別紙2

当事者の主張
請求人 原処分庁
 原処分は、次の理由により、違法であるから、更正の請求は認められるべきである。
1 A市は、本件施設利用規則第○条及び第○条に基づき、施術料のうち一定金額を負担し、施術を受けた者は、市負担金を差し引いた額を、鍼灸師に支払うこととされており、同市の負担金は、いわゆる「公費負担」に該当する。
2 本件施設利用規則は、末梢神経疾患又は運動器疾患のあった被保険者に限り適用され、単に疲労回復若しくは慰安を目的とした者や疾病予防等を目的として施術を受ける者には適用されないこと、また、国民健康保険法等により支給を受ける者には重複適用されないことから、国民健康保険法等を補完するものであり、国民健康保険法等における保険の適用と同等の性格を持つものであると解釈される。
3 旧厚生省通達「はり、きゅう及びマッサージの施術に係る療養費の取扱いについて」(昭和42年9月18日保発32号)によれば、鍼灸師は、医師の同意書又は診断書の交付を受けた施術について、その同意書等を添付した支給申請により、健康保険法等による療養費の請求ができるが、この場合の施術は、消費税法別表第1の規定により、非課税として取り扱われている。これは、鍼灸師の行う施術が健康保険法第63条第1項第3号に規定する「処置、手術その他の治療」に、また、国民健康保険法第36条第1項第3号に規定する「処置、手術その他の治療」に該当することを前提にしたものである。
4 また、その後に制定された生活保護法、身体障害者福祉法等は、医療の定義を「医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術」と規定していることからも、鍼灸師が行う施術は、法律的に医療行為の一部であることは通説である。
5 さらに、本件施術は、1鍼灸師が行う施術は所得税法施行令第207条第4号で医療の範囲に含まれていること、2本件施術の対象は上記のとおり、末梢神経疾患又は運動器疾患に限られ、請求人は患者ごとに「病名」、「主要症状」、「治療部位」等を記載した施術意見書を作成していることから、医業すなわち医療行為に含まれると解されることは明らかである。
6 したがって、本件施術は消費税法施行令第14条第19号に規定する医療及び療養に該当し、本件施術に係る収入は課税売上高に含まれないから、請求人の本件基準期間の課税売上高は1,000万円以下になり、本件課税期間において請求人は免税事業者に該当する。
 原処分は、次の理由により、適法である。
 消費税法施行令第14条第19号は、国又は地方公共団体の施策に基づきその要する費用の全部又は一部が国又は地方公共団体により負担される医療及び療養と規定するところ、A市が施術料金の一部を負担するとしている施策は、現在、療養費等の支給を受けていないA市国民健康保険の被保険者のみを対象とした健康の保持増進のために行われる保健事業であり、医療及び療養としてA市が費用の全部又は一部を負担するものとはいえない。
 そうすると、本件施術は、消費税法施行令第14条第19号に規定する医療及び療養に該当せず、非課税となる資産の譲渡等には該当しないから、請求人は免税事業者に該当しない。

トップに戻る