(令和元年5月30日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、医療法人から発行を受けた割引債の償還差益は源泉分離課税により納税が完結するとして、当該差益に係る所得を所得税等の確定申告書に記載せずに申告したところ、原処分庁が、請求人が取得したものは割引債に該当せず、当該差益は時の経過とともに日々実現するものであるから、平成28年中に実現したものは同年分の雑所得の総収入金額に算入すべきであるとして所得税等の更正処分等をしたのに対し、請求人が、当該差益は償還日の属する平成30年分の雑所得の総収入金額に算入すべきであるなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である

(2) 関係法令

  • イ 所得税法第36条《収入金額》第1項は、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額とする旨規定している。
  • ロ 租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの。以下「措置法」という。)第41条の12《償還差益等に係る分離課税等》第1項は、個人が昭和63年4月1日以後に発行された割引債について支払を受けるべき償還差益については、所得税法第22条《課税標準》及び第89条《税率》並びに第165条《総合課税に係る所得税の課税標準、税額等の計算》の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その支払を受けるべき金額に対し、100分の18の税率を適用して所得税を課する旨規定し、措置法第41条の12第3項は、昭和63年4月1日以後に発行された割引債の発行者は、政令で定めるところにより、当該割引債の発行の際これを取得する者からその割引債の券面金額から発行価額を控除した金額に100分の18の税率を乗じて計算した金額の所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない旨規定し、同条第7項は、同条前各項に規定する割引債とは、割引の方法で発行される公社債(政令で定めるものに限る。)である旨規定している。
  • ハ 租税特別措置法施行令第26条の15《償還差益の分離課税等に係る割引債の範囲》第1項は、措置法第41条の12第7項に規定する政令で定める公社債とは、国債及び地方債、内国法人が発行する社債(会社以外の内国法人が特別の法律により発行する債券を含む。)並びに外国法人が発行する債券をいう旨規定している。
  • ニ 会社法第2条《定義》第23号は、社債とは、同法の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、同法第676条《募集社債に関する事項の決定》各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう旨規定している。
  • ホ 医療法第54条の2《社会医療法人債の発行》第1項は、社会医療法人は、社会医療法人債(同法第54条の7《会社法の準用》において準用する会社法の規定により社会医療法人が行う割当てにより発生する当該社会医療法人を債務者とする金銭債権であって、同法第54条の3《募集社会医療法人債に関する事項の決定》第1項各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう。)を発行することができる旨規定している。

(3) 基礎事実

当審判所の調査及び審理の結果によれば、次の事実が認められる。

  • イ 医療法人D会は、平成14年9月○日に設立された医療法人である。なお、D会が社会医療法人の認定を受けたことはない。
  • ロ 請求人は、D会の設立以来、D会の理事長である。
  • ハ D会は、平成27年10月○日、額面金額を○○○○円、発行価額を額面金額の○○%の○○○○円(以下、額面金額と発行価額との差額○○○○円を「本件差益」という。)、募集金額を○○○○円、利率を年複利○○%、発行日を平成27年12月○日、償還日を平成30年12月○日、債券の種類を少人数私募債(割引債)とする内容の「○○社債」を発行する旨を理事会で決議した。
  • ニ 請求人は、上記ハの募集に全額分応じ、請求人がD会に対して有する貸付金○○○○円を充てることとしたほか、残金の○○○○円については、本件差益に対する源泉所得税相当額の○○○○円と併せて、平成27年12月○日、D会名義の普通預金口座に入金した。
  • ホ D会は、平成27年12月○日、上記ニの請求人から入金された○○○○円と請求人からの借入金○○○○円の合計額○○○○円を払込金(以下「本件払込金」という。)として、別紙2のとおりの記載があり、かつ、D会の押印がある「○○社債券 NO.○○○○−○○○○」と題する書面(以下、この社債券と題する書面を「本件債券」という。)を発行した。
     なお、本件債券の総発行口数は○口である。
  • へ 本件債券の裏面に記載された本件債券の発行要項(以下「本件発行要項」という。)は、別紙3のとおりである。
  • ト D会は、平成28年1月6日、本件債券が措置法第41条の12第1項に規定する割引債に該当するとの前提の下、上記ニの請求人から入金された○○○○円を同条第3項に基づき国に納付した。
  • チ 請求人は、平成27年12月○日から平成28年12月31日までの間、本件債券の総発行口数○口全てを保有していた。

