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(平14.5.22裁決、裁決事例集No.63 255頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1)事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が有する借入金の金額のうち、新築された居住用家屋の敷地の用に供する土地の取得に要する資金に充てられた部分の金額が、租税特別措置法(平成12年法律第13号による改正前のもの。以下「措置法」という。)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する住宅借入金等に該当するか否かを主たる争点とする事案である。

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(2)審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成11年分の所得税について、確定申告書に別表1の「確定申告」欄のとおり記載して平成12年2月28日に申告した(以下、同日に提出された確定申告書を「本件申告書」という。)。
ロ これに対し、原処分庁は、平成13年2月7日付で別表1の「更正処分」欄のとおりの更正処分(以下「本件更正処分」という。)をした。
ハ 請求人は、本件更正処分を不服として平成13年3月27日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年6月27日付で棄却の異議決定をした。
ニ 請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成13年7月23日に審査請求をした。

(3)関係法令

イ 所得税法第155条《青色申告書に係る更正》第2項は、税務署長は、青色申告書に係る年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額(以下「不動産所得等の金額」という。)の更正をする場合には、その更正に係る更正通知書にその更正の理由を附記しなければならない旨規定している。
ロ 措置法第41条第1項は、居住者が、国内において、居住用家屋の新築をして、これを一定の期間内にその者の居住の用に供した場合において、その者がその新築に要する資金に充てるために借り入れた一定の借入金(当該新築とともにする当該家屋の敷地の用に供される土地の取得に要する資金に充てるために借り入れた借入金で政令で定めるものを含む。以下「住宅借入金等」という。)の金額を有するときは、一定の要件の下、住宅借入金等特別税額控除の適用がある旨規定している。
ハ 租税特別措置法施行令(平成12年政令第148号による改正前のもの。以下「措置法施行令」という。)第26条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第7項第5号は、その新築をした居住用家屋の敷地の用に供する土地を、宅地建物取引業者との間で締結された住宅建設の用に供する宅地の分譲に係る契約(以下の(イ)及び(ロ)の条件の定めがあるものに限る。以下「建築条件付契約」という。)に従って、当該宅地建物取引業者からその新築の日前に取得した場合における当該土地の取得に要する資金に充てるための借入金は、住宅借入金等に含まれる旨規定している。
(イ)当該宅地の分譲に係る契約の締結の日以後3月以内に当該宅地を譲り受けた者と当該宅地建物取引業者又は当該宅地建物取引業者の当該宅地の販売に係る代理人である者との間において当該宅地を譲り受けた者が当該譲り受けた宅地の上に建築をする住宅の用に供する家屋の建築工事の請負契約が成立することが、当該宅地の分譲に係る契約の成立の条件とされていること。
(ロ)上記(イ)の条件が成就しなかったときは、当該宅地の分譲に係る契約は成立しないものであること(以下「不成立条件」という。)。
ニ 措置法施行令第26条第7項第6号は、その新築をした居住用家屋の敷地の用に供する土地をその新築の日前2年以内に取得した場合における当該土地の取得に要する資金に充てるための借入金で、当該借入金に係る債務を保証する者の当該保証に係る求償権を担保するために当該居住用家屋を目的とする抵当権の設定がされたもの(上記ハに該当する借入金を除く。)は、住宅借入金等に含まれる旨規定している。

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(4)基礎事実

 以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人及びその妻は、平成10年6月28日に、有限会社F(以下「F」という。)からP市Q町○丁目○○番○に所在する宅地142.37平方メートル(以下「本件土地」という。)を株式会社G(以下「G」という。)の仲介により44,500,000円で購入する不動産売買契約(以下「本件売買契約」といい、これに係る契約書を、以下「本件売買契約書」という。)を締結した。
ロ 請求人及びその妻は、本件売買契約の締結日と同日に、H株式会社(以下「H」という。)との間で軽量鉄骨造2階建の居宅(以下「本件家屋」という。)の工事請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結した。その後請求人及びその妻は、平成10年8月8日及び同年10月24日に、Hとの間で同請負契約の各変更契約を締結し、本件請負契約に係る請負金額は18,744,600円となり、同契約に係る工事期間は平成11年1月10日着工、同年3月30日竣工となった。
ハ 請求人及びその妻は、本件請負契約とは別に、平成10年8月17日に、株式会社J(以下「J」という。)との間で本件家屋の基礎(以下「本件基礎」という。)及び地下車庫(以下「本件車庫」といい、本件基礎と併せて「本件車庫等」という。)ほかの工事請負契約を締結した。本件車庫等の請負金額は、階段打増分の追加工事を含めて4,566,805円である。
ニ 請求人及びその妻は、その勤務先であるK株式会社(以下「K」という。)を経由して、L銀行に35,000,000円の住宅融資の申込みを行い、平成10年9月25日に同額の融資(以下「本件借入金」という。)の実行を受けた。
ホ 請求人が本件申告書に添附したL銀行発行の「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」に記載された本件借入金の平成11年の年末残高予定額は、33,561,000円である。
ヘ 請求人が本件申告書に添附した本件家屋の平成11年4月30日付の登記簿謄本には、次の内容の記載がある。
(イ)本件車庫は、本件家屋とは別に附属建物として表示されている。
(ロ)本件家屋及び本件車庫の所有権保存登記の受付日は、平成11年4月16日である。
(ハ)本件家屋及び本件車庫の持分は、請求人が5分の4、Mが5分の1である。
ト 上記ヘの登記簿謄本には、乙区(所有権以外の権利)の記載はない。
チ 請求人が審査請求書に添付して当審判所に提出した本件家屋の平成13年5月15日付の登記簿謄本の乙区(所有権以外の権利)には、次の内容の記載がある。
(イ)抵当権設定仮登記の受付日は、平成13年4月25日である。
(ロ)被担保債権の発生原因は、平成10年9月25日の保証委託契約による求償権である。
(ハ)抵当権の設定日は、平成11年4月26日である。
(ニ)債権額は35,000,000円、債務者は請求人、権利者はKである。

