ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 裁決事例集 No.74 >> (平19.11.5、裁決事例集No.74 357頁)>> 別紙1
別紙1
関係法令等の要旨
1 相続税法第22条《評価の原則》は、相続又は遺贈により取得した財産の価額は、特別の定めのあるものを除き、当該財産の取得の時における時価による旨規定している。
2 相続税法第23条《地上権及び永小作権の評価》は、地上権(借地借家法に規定する借地権又は民法第269条の2《地下又は空間を目的とする地上権》第1項の地上権に該当するものを除く。以下同じ。)の価額は、その残存期間に応じ、その目的となっている土地のこれらの権利を取得した時におけるこれらの権利が設定されていない場合の時価に、一定の割合を乗じて算出した金額による旨、そして、残存期間が25年を超え30年以下のもの及び地上権で残存期間の定めのないものについてのこの割合は100分の40とする旨規定している。
3 財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか国税庁長官通達。ただし、平成17年5月17日付課評2−5による改正前のものをいい、以下「評価基本通達」という。)7《土地の評価上の区分》は、土地の価額は、地目(宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地又は雑種地)の別に評価し、地目は、課税時期の現況によって判定する旨定め、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、そのうちの主たる地目により評価するものとし、なお、市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域において、同通達40《市街地農地の評価》の本文の定めにより評価する市街地農地(同通達40−3《生産緑地の評価》に定める生産緑地を除く。)、同通達49《市街地山林の評価》の本文の定めにより評価する市街地山林、同通達58−3《市街地原野の評価》の本文の定めにより評価する市街地原野又は同通達82《雑種地の評価》の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地のいずれか2以上の地目の土地が隣接しており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の土地ごとに評価する旨定めている。
4 評価基本通達7−2《評価単位》は、土地の価額は評価単位ごとに評価することとし、宅地は1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいう。)を評価単位とする旨、山林は1筆(地方税法第341条《固定資産税に関する用語の意義》第10号に規定する土地課税台帳又は同条第11号に規定する土地補充課税台帳に登録された1筆をいう。以下同じ。)の山林を評価単位とする旨定めている。
5 評価基本通達11《評価の方式》は、宅地の評価は、原則として、市街地的形態を形成する地域にある宅地は路線価方式により、それ以外の宅地は倍率方式により評価する旨定めている。
6 評価基本通達13《路線価方式》は、路線価方式とは、その宅地の面する路線に付された路線価を基とし、同通達15《奥行価格補正》から同通達20−5《容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価》までの定めにより計算した金額によって評価する方式をいう旨定めている。
7 評価基本通達14《路線価》は、路線価は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいう。以下同じ。)ごとに設定する旨、また、路線価は、路線に接する宅地で、その路線のほぼ中央部にあること、その一連の宅地に共通している地勢にあること、その路線だけに接していること、
標準的な間口距離及び奥行距離を有するく形又は正方形のものであることのすべての事項に該当するものについて、売買実例価額、公示価格(地価公示法第6条《標準地の価格等の公示》の規定により公示された標準地の価格をいう。以下同じ。)、鑑定評価額(不動産鑑定士又は不動産鑑定士補が国税局長の委嘱により鑑定評価した価額をいう。以下同じ。)、精通者意見価格等を基として国税局長がその路線ごとに評定した1当たりの価額とする旨定めている。
8 評価基本通達14−3《特定路線価》は、路線価地域内において、相続税の課税上、路線価(同通達14に定める路線価をいう。以下同じ。)の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する必要がある場合には、当該道路を路線とみなして当該宅地を評価するための路線価(以下「特定路線価」という。)を納税義務者からの申出等に基づき設定することができる旨、また、特定路線価は、その特定路線価を設定しようとする道路に接続する路線及び当該道路の付近の路線に設定されている路線価を基に、当該道路の状況、地区(同通達14−2《地区》に定める地区をいう。以下同じ。)の別等を考慮して税務署長が評定した1当たりの価額とする旨定めている。
9 評価基本通達15は、一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じて奥行価格補正率を乗じて求めた価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する旨定めている。
10 評価基本通達16《側方路線影響加算》は、正面と側方に路線がある宅地(以下「角地」という。)の価額は、次の(1)及び(2)に掲げる価額の合計額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する旨定めている。
(1) 正面路線(原則として、評価基本通達15の定めにより計算した1当たりの価額の高い方の路線をいう。以下同じ。)の路線価に基づき計算した価額
(2) 側方路線(正面路線以外の路線をいう。以下同じ。)の路線価を正面路線の路線価とみなし、その路線価に基づき計算した価額に「側方路線影響加算率表」に定める加算率を乗じて計算した価額
