別紙

当事者の主張
請求人 原処分庁
 原処分は、次の理由により違法である。  原処分は、次の理由により適法である。
1 Eは、平成15年2月のG税務署の確定申告相談会場における本件譲渡所得の計算に関する相談の際に、本件相談担当者に対し、請求人及び請求人の親族が本件物件に居住していなかったこと、本件特例の適用のために、当時、本件物件を賃借して居住していた本件物件の譲受人であるAらの住民登録を一定の期間他所に異動してもらい、その間は本件住所に請求人及びEの住民登録を異動したことを説明しているから、通則法第68条第1項に規定する重加算税の賦課決定に係る隠ぺい又は仮装の事実はこの時点でなくなったことになる。
 また、本件不動産所得の金額の計算上、一部の期間について、本件物件の家賃収入を総収入金額に算入していなかった理由は、本件相談担当者に平成14年4月10日が本件物件の売買契約の成立日であると説明され、そうであれば4月10日以降の家賃を計上するのはおかしいのではないかと考えたためである。
 よって、本件譲渡所得、本件不動産所得のいずれにおいても隠ぺい又は仮装の事実は存在しないのであるから、原処分は違法である。
1 通則法第68条第1項に規定する重加算税の賦課決定は、納税者がその国税の課税標準又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したことを要件としている。
 そうすると、請求人は、本件譲渡所得の金額の計算上、本件特例の適用を受ける意図を持って生活の本拠としての本件物件の体裁を整えるために、本件物件を賃借し居住しているAらに住民登録を本件住所から他所に異動させ、その後に請求人の住民登録を本件住所に異動し、また、本件住所への住民登録の異動に整合性を持たせるために、本件物件を引き渡すまで事業の用に供していたにもかかわらず、取得費の計算において自己の居住用不動産として減価償却費相当額を計算し、さらに本件不動産所得の計算において、平成14年11月9日まで賃貸していたにもかかわらず、同年1月1日から同年4月14日までの収入のみ算入し、請求人が本件住所に住民登録を異動した以後は、本件物件に居住していたかのごとく仮装し、住民票の除票及び戸籍の附票の写しを添付して、本件譲渡所得の金額の計算上本件特例を適用した本件確定申告書を提出している。
 なお、法定申告期限が経過したときが隠ぺい又は仮装の成立時期であると解されているところ、請求人は、隠ぺい又は仮装の成立時期である法定申告期限が経過したときにおいて、課税標準額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装したところに基づき作成した本件確定申告書を提出していた事実があり、原処分庁は、当該事実に基づき重加算税を賦課したものであるから、請求人の主張には理由がない。
2 本件相談担当者は、Eの相談内容を聞いて、当初「本件特例の適用はない。」という説明を行ったが、Eが重ねて、請求人は転勤族であり、本件物件に居住したかったにもかかわらず居住できなかったこと等を説明したところ、本件相談担当者から「転勤族であるサラリーマンには特例があり、本件特例が認められるかどうか分からないが、住民票の除票等のほかに戸籍の附票を添付し、D税務署に提出してみれば」と言われ、請求人は、本件特例の適用を受けるために必要な書類等を添付した本件確定申告書をD税務署へ提出したものであり、請求人は、本件特例が認められない時には、早期に税務署から連絡があるものと思っていたところ、本件確定申告書の提出からかなりの期間を経過した時期に調査があり、その結果、修正申告書を提出し原処分が行われた。
 早期に調査が行われ、本件特例が適用できない旨の指摘があれば、重加算税を賦課されなかったものであり、また、延滞税の額が多額になったこと、本件特例が原処分庁に認められたとの請求人の認識が裏切られたこと、納税の資金繰りを困難にしたことは、早期に調査が行われなかったこと等を原因とするものであるから、これについて不当を主張する。
2 本件相談担当者が、Eに対し本件特例の適用はできない旨説明しているにもかかわらず、その後、Eから、本件物件には居住しておらず貸家として使用していること及び本件特例を受けるために住民登録を異動させた旨の説明を受けた上で、本件相談担当者が、本件特例が適用できる旨指導することは考えられず、請求人の主張は事実に反しており、また、請求人は早期に調査が行われれば、原処分はなかった旨主張するが、原処分は上記1のとおり適法に行われたものであるから、請求人の主張には理由がない。

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