(平成24年11月29日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、複合商業施設である建物の管理、運営及び賃貸借事業を営む審査請求人(以下「請求人」という。)が、当該建物の区分所有者として支払った当該建物に係る共同管理費について、原処分庁が、消費税法に規定する課税仕入れに該当しないなどとして消費税及び地方消費税の各更正処分等を行ったのに対し、請求人が、当該共同管理費は役務の対価であり、課税仕入れに当たるとして、同更正処分等の全部の取消しを求めた事案であり、争点は、当該共同管理費の支払が課税仕入れに当たるか否かである。
 なお、請求人は、同更正処分について、請求人が収受した共同管理費相当額が課税資産の譲渡等の対価の額に当たること及び他の区分所有者に対して支払う共同管理費相当額が課税仕入れに当たるとされたことについては争わない。

(2) 審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成19年4月1日から平成20年3月31日まで、平成20年4月1日から平成21年3月31日まで及び平成21年4月1日から平成22年3月31日までの各課税期間(以下、順次「平成20年3月課税期間」、「平成21年3月課税期間」及び「平成22年3月課税期間」といい、これらを併せて「本件各課税期間」という。)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の確定申告書に別表1の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までに申告した。
ロ 次いで、請求人は、原処分庁所属の調査担当職員の調査(以下「本件調査」という。)を受け、別表1の「修正申告」欄のとおり、本件各課税期間の消費税等の修正申告書を平成23年5月27日に提出した。
ハ 原処分庁は、これに対し、平成23年5月31日付で、本件各課税期間の消費税等に係る過少申告加算税の各賦課決定処分をした。
ニ さらに、原処分庁は、本件調査に基づき、平成23年5月31日付で、別表1の「更正処分等」欄のとおり、本件各課税期間の消費税等の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)をした。
ホ 請求人は、上記ニの各処分を不服として、平成23年7月29日に異議申立てをしたところ、3月を経過しても異議決定がされなかったため、異議決定を経ないで、同年11月30日に審査請求をした。

(3) 関係法令の要旨

 別紙4のとおりである。

(4) 基礎事実

 以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人について
(イ) 請求人は、○○○○事業によって建設されたa市b町○−○に所在する複合商業施設である区分所有建物「D」(以下「本件建物」という。)の管理、運営及び賃貸借事業を営む法人であり、別表2に記載する専有部分を区分所有する。また、本件建物の共用部分に係る請求人の共有持分割合は0.139089である。
(ロ) 請求人は、区分所有する専有部分の一部及び他の区分所有者からその専有部分を賃借した部分とを併せて本件建物に出店する者(以下「本件テナント」という。)に賃貸している。
 なお、上記賃貸借契約に係る対価には、それぞれ、後述する共同管理費相当額が含まれている。
ロ 本件建物について
(イ) 本件建物は、登記事項証明書によれば、鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根地下○階付○階建の延床面積○○○平方メートルで、家屋番号がa市b町○−○−○ないし○(以下、家屋番号については「○」ないし「○」の番号で表示する。)に区分され、区分登記された各専有部分の延床面積は○○○平方メートルで複数の区分所有者(以下「本件区分所有者」という。)により所有され、本件区分所有者の共有である共用部分の延床面積は○○○平方メートルである。
(ロ) 本件区分所有者は、本件建物及びその敷地の管理等に関し、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)第3条の規定に基づき、建物、その敷地、附属設備及び附属工作物の管理を行うため、全員で「D管理組合」(以下「本件管理組合」という。)を構成している。
(ハ) 本件管理組合は、管理規約(以下「本件管理規約」といい、一部抜粋したものは別紙5のとおりである。)及び管理費等取扱規則(以下「本件管理規則」といい、一部抜粋したものは別紙6のとおりである。)を定め、それらに従い、原則として、毎年1回開催する本件区分所有者の集会(以下「全体集会」という。)において、管理に関する事務報告(本件管理組合の会計年度の決算及び予算並びに修繕積立金、管理費及び組合費の負担額等の決定など)について決議している。
 なお、本件管理規約は、平成○年4月11日付で○○○○の規定により、g県知事の認可を受けており、○○○○の規定により、区分所有法第30条第1項に規定する規約とみなされる。また、本件管理規約中の「管理者」とは、請求人のことである。
(ニ) 本件管理組合の平成19年4月1日から平成20年3月31日まで、平成20年4月1日から平成21年3月31日まで及び平成21年4月1日から平成22年3月31日までの各会計年度(以下、これらを併せて「本件各会計年度」という。)における共同管理費(本件管理規約第17条第1項に定める管理費及び同第21条第1項に定める修繕積立金をいう。以下同じ。)の収入金額は、それぞれ、○○○○円、○○○○円及び○○○○円である。
ハ 共同管理費に係る請求人の処理
 請求人は、本件各課税期間に係る消費税等の確定申告及び修正申告において、本件テナントから収受した共同管理費相当額を課税標準額に算入しておらず、また、請求人が本件テナントに賃貸せずに、請求人の事務所として使用していた部分、貸し会議室として使用していた部分及び本件テナントが退去し空室となった部分について支払った共同管理費の額に係る消費税等相当額を次表のとおり、課税仕入れに係る消費税額に算入していた。

