別紙2

当事者の主張

争点1 本件車両の売却代金はいくらか。

原処分庁 請求人
(1) 本件車両の売却代金は、次の理由から1,950,000円(消費税等込みの額。以下同じ。)であると認められる。
イ P運輸支局長発行の登録事項証明書には、本件車両の所有者がL社に移転した旨記載されている。
ロ L社が作成した「仕入在庫一覧表」には、平成17年4月22日に本件車両を請求人から1,950,000円で仕入れた旨記載されている。
ハ L社の平成17年4月22日付の本件車両に係る「買取日報」と題する書面(以下「本件買取日報」という。)には、本件車両の買取りに関する状況が記載されている。
ニ L社の取締役総務部長であるZは、異議審理庁所属の担当職員(以下「異議担当職員」という。)に対して、要旨次のとおり申述している。
(イ) L社の担当者が、請求人と本件車両の買取りに関するアポイントを取り、営業担当のT(以下「営業担当T」という。)がP県a市に赴いた。
(ロ) 営業担当Tが請求人の常務取締役であるR(以下「R常務」という。)に現金1,950,000円を支払った。
(ハ) 臨時のナンバープレートの341番を持って行った。
(ニ) 本件車両をP県a市から運搬した際、高速代10,150円及び燃料代9,300円を要した。
(1) 本件車両の売却代金は、次の理由から50,000円(消費税等込みの額。以下同じ。)である。
イ 本件車両は、平成17年1月24日、請求人の従業員が自損事故を起こし、走行不能となった。本件車両を請求人のところまで運んで修理するよりコスト面から現地で処分した方が良いと判断し、名前は失念したが、現地の解体業者に50,000円で売却した。
 また、本件車両の初年度登録が平成9年6月で、それを平成12年4月に中古で購入したものであり、実質8年近く使用し、しかも事故のため修理が必要な本件車両が、1,950,000円で売却されることは常識的に有り得ず、売却代金50,000円は妥当な金額である。
 そして、登録事項証明書に所有者がL社となっていたとしても、3社間の取引の場合には中間の業者が登録を省略する方法もあり、請求人と直接取引したことの証明にはならない。
ロ 本件車両の事故が起きたのは平成17年1月24日であり、その時に現地で本件車両を処分しているから、営業担当Tが事務所に来たという同年4月22日には、本件車両は請求人の所に存在していない。
ハ 本件車両は、運行記録書からその存在が消えており、現地からa市の請求人まで運んだという痕跡はない。
(2) 請求人から本件車両を50,000円で売却した事実及び本件車両が事故を起こした事実を証する資料の提示がない。 (2) 原処分庁から本件車両が1,950,000円で譲渡されたことを証する領収書の提示もなく、根拠がない。
(3) 請求人の代表取締役であるU(以下「U社長」という。)は、異議担当職員に対して、1事故報告書のようなものは平成19年1月以前のものはない、2事故当時運搬していた鋼材は、別のトラクタを現地にやり運搬した旨申述しているが、この申述は、本件審査請求に至って提示した自動車事故受付シート及び運行記録書の記載内容と矛盾している。 (3) 自動車事故受付シート及び運行記録書は、本件車両が走行不能となったこと及び請求人の事務所に存在していないことを示すものであり、数年前の記憶より当該資料が真実だと考えるのが常識的である。

争点2 本件車両の売却において、隠ぺい又は仮装の事実があったか否か。

原処分庁 請求人
(1) 法人税の重加算税の賦課決定処分について
 本件車両の売却代金は、争点1のとおり、1,950,000円であるところ、請求人は、その売却代金の一部1,900,000円を平成17年8月期の帳簿書類に計上せずに除外したことが認められる。このことは帳簿書類への虚偽記載により仮装の経理を行っていることとなり、通則法第68条第1項の重加算税の賦課要件に該当する。
(1) 法人税の重加算税の賦課決定処分について
 本件車両の売却代金は、争点1のとおり、50,000円であり、売却先は、L社ではなく、名前は失念したが現地の解体業者である。
 したがって、隠ぺい又は仮装の事実に基づかない重加算税の賦課決定処分は違法である。
(2) 消費税等の重加算税の賦課決定処分について
 上記(1)のとおり、法人税の重加算税の賦課決定処分は適法であり、消費税等の重加算税の賦課決定処分も適法である。
(2) 消費税等の重加算税の賦課決定処分について
 上記(1)のとおり、法人税の重加算税の賦課決定処分は違法であり、消費税等の重加算税の賦課決定処分も違法である。

