「任期付審判官のQOL」

木下 雄高

 審判所に勤務して、4か月が経過し、業務に慣れ始めてきたところで本稿の掲載依頼をいただきました。本稿では、任期付審判官のクオリティーオブライフ(QOL)について記載いたします。
 QOLを日本語に直訳しますと「生活の質」ということになろうかと思います。「生活の質」を決める要素は、人それぞれですので一概には言えませんが、本稿においては、①生活に占める仕事とプライベートの時間のバランス、②給与の額について、以下のとおり記載いたします。
 まず、①について記載するにあたって、審判所でのある日の私の勤務スケジュールを紹介いたします。

・8時20分ごろに出勤。8時30分に始業。

・8時30分から17時まで(12時15分から13時までは、お昼休憩)
 記録の読み込み、法令・判例の調査、書面の起案及び事件について議論。

・17時5分ごろに退勤。

 私の場合は、遠方出張がない限りは、ほぼ毎日上記のようなスケジュールで勤務をしております。
 士業に就かれている皆様の中には、毎日夜遅くまで働き、暦どおりに休めない方が多くいらっしゃると思いますが、審判所ではワークライフバランスが推奨されており、計画的に業務を進めていれば、終業時間以降はプライベートの時間を確保することもできます。当然ですが、土日祝日は休みです。
 過去の任期付審判官のコラムを見ますと、審判官になった後で、プライベートの時間を利用し、大学院に通学した人もいるようです。
 抱えている審査請求事件の状況によっては異なることもあるかもしれませんが、審判所は、プライベートの時間を確保でき、仕事とプライベートの時間のバランスをとれる職場だと感じております。
 加えまして、審判官の業務が充実していることも強くお伝えしておきたいです。
 審査請求事案について結論を出すためには、沢山の先例を調べますし、他の審判部の職員との議論を頻繁に行います。その度に、新たな発見があり、なるほど!そうだったのか!と思える機会が多いです。また、審判所の裁決が行政部内における最終判断ということになりますので、その裁決の過程に携わる審判官の責任は重大であり、だからこそとても重要な業務を遂行しているという充実感を感じることができます。
 次に、②についてですが、募集要項によりますと、任期付審判官の年間の給与の額は、840万円から1,000万円程度とされ、さらに、退官時には退職金が支給されますので、待遇の面においても充実していると思います。
 以上、①と②のとおり、任期付審判官のQOLは高いのではないかと感じております。
 任期付審判官の職務に関心のある方は、応募されることをお勧めいたします。

○ 本コラムは、全てテーマに関する執筆者個人の感想や視点に基づいて書かれたものであることをお断りしておきます。

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