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(平18.12.19、裁決事例集No.72 288頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が肉用牛の売却による農業所得の課税の特例(いわゆる肉用牛の免税制度)を適用したところ、原処分庁が、請求人は農業を営んでいないから肉用牛の免税制度は適用できないとして所得税の更正処分等を行ったのに対し、請求人は、農業を営んでいるとして同処分等のうち、平成14年分及び平成15年分の全部の取消し並びに平成16年分の一部の取消しを求めた事案である。

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(2) 審査請求に至る経緯

 審査請求(平成18年4月26日)に至る経緯及び内容は、別表1のとおりである(以下、平成14年分、平成15年分及び平成16年分を併せて「各年分」、各年分の所得税の確定申告書を「本件各申告書」、各年分の所得税の更正処分(平成14年分については別表1の「再更正処分等」欄のとおり一部取り消された後のもの)を「本件各更正処分」、平成14年分及び平成16年分の過少申告加算税の賦課決定処分(平成14年分については別表1の「再更正処分等」欄のとおり一部取り消された後のもの)を「本件各賦課決定処分」という。)。

(3) 関係法令

イ 所得税法第2条《定義》第1項第35号(特別農業所得者)は、農業所得とは、米、麦、たばこ、果実、野菜若しくは花の生産若しくは栽培又は養蚕に係る事業その他これに類するものとして政令で定める事業から生ずる所得である旨規定している。
ロ 所得税法施行令第12条《農業の範囲》は、所得税法第2条第1項第35号に規定する政令で定める事業とは、第1号で米、麦その他の穀物、馬鈴しょ、甘しょ、たばこ、野菜、花、種苗その他のほ場作物、果樹、樹園の生産物又は温室その他特殊施設を用いてする園芸作物の栽培を行う事業、第2号で繭又は蚕種の生産を行う事業、第3号で主として前2号に規定する物の栽培又は生産をする者が兼営するわら工品その他これに類する物の生産、家畜、家きん、毛皮獣若しくは蜂の育成、肥育、採卵若しくはみつの採取又は酪農品の生産を行う事業であると規定している。
ハ 租税特別措置法(平成17年法律第21号による改正前のもの。以下「措置法」という。)第25条《肉用牛の売却による農業所得の課税の特例》第1項は、農業(所得税法第2条第1項第35号に規定する事業をいう。)を営む個人が、昭和56年から平成17年までの各年に、家畜市場、中央卸売市場等の市場で、当該個人が飼育した肉用牛を売却し、その売却した肉用牛がすべて免税対象飼育牛(農林水産大臣の承認を受けた肉用牛又はその売却価額が100万円未満である肉用牛に該当するものをいう。)であるときは、当該個人のその売却をした日の属する年分のその売却により生じた事業所得に対する所得税を免除する旨規定している。

(4) 基礎事実

イ 請求人は、措置法第25条第1項に規定する農業(以下「本件事業」という。)を営む個人であるとして、同項に規定する課税の特例(以下「本件特例」という。)の適用を受けるため、本件各申告書に同条第4項に規定する必要な記載及び書類の添付をして、本件各申告書を原処分庁に提出している。
ロ 請求人は、P市Q町a番及び同b番の田(合計面積1,814平方メートル、以下、これらを併せて「本件農地」という。)並びにP市Q町c番の畑(面積575平方メートル、以下「請求人所有の畑」という。)を所有している。

