別紙2

争点 本件土地には借地権が設定されていたか否か。また、本件土地に借地権が設定されていた場合、本件土地の評価に当たり、控除する借地権の価額はいくらか。
原処分庁 請求人
1 次の理由から、本件土地の価額は、a市は借地権者としての経済的利益を享受しないものとしており、本件被相続人は本件土地の価額が何ら減損することなく自用地と同額の価額が保証されていたから、本件土地の価額は、本件土地上の借地権の有無に関わらず、借地権相当額を減額すべき事由はなく、評価基本通達に従って自用地としての価額により評価することが相当である。 1 次の理由から、本件土地の価額は、評価基本通達25の(1)の定めに従い、自用地としての価額から借地権の価額を控除した金額で評価すべきである。
(1) 本件賃貸借契約の締結に伴う権利金等の授受はない。 (1) 本件賃貸借契約は、特殊関係者間の契約ではなく、利害が対立する第三者間における通常の契約であり、本件賃貸借契約書第1条のとおり、借地権の設定契約である。
(2) 本件賃貸借契約書第5条の記載のとおり、本件被相続人は、希望すれば本件土地をa市に対し譲渡することができ、a市は、本件被相続人と協議のうえ適正価格により買い取ることとされている。この場合の適正価格について、本件賃貸借契約締結時のa市○○課長は、当該適正価格とはa市の公共用地の取得に伴う損失補償基準に従い、不動産鑑定評価における更地評価額をいう旨申し述べている。 (2) 本件被相続人は、本件賃貸借契約の締結において、本件賃貸借契約書第5条に定める「適正価格」について、本件土地を更地価格で譲渡する等の土地の評価に影響を及ぼす特段の条項を交わしたり、口頭で約束した事実はないし、a市から何らの説明も受けていない。
(3) 本件賃貸借契約書第3条に記載する本件土地の1平方メートル当たりの賃貸料2,403円は、本件区画整理地区内の更地の賃貸借事例を参考として計算した賃貸料に、本件土地が宅地課税になることに伴う固定資産税及び都市計画税の増額相当分を加算した金額であり、また、本件賃貸借契約書第4条のとおり、将来における固定資産税評価額の上昇に伴う税額の増額相当分を加算した賃貸料を受領することが保証されている。 (3) 本件賃貸借契約における本件土地の1平方メートル当たりの賃貸料2,403円は、a市からの提示額に宅地課税による固定資産税及び都市計画税の増加分を上乗せしたものであるが、この上乗せは第三者間の取引行為であって、通常の賃貸借契約に基づいて通常支払われる地代を得ているにすぎない。
(4) 本件土地が利用阻害の状況にあるとしても、a市による買取り時には、土地所有者である本件被相続人は賃貸した本件土地の底地価額については何ら減損されることなく、自用地と同額の価額として保証されていることから、利用阻害の事実を斟酌する必要性はない。 (4) 本件相続が開始した時点において、本件土地は図書館施設の敷地として使用されていることから、実際に本件土地に関して利用阻害の状況にあり、本件被相続人は所有権の一部を制限されている。
  (5) 本件土地の上に存する図書館と駐車場は一体利用されており、かつ、図書館の建築面積の本件土地を除く図書館施設全体の敷地面積に対する建ぺい率が法定の数値を超えることとなり、本件土地を除いては図書館を建築することはできないことから、借地権は本件土地の全部に及ぶと認められる。
2 上記1のとおり、本件土地は自用地と同額の価額が保証されていることのほか、本件土地の地積のうち、80パーセント程度が駐車場として使用されていることから、本件土地全体に建物の所有による利用阻害の事実を前提とする相当地代通達を適用することはできない。 2 仮に、上記1の主張が認められないならば、本件土地に係る実際の地代が相当の地代と通常の地代の間にあることから、相当地代通達7の定めにより評価すべきである。

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