別紙

当事者の主張

争点1 本件ゴルフ会員権の譲渡は、譲渡所得の基因となる資産の譲渡に該当するか否か。
原処分庁 請求人
 本件ゴルフ会員権は、次のとおり、請求人が譲渡した平成16年12月5日においては、優先的施設利用権が消滅した預託金返還請求権のみの金銭債権であり、譲渡所得の基因となる資産には該当しない。
 F社は、E社等名義のゴルフ場資産の使用を前提とする本件委任契約に基づき、本件ゴルフクラブの経営・管理を委託されていたところ、平成16年7月○日に本件不動産の所有権が第三者に移転し、F社が当該各コースにおいて本件ゴルフクラブの経営を行う法律上の権限は消滅しているから、本件委任契約は終了している。
 これにより、F社は、もはや本件ゴルフクラブの経営・管理を行うことができず、本件ゴルフクラブに係る施設のすべてを会員に提供することはできないことから、本件ゴルフ会員権に内包された優先的施設利用権は消滅している。
 本件ゴルフ会員権は、次のとおり、これを譲渡した平成16年12月5日において、優先的施設利用権及び預託金返還請求権は維持されていたのであるから、当該会員権の譲渡は譲渡所得の基因となる資産の譲渡に該当する。
(1) 本件ゴルフクラブは、平成16年12月末まで、会員は支障なくプレーすることができていたし、本件ゴルフクラブが主催する土曜杯などの競技会も開催されており、F社によって平常どおり運営されていた。
 また、F社は、本件ゴルフ会員権の譲渡に伴う会員登録の名義変更に際し、Dカントリークラブ預託金証書の裏面の名義書換欄に、同社の会社証印をなつ印していることからも、引き続き経営に携わっていた。
(2) 競売取引と経営委任契約とはそれぞれ別個の法律行為であること及び本件委任契約における委任者であるE社は、平成17年9月○日に、受託者であるF社は、同年3月○日にそれぞれ解散しており、本件ゴルフ会員権の譲渡時点において両者共に法人格を失うことなく稼動していたことを併せ考慮すれば、本件ゴルフ会員権が譲渡された時点において、本件委任契約に係る法人は本件ゴルフクラブの経営に携わっていたことになる。
 また、本件不動産が本件ゴルフクラブのゴルフ場施設の一部にすぎないことから、本件委任契約は、当該競売に起因して即解消されるものではなく、継続している。
(3) Uゴルフクラブは、同クラブの会員募集に際し、本件ゴルフクラブの会員と新規募集会員を明確に区分して、本件ゴルフクラブの会員に対する優遇措置を講じて募集活動をしている。このことからすると、本件ゴルフ会員権に内包された優先的施設利用権及び預託金返還請求権は、Uゴルフクラブに引き継がれており、当該競売の事実によってもこれらの権利が寸断ないし消滅していない。

争点2 通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」に該当するか否か。
請求人 原処分庁
 仮に、本件ゴルフ会員権の譲渡が譲渡所得の基因となる資産の譲渡に当たらないとしても、請求人は、本件ゴルフクラブが競売されていたという事実を全く知らずに本件ゴルフ会員権を譲渡し、その後、同会員権の名義変更を行った際に、本件預託金証書の裏面にF社の会社印が押印されていたことなどから、同会員権に係る譲渡を譲渡所得として申告し、その結果において過少申告となったものであって、何らの落ち度もない善良な納税者である。
 したがって、本件賦課決定処分において、上記で述べた事情は「正当な理由」に該当する。
 通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」とは、税法の解釈に関して申告時に公表されていた見解が、その後改変されたことに伴い更正を受けるに至った場合など、真にやむを得ない理由がある場合などがこれに当たるが、納税者の税法上の不知や法令解釈の誤解は当たらないとされている。
 請求人の主張する事情は、主観的な事情にすぎず、上記「正当な理由があると認められるものがある場合」に該当しない。

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