別紙

争点に対する主張


原処分庁 請求人
イ 請求人が受けた利益の額について
 本件贈与時における本件各不動産の価額は、評価通達の定めに基づき算定することが相当であり、その価額は次のとおりとなるから、本件贈与により請求人が受けた利益の額は○○○○円となる。
(イ) 本件土地は、平成7年分財産評価基準において、路線価が付されている地域に存在する。
 したがって、本件土地の価額は、本件土地の面する路線に付された路線価1平方メートル当たり○○○○円に本件土地の面積を乗じた○○○○円となる。
(ロ) 本件家屋の価額は、本件家屋の平成7年度の固定資産税評価額が、○○○○円であることから、その価額に1.0倍を乗じた○○○○円となる。
イ 請求人が受けた利益の額について
 本件贈与時における本件各不動産の価額は、次のとおりとなるから、本件贈与により請求人が受けた利益の額は零円となる。
 請求人が受けた利益の額は、本件各不動産の贈与当時の時価によるべきである。時価とは、市場における客観的な交換価値、すなわち特別の関係のない第三者がいくらの買値を付けるかという観点から評価された価額であり、評価通達の定めた路線価に基づいて算出された本件贈与価額は、客観的な交換価値と認められず、また、担保権が設定されている土地の価額を算定する場合については、担保権の設定状況をその価額に考慮すべきである。
 本件各不動産には、本件贈与の時点において、本件滞納者のために担保が設定されており、次のことから、いつ担保権を実行されるかもしれない状況にあったため、上記の観点から本件贈与時における本件各不動産の価額は零円となる。
(イ) 本件贈与の時点において、本件各不動産には、被担保債権額が多額に及び、担保割れの状況にあった。
(ロ) 本件滞納者は、C社の屋号で輸入業を営んでいたが、昭和59年7月○日には業界の信用情報紙に、経営が行き詰まるとの情報が流れ、一時、事実上の倒産状態に陥った。その時、本件滞納者は、昭和59年6月○日、同月○日の2回にわたり手形の不渡りを出し、○億円程度あった負債のうち、○億円の返済を棚上げする救済措置を受けながら事業を継続していた。また、平成5年5月○日付業界紙において、支払振りの悪さが噂になっていると報道され、本件滞納者の事業は、信用危機から脱することのできない状況のまま推移していた。
(ハ) 本件滞納者の事業は、上記(ロ)の後も回復せず、個人事業者から法人成りした後、B銀行から、平成9年12月25日に○○○○円、平成11年11月19日に○○○○円の追加融資を受けたが、返済していない。
ロ 債務引受について
 本件各不動産には、B銀行による根抵当権が設定されているが、請求人は、当該根抵当権に係る債務を引き受けていないことから、本件各不動産に対する根抵当権に係る債務額を考慮する必要がない。
ロ 債務引受について
(イ) 原処分庁は、譲受人が債務引受けをしていない場合は、担保の設定されていることを考慮しないとしているが、譲受人が債務を引き受けたか否かということが譲り受けた財産の市場価値に影響を及ぼすとは考え難いのであり、このこと自体に疑問がある。
(ロ) 仮に上記(イ)のことを前提にしても、請求人は、上記イの(ハ)の法人成りの後は、法人の債務の保証人になっており、このことは、実質的に債務引受と同視し得る。

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