(4) 審査請求に至る経緯等

  • イ 請求人は、平成28年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)について、別表1の「確定申告」欄のとおり法定申告期限内に申告したが、本件差益に係る所得については、措置法第41条の12第1項の規定が適用され源泉分離課税により所得税等の納税が完結したものとして申告しなかった。
  • ロ 原処分庁は、原処分庁所属の調査担当職員の調査により、平成30年3月30日付で、別表1の「更正処分等」欄のとおり、本件債券は措置法第41条の12第1項に規定する割引債に該当しないから、本件差益のうち平成28年1月1日から同年12月31日に対応する部分の金額を雑所得として、平成28年分の所得税等の更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。
  • ハ 本件更正処分の雑所得の金額は、平成29年8月2日、請求人及びD会の税務代理人である税理士法人E(現在の名称は、税理士法人F)のG税理士が当該調査担当職員に対して提示した「私募債計算書」と題する書面(以下「本件計算書」という。)に基づいて算出したものであり、本件計算書には、要旨次のとおり記載されていた。
    • (イ) 「債券名」:○○社債
    • (ロ) 「年複利率」:○○%
    • (ハ) 「支払利息計上額(円/月)」:一口当たり○○○○円、総発行口数分 ○○○○円
    • (ニ) 「支払利息計上額(円/年)」:一口当たり○○○○円、総発行口数分 ○○○○円
  • ニ 請求人は、上記ロの各処分に不服があるとして、平成30年6月27日に審査請求をした。
     なお、請求人は、本審査請求において、本件債券は措置法第41条の12第1項にいう割引債に該当せず本件差益について確定申告をする必要があること、また、本件差益の支払を請求する権利は、請求人のD会に対する利息債権であることについては、争わないこととした。

2 争点

(1) 本件差益の収入すべき時期はいつか(争点1)。

(2) 本件差益につき平成28年分の雑所得の総収入金額に算入すべき金額(以下「本件利息」という。)があると認められる場合、その金額は幾らか(争点2)。

3 争点についての主張

(1) 争点1(本件差益の収入すべき時期はいつか。)について

原処分庁 請求人
所得税法は、現実の収入がなくてもその収入の原因となる権利が確定した場合には、その時点で所得の実現があったものとして、その権利確定の時期の属する年分の課税所得を計算するものと解されるところ、貸付金利息は元本使用の対価であって、元本が返還されるまで日々発生するものであるから、特段の事情のない限り、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し、収入の原因となる権利が確定するものと解するのが相当である。
 したがって、本件差益のうち、平成28年1月1日から平成28年12月31日までの期間に対応する部分の収入すべき時期は、平成28年12月31日である。
本件債券の契約によると、本件債券の発行日から償還日までの期間の中途において、請求人はD会に対して時の経過に伴う利息相当額を請求することはできない。
 したがって、本件差益は時の経過とともに日々実現するものではなく、本件差益の収入すべき時期は、本件債券の償還日である平成30年12月○日である。

(2) 争点2(本件利息があると認められる場合、その金額は幾らか。)について

原処分庁 請求人
イ 本件利息の金額を計算するに当たっては、本件計算書の「支払利息計上額(円/月)」及び「支払利息計上額(円/年)」の各欄に記載された金額を採用すべきである。
 具体的には、本件差益を総発行口数○口で除し、更に償還期間である○か月で除した額である一口当たりの支払利息計上額(円/月)○○○○円に、請求人が保有していた口数である○口を乗じて得た○○○○円の12か月分である○○○○円である。
 なお、年複利率○○%である旨の記載は、本件差益を○年間の年複利で計算した場合の利率を示したものにすぎず、年複利率○○%で計算した利息をもって、請求人及びD会が経理処理をしている事実はないから、D会と請求人との間で、上記利率により計算した利息をD会が請求人に支払うとの合意があったとは認められない。
仮に、本件利息があると認められるとしても、本件利息の金額は、本件払込金に、本件債券に記載されている年複利率○○%を乗じて計算すべきである。
 具体的には、一口当たりの発行価額○○○○円に対する平成27年12月○日から平成28年12月15日までの利息額○○○○円から、平成27年12月○日から同月○日までの○日間の利息額○○○○円を控除した上で、一口当たりの発行価額○○○○円に上記○○○○円を加えた○○○○円に対する平成28年12月○日から同月○日までの○日間の利息額○○○○円を加えると、平成28年1月1日から同年12月31日までの一口当たりの利息額は○○○○円となる。そのため、本件利息の金額は、その○口分である○○○○円である。
ロ また、本件債券の利息の計算には年複利率○○%を用いるべきであるとする請求人の主張は、本件債券が発行当初から調達金額に年複利率○○%の利息を付する利付債としていたかのような主張であり、本件債券が割引債として有効に成立した法律関係であるとしていた請求人の当初の主張と矛盾する。

