別紙

関係法令等の要旨

1 国税通則法(以下「通則法」という。)第43条《国税の徴収の所轄庁》第3項は、国税局長は、必要があると認めるときは、その管轄区域内の地域を所轄する税務署長からその徴収する国税について、徴収の引継ぎを受けることができる旨規定している。
2 通則法第46条《納税の猶予の要件等》第2項は、税務署長(国税局長が徴収の引継ぎを受けた場合は国税局長)は、次の各号の一に該当する事実がある場合(同条第1項の規定の適用を受ける場合を除く。)において、その該当する事実に基づき、納税者がその国税を一時に納付することができないと認められるときは、その納付することができないと認められる金額を限度として、納税者の申請に基づき、1年以内の期間を限り、その納税を猶予することができる旨規定している。

  1. 第1号 納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にかかったこと。
  2. 第2号 納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと。
  3. 第3号 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと。
  4. 第4号 納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと。
  5. 第5号 前各号の一に該当する事実に類する事実があったこと。

3 国税通則法基本通達(昭和45年6月24日付徴管2−43ほか9課共同、国税庁長官通達。以下「基本通達」という。)第46条関係11《事業の休廃止》は、この条第2項第3号の「事業を廃止し、又は休止した」とは、法令の規定等やむを得ない理由により、事業を廃止(転業したものを含む。)又は休止したことをいうものとする旨定めている。
4 基本通達第46条関係12《その他の事実》は、この条第2項第5号の「前各号の一に該当する事実に類する事実」とは、おおむね次に掲げる事実をいうとして、(1)及び(2)において各号に類する事実を掲げており、(1)ホは、第1号及び第2号に類するものとして、納税者と生計を一にする親族以外の者で、納税者の親族その他納税者の親族と同視できる特殊の関係にある者が、病気にかかり、又は負傷したことを掲げている。
5 「納税の猶予等の取扱要領」(昭和51年6月3日付徴徴3−2ほか1課共同「納税の猶予等の取扱要領の制定について」(国税庁長官通達)の別冊。)は、要旨次のとおり定めている。
(1) 第2章《納税の猶予》第1節《通常の納税の猶予》
 通則法第46条第2項の納税の猶予は、納税者に、災害を受け、若しくは病気にかかり、又は事業の休廃止をした等の事実(以下「猶予該当事実」という。)があり、猶予該当事実に基づき、納税者がその納付すべき国税を一時に納付することができないと認められる場合において、納税者の申請に基づき、その納付困難な金額を限度として、1年の範囲内で納税を猶予するものである。
イ 第2章第1節1《納税の猶予の要件》(3)《猶予該当事実》
(イ) 第2章第1節1(3)ハ
 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと(通則法第46条第2項第3号)の「事業を廃止し、又は休止した」とは、法令の規定、公共事業の施行又は業績の著しい悪化等のやむを得ない理由により、事業の全部又は一部を廃止(転業したものを含む。)又は休止したと認められることをいうものとする(基本通達第46条関係11参照)。
(ロ) 第2章第1節1(3)ホ
 納税者に災害、盗難又は病気、負傷に類する事実があったこと(通則法第46条第2項第5号(第1号又は第2号類似))の「災害、盗難又は病気、負傷に類する事実」とは、おおむね次に掲げる事実をいう(基本通達第46条関係12(1)参照)として、(イ)から(ホ)までの事実を掲げ、その(ホ)において、納税者と生計を一にしない親族が病気にかかり又は負傷したことを掲げている。
ロ 第2章第1節1(4)《猶予該当事実と納付困難との関係》
(イ) 第2章第1節1(4)イ
 「猶予該当事実に基づき納付することができない」とは、納税者に猶予該当事実があったことにより、資金の支出又は損失があり、その資金の支出又は損失のあることが国税を一時に納付することができないことの原因となっていることをいう。
(ロ) 第2章第1節1(4)ロ
 「国税を一時に納付することができない」(以下「納付困難」という。)とは、納税者に納付すべき国税の全額を一時に納付する資金がないこと、又は資金があっても、それによって一時に納付した場合には、納税者の生活の維持若しくは事業の継続に著しい支障が生ずると認められることをいう。この場合において、納付困難であるかどうかは、第7章《納付能力調査》第2節《現在納付能力調査》に定める現在納付能力調査に基づいて判定する。