11 評価基本通達20《不整形地の評価》は、不整形地の価額は、同通達15から同通達18《三方又は四方路線影響加算》までの定めによって計算した価額に、その不整形の程度、位置及び地積の大小に応じ、同通達付表4「地積区分表」に掲げる地区区分及び地積区分に応じた同通達付表5「不整形地補正率表」に定める補正率(以下「不整形地補正率」という。)を乗じて計算した価額により評価する旨定めている。
12 評価基本通達20−2《無道路地の評価》は、無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき同通達20の定めによって計算した価額からその価額の100分の40の範囲内において相当と認める金額を控除した価額によって評価する旨定め、この場合において、100分の40の範囲内において相当と認める金額は、無道路地について、建築基準法その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件(以下「接道義務」という。)に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額とする旨定め、なお、無道路地とは、道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む。)をいう旨定めている。
13 評価基本通達20−5は、容積率(建築基準法第52条《容積率》に規定する建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。以下同じ。)の異なる2以上の地域にわたる宅地の価額は、同通達15から同通達20−4《がけ地等を有する宅地の評価》までの定めにより評価した価額から、その価額に次の算式により計算した割合(小数点以下第3位未満四捨五入)を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する旨定め、また、次の算式の「容積率が価額に及ぼす影響度」は、普通住宅地区の場合、0.1である旨定めている。
14 評価基本通達21《倍率方式》は、倍率方式とは、固定資産税評価額(地方税法第381条《固定資産課税台帳の登録事項》の規定により土地課税台帳若しくは土地補充課税台帳(同条第8項の規定により土地補充課税台帳とみなされるものを含む。)に登録された基準年度の価格又は比準価格をいう。以下同じ。)に国税局長が一定の地域ごとにその地域の実情に即するように定める倍率(以下「相続税評価倍率」という。)を乗じて計算した金額によって評価する旨定めている。
15 評価基本通達21−2《倍率方式による評価》は、倍率方式により評価する宅地の価額は、その宅地の固定資産税評価額に地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある宅地の売買実例価額、公示価格、鑑定評価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率(相続税評価倍率)を乗じて計算した金額によって評価する旨定めている。
16 評価基本通達24−4《広大地の評価》は、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で都市計画法第4条《定義》第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの(以下「広大地」という。)の価額は、その広大地が倍率地域に所在する場合、その広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1当たりの価額に、次の算式により求めた広大地補正率を乗じて計算した価額にその広大地の地積を乗じて計算した金額によって評価する旨定めている(以下、この評価方法を「広大地の評価」という。)。
17 評価基本通達25《貸宅地の評価》は、借地権の目的となっている宅地の価額は、同通達11から同通達22−3《大規模工場用地の路線価及び倍率》まで、同通達24《私道の用に供されている宅地の評価》、同通達24−2《土地区画整理事業施行中の宅地の評価》、同通達24−4及び同通達24−6《セットバックを必要とする宅地の評価》から同通達24−8《文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価》までの定めにより評価した宅地の価額(以下「自用地としての価額」という。)から同通達27《借地権の評価》の定めにより評価した借地権の価額を控除した金額によって評価する旨定めている。
18 評価基本通達27は、借地権の価額は、その借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、当該価額に対する借地権の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した借地権の価額の割合(以下「借地権割合」という。)がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長が定める割合を乗じて計算した金額によって評価する旨定めている。
19 評価基本通達40は、市街地農地の価額は、その農地が宅地であるとした場合の1当たりの価額からその農地を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛り又は土止めに要する費用がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を控除した金額に、その農地の地積を乗じて計算した金額によって評価する旨定め、また、その農地が宅地であるとした場合の1当たりの価額は、その付近にある宅地について同通達11に定める方式によって評価した1当たりの価額を基とし、その宅地とその農地との位置、形状等の条件の差を考慮して評価するものとする旨定めている。
20 評価基本通達40−3は、生産緑地(生産緑地法第2条《定義》第3号に規定する生産緑地のうち、課税時期において同法第10条《生産緑地の買取り申出》の規定による市町村長に対する買取りの申出を行った日から起算して3月を経過しているもの以外のものをいう。以下同じ。)の価額は、その生産緑地が生産緑地でないものとして同通達第2章《土地及び土地の上に存する権利》の定めにより評価した価額から、その価額に一定の割合を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価する旨定め、当該一定の割合については、課税時期において市町村長に対し買取りの申出をすることができる生産緑地については100分の5とする旨定めている。