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2 主張

(1)請求人

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 更正の理由附記について
 本件更正処分に係る更正通知書には、適用法令はおろか、処分の理由すら記載されていない。青色申告書以外の申告書に係る更正処分について、法律は、更正通知書に理由を附記することを禁じていないにもかかわらず、原処分庁は、理由も示さずに一方的に本件更正処分を行なっており、これは納税者の権利を不当に制限するものである。
ロ 以下のとおり、本件売買契約は建築条件付契約に該当し、また、本件家屋を目的とする抵当権の設定は行なわれているから、本件借入金の金額のうち本件土地の取得に要する資金に充てた部分の金額も、住宅借入金等に該当する。
(イ)本件売買契約は、以下のとおり、建築条件付契約に該当する。
A 本件土地は、Hから、同社の請負により同土地上に家屋を建築することを条件に紹介を受けたものである。本件売買契約の諸事項は、Hの特約代理店であるGの仲介により本件家屋の工事請負契約を同時に同じ場所で締結して直ちに家屋の建築を始めることを前提として定めたものであり、Hとの工事請負契約が成就しなかった場合には本件土地の紹介も無効となったのであり、同土地は単独で購入できたものではない。このことは、上記1の(3)のハの各条件を十分に満たすものである。
B 本件売買契約における売主が元の地主であるFとなっているのは、諸手続を中間省略したためであり、本件土地は、同社から建築条件なしで別途購入したものではない。
C 本件売買契約書は、○○○協議会統一様式<契.No.15>によるものであり、その第14条第2項で、Kの社内融資が否認された場合、請求人は平成10年9月7日までであれば本件売買契約を解除することができるとの特約が付されている。
 請求人は本件請負契約を解約することを考えていなかったのであるから、融資が否認されて本件売買契約を解約することを原因とする以外に本件請負契約が解約されることはありえない。このように、本件請負契約は、融資が成立しなかった場合には、本件売買契約の解約に伴い自動的に解約になるという、本件売買契約と不可分一体の関係にある。
D 同一グループ内の複数の業者との間で土地売買契約及び建築請負契約を同時に同じ場所で締結する場合、当該土地売買契約の中に不成立条件を入れる者はこの世に存在しないことは明らかである。土地売買契約に不成立条件が必要という原処分庁の要求は、両契約が同時に成立した以上無意味なことであり、法律の目的を捻じ曲げた解釈である。法律の目的は、土地建物を購入した場合には、所得税の税額控除を認めるということである。
(ロ)Kの求償権を被担保債権とし本件家屋を目的とする抵当権は、その設定登記はされていないが、実質的には、平成11年4月26日の同社との保証委託契約により、同日において設定されていることと同じである。したがって、請求人の場合、上記1の(3)のニの条件さえも満たしている。
 なお、当該抵当権の設定は、平成13年4月25日付で仮登記を完了している。
ハ 仮に、本件売買契約が建築条件付契約に該当せず、又は、本件家屋を目的とする抵当権が設定されていないとしても、請求人の様に1件の借入金をもって土地と建物を一体として購入した場合には、別々の業者からであっても、それが同一グループの業者である場合には、形式的な要件にかかわらず、無条件で住宅借入金等特別税額控除が認められるべきである。
ニ 本件車庫等は、Hの施工店であるJが施工したものであり、本件家屋と一体として同一グループの業者から購入したことと何ら変わらないものである。また、本件車庫等は、Hが建築基準法の規定に基づき本件家屋の1階に準じて設計(構造的には本件家屋の1階部分として設計)し建築確認を得たものであり、建築確認書のとおり施工されたことはP市の検査により明らかである。さらに、本件車庫及びこれと一体となった本件基礎なくしては、本件家屋が家屋として成立しないのは言うまでもない。
 また、本件車庫は固定資産税額の算定においては家屋として取り扱われ課税されており、住宅借入金等特別税額控除の適用上、家屋として取り扱われないのは不当である。
 以上により、本件車庫等は居住用家屋に該当する。
ホ 仮に、本件車庫が居住用家屋に該当しないとしても、本件基礎については、居住用家屋と認めるべきである。