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2 主張

原処分庁 請求人
 請求人は、次のとおり、本件農地における米の栽培及び収穫に関し、苗や肥料の購入、田植えや稲刈り等の時期、収穫した米の出荷先等の決定は行わず、また、本件農地からの米の収穫量の多寡に関係なく、毎年決まって2俵の米を受け取っていることから、本件事業を営んでいない。  請求人は、次のとおり、本件農地において米を栽培しているから本件事業を営んでいる。
イ 請求人は、知人であるFに対して、本件農地において米を栽培するよう依頼している。 イ 請求人は、知人であるFに対して、本件農地において米を栽培するため、耕作及び収穫の作業を委託している。
ロ 請求人は、Fが本件農地から収穫した米を毎年2俵受け取っている。 ロ 請求人は、Fに対し耕作料、労賃、苗代等(以下、これらを併せて「作業料」という。)として本件農地から収穫した米によりおおむね10俵支払い、残りを自己のものとしている。
ハ 本件農地から収穫した米の出荷代金は、すべてFが受け取っている。 ハ 請求人が受け取った米は、請求人が経営するレストランで使用し、Fに作業料として支払った米の多くもレストランで買い取っている。
ニ 本件農地において米を栽培する上で、必要とされる苗や肥料の購入に当っては、すべてFの判断の下に行われている。 ニ 請求人がFに苗や肥料の購入を依頼しているのは、その方が合理的と判断したからである。
ホ 本件農地における田植えや稲刈り等の時期は、すべてFの判断の下に行われている。 ホ 本件農地における田植えや稲刈り等の時期は、ため池の開栓の時期によりおのずと決まるものである。
 また、請求人は、本件農地のあぜの草刈りや溝の清掃等をできる限り行っており、水利費等も支払っている。
ヘ Fは、本件農地から収穫し出荷した米の量及び出荷先について、請求人には伝えていない。 ヘ F所有のコンバインは、グレーンタンクが内蔵されており、本件農地から収穫した籾とFが他の農地で収穫した籾とが混ざるため、本件農地からの収穫量ははっきり計量できないが、収穫量は年によって大きく変動するものではなく、請求人の長年の経験と委託初期ころの収穫量を目安としている。
ト 原処分に係る調査担当者は、P市農業委員会及びP市農業支援センターでの調査において、請求人が自ら米を栽培している事実はないことを確認している。 ト 請求人が、P市農業委員会及びP市農業支援センターの職員に原処分に係る調査担当者への供述の真意を確認したところ、同職員は重大なこととは認識せず適当に答えたとのことであった。
チ 請求人は、本件農地における米の栽培に係る農業所得を本件各申告書に記載していない。 チ 本件農地における米の栽培に係る農業所得を本件各申告書に記載していないが、それは大した金額でないからで、指導があればいつでも修正申告に応じる。
リ 請求人は、本件農地に農業委員会を介した利用権の設定はしておらず、また、Fとの間で賃貸借契約を結んではいないことから、本件農地を耕作する権限を有している。
 したがって、本件事業は、Fが自己の計算と危険において継続的に経済活動として行っているものであり、請求人は、Fに本件農地を貸し付けているにすぎず、本件事業を営む個人に該当しないから、本件特例の適用を受けることはできない。  したがって、請求人は、自己が本件農地の耕作権を有し米を栽培しているから、本件事業を営む個人に該当し、本件特例の適用を受けることができる。

