別紙5

本件鑑定書の要旨

1(ローマ数字) 対象不動産の表示(略)
2(ローマ数字) 鑑定評価額 0円(以下、略)
3(ローマ数字)8(ローマ数字)(略)
9(ローマ数字) 評価額決定理由の要旨
一.対象不動産の確認(略)
二.位置及び地域の概要等(略)
三.対象不動産の個別的要因

交通接近条件 「f市」駅から徒歩約12分。
街路条件 対象地は北西側幅員約4メートル市道(42条2項)に接する位置指定道路。幅員約5メートル
画地条件 間口約5メートル、奥行約30メートルのやや不整形。地積234.76平方メートル
対象地は平坦。
環境条件 前記のとおり。
行政的条件 前記のとおり。
利用状況 周辺住宅居住者の公衆用道路として利用されている。
最有効使用 同用途。

四.価格の検討及び鑑定評価額の決定
1.評価の方針
 道路としての対象不動産の価格は、以下のようにして算出するものとする。

まる1まず、対象地上に画地の規模・形状・道路条件等の個別的要因が近隣地域において標準的な画地(標準地)を設定してその更地価格を求める。
まる2当該標準画地の更地価格は、原価法の適用が困難な既成市街地に存するため取引事例比較法による比準価格、収益還元法による収益価格、並びに公示地価格を規準とした価格を比較考量して査定する。
まる3次に、標準画地の更地価格に対象地の個別性(道路)を加味して宅地としての価格を試算する。

2.標準地価格の査定
 対象地北西側4メートル市道の対象地側近傍に標準地を設定し、以下の試算価格が求められた。

比準価格146,000円/平方メートル
収益価格89,000円/平方メートル
公示地価格を規準とした価格137,000円/平方メートル

 ここで、再度手順の各段階を検討し、資料の精度等について吟味すると、比準価格は近隣地域の取引事例を中心に周辺類似地域における規範性のある取引事例を基に補修正を行っており、地域の実情を反映した実証的な価格といえる。
 一方、収益価格は、元本と果実の関係に着目した理論的な価格であるが、住宅地の場合収益性よりは住環境が重視されるため低めに試算されたものと思料される。
 したがって、比準価格を採用し、収益価格を参考としつつ、公示地価格を規準とした意義を踏まえ、1平方メートル145,000円をもって設定標準地の更地価格と決定した。
3.対象地の価格
 対象地の土地価格を、設定標準地の更地価格に、対象地の個別性評点と面積を乗じて求め、下記のとおり試算した。

設定標準地の価格   建付減価   ※個別性評点   地積   対象地の総額
145,000円/平方メートル × 100/100 × 0/100 × 234.76平方メートル ニアイコール 0円

※個別性評点(道路に関する価値評価)
 不動産鑑定評価において「道路」は評価上、利用形態により宅地(建築可)を100とした場合、下記の価値率となる。

一般利用する私道の価値率 10%〜0%
独占利用する私道の価値率 70%〜50%

(1) 道路価値率の相違についての経済的観点
 不動産鑑定における「道路価値」の相違についての経済的観点は下記のとおりである。

まる1税務上:固定資産税を支払っているかどうか。
まる2経済上:私道部分が容積率算定の基礎になるかどうか。
まる3建築上:42条2項道路にするか、敷地延長にするかの判断。42条2項道路にした場合容積率の対象にはならない。
まる4登記簿上:公衆用道路になっているかどうか。
まる5利用上:不特定多数による利用か、周辺特定住民による利用か。

 以上のとおり、経済的観点からは、どの程度の収益(利用)の対象になるかどうかがポイントになる。
(2) 本件位置指定道路の価値率について

まる1建築基準法上の位置指定道路について
建築基準法第42条第1項
 この章の規定において「道路」とは、次の各号の一に該当する幅員4メートル以上のものをいう。
第5号 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの。
建築基準法第44条
 建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならない。
まる2最高裁判決(平成9年12月18日)
 「建築基凖法42条1項5号の規定による位置指定を受け、現実に開設されている道路を通行することについて、日常生活上不可欠の利益を有する者は、右道路の通行を敷地の所有者によって妨害され、または妨害されるおそれがあるときは、敷地所有者が右通行を受忍することによって、通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利を有する」との判断が示されている。

 以上から、本件位置指定道路については、経済上・法条の観点から、市場性等から売買の対象になるものではなく、登記簿上も「公衆用道路」になっていることから、価値率0と判断した。
4.対象不動産の鑑定評価額の決定
 以上から、0円の試算価格が得られた。

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