別紙

当事者の主張
争点1 営業損失は措置法施行令第39条の12第8項の「所得」に含まれるか。
原処分庁 請求人
 措置法施行令第39条の12第8項の解釈通達である措置法通達66の4(4)−1は、利益分割法における分割の対象を営業利益とする旨定めるところ、企業会計上の営業利益には、営業損失も含まれる(企業会計原則第二損益計算書原則三《営業利益》F参照)ことから、上記通達にいう営業利益には、営業損失が含まれる。
 殊に、平成14年3月期の請求人のb製品及びd製品に係る各営業利益はマイナスであるが、同利益とJ社の営業利益との合計額は、それぞれプラスとなっている。これは、分割対象利益の額が請求人に配分されないばかりか、分割対象利益の額の合計額を超えてJ社に所得が配分されていることを示している。
 したがって、平成13年3月期のJ社のc製品並びに平成14年3月期の請求人のb製品及びd製品に係る各営業利益を措置法施行令第39条の12第8項の「所得」から除く理由はない。
 利益分割法は、事業活動の直接の結果である所得、すなわち、純資産の増加を対象にして独立企業間価格を算定する方法であるところ、営業損失は、純資産の減少をもたらすものであり、措置法施行令第39条の12第8項の解釈通達である措置法通達66の4(4)−1は、利益分割法における分割の対象を営業利益とする旨定めているから、措置法施行令第39条の12第8項の「所得」には、営業損失は含まれない。
 平成13年3月期のJ社のc製品並びに平成14年3月期の請求人のb製品及びd製品に係る各営業利益は、マイナス、すなわち営業損失であるから、措置法施行令第39条の12第8項の「所得」に含まれない。

争点2 予算レートと社内レートとの差により算出される金額は、措置法施行令第39条の12第8項の「所得」に含まれるか。
原処分庁 請求人
 措置法通達66の4(3)−3は、取引日と決済日との為替相場の差額により生じた為替差損益は、独立企業間価格に含まれないと定めている。しかしながら、予算レートは、請求人が定めた想定レートであり、所得を計算する上では、予算レートと社内レートとの差により算出される金額は、為替相場の変動による所得の増減額、すなわち為替差損益ではない。
 したがって、予算レートと社内レートとの差により算出される金額は、措置法施行令第39条の12第8項の「所得」に含まれる。
 利益分割法における分割の対象は、事業活動の直接の結果として生じ、かつ、分割要因の寄与に基づく所得に限られると解される。本件国外関連取引は、米ドル建てであり、本件4製品の価格は、事業年度ごとに定めた予算レートに基づいてあらかじめ設定されているから、社内レート(為替レート)が変動すれば、それに応じて請求人及びJ社の営業利益は大きく変動するが、これは為替相場の変動による所得であり、事業活動の直接の結果といえるものではない。
 したがって、予算レートと社内レートとの差により算出される金額は、措置法施行令第39条の12第8項の「所得」に含まれない。

争点3 C研究所及びD研究所の販売費及び一般管理費は、利益分割法の適用に当たり、本件国外関連取引に関連して支出された費用とみるべきか。
原処分庁 請求人
 請求人は、各事業部別に損益を管理しており、各事業部に直接関係する研究開発費は、関係各事業部に配賦しているところ、C研究所及びD研究所の販売費及び一般管理費は、直接これと関係する事業部がないことから、各事業部の費用としては配賦されず、両研究所の営業損益は、いずれもマイナスとなっている。しかしながら、両研究所の販売費及び一般管理費は、請求人の本件各事業年度における損益計算上の営業費用であるから、これらは、利益分割法の適用に当たり、本件国外関連取引及びその他の取引の双方に関連して支出された費用、すなわち、事務運営要領3−2に定める共通費用とみて、売上高の割合に応じ、本件国外関連取引とその他の取引に配賦すべきである。  C研究所及びD研究所は、将来の新しい○○用器具や××用品の研究開発を行っており、両研究所の販売費及び一般管理費は、当該研究開発に費消されたものばかりであるのに対し、本件4製品は、平成10年4月1日から平成11年3月31日までの事業年度において、既にJ社により製造されていたから、本件各事業年度において、両研究所の販売費及び一般管理費は、本件国外関連取引とは、全く因果関係がない。
 したがって、C研究所及びD研究所の販売費及び一般管理費は、利益分割法の適用に当たり、本件国外関連取引に関連して支出された費用とみるべきではない。
 仮に、C研究所及びD研究所の販売費及び一般管理費が事務運営要領3−2に定める共通費用に当たるとすれば、それは、法人(請求人)及び国外関連者(J社)の双方に関連して発生したものであり、かつ、その双方に配分されなければならないと解されるから、A税務署長がこれを請求人のみに配賦したことは、上記事務運営要領の取扱いに反している。

トップに戻る