率直に感想を書かせてもらいました

金子 朋之

 簡単に自己紹介をさせていただくと、国税審判官(特定任期付職員)として採用される前は、都内の税理士事務所、その前は都内の監査法人、さらにその前は都内の一般企業(システム開発)に在籍していました。
 「国税審判官(特定任期付職員)の募集についてのQ&A」にも記載されていることですが、国税審判官(特定任期付職員)に応募するに当たり、勤務地を限定することは可能です。私の場合は勤務地を限定することなく応募した結果、大学卒業後20年近く勤務地であった都内を離れ、食べ物が美味しいことで有名な都市で勤務することになりました。
 私自身が経験していないことを書いても説得力がありませんので、国税審判官(特定任期付職員)としての私の率直な感想を書きたいと思います。

1.経験値アップ

 国税不服審判所では、公認会計士試験の受験に当たり勉強した税法や税理士業務の実務から得た経験則を、新たな角度から再認識することになりました。
 なぜなら、国税不服審判所には、それぞれの税法について数十年の経験を持つ国税出身の職員や弁護士出身の特定任期付職員が多数在籍しており、そういった職員と机を並べ議論を交わすことで、新たな発見をすることが多くありました。
 また、今までに国税通則法をこれほど真剣に読み込んだことはありません。受験勉強や税理士業務の実務では法人税法や所得税法と比べて、国税通則法に割く時間が少なくなってしまうことがあると思いますが、国税不服審判所の業務では、国税通則法の規定を理解することが必要になる場面が多くあります。
 そういった点から言っても、国税審判官(特定任期付職員)としての経験は貴重なものだと思っています。

2.ワークライフバランス

 他のコラムにも書かれていることですが、国税不服審判所はワークライフバランスの優れた環境であると思います。私の過去一年間の実績で言えば、記憶している限り残業をしたことはありません。また、自宅に資料等を持ち帰ることは禁止されていますので、仕事を自宅に持ち帰ることもありません。
 また、国税審判官は特定任期付職員であっても組織の一員として"管理者"の立場に置かれます。そのため、自らが率先し休暇を取得することが求められ、業務のスケジュールに支障がない限り、休暇を取得しやすい環境にあると思います。
 民間企業に勤務していた時と比べて自由になる時間が多くなったことは事実です。その時間をどう使うかが悩みどころですが・・・。

 国税審判官(特定任期付職員)への応募を検討している方の中には、勤務地(居住地)を変えたくないという方もいると思いますが、勤務地にこだわることなく積極的に応募していただきたいと思います。
 個々の事情があるでしょうから一概には言えませんが、個人的には勤務地を変えることによるマイナス面よりも、国税審判官(特定任期付職員)としての経験で得られるプラス面の方が上回っていると感じています。

○ 本コラムは、すべて本テーマに関する執筆者個人の感想や視点に基づいて書かれたものであることをお断りしておきます。

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