任期付審判官という仕事の魅力

ペンネーム:黒猫

 私は、以前は、都内の法律事務所で弁護士として勤務していました。元同業者に国税審判官として勤務しているという話をしますと、大抵「なんだか難しそうな仕事をしているね。」と言われます。弁護士には数字が苦手な人も多く、また、税法といいますと難解なイメージを抱いている人が多いようです。私も数字が得意な方ではありませんが、任期付審判官は弁護士にとっても(もちろん他のお仕事の方にとっても)とても魅力的な仕事だと思いますので、私が考える魅力をお伝えしようと思います。
 一つ目は、様々なバックグラウンドの人と一緒に働くことができるということです。審判所には、国税庁出身の各税目のエキスパートがたくさん出向してきています。また、検察庁や裁判所から出向してきている人もいますし、任期付審判官にも、税理士や公認会計士出身の人がいます。バックグラウンドが異なると、同じ事件を扱っていても、考え方や着目する点が違ったりします。ある法人税のエキスパートさんは自分の頭の中は財務諸表でできていると言っていました。そういう頭になったら世の中はどう見えるの?と興味津々です。
 二つ目は、審判所での調査・審理の経験は、とても勉強になるということです(本来は、これを一つ目に挙げるべきでしょうか。)。国税に関する知識が身に付くことはもちろんのこと、審査請求では税法そのものではなく、例えば、契約の存否などその前提となることが問題となったりしますので、税法以外の勉強にもなります。また、弁護士をしていたときは一方の当事者の目線で事件を見ていましたが、審判所に来て、第三者の目線で見るようになり、今までは見えていなかったものが見えるようになったかもしれません(私の希望的観測も入っています。)。
 三つ目は、ワークライフバランスの取れた職場だということです。計画的に業務を行えば定時に帰れますので、アフターファイブ(弁護士をしていた頃は死語かと思っていましたが)を楽しむことができますし、有給休暇も取得しやすい環境にあります。周囲の人を見ていますと、お稽古事をしたり、資格取得に励んだり、有給休暇を利用して旅行に行ったりしているようです。
 ・・・いかがでしょうか。少しは任期付審判官というお仕事の魅力が伝わりましたか。他にも、任期付審判官同士の横のつながりなどお伝えしたいことは色々とあります。このコラムを読んで少しでも興味を持たれた方は、任期付審判官への応募を検討されてみてはいかがでしょうか。

○ 本コラムは、すべて本テーマに関する執筆者個人の感想や視点に基づいて書かれたものであることをお断りしておきます。

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