総則

災害等による期限の延長

  1. 納付義務の承継
  2. 災害等による期限の延長(2件)
  3. 送達
  4. 申請書の提出

請求人に帰属すべき未分割遺産の譲渡収入金額が法定申告期限までに確定しなかったことは国税通則法第11条に規定するやむを得ない理由に当たらないとした事例

裁決事例集 No.20 - 1頁

 所得税の申告等の期限の延長は、国税通則法第11条及び同法施行令第3条により、災害その他やむを得ない理由が生じた場合に認められるものであり、ここでいう災害その他やむを得ない理由とは、自然的災害、人為的災害、交通途絶等客観的にみてその申告ができないような状態をいうものと解されるところ、請求人の主張する、未分割の相続財産を売却したため売却年分の所得税の法定申告期限までに請求人に帰属すべき収入金額が確定しなかったというような、いわば主観的な理由はこれに当たらない。

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請求人がした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請に関し、原処分庁が先にした同延長申請の承認を取り消した処分について、請求人が青色申請を期限までにすることができなかったことに通則法第11条規定の「災害その他やむを得ない理由」はなく、同承認は同条に適合しないにもかかわらずされたものだから、同取消処分が適法とした事例(災害による申告、納付等の期限延長申請の承認取消処分・棄却)

令和5年11月15日裁決

《ポイント》
 本事例は、原処分庁が先にした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請についての承認処分について、当該延長承認の要件を満たさないことから、職権で取り消したことが適法と判断したものである。

《要旨》
 請求人は、「新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で提出が遅れました」と記載した青色申告承認申請書(本件青色申請書)の提出が提出期限後となったのは、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言や自治体の外出自粛要請を受けて外出自粛等をしていたためであり、これらの事情は、国税通則法第11条《災害等による期限の延長》に規定する「災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるとき」に該当するから、原処分庁が、上記記載による同申請書の提出期限の延長申請に係る承認(本件延長承認)を後日取り消した処分(本件取消処分)は違法である旨主張する。
 しかしながら、本件取消処分の適否を判断するに当たっては、本件延長承認がされた時点における事情に照らし、本件延長承認に違法等が認められるか否かを審理判断すべきであり、具体的には、本件延長承認が国税通則法第11条に適合するものであったか否かを検討すべきであるところ、本件青色申請書の提出が提出期限後になったのは、提出期限後になって特別償却の適用を受けるために青色申告の承認を受けようとしたという理由によるものであり、新型コロナウイルスの感染拡大を理由とするものではないから、「災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるとき」には該当しない。

《参照条文等》
 国税通則法第11条

《参考判決・裁決》
 最高裁平成28年12月20日第二小法廷判決(民集70巻9号2281頁)

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