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3 判断

(1) 本件各更正処分について

イ 事業の意義
所得税法及び措置法では、事業の意義自体についての定義規定はおいていないところ、一般的に事業とは、自己の計算と危険において営利を目的として対価を得て継続的に行う経済活動のことであると解されている。
そうすると、措置法第25条に規定する肉用牛を売却した個人が本件特例を適用するに当たっては、当該個人は、「本件事業を営む個人」であることが要件とされているところ、「本件事業を営む個人」とは、自らが栽培の方法等を決定して、栽培し又は他人に栽培させ、その栽培に係る利益又は損失を自己に帰属させることを継続的に行う者であると解するのが相当である。
ロ 認定事実
請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
(イ) 請求人の本件各申告書や各年分の青色申告決算書には、本件農地における米の栽培に係る農業所得について、その収入金額、必要経費及び所得金額の記載はない。
(ロ) 請求人の取引先であるR農業協同組合において、請求人名義での各年分の米の栽培に係る出荷及び苗や肥料の購入等の取引は認められない。
(ハ) 本件農地が所在するP市Q町地域における水稲の標準的な小作料は10a当たり15,000円であり、これを本件農地(18.14a)の面積で乗ずると27,210円となり、この27,210円をR農業協同組合への平均的な米の出荷価格で数量に換算するとおおむね米2俵分(1.98俵)に相当する。
(ニ) 請求人は、当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
A 本件農地のあぜの草刈りや溝の清掃等をできる限り行うほか水利費等も払っているが、それ以外のことはすべてFに委託している。
B 請求人所有の畑では、以前は請求人の母が野菜を作っていたが、それを証明するものはない。
C Fに対する作業料を差し引いた残りの米は、ここ数年2俵と一定している。
(ホ) Fは、当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
A 本件農地の収穫量の多寡に関係なく、請求人に毎年米2俵を渡している。
B 本件農地において米を栽培するに当たり、請求人からは、田植えや稲刈りの時期の決定や、苗や肥料の購入等に関しての指示はなく、すべて私の責任で行っている。
C 本件農地と本件農地以外の農地で収穫した米は、区分せず、私の名義で農協等に出荷し、その代金もすべて私が受け取っている。
D 本件農地と本件農地以外の農地における米の栽培に係る農作業、販売方法、経費内訳及び支払方法で相違する点は、本件農地においては、請求人があぜの草刈りと水管理を行うことだけである。
E 私の農業所得の計算の基礎となる収入金額及び必要経費は、本件農地と本件農地以外の農地に区分して計算せず、すべて私のものとして計算している。
ハ 以上の事実から、請求人が本件農地において本件事業を営む個人に該当するか否か判断すると、次のとおりである。
(イ) 請求人自らが本件事業を営んでいるか否かについて
A 請求人自らが米の栽培の方法等を決定しているか否かについて
上記ロの(ニ)のAの請求人の答述並びに上記ロの(ホ)のA、B及びDのFの答述からすると、請求人は、本件農地のあぜの草刈りや溝の清掃等及び水利費等の支払をしているものの、本件農地における米の栽培に係る農作業の時期、栽培する米の銘柄、苗や肥料の購入及び収穫した米の出荷先等の重要な意思決定については、Fが自ら行っていることが認められる。
したがって、本件農地における米の栽培は、Fが自ら栽培の方法等を決定しているのであって、請求人が決定しているとは認められない。
B 請求人が米の栽培に係る利益又は損失を自己に帰属させているか否かについて
当審判所の調査によれば、上記ロの(イ)及び(ロ)のとおり、本件農地における米の栽培に係る収入や経費については、請求人の各年分の所得金額の計算上一切計上されておらず、また、請求人の取引先であるR農業協同組合において、請求人名義での米の栽培に係る取引は認められない。さらに、上記ロの(ホ)のC及びEの本件農地における米の栽培に係る収入金額及び必要経費はすべて自分のものであるとするFの答述からしても、本件農地から収穫された米の収益及び当該米の栽培に係る費用は、Fに帰属しているものと認められる。
(ロ) 請求人がFに本件事業を委託しているか否かについて
請求人は、Fに対して耕作及び収穫の作業を委託し、作業料として本件農地から収穫された米を年間10俵程度支払い、その残余を自己のものとしている旨主張するとともに、作業料として渡した米の多くは請求人の経営するレストランで買い取っているとして、当審判所に対して、各年分の買取代金に係る振込明細書の写し(以下「本件明細書」という。)を提出した。
