ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 裁決事例集 No.76 >> (平20.8.11、裁決事例集No.76 583頁)>> 別紙3
別紙3
当事者の主張
争点1 本件告知処分の手続に違法があるか否か。また、本件告知処分に係る第二次納税義務の徴収権の消滅時効が成立しているか否か。
請求人 | 原処分庁 |
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本件告知処分は、本件納付通知書には理由付記が行われておらず、手続に違法がある。 また、貸付行為は平成8年に行われていることから、本件告知処分は、会計法第30条及び通則法第72条第1項の規定により、本件告知処分に係る国税について徴収権の消滅時効が成立していることから、無効である。 そして、本件告知処分は無効であるから、これを起因として行われた本件督促処分及び本件各差押処分も無効である。 なお、Mらは、平成3年の相続以来、多額の滞納をかかえ納税できずに現在に至っている。hホテルの公売を最後に、一連の本件相続に関する滞納処分を終結してもらいたい。 |
本件告知処分は、徴収法第32条第1項及び国税徴収法施行令第11条に規定する事項を記載した本件納付通知書により請求人に告知されており、適法に行われている。 当該法令には、その処分の理由を付記すべきことを定めた明文の規定はない。 また、第二次納税義務の納付告知は、形式的には独立の課税処分であるが、実質的には、第三者を本来の納税者に準ずるものとみてこれに主たる納税義務についての履行責任を負わせるものであることからすると、主たる納税義務の時効が完成せず、主たる納税義務が存続している以上、第二次納税義務の納付告知をして、第二次納税義務者から租税を徴収することができるというべきであり、本件告知処分は適法である。 本件督促処分及び本件各差押処分は、適法な本件告知処分に基づいて行われたものであり、請求人の主張には理由がない。 |
争点2 無償譲渡等の処分が存するか否か。
請求人 | 原処分庁 |
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本件告知処分の対象となったMらの請求人に対する貸付行為は、Mらが請求人の事業継続及び社員の生活維持に必要と認めて行ったものであり、Mらが平成8年に譲渡代金を請求人に貸し付けているのは事実であるから、無償譲渡等の処分の事実には該当しない。 | 請求人は、請求人の主張する貸付行為による資金で本件テナントビルを取得しているが、当該貸付行為については、請求人とMらの間に金銭消費貸借契約書等は作成されておらず、また、弁済期、利息、担保等の約定もまったくなく、さらに請求人が弁済した事実も確認できないことから、Mらから請求人に対する貸付行為ではなく、Mらから請求人への無償譲渡等の処分の事実があったものと認められる。 |
争点3 本件各差押処分は徴収法第48条第2項にいう無益な差押えに該当するか否か。
請求人 | 原処分庁 |
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本件各差押処分における物件には、請求人のZ銀行に対する多額の負債について抵当権が設定されているから、本件各差押処分は、徴収法第48条第2項にいう無益な差押えに該当する。 | 本件各差押処分は、差押処分当時に差押の対象となった財産の価額が、次のとおり、その差押えに係る滞納処分費及び国税に優先する債権の金額の合計額を超える見込みのないことが一見して明らかであったとはいえず、無益な差押えに該当する事実は認められないから適法である。![]() ![]() |