別紙5

当事者の主張

争点1 本件相続により請求人Hが取得した現金の額は、20,000,000円か9,000,000円か。
原処分庁 請求人ら
 請求人Hが相続した財産は、次の理由から、20,000,000円であると認められる。  請求人Hが相続した財産は、次の理由から、9,000,000円である。
 請求人Hが取得する財産として、本件第一遺産分割協議書には「現金弐千萬円」と記載され、本件第一遺産分割協議書の原本を訂正した本件第二遺産分割協議書には「現金弐千萬円」と記載されている文言の上に二本線が引かれているのみで、金額の訂正はされておらず、訂正印は押されていない。また、本件第三遺産分割協議書には「現金弐千萬円」と記載されている文言の上に二本線が引かれ「保険金九百九拾参万壱千円」と訂正され、実印と異なる「○○」の訂正印が押され「六字削除拾弐字加筆」の文言が加筆されているところ、M税理士は、本件第三遺産分割協議書は、M税理士が本件第一遺産分割協議書の原本をコピーし訂正したものである旨、また、請求人Fは、請求人Hに現金20,000,000円を渡すつもりである旨それぞれ申し述べていることから、本件相続人らの同意に基づき遺産を再分割した事実は認められない。
 そうすると、本件各当初申告のL農業協同組合P支店の生命共済金の受取人は請求人Hではなく請求人Fであるところ、請求人Fは、本件第一遺産分割協議書に請求人Hが20,000,000円を取得すると記載してあるのは、本件相続開始日に現金20,000,000円があったのではなく、請求人Fが受け取った農協の死亡保険金から20,000,000円を相続することである旨申し述べていることから、請求人Hは請求人Fから代償金として20,000,000円を受け取るものと認められる。
 請求人Fは、自分が受け取る本件生命保険金等から請求人Hに20,000,000円を渡そうと思い、本件第一遺産分割協議書に「現金弐千萬円」と記載した。その後、借入金を返済したところ、約9,000,000円しか残らなかったので、請求人Hに9,000,000円を渡し、遺産分割協議書を訂正した。請求人Hも納得して本件第三遺産分割協議書に訂正印を押したもので、もう一人の相続人であるKも特にこのことについて異議を申し立てていない。
 したがって、請求人Hが相続した現金は9,000,000円である。
争点2 請求人Fには、相続税法第19条の2第5項に規定する隠ぺい仮装行為があったか否か。
原処分庁 請求人ら
 次のとおり、請求人Fには、相続税法第19条の2第5項に規定する隠ぺい仮装行為があった。  次のとおり、請求人Fには、相続税法第19条の2第5項に規定する隠ぺい仮装行為がなかった。
 本件各金融資産の名義書換の手続を行っていた請求人Fは、本件各金融資産は本件被相続人の収入を原資として蓄えられた預金で同預金が本件被相続人の財産と知りながら、本件相続開始日において本件相続人ら名義である状態を利用して申告しなかった。このことは、本件調査において、請求人Fが、本件被相続人の収入で作った本件相続人らの預貯金等はほとんどない旨虚偽答弁を行い、本件相続人ら名義の預貯金等の通帳等を提示しなかったことからも明らかであり、隠ぺい仮装行為があった。
 また、請求人Fは、本件被相続人及び本件相続人ら名義で貯蓄した預貯金等は夫婦共有財産である旨申し述べているが、夫婦共有財産であるならば、本件相続人ら名義預貯金等は本件被相続人の財産でもあるところ、本件当初申告書には、本件被相続人名義の財産のみが記載されており、本件相続人ら名義の預貯金は一切申告されていないことから、請求人Fの申述には齟齬がある。
 請求人Fは、本件被相続人と共に、仕事を一生懸命行い、本件被相続人の収入から積み立てた預金等は共有財産だと思っていた。本件調査の際、請求人Fの財産がゼロということを、Q統括官から聞いて初めて知ったので、請求人Fは「私はゼロなのですか」と本件調査担当者に何度も質問した。このことが請求人Fが共有財産と思っていたことの証明である。
争点3 請求人Fには、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為があったか否か。
原処分庁 請求人ら
 通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺい又は仮装の解釈は、相続税法第19条の2第6項に規定する事実の隠ぺい仮装と同義であり、争点2のとおり、請求人Fには、相続税法第19条の2第5項に規定する隠ぺい仮装行為があったというべきであるから、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為があった。  通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺい又は仮装の解釈は、相続税法第19条の2第6項に規定する事実の隠ぺい仮装と同義であり、争点2のとおり、請求人Fには、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為がなかった。

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