課税期間 課税仕入れに係る支払対価の額(税込み) 課税仕入れに係る消費税額
平成20年3月課税期間 ○○○○円 ○○○○円
平成21年3月課税期間 ○○○○円 ○○○○円
平成22年3月課税期間 ○○○○円 ○○○○円

ニ 共同管理費に係る原処分庁の認定
 原処分庁は、本件各課税期間において、請求人が本件テナントから収受した共同管理費相当額は、請求人に帰属した後、請求人から区分所有者に対して支払われ、最終的には当該区分所有者から本件管理組合に支払われたものであると認定し、まる1本件テナントから請求人が収受した共同管理費相当額は課税資産の譲渡等の対価の額に該当し、まる2賃借人たる請求人から区分所有者に対する共同管理費相当額の支払は課税仕入れに該当する、一方、まる3区分所有者たる請求人から本件管理組合への共同管理費の支払は、課税仕入れには該当しないとした。そして、本件各課税期間において、区分所有者たる請求人から本件管理組合に支払われた共同管理費(以下「本件各管理費」という。)の金額の算出に当たって、原処分庁は、本件管理組合が本件各会計年度において計上した共同管理費収入の額に、上記1の(4)のイの(イ)の本件建物の共用部分に係る請求人の共有持分割合0.139089を乗じて計算した次表の各金額を、課税仕入れに係る支払対価の額に含めなかった。

