に帰属していたと認めることは困難であり、上記3の(1)のイの(イ)のA、B及びCの事実関係を勘案すると、亡Hの相続に係る未分割の遺産と認めるのが相当である。
(C)W名義の62,400株について
 原処分庁は、甲貸金庫に保管されていたW名義の62,400株は同人に帰属する旨主張するところ、平成7年2月20日に死亡したWの相続人が甲株券に係るW名義の株式62,400株を含む本件株主名簿記載の122,600株をWの財産として相続税の申告をしているが、これは、上記(B)と同様、原処分庁の主張に沿うものといえる。
 しかしながら、本件株主名簿記載の事実や配当金収入の確定申告状況が必ずしも真実の株式の帰属を決する決め手にならないことは、上記(ハ)のA及びCにおいて説示したとおりであり、全株式がWに帰属していたとしたならば122,600株から分けて62,400株だけを甲貸金庫に保管していた合理的理由もないことなどから、甲貸金庫のW名義の62,400株がWに帰属していたと認めることは困難であり、上記3の(1)のイの(イ)のA、B及びCの事実関係を勘案すると、亡Hの相続に係る未分割の遺産とみるのが相当である。
ロ 以上によれば、X名義の48,000株が亡Hの相続に係る未分割の遺産であることについて、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査の結果によっても認められるから、結局、甲貸金庫の甲株券に係る株式358,400株の全部が亡Hの相続に係る未分割の遺産と認められる。そうすると、本件被相続人は、亡Hの遺産について8分の1の法定相続分を有しているから、請求人は、本件遺贈により、甲株券に係る株式44,800株と本件被相続人固有の財産と認められる乙株券に係る株式108,200株の合計153,000株を取得したものと認められる。
ハ 本件更正処分について
 本件株式の1株当たりの価額2,362円については、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査の結果によっても相当と認められるところ、請求人が本件遺贈により取得したと認められる153,000株を基に、請求人の課税価格及び納付すべき税額を計算すると、別表1の「減額更正」欄の金額を下回ることとなる。
 したがって、本件更正処分は、その全部を取り消すべきである。

(2)本件賦課決定処分について

 上記(1)のとおり、本件更正処分はその全部を取り消すべきであるから、本件賦課決定処分はその全部を取り消すべきである。

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