4 当審判所の判断

(1) はじめに

  • イ 措置法第41条の12第1項にいう割引債とは、割引の方法で発行される公社債(政令で定めるものに限る。)(同条第7項)とされ、これを受けて租税特別措置法施行令第26条の15第1項では、政令で定める公社債とは国債及び地方債、内国法人が発行する社債(会社以外の内国法人が特別の法律により発行する債券を含む。)並びに外国法人が発行する債券をいう旨規定している。本件債券は、国債及び地方債並びに外国法人が発行する債券には該当しない。また、内国法人が発行する社債については、会社法第2条第23号の規定により、社債は会社を債務者とする金銭債権である旨定められているところ、D会は、会社法にいう会社ではないため、本件債券は同法にいう社債に該当しない。さらに、上記会社以外の内国法人が特別の法律により発行する債券として、医療法においては同法第54条の2の規定により、社会医療法人は、社会医療法人債を発行することができる旨定められているが、上記1の(3)のイのとおり、D会は社会医療法人ではないため、本件債券は社会医療法人債に該当しない。
     以上のことから、本件債券は、措置法第41条の12第1項にいう割引債に該当せず、本件差益は源泉分離課税の対象ではないから、請求人は本件差益について確定申告をする必要がある。この点について、当事者間に争いはない。
  • ロ そして、社債契約は消費貸借契約に類似する契約であるところ、上記1の(3)のニないしヘのとおり、D会は、請求人から○○○○円を受け取り、請求人に平成30年12月○日に同額の金員を返還する約束があったものと認められ、請求人とD会との間には、平成27年12月○日、請求人がD会に対して、弁済期を平成30年12月○日として本件払込金を貸し付けた契約(以下「本件契約」という。)があったものと認められる。
     また、本件債券及び本件発行要項によれば、請求人はD会に対して本件払込金を貸し付ける反面、D会は弁済期に本件払込金のみならず本件差益をも請求人に弁済する義務を負うことからすると、本件差益は、D会が本件契約成立時から弁済期までの○年間本件払込金を使用することの対価であったと認められ、本件差益の支払を請求する権利は、請求人のD会に対する利息債権であると認められる。これらの点についても、当事者間に争いはない。
     以下、これらのことを前提に、争点について検討する。

(2) 争点1(本件差益の収入すべき時期はいつか。)について

  • イ 検討
    • (イ) 所得税法第36条第1項は、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額について、別段の定めがあるものを除き、その年において「収入すべき金額」と定め、収入した金額によるとしていないことからすると、当該規定は、現実の収入がない場合であってもその収入の原因となる権利が確定した場合には、その時点で所得の実現があったものとして上記権利確定の時期の属する年分の課税所得を計算するという建前(いわゆる権利確定主義)を採用しているものと解される。
       また、上記の収入の原因となる権利が確定する時期については、それぞれの権利の特質を考慮して決定されるべきものであるところ、貸付金利息については、元本使用の対価であって、元本が返還されるまで日々発生するものであるから、特段の事情のない限り、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し、収入の原因となる権利が確定するものと解するのが相当である。
    • (ロ) これを本件についてみると、本件差益は、上記(1)のロのとおり、D会が本件契約成立時から弁済期までの○年間本件払込金を使用することの対価(利息債権)であり、本件差益のうち、平成28年1月1日から同年12月31日までの期間に対応する部分については、当該期間中に収入の原因となる権利が確定したものということができ、これと別異に解すべき特段の事情もない。
       したがって、本件差益の収入すべき時期は、平成28年1月1日から同年12月31日までの期間に対応する部分については、その年の末日(平成28年12月31日)には到来していることとなる。
  • ロ 請求人の主張について
     請求人は、上記3の(1)の「請求人」欄のとおり、本件債券の契約によると本件債券の償還日である平成30年12月○日までは本件差益の支払を請求することができないから、本件差益の収入すべき時期は、同日である旨主張する。
     しかしながら、上記イの(イ)のとおり、貸付金利息は、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し、収入の原因となる権利が確定するものであり、本件差益の収入すべき時期は、同(ロ)のとおりであるから、請求人の主張には理由がない。

