ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 裁決事例集 No.75 >> (平20.3.24、裁決事例集No.75 342頁)>> 別紙2
別紙2
(1) 争点1
請求人 | 原処分庁 |
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原処分に係る調査(以下「本件調査」という。)において本件調査の担当者(以下「調査担当職員」という。)が「税金をとる」ための手段として、既に請求人の担当者から説明を受け納得していた事項について、Aに苦痛を与えると分かっていながら、再度Aに質問したことは違法又は不当である。 | 調査担当職員の質問は、法人税法第153条《当該職員の質問検査権》の規定に基づいて適法に行われており、原処分に係る調査手続等に違法はない。 |
(2) 争点2
請求人 | 原処分庁 |
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イ 本件建屋は、次のとおり、改装して製造工場として利用する目的で取得したもので、初めから取壊しをする予定はなかった。 したがって、本件建屋の取得価額は、本件土地の取得価額には含まれない。 (イ) 本件建屋を製造工場として利用する計画は、平成17年○月○日付の○○新聞の記事(以下「本件記事」という。)のとおりである。 (ロ) 請求人は、本件建屋が○○関連工場として使用されていたため薬品の廃液による汚染の懸念はあったが、競売という購入意思決定を短期間で行わなければならなかったため、汚染について検討するような時間もなかったのであり、本件土地及び本件建物の取得後に調査をした結果、食品物の製造には適していないと判断し、やむを得ず本件建屋の取壊しを行ったものである。 (ハ) 請求人は、本件建屋を利用する計画があったから、本件土地及び本件建物の取得価額の算定において、本件土地、本件建屋及び本件社屋の各固定資産税評価額を基に、本件競売による取得価額の総額をあん分計算し、耐用年数通達1-2-1《建物の構造の判定》に定める取扱いに従い、本件社屋を主要な資産として固定資産台帳に資産計上している。 ロ 本件解体工事費等は、資産価値も無く撤去した後に現存する資産も無いから、土地の取得価額に含めて処理することは架空の資産計上となり、結果として投資家を欺くことになる。 したがって、本件解体工事費等は、本件各事業年度の損金の額に算入されるべきである。 |
イ 本件建屋及び本件解体工事費等について (イ) 請求人は、次のことから、本件建屋を利用する計画はなく、当初から本件排水施設、本件建屋及び本件タンク設備等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるから、法人税基本通達7-3-6《土地とともに取得した建物等の取壊費等》に定める取扱いにより、本件解体工事費等及び取り壊した本件建屋の取得価額は、本件土地の取得価額に算入される。 A 請求人の平成16年12月13日付の稟議書第総務/○号(以下「本件稟議書」という。)には、○○関連工場として使用され土壌汚染の可能性がある本件建屋について、その解体後の跡地に新工場建設を予定している旨記載されている。 B 請求人は、前記1の(4)のイの(ニ)のとおり、本件建屋に購入価額を配分せず、本件建屋を資産台帳に計上していない。 C 請求人は、本件タンク設備等についても、食品製造工場として利用できるものではなく、本件社屋内の工場設備設置のため土地を利用する必要があり取り壊している。 (ロ) 請求人が本件建屋を製造工場として利用する計画があった証拠としている新聞記事については、本件稟議書に、本件建屋解体の前段階として本件排水施設を解体撤去し、その後土壌調査を行う旨の記載があり、本件排水施設の解体撤去作業は平成17年1月末までに完了していることから、平成17年○月○日の新聞記事にある建屋は、本件稟議書に記載されている新工場のことであると考えられる。 ロ 本件建物の減価償却費について (イ) 本件社屋の取得価額は、別表2の「原処分庁主張額」欄の62,456,859円(税抜)と事業の用に供するために行った改装工事に要した費用1,870,920円との合計額64,327,779円となる。 (ロ) 請求人は本件建屋を取得後事業の用に供することなく取り壊していることから、本件建屋の取得価額に係る減価償却費は、平成17年3月期及び平成18年3月期において損金の額に算入することはできない。 (ハ) したがって、請求人が本件社屋に係る減価償却費として計上した金額のうち、前記(イ)の本件社屋の取得価額を基に計算した償却限度額を超える金額は、損金の額に算入されない。 |
(3) 争点3
請求人 | 原処分庁 |
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請求人は、P県土木事務所の職員から、収用等により取得した補償金の額が5,000万円の範囲内なら本件補償金の全額が本件特例の適用を受けられる旨口頭で確認がとれたことから、本件補償金の全額が、措置法第64条第1項に規定する補償金に該当するとして損金の額に算入した。 | 本件補償金のうち、本件動産移転費用補償金及び本件営業休止補償金は、次のとおり、対価補償金の額に該当しない。 イ 本件動産移転費用補償金は、公共用地の取得に伴う損失補償基準に従い算出されたもので、本件Q市本店建物の中にある請求人所有の什器備品等の動産の移転費用の補てんに充てるためのものであるから、移転補償金に該当する。 ロ 本件営業休止補償金は、通常休業を必要とする期間中の収益減、損失額等を補償するものであるから、収益補償金に該当する。 |
(4) 争点4
請求人 | 原処分庁 |
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本件固定資産税相当額は、本件契約書に租税公課の分担等と明記しており、本件固定資産税相当額を土地取得価額に算入することは土地の価額を膨らますことになることから、土地の取得価額に含めるべきではなく、費用処理することが妥当である。 | 本件固定資産税相当額は、次の理由から、R市土地の取得価額に算入される。 イ 法人税法上、減価償却資産以外の固定資産の取得価額については、法人税法施行令第54条の規定やこれらに関する取扱いが適用されることから、土地の取得価額についても、購入の代価(購入のために要した費用がある場合には、その費用を加算した金額)及び事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額となる。 ロ 地方税法の規定によれば、固定資産税及び都市計画税は、毎年1月1日(賦課期日)現在において、土地については土地登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者に課すこととされており、賦課期日後に所有者に異動が生じたからといって、課税関係に変動が生じるものではなく、賦課期日後に資産の所有者となった者が当該年度の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の納税義務を負うことはない。 ハ したがって、当該資産の売買当事者間において、固定資産税等を納める売主が買主に対し、売買後の期間に対応するすなわち未経過分の固定資産税等の求償権を取得することはない。 ニ そうすると、売買当事者間において未経過分の固定資産税相当額及び都市計画税相当額が授受されたとしても、現行の地方税法上、固定資産税等の納税義務に伴う負担とみることはできない。 ホ 本件契約書において、R市土地の代価のほか、R市土地の引渡日以降の公租公課等についても買主が負担する旨定められているが、本件固定資産税相当額は、本件契約書第9条の定めにより初めて生じる債権債務関係に基づいて売買当事者間で授受されるものであり本件固定資産税相当額の授受は売買の条件の一つであると認められる。すなわち、本件固定資産税相当額は、R市土地の売買に基因し、それと因果関係のある給付であると認められることから、買主である請求人にとっては、売買契約に基づき売主であるD社に支払う購入の代価の一部であると認められる。 |