「国税審判官の仕事内容」

バリスタ

 私は現在、比較的大きな支部で勤務していますが、ここでの国税審判官の仕事内容についてお伝えしたいと思います。
1 メンバー構成

 審判所のメンバーは、財務省や国税庁のキャリア、国税局や税務署の出身者、裁判所からの出向者、我々任期付職員等、多方面からの人材で構成されています。
 国税局や税務署出身の方は、皆経験豊富なベテランばかりで、その道の「プロ中のプロ」です。もっとも、審判所での勤務自体は初めての人もいます。
 裁判官、書記官の職にあった裁判所からの出向者は、国税局・税務署出身のベテランに比べると少し若いですが、それなりに裁判所での経験を積んだ方が多いです。
 我々任期付職員も、やはり経験を積んだ方が多いですが、年齢層は幅広い感じです。
2 仕事内容
 国税審判官の仕事は、審査請求事件についての議決書の作成がメインとなりますが、その他にも、裁決書についての情報公開法に基づく開示請求があった場合のマスキング処理や、税理士会等の研修(公表裁決の紹介等)や、審判所内部での研修などがあります。
 個別の審査請求事件は、通常、審判官(副審判官を含む。)3人で構成される合議体と事務分担者1人が1つのチームとなって担当します。合議体には基本的に1人以上の任期付職員が入ります。事件処理の中心となるのは担当審判官で、他の2人は参加審判官として、担当審判官が起案した議決書案について多角的検討を行います。任期付職員が担当審判官になることもあれば、国税局・税務署出身の審判官が担当審判官になることもあります。
 事件処理にあたり、審査請求人と面談をしたり、原処分の担当者にも説明を求めたりします。時には、遠方の税務署まで出張することもあります。
 争点を確定したり変更したり審理を終結させるときなど、節目には合議により方針が決まります。合議には、部長審判官や法規・審査担当部門の方など合議体以外の人もオブザーバーとして参加します。もっとも、議決書案の作成にあたっては、正式な合議の場以外でも、参加審判官や分担者に色々と意見を聞いたり議論をしたりします(特に、その事件の税目の「プロ中のプロ」である国税局・税務署出身の方の意見は、とても参考になります。)。また、時には裁判官出身の方も交えて検討することもあります。
 このように、皆で専門知識をフル活用して議決書を作成します。これが、国税審判官のメインの仕事となります。
 なお、仕事以外では、私は、国税局・税務署出身の方と休日にゴルフに行ったりしています。
 以上、簡単な説明ですが、皆さまの参考になれば幸いです。

○ 本コラムは、全てテーマに関する執筆者個人の感想や視点に基づいて書かれたものであることをお断りしておきます。

トップに戻る