(3) 争点2(本件利息があると認められる場合、その金額は幾らか。)について

  • イ 認定事実
     請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、次の事実が認められる。
    • (イ) 本件債券の発行は、H社が計画し、D会に提案したものであり、本件債券、本件発行要項及び本件計算書の内容は、いずれも同社の代表取締役であるJが考案した。
    • (ロ) Jは、本件払込金に対し、本件債券の発行日から償還日までの○年間、年複利の利率を乗じて得られた額の合計額が本件差益となるように年複利率○○%を算出した。
    • (ハ) Jは、D会に対し、平成28年1月○日以降の毎月○日に、社債利息として○○○○円(総発行口数分)を計上するよう助言した。
    • (ニ) D会は、平成27年10月○日から平成28年9月○日までの事業年度に係る法人税の確定申告において、請求人を借入先とする期中の支払利息として、○○○○円の○月分に当たる○○○○円を計上した。
    • (ホ) 本件計算書は、Jが作成したものであるところ、同人は、本件債券が割引債に該当することを前提に、本件差益のD会における会計処理のために、本件計算書の「支払利息計上額(円/月)」及び「支払利息計上額(円/年)」の各欄にある金額を記載した。
    • (へ) D会は、本件差益の計算方法についてJに一任していた。
  • ロ 検討
    • (イ) 本件利息の金額の計算方法について
       一口当たりの元本の額(○○○○円)に本件債券に記載された年複利率○○%を乗じると(ただし、1円未満切捨て。以下本件利息の金額の計算において同じ。)、○年間で○○○○円となり、○口合計で○○○○円が得られるところ、この金額は本件差益(○○○○円)とほぼ一致しており、Jが本件払込金に対し、本件債券の発行日から償還日までの○年間、年複利の利率を乗じて得られた額の合計額が本件差益となるように年複利率○○%を算出したとする上記イの(ロ)の事実を裏付けている。そうすると、○○%という年複利率は、本件差益が本件払込金を基に契約期間に応じて発生するように定められたものということができ、本件利息の金額を計算するに当たっては、年複利率○○%を用いて算出するのが相当である。したがって、この点について、上記3の(2)の「請求人」欄のとおり、請求人の主張には理由がある。
    • (ロ) 本件利息の金額について
       上記(イ)に基づき本件利息の金額を計算した結果は別表2のとおりである。すなわち、貸付け1年目(平成27年12月○日から平成28年12月15日まで)の一口当たりの元本○○○○円(1)に年○○%の利率を乗じて算出した○○○○円(2)を基に、これから平成27年12月○日から同月○日までの○日間の利息額である○○○○円(3)を控除するとともに、平成28年12月○日から同月○日までの○日間の利息額である○○○○円(4)を加えた額○○○○円(5)を一口当たりの平成28年中の利息の金額として算出する。そして、本件債券の総発行口数は○口であり、請求人は平成28年中これらを全て保有していたことから、本件利息の金額は○○○○円(6)となる。
  • ハ 原処分庁の主張について
    • (イ) 原処分庁は、上記3の(2)の「原処分庁」欄のイのとおり、本件利息の金額を計算するに当たっては、本件計算書の「支払利息計上額(円/月)」及び「支払利息計上額(円/年)」の各欄に記載された金額を採用すべきである旨主張する。
       しかしながら、本件利息の金額を計算するに当たっては、年複利率○○%を用いて算出するのが相当であることは上記ロのとおりであるところ、上記イの(ハ)ないし(へ)のとおり、本件計算書の「支払利息計上額(円/月)」及び「支払利息計上額(円/年)」の各欄に記載された金額は、JがD会に対して、本件債券が割引債に該当することを前提に、D会における会計処理のために記載したものであり、本件利息の金額の算定のためにこれを使用すべき理由はない。したがって、原処分庁の主張には理由がない。
    • (ロ) また、原処分庁は、上記3の(2)の「原処分庁」欄のロのとおり、本件債券の利息の金額の計算には年複利率○○%を用いるべきであるとする請求人の主張は本件債券を利付債としていたかのような主張であり、本件債券が割引債として有効に成立した法律関係であるとしていた請求人の当初の主張と矛盾する旨主張する。
       しかしながら、本件差益の支払を請求する権利が、請求人のD会に対する利息債権であると認められることは上記(1)のロのとおりである。したがって、原処分庁の主張には理由がない。

(4) 本件更正処分の適法性について

上記(3)のロの(ロ)のとおり、本件利息の金額は○○○○円となる。その結果、請求人の平成28年分の総所得金額及びその内訳並びに納付すべき税額は別表3の「審判所認定額」欄のとおりとなり、本件更正処分に係る総所得金額及び納付すべき税額を下回るから、本件更正処分は、その一部を別紙1「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。
 なお、本件更正処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

(5) 本件賦課決定処分の適法性について

上記(4)のとおり、本件更正処分についてその一部を取り消されることに伴い、過少申告加算税の基礎となる税額は○○○○円となる。
 また、この税額の計算の基礎となった事実が本件更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項第1号に規定する正当な理由があるとは認められない。そして、同条第1項及び第2項の規定に基づいて過少申告加算税の額を計算すると○○○○円となり、本件賦課決定処分の金額を下回るから、本件賦課決定処分は、別紙1「取消額等計算書」のとおりその一部を取り消すべきである。

(6) 結論

よって、審査請求には理由があるから、原処分の一部を取り消すこととする。

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