21 評価基本通達45《評価の方式》は、山林の評価は、次の区分に従い、それぞれ次に掲げる方式によって行う旨定めている。
(1) 純山林及び中間山林(通常の山林と状況を異にするため純山林として評価することを不適当と認めるものに限る。以下同じ。) 倍率方式
(2) 市街地山林 比準方式又は倍率方式
22 評価基本通達47《純山林の評価》は、純山林の価額は、その山林の固定資産税評価額に、地勢、土層、林産物の搬出の便等の状況の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率(相続税評価倍率)を乗じて計算した金額によって評価する旨定めている。
23 評価基本通達48《中間山林の評価》は、中間山林の価額は、その山林の固定資産税評価額に、地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率(相続税評価倍率)を乗じて計算した金額によって評価する旨定めている。
24 評価基本通達50《保安林の評価》は、森林法等の規定に基づき土地の利用又は立木の伐採について制限を受けている山林の価額は、同通達45から同通達49−2《広大な市街地山林の評価》までの定めにより評価した価額(その山林が森林法第25条《指定》の規定により保安林として指定されており、かつ、倍率方式により評価すべきものに該当するときは、その山林の付近にある山林につき同通達45から同通達49−2までの定めにより評価した価額に比準して評価した価額とする。)から、その価額にその山林の上に存する立木について同通達123《保安林等の立木の評価》に定める割合を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価する旨定めている。
25 評価基本通達82は、雑種地の価額は、原則として、その雑種地と状況が類似する付近の土地について同通達の定めるところにより評価した1当たりの価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価する旨定めている。
26 評価基本通達86《貸し付けられている雑種地の評価》は、賃借権の目的となっている雑種地の価額は、原則として、同通達82から同通達84《鉄軌道用地の評価》までの定めにより評価した雑種地の価額(以下「自用地としての価額」という。)から、同通達87《賃借権の評価》の定めにより評価したその賃借権の価額を控除した金額によって評価する旨定めている。
27 評価基本通達87は、雑種地に係る賃借権の価額は、原則として、その賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評定した価額によって評価する旨定め、ただし、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところにより評価することができるものとする旨定めている。
(1) 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどがこれに該当する。)の価額は、その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権である場合に適用される相続税法第23条に規定する割合(以下「法定地上権割合」という。)又はその賃借権が借地権であるとした場合に適用される借地権割合のいずれか低い割合を乗じて計算した金額によって評価する。
(2) (1)に掲げる賃借権以外の賃借権の価額は、その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合に適用される法定地上権割合の2分の1に相当する割合を乗じて計算した金額によって評価する。
28 評価基本通達123は、森林法等によって定められた伐採関係の区分が一部皆伐の場合の控除割合は0.3とする旨定めている。
29 Y国税局長が評価基本通達に基づき定めた平成16年分財産評価基準書(以下「平成16年分評価基準書」という。)には、宅地造成費について、平坦地と傾斜地の区分により、要旨次のとおり定められている(以下、この定めにより定められている宅地造成費を「評価造成費」という。)。
(1) 平坦地
整地費 | ||
整地費 | 1当たり | 500円 |
伐採・抜根費 | 1当たり | 600円 |
地盤改良費 | 1当たり | 1,700円 |
土盛費 | 1当たり | 2,700円 |
土止費 | 1当たり | 38,000円 |
(2) 傾斜地
- 傾斜度3度以下の傾斜地については、1当たり4,000円
- 傾斜度3度超5度以下の傾斜地については、1当たり7,000円
- 次のような場合の宅地造成費は、原則として、個別に算定する。
- 蓮田、池沼その他特殊な形状等により評価造成費によって算定することが不適当と認められる場合
- 評価造成費により算出した金額が、評価対象地が宅地であるとした場合の価額の100分の50に相当する金額を超える場合
- 傾斜度が30度を超える場合
- 平坦地の場合であっても、宅地とするために土盛り又は土止めを要する土地については、上記の金額を適用して差し支えない。ただし、市街地に介在する駐車場や土地区画整理事業等を了した雑種地等のように、整地のみで宅地化が可能である土地については、「平坦地の宅地造成費」を適用して算定することに留意する。
30 平成15年基準年度X市固定資産土地評価事務取扱要領(以下「本件固定資産評価取扱要領」という。)の「市町村長が定める所要の補正」のうち次の項目については、それぞれ要旨次の定めがある。
高地の度合 | 1以上 2未満 |
2以上 3未満 |
3以上 4未満 |
4以上 5未満 |
5以上 7未満 |
---|---|---|---|---|---|
補正率 | 0.97 | 0.95 | 0.90 | 0.85 | 0.80 |
面積割合 | 0.20未満 | 0.20以上 0.50未満 |
0.50以上 0.80未満 |
---|---|---|---|
補正率 | 0.99 | 0.98 | 0.97 |
地積() | 普通住宅地 |
---|---|
標準画地規模 150 |
|
60超〜200 | 1.0 |
200超〜300 | 0.99 |
300超〜400 | 0.98 |
400超〜500 | 0.97 |
500超〜700 | 0.96 |
700超〜1,000 | 0.95 |
1,000超〜1,500 | 0.94 |
1,500超〜2,000 | 0.93 |