課税期間 本件各管理費の金額
平成20年3月課税期間 ○○○○円
平成21年3月課税期間 ○○○○円
平成22年3月課税期間 ○○○○円

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2 主張

原処分庁 請求人
 本件各管理費は、次のとおり、課税仕入れに該当しない。  本件各管理費は、次のとおり、課税仕入れに該当する。
(1) 本件区分所有者である請求人と本件管理組合とは、それぞれ別個の権利義務の帰属主体であると認められ、本件各管理費は、本件管理規約により、本件管理組合の業務に充てるための費用を、本件区分所有者である請求人の義務の履行として負担しているものであり、本件管理組合が行う本件建物の維持管理等に関する業務の反対給付として、明白な対価関係が認められない。
 本件各管理費が、本件管理組合が行う維持管理業務の費用に充てられるとしても、上記のとおり、本件各管理費は、本件管理規約に基づく応分の負担金額にすぎず、その性質は組合費と異なるものではなく、役務の提供の反対給付として負担するものではない。
(1) 区分所有建物の維持管理は、区分所有者全員が、管理費等を拠出することを前提に集団的、計画的、継続的に行われるものであり、区分所有者の一部が管理費等を拠出しないときは建物の維持管理に支障を生じかねないため、規約等により拠出義務が課されているのであり、本件各管理費の負担が、本件管理規約に基づく義務の履行だからといって対価性が否定されるものではない。また、一般的な建物管理組合は、管理費の中から管理組合の運営費用が支払われているが、本件管理組合は、運営に必要な費用を別途組合費として徴収しており、本件各管理費を含む各共同管理費がその目的である維持管理業務に充てられていることは、本件管理組合の収支決算報告書において明らかである。
(2) 本件各管理費は、請求人が、区分所有法及び本件管理規約に基づき、本件管理組合の組合員としての地位に起因して本件管理組合の通常業務に要する費用を分担しているものであり、本件管理組合が行う本件建物の維持管理業務の対価として負担するものではない。
 本件各管理費は、本件管理規約に基づき算定されるものであり、全体共用部分の持分割合が異なれば、これに対応する管理費の額も当然に異なるものである。
(2) 本件各管理費の支出の原因が本件管理組合の組合員としての地位に起因して負担しているものであれば、その負担額は均一であるべきである。しかし、請求人が区分所有する専有部分の1坪当たりの管理費は、部屋番号c(用途は店舗)は月額○○○○円であり、部屋番号d(用途は事務所)は月額○○○○円であり、また、他の区分所有者が所有する住宅部分は月額○○○○円である。この差は店舗、事務所及び住宅の受益の程度の差と捉えるのが自然な考え方であり、組合員としての地位に起因する負担額とすると不合理である。このことは、本件区分所有者が各々の専用部分の利用状況に応じて共用部分からの便益を受け、その対価として共同管理費を支払っていることを意味する。
(3) 請求人が主張する右の(3)の共同管理費の算定方法は、本件テナントが負担する管理費の算定方法であり、これにより本件各管理費を算定すべきとする根拠はない。 (3) 区分所有者は、区分所有建物の共用部分の共有持分に応じて管理費等を負担するのが一般的である。しかし、本件においては、本件管理規約により本件区分所有者が受益又は使用の程度に応じて共同管理費を負担するものと定められており、区分所有法第19条も、規約に別段の定めをすることを認めている。したがって、共同管理費は、利用形態により部屋区画ごとに1坪当たり月額○○○○円から○○○○円までの範囲で設定され、毎期全体集会において決定される。これは、平成○年10月28日開催の事前説明会で決定された本件管理費の算出方法を基に変動要因を加味したもので、共用部分の光熱水冷房費及び種々の業務委託費を、本件テナントの専用面積あん分、受益あん分等の負担方針を定めて配分する方法とし、その配分額を積み上げて単価が算出されている。このことは、本件区分所有者と本件管理組合という独立した関係においては、本件管理組合が本件区分所有者に対し、共用部分の光熱水冷房費の提供及び設備保守管理業務等の役務の提供をし、その対価として共同管理費が支払われていることを意味する。
(4) 本件管理組合が本件管理規約第14条第1項第13号で、同条第2項に定める委託に関する契約及び委託した業務の監督を行うことが定められているものの、契約等の当事者である本件管理組合がその契約等の業務内容の履行を監督することは当然のことであり、当該監督業務は、本件管理組合が自らの責任と負担において行うものであり、本件各管理費が当該監督業務の反対給付として負担するものではない。 (4) 本件管理規約等によると、本件区分所有者は、本件管理組合に対し、共同管理費を負担しなければならないとされている。一方、本件管理組合が行う業務として種々の維持管理業務のほか委託に関する契約及び委託した業務の監督が明記されている。このことは、区分所有者と管理組合という独立した関係においては、本件管理規約に基づいて、本件管理組合が本件区分所有者に対し、維持管理業務の管理監督という役務の提供を行い、その反対給付として共同管理費が支払われたことを意味する。また、当該役務の提供は継続的なものであり、本件区分所有者は継続的に享受する。
(5) 原処分は、本件各管理費の金額を、本件管理規約第17条に基づき、請求人の全体共用部分の共有持分割合である0.139089を基礎として算定したものであり合理性がある。 (5) 仮に、本件各管理費が、課税仕入れに該当しない場合であっても、本件各管理費の金額は、別表3のとおり、共同管理費の金額に請求人が区分所有する専有部分の持分割合を乗じた金額とすべきである。

