別紙2

主な争点に対する双方の主張

1 路線価の設定されていない道路に接する土地の評価方法について(本件A土地)
請求人ら 原処分庁
1 本件A土地と本件A土地北側土地とは、明らかに利用単位が二分されるところ、本件A土地は本件A北路線に接面せず、その路線に設定された120,000円の路線価の影響は全く受けないから、その路線価に基づき本件A土地の価額を算定することは誤りである。 1 評価基本通達に定められた評価方法によらないことが正当として是認され得るような特別な事情がある場合を除き、同通達に定められた評価方法を適用して相続財産を画一的に評価することには、合理性があると解される。
2 本件A土地が西側で接する道路には、特定路線価を設定する必要があり、その価額は、本件A北路線に設定された路線価を基にX市が固定資産の評定に用いる査定率を適用して算定すべきである。 2 本件A土地の現況は、宅地として利用されており、同土地の西側の一部が、路線価の設定されていない幅員約2.7メートルの道路に接している個別的要因を除き、本件A北路線に接する近隣地域の宅地の状況に類似することからすれば、本件A土地には、評価基本通達に定められた評価方法によらないことが正当として是認され得るような特別の事情があるものとは認められない。
2 倍率方式で評価する地域内に所在する市街地農地及び雑種地の評価方法について
(本件B土地ないし本件H土地及び本件J1土地)
請求人ら 原処分庁
 倍率方式によって評価する場合の宅地比準方式とは、評価基本通達によれば、その農地(雑種地)が宅地であるとした場合の固定資産税評価額に一定の相続税評価倍率を乗じた後、宅地造成費を控除して求めることとなるところ、原処分庁が採用した近傍宅地価格は、1固定資産評価の正面路線価に固定資産評価の時点修正率を乗じて算出した価格と推認され、評価しようとする土地の付近の宅地の価格そのものではないこと、2 評価しようとする土地の固定資産税評価額でもないことから、同通達に基づく評価方法を逸脱している。  宅地比準方式とは、評価しようとする土地と状況が類似する付近の宅地について評価基本通達の定めるところにより評価した1平方メートル当たりの価額(以下「近傍宅地価格」という。)を基とし、その宅地と評価しようとする土地との位置、形状等の条件の差を考慮して評価することになるから、近傍宅地価格に相続税評価倍率を乗じた後、同通達に基づく各種画地補正を行う評価方法は、同通達に則した方法である。
 本件の場合、X市が呈示した近傍宅地価格を基に適正に評価している。
3 宅地造成費について(本件B土地ないし本件M土地)
請求人ら 原処分庁
 原処分庁は、それぞれの土地について傾斜度3度以下又は傾斜度3度超5度以下の傾斜地に適用される評価造成費を控除しているが、評価造成費は、土止費の算定が平方メートル(平方メートル)単位であるなど実態に即していない点があることから、控除する宅地造成費はそれぞれの土地について現状に即して見積もった金額によるべきである。  それぞれの土地は、別紙1の29の(2)の3に掲げる、宅地造成費を個別に算定すべき場合に該当しないと認められるため、傾斜度3度以下又は傾斜度3度超5度以下の傾斜地に適用される1平方メートル当たりの評価造成費の金額を基に算定した宅地造成費は正当である。
4 市街化調整区域内の雑種地の評価について(本件I土地)
請求人ら 原処分庁
 本件I土地は不整形地であり、かつ甚だしい崖地であって正常な利用ができず、現に、一部について造成工事を行っていることから、別途造成費を控除すべきである。 1 本件I土地は、不整形かつ接面している道路より高い位置にある土地と認められるが、当該土地の固定資産税評価額は、当該要因がしんしゃくされているものと認められる。
2 請求人らは本件I土地の更正処分における評価額は同土地の時価として妥当ではないことを立証していない。
3 請求人の主張する評価方法は、評価基本通達に定められた方法ではないところ、同通達に定められた方法によらないことが正当と是認される特別な事情があるとは認められない。
5 評価単位について(本件J土地)
請求人ら 原処分庁
 本件J3土地は第三者に、本件J2土地は駐車場として貸し付けているのに対し、本件J1土地は、自用の耕作地として利用するため分割しているものである。そして、このことは、市の固定資産税課にもその旨申し入れて了解を得ている。
 したがって、本件J1土地と本件J2土地を一団の土地として評価している原処分庁の評価方法は、誤りである。
 本件J1土地は畑として利用され、本件J2土地は駐車場として利用されていることから、評価基本通達7のなお書を適用し、本件J1土地の相続税評価額は、本件J2土地と一団として評価するのが合理的であるものと認められる。
6 中間山林の評価(本件各山林)
請求人ら 原処分庁
1 山林の評価単位は、評価基本通達7−2により1筆とされており、この例外は市街地山林(同通達49)及び広大な市街地山林で一定のもの(同通達49−2)のみであるから、本件各山林の所在する町ごとに各山林の固定資産税評価額を合計し、これに相続税評価倍率を乗じる原処分庁の評価方法は、上記評価単位に係る同通達の定めを逸脱したものである。 1 相続税の評価は、評価基本通達に定められた評価方法によらないことが正当として是認され得るような特別な事情がある場合を除き、同通達に定められた評価方法によって相続財産を画一的に評価することには合理性がある。本件各山林に当該特別な事情があるとは認められず、また、更正処分における評価額が時価として妥当でないという立証もないことから、評価基本通達にしたがって評価した価額は正当である。
2 評価基本通達における純山林又は中間山林の評価方法である倍率方式は、それらの固定資産税評価額が地勢、土層、林産物の搬出の便等に応じ、正常に付設されていることを前提にしているものと解されるから、本件のようにW市が本件各山林に一律に固定資産税評価額を付設している場合には、それらを適正な評価額に修正した上で、相続税評価倍率を乗じることが同通達の趣旨にかんがみても、許されるはずである(具体的な修正額は別紙3−2及び別紙3−3のとおり)。 2 平成16年分評価基準書によれば、本件各山林は、いずれも中間山林と定められている。
3 W市w3町に所在する別表2の本件N土地内のp の土地と同市w1町に所在する同表の本件P土地内のdの土地は隣接しており一体の山林であるにもかかわらず、Y国税局長は相続税評価倍率をw3町についてはa倍、w1町についてはc倍と格差のある定め方をしており不当である。これらの山林に係る相続税評価倍率は一律にc倍とするべきである。  
4 本件各山林のうちには、純山林として評価すべき山林が存在する(別紙3−2の(注3)のとおり)。  

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