しかしながら、上記ロの(ニ)のCの請求人の答述並びに上記ロの(ホ)のA、B及びEのFの答述のとおり、本件農地における米の栽培に係る農作業の時期、栽培する米の銘柄、苗や肥料の購入及び出荷先等の重要な意思決定についてはFが自ら行っており、同人は、請求人に対して、これらのこと及び収穫した米の数量等本件農地における米の栽培に関する報告は行っていないこと、Fの農業所得の計算の基礎となる収入金額及び必要経費は、本件農地と本件農地以外の農地に区分して計算しないでこれらをすべて同人のものとして計算していること、Fは本件農地の収穫量の多寡に関係なく請求人に毎年米2俵を渡していることが認められる。
また、本件明細書では請求人とFとの間に米の売買取引のあることは認められるものの、請求人からは、本件農地における米の収穫量や作業料に関する具体的な算定根拠の説明や証拠書類等の提出がない。
そうすると、請求人が米の栽培に係る委託の対価としてFに対して米を作業料として支払っているとは認められず、本件農地における米の栽培はFが自ら行っているものであって、請求人からの委託を受けて行っているものとは認められない。
(ハ) 請求人のあぜの草刈りや溝の清掃等に係る主張について
請求人は、本件農地のあぜの草刈りや溝の清掃等にできる限り従事し、水利費等も支払っている旨主張する。
しかしながら、請求人は、本件農地の土地所有者であるがゆえに当該草刈りや清掃等に従事し、水利費等の支払をしているものと認められ、このことをもって、請求人が本件農地において米の栽培をし、又は米の栽培を委託しているということはできない。
また、請求人は、本件農地には農業委員会を介した利用権の設定はなく賃貸借契約もないことから、本件農地を耕作する権限を有している旨主張する。
しかしながら、本件事業を営んでいるかどうかは上記ハの(イ)及び(ロ)の観点から判断すべきであって、請求人がFに対して本件農地上に農地法第3条第1項に規定されている各種権利を設定していないこと及びそのことにより請求人が本件農地の耕作権を有しているとしても、そのことをもって、請求人が本件農地において本件事業を営んでいると認めることはできない。
(ニ) 請求人が受けている2俵の米について
請求人が各年分においてFから受け取った米が2俵であることについては当事者間に争いがないところ、本件農地における米の栽培は、上記(イ)ないし(ハ)のとおり、Fが自己の計算と危険において継続的に行っているものと認められること及びその米の数量は、同人の本件農地における米の収穫量ないし収入金額に基づくものではなく、上記ロの(ハ)のとおり、本件農地の面積に相当するP市Q町地域における水稲の標準的な小作料と同程度であることからすると、その2俵の米は、Fが、請求人から本件農地において米を栽培するよう依頼を受け、その小作料として給付しているものと認められる。
(ホ) 上記(イ)ないし(ニ)の判断を総合すれば、本件農地においては、Fが継続して米の栽培をし、その栽培に係る利益又は損失を自己に帰属させていると認められ、請求人は本件農地をFに対して貸し付けていると認められるから、請求人は本件農地において本件事業を営んでいないと認められる。
また、請求人には上記ロの(イ)の事実があり、さらに、請求人の農産物の収穫に関し、上記ロの(ニ)のBの請求人の答述においてさえ、請求人の母による「野菜を作っていた」ことは、当審判所の調査によれば、少なくとも各年分に係る期間前のことであると認められ、しかも、請求人は他に事業として農業を営んでいたことを明らかにできない。このことからすると、請求人は、各年分に係る期間においては、本件農地以外においても農業を営んでいるとは認められないから、この点においても、請求人は各年分に係る期間において本件事業を営んでいるとは認められない。
ニ 以上のとおり、請求人の主張にはいずれも理由がなく、請求人は、本件特例の適用を受けるための要件である本件事業を営む個人には該当しない。
したがって、請求人に対して本件特例の適用を受けることはできないとした原処分は適法である。
ホ 総所得金額等
(イ) 事業所得の金額
各年分の事業所得の金額は、請求人が各年分の修正申告書に記載した事業所得の金額に、原処分庁が肉用牛の売却により生じた事業所得と認定した金額を合計して算定した金額となり、別表2の「事業所得の金額」欄の「審判所認定額」欄のとおり、平成14年分○○○○円、平成15年分○○○○円及び平成16年分○○○○円となる。
(ロ) 不動産所得の金額
