税額の計算

同族会社の留保金課税

  1. 同族会社の留保金課税(3件)
  2. 税額控除

更生会社である同族会社について留保金課税をした事例

裁決事例集 No.6 - 45頁

 請求人は、更生会社について留保金課税をすることは法人税法の趣旨に反すると主張するが、法人税法及び関係諸法令においては、更生会社について、法人税法第67条の規定の適用を排除する規定は設けられていない。
 また、請求人は、当事業年度の末日において新株式発行の決定により非同族会社になったと主張するが、請求人の更生計画には「新株式発行の効力は認可決定の日より4ケ月目の日の属する月の初日に生ずるものとする」旨定められているから、更生計画認可決定の日、すなわち、当事業年度終了の日の現況では同族会社である。
 したがって、請求人の当事業年度の留保金について法人税を課したことは相当である。

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非同族会社を基幹とする同族関係法人の株の持ち合いにおける子会社、孫会社の同族法人の判定の結果、請求人は留保金課税の対象となる同族会社に該当するとした事例

裁決事例集 No.60 - 437頁

  1.  留保金課税の適用対象となる同族会社については、法人税法第67条第1項カッコ書により、同族会社であることについての判定の基礎となった株主のうちに「同族会社でない法人」がある場合には、当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定するものとした場合においても同族会社となるものに限るとしているので、非同族会社をその判定の基礎となる株主等に選定したことによってはじめて同族会社となる会社(以下「非同族の同族会社」という。)には、留保金課税の適用はないこととなる。
     そして、ここでいう「同族会社でない法人」には、非同族会社のみでなく、上記の「非同族の同族会社」を含むものと解される。
  2.  請求人は、関連会社5社が発行済株式をそれぞれ20%ずつ保有していることから、その3社の持株割合の合計が100分の50以上となるため、法人税法第2条第10号に規定する同族会社に該当する。
     さらに、請求人の株主である関連会社5社のうち、非同族会社であるE社及び「非同族の同族会社」であるI社は「同族会社でない法人」であることから、両者を除いた3社の持株割合を合計すると60%である。
     そうすると、請求人は、「同族会社でない法人」を判定の基礎となる株主から除外して判定しても、3社の持株割合の合計が100分50以上となるのであるから、法人税法第67条第1項に規定する留保金課税の対象となる同族会社に該当することとなる。

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中小企業者について同族会社の留保金課税が不適用となる要件である「自己資本比率(前事業年度終了の時における総資産の額に占める自己資本の額の割合)50%以下」という基準の判定に当たり、貸借対照表に注記された受取手形割引高は、「前事業年度終了の時における総資産の額」の算定上加算することはできないとした事例

裁決事例集 No.73 - 363頁

 請求人は、手形割引は消費貸借であるから、前事業年度終了の時における受取手形割引高(以下「本件割引高」という。)は資産として認識し、租税特別措置法第68条の2第1項第4号に規定する自己資本比率の計算において、貸借対照表の資産の部の合計額に加算して計算すべきである旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第68条の2第1項第4号及び同法施行令第39条の34の2第8項によれば、自己資本比率の算定上、「前事業年度終了の時における総資産の額」とは、請求人の前事業年度の確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額の合計額とされているところ、本件の手形取引は、手形割引すなわち手形の売買であり、割引された受取手形は請求人からA銀行に所有権が移転しており、請求人の資産を構成するものではなく、本件割引高を資産と認識すべきであるとする請求人の主張には理由がない。また、請求人は本件割引高を貸借対照表の資産の部にも計上していない。
 そうすると、本件割引高は資産の部の合計額に加算することはできず、これに基づき自己資本比率を計算すると100分の50を超えることから、本件において、租税特別措置法第68条の2の規定は適用されない。

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