ハ 第2章第1節2《納税の猶予をする金額》(1)《納税の猶予をする金額及びその調査》
 納税の猶予をする金額は、第2章第1節2(2)《猶予該当資金の範囲》により調査した猶予該当事実に基づく支出又は損失(以下「猶予該当資金」という。)の合計額(現在納付能力調査によって判定した納付困難と認められる金額がその金額を下回る場合には、当該納付困難と認められる金額)を限度とする。このため、納税の猶予の申請があった場合には、調査日現在の状況に基づいて猶予該当資金を把握するための調査を行う。ただし、調査日現在における調査が困難である場合には、臨場調査の日の状況から、適宜その調査日現在の猶予該当資金を推定して差し支えない。なお、猶予該当資金の調査に当たり、納税者が帳簿等を備えていない場合又は帳簿等による調査が困難である場合には、納税者からの聴き取りによる等適宜な方法によって判定して差し支えない。
ニ 第2章第1節2(2)
(イ) 第2章第1節2(2)イ《共通事項》
A 第2章第1節2(2)イ(イ)
 猶予該当資金は、原則として、猶予該当事実が発生した日から調査日までの期間におけるものを認めるものとする。
B 第2章第1節2(2)イ(ニ)
 猶予該当事実に基づいて、調査日までに受領した保険金、補償金、賠償金等がある場合には、その受領した金額を猶予該当資金から控除する。ただし、納税者が請求し得る保険金、補償金、賠償金等で、調査日までにまだ受領していないものについて、調査日後これらを受領する見込みの場合には、第7章第3節《見込納付能力調査》の見込納付能力調査における資金収支見込みにおいて、特別収入見込みに加算することとし、猶予該当資金からは控除しないものとする。
C 第2章第1節2(2)イ(ホ)
 調査の結果、猶予該当資金がある場合には、その資金の額が第2章第1節1(4)の納付困難の原因となっているものとして取り扱う。
(ロ) 第2章第1節2(2)ロ《猶予該当事実ごとの猶予該当資金の範囲》
 猶予該当資金として認容する範囲は次のとおりとするとして、(イ)から(ヘ)までの場合に分けて定めている。
A 第2章第1節2(2)ロ(イ)D
 納税者が、その財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にかかった場合の猶予該当資金は、猶予該当事実が調査日から1年以上前にあり、それに伴って、調査日から1年以上前に現実に支出した金額があるときは、その金額が借入れによって調達されたことが確認される場合であって、かつ、その借入金が調査日前1年内に返済され、又は調査日後返済され若しくは返済される見込みの場合に限り、その返済された、又は返済される見込みの金額だけを猶予該当資金として認めることとする。
B 第2章第1節2(2)ロ(ロ)
 納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷した事実があった場合の猶予該当資金は、病気又は負傷により要する医療費及び病気又は負傷があったことにより支出を余儀なくされる費用で、調査日までに支出した金額及び調査日後支出する見込みの金額のうち申請に係る納税の猶予の期間中に支出される見込みの金額とする。ただし、病気又は負傷が調査日から1年以上前にあり、それに伴って調査日から1年以上前に現実に支払った金額がある場合には、上記Aに準じて取り扱う。
C 第2章第1節2(2)ロ(ホ)
 納税者に災害、盗難又は病気、負傷に類する事実(通則法第46条第2項第5号(第1号又は第2号類似))があった場合の猶予該当資金については、その事実に応じて生じた支出又は損失金額について第2章第1節2(2)ロ(イ)又は(ロ)に準じて算定する。
(2) 第7章第1節《通則》2《調査日》
 納付能力調査において、納税の猶予の申請があった場合における調査日は、その申請に係る猶予期間の始期の前日とする。
(3) 第7章第2節
 現在納付能力調査は、調査日において納税の猶予の申請等に係る国税をいくら納付できるか、納付困難な金額がいくらであるかを判定するための調査であって納税者の現金、当座預金等直ちに納税に充てることができる資金と、当面の事業の継続又は生活の維持に、真に必要と認められるつなぎ資金とを調査し、両者を勘案して現在納付可能資金を把握するものである。
イ 第7章第2節1《当座資金》
 当座資金は、調査日現在における現金、当座預金その他の引き出し可能の預貯金等直ちに支払に充てることのできる資金の合計額とする。
ロ 第7章第2節2《つなぎ資金》
 つなぎ資金は、調査日後比較的短期間(おおむね1か月以内とする。)において、資金の最も窮屈になる日のために留保を必要とする資金を日を追って計算するものである。
ハ 第7章第2節3《現在納付可能資金》
 現在納付可能資金は、当座資金からつなぎ資金を差し引いた金額とする。

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