ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 裁決事例集 No.78 >> (平21.12.15、裁決事例集No.78 432頁)>> 別紙2
別紙2
当事者の主張
原処分庁 | 請求人ら |
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本件土地の存する地域の状況及び土地の状況等は、次のとおりであり、これらの状況を社会的・経済的・行政的見地から総合的にみて判断すると、本件土地はマンション適地等に該当することから、本件各更正処分は適法である。 | 本件土地の存する地域の状況及び土地の状況等は、次のとおりであり、これらの状況から判断すると、本件土地は、マンション適地等に該当しないことから、本件各更正処分は違法である。 |
1 本件土地は、国道S1号線、県道S2号線、本件土地の南側の市道S3号線によって囲まれた地域(以下「本件地域」という。)に存し、本件地域の用途地域は、規模に制限のない店舗等を許容する近隣商業地域であり、容積率は300%である。 本件地域には、一部に戸建住宅はあるものの、T社の社屋、ホテル、アパート、マンション、店舗併用集合住宅などの中高層の集合住宅及び事務所が混在している。 なお、本件相続開始前後3年間の期間において、本件地域には、平成16年にマンションが1棟(3階建、地積237.98 ![]() ![]() ![]() |
1 本件土地は、平成X年○月の用途変更により近隣商業地域に加えられている。 本件地域には、商業施設、業務施設又は居住用建物であれ、中高層の建物の敷地として使用されている土地は数えるほどしかなく、戸建住宅、2階建アパート及び2階建店舗兼住宅が駐車場や空き地の中に散在している。 なお、本件相続開始前後3年間の期間において本件地域及び本件土地の周辺近隣商業地域に建築されているマンションは、本件土地と比べ地積が小さく、すべて開発許可面積(1,000 ![]() また、本件土地の周辺近隣商業地域に建築されたマンション2棟は、本件相続開始後に建築されたものであり、本件相続開始前に建築されたマンションは本件地域に建築されたマンション1棟のみである。 なお、本件土地に接する市道を挟んで正面に位置する土地(地積386.56 ![]() |
2 本件土地は、幅員6.02![]() |
2 本件土地に接する市道は、県道S2号線からT社への引込み線で長さは約50![]() |
3 一般的に容積率が300%以上の近隣商業地域にあり、かつ開発許可面積以上の土地は、戸建住宅の敷地用地として利用するよりもマンション等の敷地として利用することが最有効使用と判定されることが多いが、上記1及び2のとおり、本件土地の周辺は、戸建住宅が多く存在する地域とは言えず、また、マンションを建築するに際しての行政上の規制等の阻害要因も見当たらず、現にマンション等の中高層の集合住宅が建築されている。 | 3 上記1の本件土地の存する地域の状況及び上記2の本件土地の個別的要因を考慮すると、本件土地の最有効使用が中高層の集合住宅等の敷地として利用することであるとは認められない。 また、原処分庁が主張している「一般的に容積率300%以上の近隣商業地域にあり、かつ開発許可面積以上の土地は、戸建住宅の敷地用地として利用するよりもマンション等の敷地として利用することが最有効使用と判定されることが多い」ことについては、あくまでも「多くの場合」という目安に過ぎないのであるから、そのことをもって、本件土地の最有効使用を判断する理由とはならない。 なお、原処分庁は、本件土地を社会的・経済的・行政的見地から総合的にみてマンション適地等に該当すると判断しているが、どの事実をもって、社会的・経済的・行政的にみてマンション適地等と判断したのか不明である。 |
4 本件土地の最有効使用を判断するに当たっては、容積率等の行政的要因よりも「最も採算に合う開発行為」であるか否かという基準が優先されるべきである。 中高層建物あるいは戸建住宅のいずれの収益が高いかについて確証に足る数値はないが、課税時期には、対象地周辺に分譲・賃貸のいずれにせよ、中高層建物の需要があったとは思われないし、また、多額の借金をして本件土地に中高層の集合住宅等を建てるより、建築資金が小額でリスクの小さい戸建住宅を選択する方が妥当である。 |
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5 G不動産鑑定事務所作成の平成20年3月7日付意見書(以下「本件意見書」という。)のとおり、本件土地は、その立地条件から、防災上集合住宅を建てることは極めて危険な場所であり、かつ、コスト・採算など、経済的にも中高層集合住宅を建てるには不適切である。 |