各年分の不動産所得の金額は、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査によっても相当と認められ、別表2の「不動産所得の金額」欄の「審判所認定額」欄のとおり、平成14年分、平成15年分及び平成16年分とも○○○○円となる。
(ハ) 給与所得の金額
各年分の給与所得の金額は、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査によっても相当と認められ、別表2の「給与所得の金額」欄の「審判所認定額」欄のとおり、平成14年分○○○○円、平成15年分○○○○円及び平成16年分○○○○円となる。
(ニ) 総所得金額
各年分の総所得金額は、上記(イ)の事業所得の金額、上記(ロ)の不動産所得の金額及び上記(ハ)の給与所得の金額を合計して算定した金額となり、別表2の「総所得金額」欄の「審判所認定額」欄のとおり、平成14年分○○○○円、平成15年分○○○○円及び平成16年分○○○○円となる。
ヘ 所得控除の金額
平成15年分及び平成16年分の所得控除の金額は、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査によっても相当と認められ、別表2の「所得控除の金額」欄の「審判所認定額」欄のとおり、平成15年分○○○○円及び平成16年分○○○○円となる。
なお、平成14年分の所得控除の金額のうち、請求人は平成14年分の修正申告書において、配偶者特別控除○○○○円を控除しているが、上記ホの(ニ)のとおり平成14年分の合計所得金額が1,000万円を超えることから所得税法(平成15年法律第8号による改正前のもの。)第83条の2《配偶者特別控除》第2項の規定により控除できないため、別表2の「所得控除の金額」欄の「審判所認定額」欄のとおり、○○○○円となる。
ト 課税総所得金額
 各年分の課税総所得金額(国税通則法(以下「通則法」という。)第118条《国税の課税標準の端数計算等》第1項の規定により千円未満の端数切捨て。以下同じ。)は、上記ホの(ニ)の総所得金額から上記への所得控除の金額を控除して算定した金額となり、別表2の「課税総所得金額」欄の「審判所認定額」欄のとおり、平成14年分○○○○円、平成15年分○○○○円及び平成16年分○○○○円となる。
チ 課税総所得金額に対する税額
 各年分の課税総所得金額に対する税額は、上記トの課税総所得金額に所得税法第89条《税率》の規定により算定した金額であり、別表2の「課税総所得金額に対する税額」欄の「審判所認定額」欄のとおり、平成14年分○○○○円、平成15年分○○○○円及び平成16年分○○○○円となる。
リ 中小企業者が機械等を取得した場合等の所得税額の特別控除の金額
措置法第10条の3(平成15年法律第8号による改正前のもの。)《中小企業者が機械等を取得した場合等の特別償却又は所得税額の特別控除》に規定されている特別控除の金額は、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査によっても相当と認められ、別表2の「特別控除の金額」欄の「審判所認定額」欄のとおり、平成14年分○○○○円、平成15年分○○○○円及び平成16年○○○○円となる。
ヌ 納付すべき税額
各年分の納付すべき税額(通則法第119条《国税の確定金額の端数計算等》第1項の規定により百円未満の端数切捨て。以下同じ。)は、上記チの課税総所得金額に対する税額から上記リの特別控除の金額を控除し、さらに、経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律第6条《定率による税額控除の特例》の規定を適用して算出した金額を控除して算定した金額であり、別表2の「納付すべき税額」欄の「審判所認定額」欄のとおり、平成14年分○○○○円、平成15年分○○○○円及び平成16年分○○○○円となり、いずれも本件各更正処分の金額と同額となることから、本件各更正処分は適法である。

(2) 本件各賦課決定処分について

 上記(1)のヌのとおり、本件各更正処分はいずれも適法であり、また、これらの処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が、更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないので、同条第1項及び第2項の規定に基づいて行った本件各賦課決定処分は適法である。

(3) その他

 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所の調査の結果によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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