別紙2

当事者の主張

争点1 本件各土地は、都市計画法に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地として道路が必要と認められるものか否か。
原処分庁 請求人
(1) 本件各土地は、いずれも、既にU土地区画整理事業(以下「本件土地区画整理事業」という。)に係る工事が完了しており、また、本件土地区画整理事業は、起伏の多い土地について宅地の利用増進を図ることを目的に行われたことから、本件土地区画整理事業の施行地区内(以下「本件区画整理地内」という。)は、ほとんどの区画が中央部分の段差により上下2面に区分されているものの、それぞれその段差に応じた土地の利用が行われている。 (1) 請求人は、P市役所建築指導課の担当者から、1たとえ土地区画整理事業が完了した区域内でも、戸建住宅分譲用地の開発を行う場合は、開発土地の状況により公共道路等は必要で、取付け指導を行う旨、2測量図面等から検討した結果、戸建住宅分譲用地の開発では、本件各土地には公共道路の取付けは必要である旨の説明及び回答を受けている。
 そして、上下2面に区分された段差利用は、評価土地がある道路沿いで40%、本件区画整理地内は約30%であり、原処分庁が主張する「ほとんど」は間違いで、本件各土地を「その地域」に照らして確認すれば分かる事である。
(2) このため、本件各土地においても、本件土地区画整理事業の目的に沿って整備された土地の形状により、上下2面に区分した区画で土地利用を行うのが最も有効であると認められ、別図1及び2のとおり、いずれの土地も路線に面して間口が広くなっていることから、開発行為を行う場合に特に公共公益的施設を設置する必要はないと認められる。 (2) 本件土地区画整理事業の目的に照らすと、区画整理の工事の結果できた土地の形状や上下2面の区分での土地利用は、この区画整理事業の目的としたものではない。
 よって、原処分庁のいう「同目的に沿って整備された土地の形状により、上下2面に区分した区画での土地利用が最も有効である」という主張は、具体的な根拠がない。
 上下2面の区分での利用が最も有効とする具体的な根拠を示さないで、「その地域」を表面的な主観で見ているにすぎない。
(3) 上記(2)で述べたとおり、本件各土地は、上下2面に区分した区画で土地利用を行うのが最も有効であると判断したものである。
 そして、本件各土地の本件相続開始日の現況が未利用となっていることから、評価基本通達7−2の定めにより一団の雑種地として評価したものである。
(3) 原処分庁は、上下2面の区画での利用が最も有効と主張しながら、上下2面を一体評価している。
 このことは、本件各土地の本件相続開始日の現状において、原野に近い「一団の雑種地」であったことから生じているものであり、矛盾している。
(4) 広大地通達に定める広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいうとされているところ、本件各土地については、上記(2)のとおり、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものに該当しないと判断したものであり、単に間口が広いというだけで広大地に該当しないと判断したものではない。 (4) 平成16年6月29日付の国税庁資産評価企画官情報第2号の広大地に関する説明では、広大地に該当しない例示として間口が広く、奥行がそれほどでもない土地として図解説明していることから、間口が広いだけでは、公共公益的施設を設置する必要はないとするのは間違いである。
争点2 本件出資の評価における純資産価額の算定上、資産の額に加算すべき貸家建付借地権が存しないといえるか否か。
原処分庁 請求人
(1) 借地権割合は、借地権の売買実例価額、精通者意見価額及び地代の額等を基として評定し国税局長が定めたものであるところ、本件賃貸借土地については、Q国税局長が平成17年分の財産評価基準書において当該土地の借地権割合をいずれも30%と定めていることから、評価基本通達27のただし書きの「借地権の取引慣行があると認められる地域以外の地域」ではない。 (1) 複数の不動産の専門家や地権者に確認した結果、P市において、借地権の設定に際しその対価としての権利金を支払う慣行のある地域は、W駅周辺、○○町、○○町など都市計画用途の商業地区であり、住居地域には支払う慣行がなく、本件賃貸借土地の地域にもない。
(2) 請求人は、本件賃貸借土地の評価において、評価基本通達25の定めにより借地権を控除しているものと認められる。
 そうすると、M社は、被相続人から本件賃貸借土地を賃借し、当該土地の上に家屋を所有し、この家屋を第三者に賃貸していることから、本件賃貸借土地に係る評価基本通達28に定める貸家建付借地権(以下「本件貸家建付借地権」という。)を有していると認められ、本件出資の評価額の算定上加算すべきである。
(2) したがって、本件賃貸借土地が所在する地域は、実際に同通達27ただし書に定める通常権利金等を支払う慣行のない地域に該当することから、本件出資の評価額の算定に当たり、加算すべき貸家建付借地権はない。

トップに戻る