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参加差押え
- 交付要求
- 参加差押え(1件)
超過差押えを禁止する国税徴収法第48条第1項の規定は、参加差押えには適用又は準用されないとした事例(不動産の参加差押処分・棄却)
《ポイント》
本事例は、参加差押えは、先行する差押えが解除されない限り交付要求としての効力を有するにすぎず、先行する差押えが進行している限り滞納者に新たな負担を課すものではなく、交付要求及び参加差押えに国税徴収法第48条第1項の規定が準用されるとした規定もないとしたものである。
《要旨》
請求人は、原処分庁が行った不動産の参加差押処分(本件参加差押処分)は、滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分である旨主張し、これは、本件参加差押処分は、国税徴収法(徴収法)第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》第1項が規定する超過差押えに当たるというものであるといえる。
しかしながら、参加差押えは、滞納者の財産について、既に強制換価手続である滞納処分による差押えがされている場合に、その差押えをした行政機関等に対して交付要求をするものであり、その先行する差押えが解除されたときは、参加差押通知書が滞納者に送達された時に遡って差押えの効力が生ずるものであるから、先行する差押えが解除されない限り、その先行する差押えをした行政機関等に対して配当を求める交付要求としての効力を有するにすぎないというべきであり、このような参加差押えの効力からすると、参加差押えは、強制換価手続である滞納処分による差押えが先行し、これが進行している限り、滞納者に処分制限等の新たな負担を課すものではないし、徴収法第48条第1項の規定が準用されるとした規定もないから、同項の規定は、参加差押えには適用又は準用されない。したがって、本件参加差押処分には、超過差押えに係る規定は適用又は準用されないから、本件参加差押処分が滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分ということはできない。
《参照条文等》
国税徴収法第87条第1項、第48条第1項
《参考判決・裁決》
東京高裁平成30年3月7日判決(租税関係行政・民事判決集(徴収関係判決)平成30年1月〜12月順号2018-10)