(2)原処分庁

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 更正処分に当たってその通知書に更正の理由を附記しなければならないのは、上記1の(3)のイのとおり、青色申告書に係る年分の不動産所得等の金額の更正をする場合に限られているところ、本件申告書は青色申告書ではない。
 したがって、本件処分に係る通知書に更正の理由を附記しなかったとしても何ら違法ではない。
ロ 新築された居住用家屋の敷地の用に供する土地の取得に要する資金に充てるための借入金が住宅借入金等に該当するためには、上記1の(3)のハ又はニのとおり、当該土地の分譲契約に不成立条件の定めがあること、又は、当該家屋を目的とする抵当権が設定されていること等の条件が必要であるところ、本件売買契約には不成立条件の定めがなく、また、本件家屋を目的とする抵当権は設定されていない。
 なお、請求人が審査請求書に添附した本件家屋に係る登記簿謄本によれば、請求人が行なわれていると主張する本件家屋を目的とする抵当権の設定は、同人が異議申立書を原処分庁に提出した後である平成13年4月25日受付で仮登記がされており、本登記はされていないから、本件家屋を目的とする抵当権が設定されているとは認められない。
ハ 本件車庫等は、本件申告書に添付された本件家屋の登記簿謄本における記載のとおり、本件家屋とは別個のものであり、また、請求人が居住の用に供している家屋とは認められないから、居住用家屋に該当しない。

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3 判断

(1)認定事実

 当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
イ 本件売買契約書には、不成立条件の特約は記載されていない。
ロ Fの代表取締役Nは、当審判所に対して、「本件売買契約は、本件土地をGの仲介により建築条件なしで売却したもので、Fは単なる売主である」旨答述している。
ハ 平成13年4月25日○○地方法務局○○支局受付の抵当権設定仮登記の原因証書である平成11年4月26日付の債務保証抵当権設定契約証書(以下「本件抵当権設定契約証書」という。)は、Kに保管されている同社の社内文書によれば、請求人及びその妻とKとの間で平成13年4月13日に作成されたものである。
ニ 司法書士Sは、当審判所に対して、本件抵当権設定契約証書の平成11年4月26日とされている日付について、「抵当権設定仮登記の申請の際に、本件建物の所有権保存登記後の適宜の日付を記入した」旨答述している。
ホ 請求人とHとの間で作成された平成10年10月24日付の工事請負変更契約書及び見積書によれば、本件基礎の工事部分の金額529,339円(消費税抜き)が、本件請負契約に係る請負金額から減額されている。
ヘ 請求人とJとの間で作成された平成10年8月17日付の本件車庫等に係る請負契約書によれば、本件基礎の金額として、別表2のとおり、629,339円が当該契約に係る請負金額に含まれている。

