別紙2

当事者の主張

請求人ら 原処分庁
 本件各土地は、次の理由により広大地に該当する。  本件各土地は、次の理由により広大地に該当しない。
1 本件各土地は、近傍の地価公示地及びe県の基準地を参考にする限り、地積が著しく広大なことは明らかである。
 また、乙土地の地積はa市における都市計画法上の開発許可を要する面積基準500平方メートルに満たないが、平成17年6月17日付資産評価企画官情報第1号「広大地の判定に当たり留意すべき事項(情報)」(以下「平成17年情報」という。)には、「ミニ開発分譲が多い地域に存する土地については、開発許可を要する面積基準に満たない場合であっても、広大地に該当する場合があることに留意する。」と注記されており、乙土地の周辺地域にはミニ開発分譲が多いことからこれに該当する。
1 本件各土地は、マンションの敷地及びその入居者専用の駐車場敷地として利用されていることから、既に開発を了している。
 したがって、本件各土地は公共公益的施設用地の負担が生じる余地はなく、標準的な地積に比して著しく広大であるかどうかの判断をする必要がない。
 また、乙土地については、平成18年ないし平成20年の住宅地図によれば、本件各土地の周辺地域において、ミニ開発分譲が多数存在するとは認められないことから、平成17年情報の「開発許可を要する面積基準に満たない場合であっても、広大地に該当する場合」には該当しない。
2 平成17年情報には、「著しく広大であるかどうかの判定は、当該土地上の建物の有無にかかわらず、当該土地の規模により判定することに留意する。」と注記されていることから、本件各土地上に建物が建築されていることは、地積が著しく広大であるかどうかの判定に影響を及ぼさず、本件各土地は広大地に該当する。 2 平成17年情報は、平成16年6月29日付資産評価企画官情報第2号「『財産評価基本通達の一部改正について』通達のあらましについて(情報)」(以下「平成16年情報」という。)が広大地に該当するかどうかを判定する場合の考え方を明らかにしたことを受けて、更なる考え方の統一を図るために、平成16年情報の一部について留意事項を取りまとめたものであり、平成16年情報においては、広大地に該当しない条件の例示として、「既に開発を了しているマンション・ビル等の敷地用地」を明示している。
 なお、平成17年情報では、別紙4の広大地評価フローチャートを示しており、実務においては、当該フローチャートに基づき広大地に該当するか否かを判定しているところであるが、当該フローチャートによれば、3段目の「中高層の集合住宅等の敷地に適しているもの(以下「マンション適地」という。)か、又は、既にマンション等の敷地用地として開発を了しているか」についての答が「Yes」となれば、4段目以降の条件を判断するまでもなく、「広大地に非該当」と判定されることとされている。
3 本件各土地は賃貸マンションの敷地となっているが、平成17年情報には、現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地であるか否かは、その地域の土地の標準的使用といえるかどうかで判定する旨が記載されている。そして、地価公示法第2条第2項のかっこ書きにおいて、標準地の価格は定着物又は土地の使用若しくは収益を制限する権利が存しないものとした価格とされており、賃貸マンション・アパートを建築することが地域の標準的使用とはなり得ないこと、及び、本件各土地が所在する地域の近傍地域が時の経過とともに一群の戸建住宅分譲用地へと移行しつつあることから、賃貸マンション敷地である本件各土地は現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地に該当しない。
 また、平成17年情報には、マンション等の敷地として使用する評価対象地たる宅地が経済的に最も合理的に使用されていると認められるか否かの判断につき、戸建住宅とマンション等が混在する地域(主に容積率200%の地域)は、最有効使用の判定が困難な場合もあることから、周囲の状況や専門家の意見から判断して、明らかにマンション等の敷地に適していると認められる土地を除き、広大地に該当する旨が記載されている。そして、本件各土地は明らかにマンション等の敷地に適しているとは認めることはできない。
 さらに、原処分庁は、別件減額更正処分において、本件各土地から約40メートルメートルしか離れていない丙土地の経済的最有効使用が戸建住宅分譲用地であるとして広大地通達の適用を認めている。
3 本件各土地は、上記1のとおり、広大地に該当しないのであって、現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地であるかの判断及びマンション適地に該当するかどうかの判断は必要としない。
 また、請求人らは、請求人らの主張4のとおり、本件各土地はマンション適地ではなく、戸建住宅分譲用地として開発することが経済的に最も合理的な使用である旨主張するが、甲土地には、平成14年1月に鉄筋コンクリート造陸屋根4階建の賃貸マンションが建築され、また、乙土地には、平成2年8月に鉄骨造陸屋根4階建の賃貸マンションが建築されているところ、課税時期(本件相続開始日)において築年数がわずか5年又は17年程度のマンションを取り壊して戸建住宅分譲用地として開発することは通常想定されないし、そのような開発が経済的に最も合理的な開発であるとは認められない。
4 広大地通達には「都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの」と定められていることから、既に開発を了している土地についても、開発行為を行うとした場合に都市計画法に基づく公共公益的施設用地の負担が必要か否かを判定することになり、当該負担の有無は、経済的に最も合理的である戸建住宅の分譲を行う場合に、当該開発区域内に公共公益的施設用地である道路を開設する必要性の有無により判定することが相当である。そして、本件各土地の場合には、別紙3の「潰れ地予想図」のとおり、道路を開設する必要がある。 4 本件各土地は、上記1のとおり、広大地に該当しないのであって、公共公益的施設用地の負担の必要性についての判断は必要としないのであるが、仮に、戸建住宅分譲用地として開発する場合であっても、甲土地にあっては南側及び西側で、乙土地にあっては北側及び西側でそれぞれ道路に面する角地であり、仮に戸建住宅分譲用地として開発するとしても、別紙5のとおり、本件各土地において、道路用地を確保せずに開発することが可能であるから、公共公益的施設用地の負担が必要とはならない。

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