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3 判断

(1) 法令解釈

 消費税法第30条第1項は、事業者が国内において課税仕入れを行った場合には、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する旨規定している(仕入税額控除)。ここでいう、課税仕入れとは、事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合で、当該他の者が事業として当該資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は当該役務の提供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することになるものをいうとされている(同法第2条第1項第12号)。そして、課税資産の譲渡等とは、消費税法第2条第1項第8号にいう資産の譲渡等のうち、同法第6条第1項の規定により消費税を課さないこととされるもの(非課税取引)以外のものをいい、同法第2条第1項第8号にいう資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう。したがって、課税仕入れに該当するためには、取引の相手方から見た場合に、「対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」に当たる必要がある。また、「対価を得て行われる」とは、その資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供に対して何らかの反対給付を受け取ることをいい、すなわち、「対価を得て」とは金銭のやり取りを指し、「対価を得て行われる」とは、金銭のやり取りの原因が資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供であることを指すと解される。

(2) 認定事実

 請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
イ 第○回ないし第○回の本件管理組合の全体集会における各議案書(以下「本件各議案書」という。)には、それぞれ本件各会計年度の共同管理費の負担額の決定について、本件区分所有者及び本件テナントが使用する本件建物の区画(部屋番号)ごとに設定された坪単価に基づき算定された「共同管理費坪単価表」が添付されていることから、本件区分所有者は、本件区分所有者が負担する共同管理費の額及び本件テナントが支払うべき共同管理費相当額について承知していた。
ロ 上記イの各全体集会においては、本件各議案書どおり共同管理費の負担額が決議された。
ハ 本件管理規約及び本件管理規則に基づいて本件管理組合が作成した本件各会計年度の「補助簿月別実績表」によれば、本件区分所有者又は本件テナントは、上記ロのとおり決定された負担額を本件管理組合に支払っているところ、本件管理規約第17条の定めからすれば、本件テナントが本件管理組合に支払った金員のうち共同管理費相当額については、本件区分所有者が負担したものと認められる。
ニ 第○回ないし第○回の本件管理組合の全体集会における各議案書中の「共同管理費収支決算報告書」によれば、本件各会計年度において、本件管理組合が共同管理費として収受した金員は、本件建物の共有部分の設備保守管理や清掃業務等のための委託業務費、共用部水光熱費等の一般管理費及び修繕積立金等に充てられた。
ホ 本件各課税期間において、請求人は、全体集会の承認により、本件建物の共用部分のうち、部屋番号e及び部屋番号fについて専用使用権を与えられ、部屋番号eは本件テナントに賃貸し、部屋番号fは請求人の事務所として使用しており、共同管理費の対象とされていた。他方で、別表2の「家屋番号」○欄の駐車場部分については共同管理費の対象とされていなかった。