(2)本件更正処分について

イ 請求人の上記2の(1)のイの主張について
 更正通知書に更正の理由を附記しなければならないのは、上記1の(3)のイのとおり、青色申告書に係る年分の不動産所得等の金額の更正をする場合に限られるのであって、青色申告書以外の申告書に係る更正処分については、その更正通知書に更正の理由を附記すべき旨を定めた法令上の規定はないところ、本件申告書は青色申告書ではないから、更正通知書に更正の理由が附記されていなくても本件更正処分が違法となるものではない。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
ロ 請求人の上記2の(1)のロの主張について
(イ)上記1の(4)のイ、3の(1)のイ及びロのとおり、本件土地の売主は、本件建物の請負業者であるHとは別個の法人であるFであり、本件売買契約には不成立条件の定めがないから、本件売買契約が建築条件付契約に該当しないことは明らかである。
A この点につき請求人は、本件売買契約における売主がFになっているのは諸手続が中間省略されたことによるものである旨主張するが、同人はこの主張を認めるに足る証拠を提出せず、また、当審判所の調査その他による本件全資料によっても、同人が本件土地を中間省略でHから購入した事実は認められない。
B 請求人は、また、本件売買契約書の第14条第2項の定めを引用して、本件請負契約は本件売買契約と不可分一体の関係にある旨主張する。しかしながら、本件売買契約書の第14条第2項は「前項の融資が否認された場合、買主は表記の期日内であれば本契約を解除することができる」旨定めており、あくまでもKの社内融資が受けられない場合には請求人の都合で当該契約を解除できることを定めたものにすぎない。
C 請求人は、さらに、本件売買契約と本件請負契約が同時に成立している以上、本件売買契約に不成立条件を要求することは法の趣旨を捻じ曲げている旨主張する。しかしながら、たとえ同日、同場所において締結されたものであっても、本件売買契約と本件請負契約は相互に制約を受けることのない別個の契約であり、また、本件売買契約が建築条件付契約に当たらないことは上に述べたとおりである。
D 以上のとおり、この点に関する請求人の主張には、いずれも理由がない。
(ロ)本件抵当権設定契約証書は、上記(1)のハのとおり、平成13年4月13日に作成されていると認められるから、Kの求償権を被担保債権とし本件家屋を目的とする抵当権は、同日において設定されたものと認められ、平成11年中において設定されていたものとは認められない。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
(ハ)以上のとおり、本件借入金の金額のうち本件土地の取得に要する資金に充てられた部分の金額は、住宅借入金等に該当しない。
ハ 請求人の上記2の(1)のハの主張について
 措置法第41条及び措置法施行令第26条は、本来課されるべき税額を政策的な見地から特に軽減するものであるから、租税の公平負担の原則を考慮すると、これらの規定の解釈は厳格に行われるべきであり、安易にこれを拡大して解釈し、あるいはその類推適用を認めることは許されないと解すべきである。
 したがって、この点についての請求人の主張は採用することはできない。
ニ 請求人の上記2の(1)のニの主張について
(イ)当審判所の調査の結果によれば、本件車庫は、盛土の上の敷地に建築された本件家屋の前面庭の地下部分に建築された地下車庫であり、本件車庫の上部の一部が本件基礎と重なっていることは認められるものの、直接居住の用に供される建物とは認められない。
(ロ)ところで、門、塀等の構築物、電気器具、家具セット等の器具、備品又は車庫等の建物(以下、これらを併せて「構築物等」という。)の取得の対価の額は、居住用家屋の取得の対価の額には含まれないと解されるところ、「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」41−24は、家屋と併せて同一の者から取得する構築物等については、その対価の額がきん少と認められるものについては、当該家屋の取得の対価の額に含めて差し支えない旨定めている。
 この取扱いは、家屋と併せて同一の者から取得する構築物等については実務的にその区分計算が困難であることや、それを厳密に区分することは取引の実情にそわないこととなる場合が想定されることからすれば、妥当なものといえる。
 これを本件についてみると、〔1〕本件車庫等は、上記1の(4)のハのとおり、別法人である業者との間で締結された別個の請負契約に基づいてその工事が行われていること、〔2〕本件請負契約に係る請負金額18,744,600円と本件車庫等の請負金額4,566,805円の合計金額23,311,405円のうちに占める本件車庫等の請負金額の割合は19.6%であり、その対価の額がきん少とは認められないことから、本件車庫等について当該通達を適用することはできないと解するのが相当である。
(ハ)以上により、この点に関する請求人の主張には理由がない。
ホ 請求人の上記2の(1)のホの主張について
 建物の基礎工事は、建設業法に規定する建設工事に該当し、家屋を建築するために直接必要なものと解され、また、上記(1)のホ及びヘのとおり、本件基礎の工事は、本件請負契約から除かれ、別途、Jとの間で請負契約が締結されていることから、本件基礎の取得の対価は居住用家屋の取得の対価に含めることが相当である。
 なお、本件車庫等の請負金額は、別表2の「請負金額」欄のとおり、同表1から5までの各工事(以下「各工事」という。)の額に諸経費の額が加算され出精値引の額が減額されていることから、本件車庫等の請負金額のうち本件基礎に係る部分の金額(以下「本件基礎の請負金額」という。)は、同表の「小計」欄の金額のうちに占める各工事の割合をもって、諸経費の額及び出精値引の額を各工事に配賦したところで計算するのが相当と認められる。
 そうすると、本件基礎の請負金額は、別表2の「配賦後請負金額」欄のとおり592,555円となり、これに係る消費税相当額を加算した金額は622,182円となる。
ヘ 還付金の額に相当する税額について
 以上の結果、居住用家屋の取得の対価の額は、本件請負金額18,744,600円と本件基礎の請負金額622,182円の合計額19,366,782円となり、住宅借入金等特別税額控除額は、別表3のとおり、154,900円となる。
 この結果、請求人の還付金の額に相当する税額は123,840円となり、この金額は、本件更正処分の金額を上回るから、本件更正処分はその一部を取り消すべきである。

(3)その他

 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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