ホーム >> 国税審判官(特定任期付職員)に関する情報 >> 国税審判官(特定任期付職員)のコラム >> 第47回(令和7年9月掲載)
「(弁護士等の方へ)税務の世界にようこそ」
笹部 共生
「税務の世界にようこそ」というのが私の伝えたいメッセージになります。どちらかと言いますと、税務とは畑違いの仕事をされている弁護士の方を対象としています。そのような皆さまが、審判官に興味を持たれるだけではなく、税務の世界に入られるような切っ掛けの一つにもなれば幸いです。
私の略歴ですが、地方で弁護士業務を行った後、公認会計士試験を経て、監査法人で上場会社等の会計監査業務に専念し、その後、税理士法人で税務申告なども経験したうえで、審判官となりました。
皆さまが審判官に応募されようと思うときに、関心があるのは、後のキャリアの話かと思います。
一般的な意見とはちょっと違ったお話をさせていただければと思います。弁護士が、税務訴訟などだけではなく、申告を含めた税務業務一般にも関与していくのは、大きな可能性があるものと思います。そういうキャリアの道があり、そのキャリアにとって、審判官経験は貴重なものになるという話になります。
税務業務には、税務訴訟以外にも、申告、税務相談をはじめとした業務があり、そちらの方が税務業務としては一般的です。また、税務申告等の経験を活かした派生業務も多く存在しています。
他方で、弁護士業務が、税務抜きでは社会の需要にこたえられていない場面もあります。
そのため、弁護士が、申告を含めた税務業務一般にも関与していくのは、大きな可能性があるものと思います。ちなみに、最近では、税理士法人で申告などの経験を積む弁護士の方もいらっしゃるようになりました。
そういうキャリアで見た場合、弁護士の方が、審判所に来られた場合、審判所において得られるものは大きいように思います(特に、税務申告等を経験してから審判所に来られる場合、得られるものは、より一層大きいと思います)。
審判官業務は、税務業務の中でもかなり高レベルな仕事です。税務業務をしていたとしたら、疑問に抱いていたことの多くが解消できるでしょうし、検討も深くなるでしょう。また、あるべき適正な申告も、より一層わかってくるように思います。私は、税理士法人の経験を経て審判所に来ましたが、そのように思いました。
国税不服審判所は、税務行政で大きな役割を担っています。審判所を支えるのは、そこに所属する人になります。皆さまが、モチベーション高く、審判所を志望していただくようなことがあれば、私としても、とても嬉しく思います。
○ 本コラムは、全てテーマに関する執筆者個人の感想や視点に基づいて書かれたものであることをお断りしておきます。