(3) 当てはめ

イ 本件各管理費の課税仕入れ該当性
(イ) 消費税は、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供を課税の対象としている以上、組合等がその構成員から受け取った組合費等に消費税が課されるか否かは、組合等がその構成員に対して行う役務の提供と組合費等との間に明白な対価関係があるかどうかにより定まるところ、本件においては、上記1の(4)のロの(ロ)及び(ハ)並びに上記(2)のイないしニのとおり、本件管理組合が行う管理業務(本件建物とその敷地並びに附属設備及び附属工作物の管理をいい(本件管理規約第13条)、以下「本件管理業務」という。)は、本件管理組合の構成員である本件区分所有者の共同の利益のために行う業務であるといえ、区分所有者たる請求人の本件管理組合に対する本件各管理費の支払は、本件管理業務に要する費用を、本件管理組合の構成員(組合員)たる地位に基づき負担するにすぎないものであると認められる。そうすると、本件管理組合が本件管理業務を行う上において、区分所有者たる請求人は、何らかの資産の譲渡等の反対給付として対価を支払っているものではないから、本件管理組合にとって本件各管理費の収受は、資産の譲渡等に伴う対価には該当せず、消費税法上はいわゆる不課税取引となり、本件各管理費を負担した側の区分所有者たる請求人がこれを課税仕入れにすることもできない。
(ロ) 一方で、賃貸人たる請求人が本件テナントから収受する共同管理費相当額は、それを含めて賃貸料ということができ、建物の貸付けの対価であり課税資産の譲渡等の対価に該当する。そうすると、賃借人たる請求人が区分所有者に対して支払うこととなる共同管理費相当額を含めた賃借料は課税仕入れに該当することとなる。
(ハ) 請求人は、上記2の「請求人」欄の(1)ないし(4)のとおり主張するが、共同管理費の金額が、均一でなく、また、本件区分所有者の共用部分の共有割合に応じた負担でもなく、本件テナントが使用する区画に応じて算定されているとしても、その事実をもって、本件各管理費が、本件管理組合が行う業務との対応関係がある金員であるとはいえず、役務の提供に対する対価であるとは認められないことは上記(イ)のとおりであり、請求人の主張には理由がない。
ロ 本件各管理費の額の算定
(イ) 共同管理費は、上記(2)のイ及びロのとおり、本件建物の区画(部屋番号)に応じて負担額が定められていることから、本件各管理費は、請求人が区分所有する部分に対応するものとして算定するのが合理的である。
(ロ) したがって、当審判所において、本件各課税期間における請求人が負担した本件各管理費の額を計算すると別表4のとおりとなり、別表3の「小計A」欄の「まる3本件各管理費」、「まる5本件各管理費」及び「まる7本件各管理費」の各金額と一致する。
 なお、別表3の「増築」欄に記載された金額は、上記(2)のホのとおり、本件建物の共用部分を請求人が専用使用しているものであり、請求人は当該部分の区分所有者ではなく、本件各管理費の額には当たらないから、請求人が専用使用する部分の共同管理費を本件各管理費の額の算定に含めるべきであるとの請求人の主張は採用できない。
(ハ) 原処分庁は、上記2の「原処分庁」欄の(5)のとおり主張するところ、共同管理費のうち修繕積立金相当額について分けるとしたら、共有持分割合で算定することは合理的であるとしても、本件各管理費の額の計算については、上記(イ)及び(ロ)のとおり算定すべきであるから、この点についての原処分庁の主張には理由がない。

(4) 本件各更正処分について

 上記(3)のとおり、本件各管理費は課税仕入れには該当しないことを踏まえ、本件各課税期間の消費税等の額を計算すると、それぞれ別表5ないし別表7の各「B審判所認定額」欄のとおりとなり、これらの金額は、原処分に係る金額を下回るので、本件各更正処分は、いずれもその一部を取り消すべきである。

(5) 本件各賦課決定処分について

 上記(4)のとおり、本件各更正処分の一部がそれぞれ取り消されることに伴い、本件各課税期間の過少申告加算税の基礎となる税額がそれぞれ、○○○○円、○○○○円及び○○○○円となるところ、これらの税額の計算の基礎となった事実が本件各更正処分前の税額の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項並びに地方税法附則第9条の4《譲渡割の賦課徴収の特例等》及び第9条の9《譲渡割に係る延滞税等の計算の特例》第1項の規定に基づいて本件各課税期間の過少申告加算税の額を計算すると、それぞれ、○○○○円、○○○○円及び○○○○円となる。
 そうすると、本件各課税期間の過少申告加算税の額は、本件各賦課決定処分の額を下回るので、いずれもその一部を取り消すべきである。

(6) その他

 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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