争点3 本件軽油仕入高に係る消費税額について、仕入税額控除の適用が認められるか否か。

原処分庁 請求人
 本件軽油仕入高に係る消費税額については、次の理由から仕入税額控除の適用が認められない。  本件軽油仕入高に係る消費税額については、次の理由から仕入税額控除の適用が認められるべきである。
(1) 本件各軽油仕入先について、1G社は、商業登記がなく、請求書、領収証及び営業担当者の名刺の所在地が異なっており、各所在地には実在しないこと、2H社は、請求書及び領収証に記載の所在地に実在しないこと、3J社は、領収証が手書きで、その所在地の地番は実在せず、請求書はH社名義で発行されていることが認められる。このことから請求書等に記載された本件各軽油仕入先が真実の仕入先でなかったことは明白な上、請求人が通常の注意を払えば直ちに真実の仕入先を確認できるものと認められる。
 さらに、経理担当者が異議担当職員に対して、本件各軽油仕入先に注文する際の連絡先が3社とも同じ電話番号である旨、また、集金担当者が同一人物であった旨を申述していることからすれば、請求人は、本件各軽油仕入先に係る真実の仕入先を知っていたものと推認される。
(1) 本件各軽油仕入先について、1G社は、同社の事務所に行ったことがあり、普通の会社の事務所で、そのビルのオーナーによると、同社がN社の子会社で、その会社が借りた部屋に入居していたとの説明があったが、請求人がそのことを知る由もなく、また、知る必要もなかったこと、さらに、同社の荷物運搬の実績もあること、2H社及びJ社については、後日の税務調査に備えるため、請求人がわざわざk県n市やr市までそれぞれ現地確認をする必要はないこと、3また、J社の請求書については、H社から発行すると言われ、電話番号も同じであったことからそれぞれが関連会社であり、その会社は請求事務の代行をやっているのだろうという程度の感覚で、何の疑いも持たずに取引を行っていたことなど、さらに、本件各軽油仕入先の1社でも密造軽油や架空の会社だから気を付けたほうがいいなどと、当時、運送業界や軽油の業界では全く話題になっていなかった。
(2) U社長は、軽油の取引に精通し、軽油の仕入先の氏名等を確認する重要性を十分に承知しており、また、密造軽油を販売するブローカーがP県税事務所の摘発を避けるため、実体のない法人名等を使用している可能性があることを理解できる立場にあったものと認められる。
 さらに、請求人は、本件各軽油仕入先との取引が多額な現金取引であるにもかかわらず、請求書等に記載されている住所の確認及び本件各軽油仕入先が元売業者又は特約業者であるか等の基礎的な事項を確認せず、本件各軽油仕入先の言う名称が記載された領収証を保存していたものである。
(2) 本件各軽油仕入先が普通の実在していた会社であり、当時の状況からして本件各軽油仕入先を架空と疑う余地は全くなく、本件各軽油仕入先との取引は、今でも正当な取引だったと信じており、悪意も重過失も全くなかった。
(3) したがって、請求人の帳簿等には真実の仕入先の氏名又は名称の記載がされていないことから、消費税法第30条第8項及び第9項に規定する帳簿等への記載要件を満たさないこととなり、同条第7項に規定する仕入税額控除に係る帳簿等を保存していない場合に該当するので、同条第1項に規定する仕入税額控除の適用要件に該当しない。 (3) 消費税法第30条は、納税者が帳簿等の記載内容の真実性を調査し、確認する義務まで規定していない。

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